プログラムPROGRAM
2019 5

ハワード・ホークス特集 1930年代編
2019年4月27日(土)〜29日(月・祝)
2019年5月3日(金・祝)〜5日(日)

アメリカ映画の巨匠ハワード・ホークスの1930年代の監督作8本を一挙上映!
連続講座「20世紀傑作映画 再(発)見」も併せて開催します。

 

「暗黒街の顔役」Scarface
(1932/93分)
監督・製作:ハワード・ホークス
脚本:ベン・ヘクト
撮影:リー・ガームス、L・W・オコンネル
出演:ポール・ムニ、アン・ドヴォラック、ジョージ・ラフト、ボリス・カーロフ

暗黒街の帝王アル・カポネの盛衰を、チェーザレ・ボルチアとルクレツィア・ボルチアの近親相姦的な兄妹の物語と重ね合わせて描いたギャング映画の金字塔であり、以後のこのジャンルの作品に決定的な影響を与えた。ジョージ・ラフトのコイン投げやボーリング場でのボリス・カーロフの最後など、今や伝説となっている名場面も数多い。ギャングの描き方などをめぐって検閲にひっかかり改変を余儀なくされ、エンディングも複数存在する。ブライアン・デ・パルマがアル・パチーノ主演で『スカーフェイス』(83) としてリメイクした。

 

「群衆の歓呼」The Crowd Roars
(1932/85分)
監督:ハワード・ホークス
原作:シートン・I・ミラー、ハワード・ホークス
出演:ジェームズ・キャグニー、ジョーン・ブロンデル、アン・ドヴォラック、エリック・リンデン

ワーナーでホークスがジェームズ・キャグニー主演で撮った2本のうちの一つ(もう一本は『無限の青空』)。レーサーでもあったホークスが、カーレースの世界を描いた活劇である。この作品あたりから始まる早口の台詞回しは、『ヒズ・ガール・フライデー』のオーバーラップするマシンガン・トークで頂点に達する。キャグニーがアン・ドヴォラックに肩を抱かれて泣くシーンは忘れがたい。男が泣く映画としても記憶されるべき一本である。ちなみにホークスは最晩年にもカーレースの世界を描いた『レッドライン7000』を撮っている。

 

「奇傑パンチョ」Viva Villa!
(1934/115分)
監督:ジャック・コンウェイ、ハワード・ホークス(クレジットなし)
脚本:ベン・ヘクト
出演:ウォーレス・ビアリー、レオ・キャリロ、フェイ・レイ、ドナルド・クック

メキシコ革命の英雄パンチョ・ビリャをウォーレス・ビアリー主演で描いた歴史活劇。『今日限りの命』をのぞくと、ホークスがMGMで作った映画はこれしかない。『大自然の凱歌』同様、監督を途中で降板させられた作品だが、実質的な監督はホークスだったと言われている(メキシコ・ロケをホークスが行い、それ以外の室内シーンなどをJ・コンウェイがMGMの撮影所で撮った)。この映画のパンチョは、『暗黒街の顔役』のトニー・カモンテらと並んで、ホークスが描いた最も強烈なキャラクターの一人である。紛れもなくホークスの作品でありながら、上記の事情からいささか過小評価されるきらいがあり、再評価が待たれる。

 

「特急二十世紀」Twentieth Century
(1934/91分)
監督・製作:ハワード・ホークス
脚本:チャールズ・マッカーサー、ベン・ヘクト
出演:ジョン・バリモア、キャロル・ロンバード、ウォルター・コノリー、ロスコー・カーンズ

傲慢で嫉妬深い舞台演出家と、彼を捨ててハリウッドに行った女優が、偶然同じ列車に乗り合わせたことから起きる珍騒動を描いたホークス初のスクリューボール・コメディで、これを彼のコメディの頂点と考える人も少なくない。いかにもホークスらしく、心理ではなく叫びとジェスチャーによって描かれる男女の活劇に終始圧倒される。ジョン・バリモア(ドリュー・バリモアの祖父)の芝居じみたキレ芸やキャロル・ロンバードのヒステリックな演技に加えて、列車の中であらゆる物や場所に「悔改めよ」と書かれたステッカーを貼り付けていく謎の老人など、ユニークな脇役たちが大いに笑わせてくれる。

 

