プログラムPROGRAM
2021 7

フレデリック・ワイズマンのすべて vol.10
2021年7月3日(土)・4日(日)

神戸映画資料館は、2019年秋の「フレデリック・ワイズマンのすべて in 関西」で3作品を上映しました。この続きとして、月1回程度のペースでシリーズで上映していきます。

1967年の『チチカット・フォーリーズ』以来、“現代社会の観察者”として独自の映像表現を展開し続けているドキュメンタリー作家フレデリック・ワイズマン。
50年以上にわたり、学校、病院、警察、軍隊、裁判所、図書館、議会など、アメリカの様々な施設・組織を撮り続けてきました。ワイズマン自身が “〈われわれの生活様式の博物誌〉を紹介するドキュメンタリー・シリーズ” という作品群には、悲劇的であると同時に喜劇的、深刻でありながら滑稽でもあり、複雑であると同時に素朴(ナイーブ)、絶望の中にもユーモアが光る、矛盾に満ちた魅力的なアメリカの姿が映し出されています。

 

「視覚障害」 Blind

(1986/132分/16mm)撮影:ジョン・デイヴィー
1984年の秋にアラバマ聾盲学校(AIDB)で行った撮影の結果、一本の映画にまとめることは不可能だと判断したワイズマンは、約九時間の長編としても成立する四部作として「Deaf and Blindシリーズ」を完成させた。第一部となる本作は、視覚障害の子どもたちの盲学校での日常を、技法的な編集を極力排して丹念に描き出していく。

 

「聴覚障害」 Deaf

(1986/164分/16mm)撮影:ジョン・デイヴィー
「Deaf and Blindシリーズ」第二部。聾学校で寄宿生活を送る子供たちの記録。口頭での会話、聴覚補助、読唇術、筆読などと手話を組み合わせて使うトータル・コミュニケーションによる教育、心理カウンセリング、通常の学科の授業、職業訓練やレクレーションなど、この学校の中で行われる様々な活動が記録されている。

 

《料金》
一般:1500円 ユース(25歳以下):1000円 会員:1200円
予約受付
メールと電話によるご予約を承ります。鑑賞を希望される日時と作品名、お名前、電話番号をお知らせください。予約で満席でなければ、当日に予約無しでもご入場いただけます。
info@kobe-eiga.net 078-754-8039

→公式サイト(コミュニティシネマセンター)

共催:コミュニティシネマセンター
協力:アテネ・フランセ文化センター、山形国際ドキュメンタリー映画祭


追悼上映会 活動弁士・井上陽一
2021年7月9日(金)〜11日(日)  5月から7月に延期となりました

 
神戸映画資料館で何度も活弁の名調子をご披露いただき、お世話になった加古川市在住の活動写真弁士、井上陽一氏が2月9日に亡くなられた。関西で最後まで活躍していた戦前からの弁士・浜星波氏が1991年に亡くなり、もう現役弁士の声は聞けなくなったと思っていたところ、浜氏の後継者として登場しその存在がクローズアップされ大活躍されてきた。今回は伊藤大輔監督の名作『御誂次郎吉格子』を神戸映画資料館での上映時に録音した音源を付して上映し関西風の語り口を継承してきた井上陽一の話術を偲ぶ。
『井上陽一の世界』は鵜久森典妙プロデューサー、高橋一郎監督、原ひろしカメラマンが生前の井上氏の活動を記録した貴重なドキュメンタリー映画だが、社会派ドキュメンタリー映画監督として知られる高橋監督もこの6月4日に死去された。
井上氏に縁深い鵜久森プロデューサー、大森くみこ弁士をお招きしてトークも開催。

 

「最後の活動弁士 井上陽一の世界」
(2016/46分/デジタル[BD上映])
製作・企画:鵜久森典妙
監督:高橋一郎
撮影:原ひろし
 
無声映画に、情景や心理描写などのナレーションや登場人物のセリフをつけて語る「活動弁士」。井上陽一さんは戦後すