プログラムPROGRAM

21世紀のサイレント映画
第2回 パプスト監督『喜びなき街』『パンドラの箱』

2020年2月29日(土)

生演奏とともにサイレント映画を楽しむ新シリーズ「21世紀のサイレント映画」。

映画の歴史の最初の30年間は、音が付いていない「サイレント(無声)映画」の時代でした。映画のための音声装置が開発される以前の映画ということになりますが、それは音のある映画(トーキー)より劣っているということではありません。むしろ、無声だからこそ極められた映画の魅力がつまっています。

サイレント映画は、当時から生演奏や活動弁士の語りといったライブパフォーマンスとともに上映されていましたが、近年、この上映スタイルが再び見直されています。
演奏や語りにより表情を変えるサイレント映画。
このシリーズでは毎回パフォーマーを迎えて、サイレント映画の新たな魅力を発見していきます。

今回は、昨年12月に好評だった『パンドラの箱』のアンコール上映、そして併催の「連続講座:20世紀傑作映画 再(発)見 第8回 パプストとブルックス──『パンドラの箱』を読み解く」で解説のあったパプスト『喜びなき街』を演奏付きで上映します。


「喜びなき街」
Die freudlose Gasse
(ドイツ/1925/97分[20コマ]/16mm)
監督:ゲオルク・ヴィルヘルム・パプスト
原作:フーゴー・ベッタウアー
脚本:ヴィリー・ハース
撮影:グイト・ゼーバー、クルト・エルテル
出演:アスタ・ニールセン、グレタ・ガルボ、ヴェルナー・クラウス

第一次世界大戦後の超インフレ時代のウィーンを舞台に、貧困に苦しむ庶民の生活をあざといほど生々しく描いたパプスト初期の代表作。これを見れば、パプストのいわゆる新即物主義が表現主義に裏打ちされたものであったことがわかる。彼は女優の存在を際だたせることに優れた監督でもあった。ガルボはもちろんだが、伝説の女優アスタ・ニールセンにも注目してほしい。実は、無名時代のディートリッヒも出ているという話があるのだが、真相は不明である。

伴奏:天宮 遥
 

「パンドラの箱」
Die Büchse der Pandora
(ドイツ[英語版]/1929/124分[18コマ]/16mm)
監督:ゲオルク・ヴィルヘルム・パプスト
原作:フランク・ヴェデキント
脚本:ラディスラウス・ヴァイダ
撮影:ギュンター・クランプ
出演:ルイーズ・ブルックス、フリッツ・コルトナー、フランツ・レデラー、グスタフ・ディーズル

F・ヴェデキントの戯曲をサイレント映画へと昇華させたパプストの傑作。女優ルイーズ・ブルックスを銀幕のアイコンとして不滅のものにしたまさに神話的作品である。ルルとは何者なのか。彼女は〈宿命の女〉なのか、それともワイマールのフラッパー娘なのか。男たちを破滅させる悪女なのか、それとも彼らによる犠牲者なのか。この問いを前に、ルル=ブルックスはただ謎のようにそこに存在し、われわれをいつまでも曖昧に魅了し続けるばかりだ。

伴奏:鳥飼 りょう
 
 
作品解説:井上正昭
協力:プラネット・プラス・ワン

《料金》 入れ替え制1本あたり
一般1400円 ユース(25歳以下)1000円 会員1200円

これまでのプログラム|神戸映画資料館

※内容は予告無く変更する場合があります。

※作品によっては、経年退化で色褪せしている場合がございます。予めご理解ご了承の上、ご鑑賞くださいますようお願い申し上げます。