「バーバリー・コースト」Barbary Coast
(1936/90分)
監督:ハワード・ホークス
脚本:ベン・ヘクト、チャールズ・マッカーサー
出演:ミリアム・ホプキンス、エドワード・G・ロビンソン、ジョエル・マクリー、ブライアン・ドンレヴィ

1849年、ゴールド・ラッシュに沸くサンフランシスコの賭博場を舞台に語られる、ギャング映画のようでもあり、西部劇のようでもあるピカレスクな物語。実在した女性エレオノール・デュポンがモデルになっている。ホークス自身はあまり気に入ってなかったらしいが、エドワード・G・ロビンソンの周囲に漂うヤクザな雰囲気や、港町に立ち込める霧が醸し出すホークスらしい抑制のきいたポエジーが忘れがたい名作。ホークス作品に計6回出演することになる超個性派俳優ウォルター・ブレナンのホークス初出演作品でもあり、その型破りで愛すべきキャラクターの魅力はこの作品ですでに存分に発揮されている。

 

「永遠(とわ)の戦場」The Road to Glory
(1936/103分)
監督:ハワード・ホークス
脚本:ジョエル・セイアー、ウィリアム・フォークナー
撮影:グレッグ・トーランド
出演:フレデリック・マーチ、ワーナー・バクスター、ライオネル・バリモア、ジューン・ラング

第一次世界大戦のフランス軍の塹壕戦を描いた戦争映画。フランス人ならだれもが知っている戦争映画の古典レイモン・ベルナールの『木の十字架』に部分的にインスパイアされている。好戦的な映画であるとはとても言えないが、あからさまに反戦的なわけでもなく、命をかけて任務を遂行してゆく男たちをただ淡々と描いてゆくところがいかにもホークスらしい。 二人の男が同じ女を愛するという物語は、『港々に女あり』『虎鮫』『大自然の凱歌』などのホークス作品でも繰り返し描かれるテーマである。歳をごまかしまでして息子の指揮する部隊に入隊して戦おうとする老齢の父親を、ライオネル・バリモアが印象的に演じていて忘れがたい。

 

「大自然の凱歌」Come and Get It
(1936/99分)
監督:ウィリアム・ワイラー、ハワード・ホークス
撮影:グレッグ・トーランド、ルドルフ・マテ
出演:エドワード・アーノルド、ウォルター・ブレナン、ジョエル・マクリー、フランシス・ファーマー

ウィスコンシンの大森林を舞台にした大作ロマン。原作者のエドナ・ファーバーは、それと知らずにホークスの祖父を作品のモデルのひとりにしていた。ホークスのルーツを知る上でも見逃せない一本である。プロデューサーと対立したためにホークスが監督を途中降板し、ワイラーがその後を引き受けた。前半のホークスの豪快な演出と、後半のワイラーの文芸メロドラマ調があまりにも違いすぎていて面白い。ホークスはこの映画を、たとえばイーストウッド(!)を使って西部劇としてリメイクしたいと思っていた。悲劇的な末路をたどった伝説の女優フランシス・ファーマーを見られる数少ない作品の一つでもある。

 

「赤ちゃん教育」Bringing Up Baby
(1938/102分)
監督・製作:ハワード・ホークス
脚本:ダドリー・ニコルズ、ヘイジャー・ワイルド
撮影:ラッセル・メティ
出演:ケイリー・グラント、キャサリン・ヘプバーン、チャーリー・ラグルス、バリー・フィッツジェラルド

これ以後、ホークス的世界に欠かせない住人のひとりになっていくケイリー・グラントが、ホークスと初めてタッグを組み、キューカーの『男装』に続いてキャサリン・ヘップバーンと共演したスクリューボール・コメディ。女に免疫のない博物館主グラントが、「赤ちゃん」(ベイビー)と呼ばれる豹を連れた令嬢ヘップバーンと出会ってしまったことから、デタラメな騒動が繰り広げられてゆく。登場人物全員が奇人変人という、何度見ても抱腹絶倒、茫然自失のクレイジーな大傑作。時代に先んじすぎたためか公開当時はまるでヒットしなかったが、今や映画史に残る古典である。

 

*全作品16mmフィルム上映

解説:井上正昭
協力:プラネット・プラス・ワン
 

《料金》入れ替え制1本あたり
一般1000円 学生700円 会員900円
《割引》当日2本目は200円引き

 


連続講座:20世紀傑作映画 再(発)見
第6回 ハワード・ホークス──〈一目瞭然の映画〉の謎

2019年4月27日(土)
講師:井上正昭(翻訳・映画研究)

このシリーズ講座では、映画史の節目を刻んできた傑作を毎回一本ずつ上映し、検証してゆく。時代の中から生まれながら、時代を超えて生き残る。古典とはそういうものだ。それは、つねに〈来るべき〉作品であり、映画館のような場所でそのつど〈発見〉される。このような観点から、作品を映画史の中にきっちりと位置づけ、それがいかにして生まれ、どのように受容され、それ以後の映画にどんな影響を与えたのかを検証する一方で、あたかも新作を見るように、その映画を純粋に味わい、どこにその〈映画的〉魅力があるのかを探ってゆく。

ジャック・リヴェットが「一目瞭然の映画」という言葉でその映画的知性を讃え、ゴダール、トリュフォー、スピルバーグ、ジョン・カーペンターなど、多くの監督たちから敬愛されてきた映画監督ハワード・ホークス。今回の「20世紀傑作映画再(発)見」は、いつもとは趣向を変えて、この稀有な映画作家の軌跡をたどる第一回目の特集上映の一環として行われる。『暗黒街の顔役』『赤ちゃん教育』『空軍』『赤い河』『遊星よりの物体X』など、あらゆるジャンルを手がけながら、ホークスは驚くべき一貫性をたもちつづけた。この機会に彼の作品をまとめて見た人は、〈作家性〉とでも呼ぶしかないものに否が応でも気付かされるに違いない。エクリチュールの透明さゆえに語り難い映画作家ではあるが、今回の講座では、一目瞭然であることがそのまま神秘でもあるようなホークス映画の魅力になんとか迫りたいと思う。

井上正昭
1964年生まれ。Planet Studyo + 1 で映画の自主上映にたずさわる。訳書に『映画監督に著作権はない』(フリッツ・ラング、ピーター・ボグダノヴィッチ/筑摩書房 リュミエール叢書)、『恐怖の詩学 ジョン・カーペンター』(ジル・ブーランジェ/フィルムアート社)、共著に『映画を撮った35の言葉たち』(フィルムアート社)がある。
ブログ「明るい部屋:映画についての覚書」

《参加費》  無料(要ハワード・ホークス特集のチケット半券)


第34回 くにづか月イチ上映会
2019年5月11日(土) 13:30〜
 

《料金》 無料
アスタくにづか3番館1階の「コミュニティハウス」で整理券を進呈

主催:くにづかリボーンプロジェクト、アスタくにづか神戸市保留床テナント会


収蔵フィルムで辿る組合映画史
2019年5月18日(土)・19日(日)、25日(土)・26日(日)

釜ヶ崎ではあいりん総合センターが閉鎖されようとするなど労働者を取り巻く環境が悪化する中、メーデーで盛り上がる5月の上映企画として収蔵フィルムの中から労働組合が製作や支援して作られた映画を一挙上映して日本の映画作家の格闘の歴史を振り返る。

第一週 5月18日(土)・19日(日)

Aプログラム
「号笛なりやまず」(1949/34分/16mm)
製作:労映国鉄映画製作団、川井徳一 脚本:大澤幹夫 演出:浅野辰雄 撮影:中澤博治 録音:安恵重遠 音楽:箕作秋吉 合唱:国鉄労働組合本省支部合唱団 製作担当:新世界映画社
ジャン・ミトリの『パシフィック231』と同年に作られた蒸気機関車映画の傑作。ナレーションを排し音楽と効果音、再現ドラマを交えて国鉄労働者の団結を訴える。

「白い機関車」(1955/37分/16mm)
製作:機関車労働組合 原作:小野春夫 脚本:野村企鋒 撮影監督:中沢半次郎 撮影:小松浩 録音:空閑昌敏 照明:若月荒夫 音楽:西出次郎 編集:河野亜秋和 協力:国鉄労働組合、日本教職員組合、電気産業労働組合、自由映画人連合会、劇団風の子 出演:原保美、城実穂、林孝一 監督:野村企鋒 配給:土田商事株式会社
雪深い村で蒸気機関車に憧れる少年が、毎冬恒例の「雪のコンクール」で教室全員が団結し雪の機関車を作る。機関区やC51、C57、D51などの勇壮も楽しい児童劇映画。

「号笛なりやまず」

「白い機関車」

 

Bプログラム
「失業 —炭鉱合理化との斗い—」(1959/35分/16mm)
企画:日本労働組合総評議会 製作:映画製作委員会 撮影班:京極高英、徳永瑞夫、瀬川浩、青島一夫、鈴賀隆夫、長谷川良雄、森谷玄
1956年、岸内閣により実施された「石炭鉱業合理化臨時措置法」。それにより失業した炭鉱労働者やその家族の生活苦を描く。劣悪な環境と安い賃金で働いてきた労働者は、資本家の利益だけを考える合理化を批判し就労確保に立ち上がった。

「日本の政治」(1959/21分/16mm)
製作:全逓信労働組合 協力:国民文化会議、自由映画人連合会、教育映画作家協会、他多くの人々の協力による 製作:日本労働組合総評議会、株式会社共同映画社 製作:坂斉小一郎、高林公人 構成:谷川義雄 編集:豊富靖 同:斉藤茂夫、柳沢武司、佐竹明典 撮影:宮沢進 録音:長谷川良雄 音楽効果:遠藤進 解説:清洲すみ子(東京芸術座)
1958年、第二次岸内閣が「貧乏」「汚職」「暴力」の三悪追放を公約したにもかかわらず、人々は夜遅くまで低賃金で働き相変わらず貧乏暮らし。政府の汚職も多発し、右翼の暴力に加え公安警察の暴力で自由が脅かされている。戦争の無い平和な日本を作ろうと訴える。

「三池のたたかい」(1960/12分/16mm)
製作:勤労者視聴覚事業連合会 演出:徳永瑞夫 協力:日本労働組合総評議会、日本炭鉱労働組合、三池炭鉱労働組合
三池闘争では第二組合による分裂工作、ヤクザや警官隊の暴力に対抗し闘いが続けられていたが、1960年3月29日、三井三池四山鉱正門前でピケを張っていた組合員の久保清さんがヤクザに胸を刺され死亡した。その組合葬の悲しみの中、三井資本の蛮行を批判する。

「失業」

「日本の政治」

「三池のたたかい」

 

Cプログラム
「炭鉱(やま) ─政策転換のたたかい─」(1961/33分/16mm)
企画制作:日本炭鉱労働組合 担当:株式会社共同映画社 製作:高林公毅、川久保勝正 脚本・演出:徳永瑞夫 撮影:上村竜一 録音:大野松雄 音楽:長沢勝俊
1960年、三池の闘いは終わった。三井、三菱、住友、麻生、日本の財界を主導する彼らの富は炭坑から生み出され、労働者は廃坑とともに捨てられて行った。石炭労働者は北海道と九州から石炭政策転換要求の旗をかかげて東京へと行進する。

「全逓青年婦人全国大交流集会」(1968/23分/16mm)
企画:全逓信労働組合 製作:三愛商事株式会社映画部
総指揮:外山彦一 構成:武部秋夫 制作:上野巌 撮影編集:山田晃 録音効果:水町正俊
1958年に結成された全逓の青年部・婦人部は安保反対斗争、三池斗争、団交再開斗争、電通合理化斗争、非常勤本務化斗争を闘う中、1968年8月10日、福島県裏磐梯に全逓青年婦人全国大交流集会を開き4700名の若者たちが集った。

「炭鉱(やま)」

「全逓青年婦人全国大交流集会」

 

Dプログラム
「ドキュメント輪禍 むちうたれる者」(1969/67分/16mm)
製作:ムチウチ映画製作委員会、大阪地方交通運輸労働組合協議会、近畿地方交通運輸労働組合会議 企画制作:大阪自主映画センター 制作:安西清尚 同助手:鈴木有、吉田昌一 撮影:吉国秀幸 同助手:上諸尚美、樫山強 脚本:康浩郎 同協力:蓬来泰三、加藤勝美 録音:丸岡浩、中村省一、岡栄秀、杉本直三 デザイン:高岡和弥 整理:竹本敦子 映像参加:井上青竜 音楽:上柴茂 出演:清水克彦、劇団道化座、集団ザ・プレイ 監督:康浩郎 同助手:小倉邦夫、入江博一 製作参加:私鉄総連関西地方連絡会、大阪交通労働組合、国鉄労組大阪地方本部、全自交大阪地方連合会、全日通労組大阪支部、国鉄労組南近畿地方本部、全自運大阪地方本部、国鉄動力車労組大阪地方本部、全港湾労組関西地方本部、国鉄動力車労組天王寺地方本部、鉄道弘済会労組関西支部、自動車運転手労組大阪支部、全運輸労組近畿陸運支部、日本交通公社労組関西地区本部、国鉄共済労組天王寺支部、国鉄労組関西本部、国鉄動力車労組関西地方評議会、都市交通労組関西地方協議会、全日通労組関西地方本部、兵庫県交通運輸労働組合協議会、京都府交通運輸労働組合協議会、和歌山県交通運輸労働組合協議会,奈良県交通運輸労働組合協議会、滋賀県交通運輸労働組合協議会
むちうち症と呼ばれるタクシー労働者の問題を前衛的映画手法で描く。関西の交通運輸労働組合や各種労働組合の支援を得て大阪自主映画センターが製作。万博前夜の大阪で新しい映画を目指す若いスタッフが結集した自主映画として知られる。

トーク:康浩郎監督(30分)

「むちうたれる者」

「むちうたれる者」

 

Eプログラム
「東京’69 ── 青いクレヨンのいつかは…」(1969/28分/16mm)
制作:日本社会党東京都本部 出演:江田三郎、美濃部亮吉
美濃部革新都政の課題と都民の考えるべきことを宣伝するための映画。タイトルの最後にNDUの文字が入る。これまで布川徹郎の発言には登場しなかった作品のため、フィルモグラフィーには記載されていない。

「鬼ッ子 —闘う青年労働者の記録—」(1969/78分/16mm)
企画:日本社会党東京都本部 制作:NDU(日本ドキュメンタリストユニオン) 協力:写真人連合組織部、早大フォトドキュメント研究会革命的フォトドキュメント作家集団、早大放送研究会革命的音響作家集団
米軍燃料タンク輸送阻止の闘いを主に、ベトナム反戦、反合理化闘争、日米安保阻止を旗印に共闘する国鉄青年労働者の姿を追う。自衛隊の戦車が街路を走るラスト場面は『青いクレヨンのいつかは…』にも使われている。

「青いクレヨンのいつかは…」

「鬼ッ子」

 

第二週 5月25日(土)・26日(日)

Fプログラム
「映画の灯は消さない ─大映斗争の記録─」(1972/17分/16mm)
製作 映演総連大映労働組合 ライプチヒ国際短篇映画祭特別賞受賞作品
大映社長の永田雅一は1971年に破産申告するまでの5年間に全国の主な劇場や東西両撮影所の一部と148世帯が住む社宅を一方的に売却した。この労働者を犠牲にした破産劇を仕組んだ富士・埼玉両銀行に組合員は抗議。自主上映を各地で行うなど組合員の闘いはつづく。

「黄色いゼッケン 闘争1000日の記録」(1974/32分/16mm)
製作:映演総連大映労働組合、大映闘争支援共闘会議 ナレーター:鈴木瑞穂 協力:日本フィルハーモニー交響楽団労働組合
大映は1971年暮れに倒産。労働者は経営の再開、退職金の保証、社宅に住む人の住居の安全を訴え闘った。東京撮影所支部、本社支部、北海道支部、中部支部、大阪支部、京都撮影所支部の闘いを紹介し、1974年の「大映斗争の完全勝利をめざす5.29大集会」に到る1000日の闘争を描く。

トーク:宮島正弘 撮影監督(30分)

「映画の灯は消さない」

「黄色いゼッケン」

 

Gプログラム
「反合理化闘争の記録」(1970/25分/16mm)
企画・製作:全逓信労働組合 製作:株式会社三愛商事映画部 ナレーター:石井敏郎 編集:山田晃 選曲:福島雄一郎 効果:水町正俊 協力:福岡地区本部、京都地区本部、北海道地区本部、愛知地区本部、全逓文学会
1968年から実施された郵便番号制度は郵便番号自動読取区分機の導入となり、合理化の波が郵政事業に押し寄せて来た。京都、札幌、福岡,名古屋の反合理化への闘いを記録した8ミリ・フィルムが16ミリに拡大され挿入されている。

「説得 ─かわち.1974.春─」(1974/56分/16mm)
企画・製作:全逓労働組合 スタッフ(アイウエオ順):浅沼幸一、岡田道仁、清水良雄、新谷のり子、新谷とおる、高岩仁、渡辺清、渡辺洋、三幸スタジオ、TBS現像所
東大阪市河内郵便局の一人が職制によって精神作案状態にさせられたのを契機に200日間の早朝学習会が行われた。未組織労働者へのオルグの模様を丹念に描写。学習とオルグを通し労働者の生の声を綴るドキュメンタリー。

「反合理化闘争の記録」

「説得」

 

Hプログラム
「合理化病 あなたは大丈夫か」(1975/50分/16mm)
製作:労働映画社、企画・制作:全逓信労働組合 スタッフ:浅沼幸一、高岩仁、高橋英明、田辺昌、古田牧子、芳地隆介、宮下雅則 現像所:東映化学工業
電報や電話交換など深夜に及ぶ苛酷な労働、頚肩腕障害や過労性腰痛症などに悩む郵便労働者たち。人間の健康に悪影響を及ぼす機械優先の職場環境。郵政合理化計画の犠牲になった労働者の嘆きを聞き人身保全を訴える。

「合理化病」

「合理化病」

 

Iプログラム
「前線 ─封建制100年との闘い─ 特定局の実態とその制度撤廃闘争の記録」
(1977/83分/16mm)
企画:全逓信労働組合 スタッフ(五十音順):一之瀬正史、伊藤惣一、岡田和夫、栗林豊彦、小池征人、高岩仁、高橋英明、田中充、土本典昭、土屋孝次、古田牧子 製作:労働映画社 現像:東映化学
全国の郵便局の四分の三を占める特定郵便局。局舎が私有であるため所有者が局長となり、世襲となることが多い。簡易保険や郵便貯金は国家の集金手段であり、資金は独占資本に流れている。全逓組合員は私有の弊害が多い特定局の撤廃を訴える。

「前線」

「前線」

 

Jプログラム
「喜びは鉄拳を越えて」(1979/37分/16mm)
企画全日本運輸一般労働組合関西地区生コン支部 製作:大阪センタープロダクション プロデューサー:栃尾惇 進行:山崎博彰 製作主任:山添哲也 音楽:さのよしひこ 唄:フォークグループ・ムジカ 美術:春日太郎 題字:栃尾紀子 ネガ編:宮脇浩 ナレーター:小池朝雄 録音:大貴スタジオ 協力:SCスタジオ 撮影:原博司、重清憲二、桜田純弘 照明:松田藤吉、森田耕造 脚本:安東民兒 監督:高橋一郎 製作協力:映像集団8の会
生コンミキサー車の労働者が1965年に結成した関西地区生コン支部。組合員のストライキに対し会社は暴力団や右翼や私服警察を動員し弾圧した。記録フィルムや裁判の再現場面を交え、労働者の闘いを描く。

トーク:安東民兒 監督(30分)

「自由への伝言 ─この辿る道─」(1984/51分/16mm)
監督:安東民兒 撮影:山添哲也、原博司 語り:久米弘子(弁護士) 協力団体:松山事件対策協議会、元大須事件被告団、メーデー記録映画製作協議会、共同映画株式会社、全日本うんゆ一般東京地区生コン支部、立命館教職員組合、劇団「未来」、国民救援会中央本部 企画:「自由への伝言—この辿る道—」製作上映実行委員会 制作:拘禁二法に反対する27人のジャーナリストの会
出演:山代巴、青地晨、福井駿介、吉原公一郎、椎名麻紗枝、松本清張、齊藤ヒデ、瀬戸内晴美、近田才典、田中悦子
治安維持法や公安条例による弾圧の体験や恐怖を作家や評論家にインタビュー。メーデー事件、砂川闘争、三池闘争など記録フィルムを交え公安警察の恐ろしさを描く。拘禁二法への考えを松本清張に、徳島のラジオ商殺し免罪事件の経験を瀬戸内晴美(現・寂聴)に訊くなど貴重な記録となっている。

「喜びは鉄拳を越えて」

「自由への伝言」

 

《料金》 カンパ制
*各プログラム1000円程度のカンパをお願いします


これまでのプログラム|神戸映画資料館

※内容は予告無く変更する場合があります。

※作品によっては、経年退化で色褪せしている場合がございます。予めご理解ご了承の上、ご鑑賞くださいますようお願い申し上げます。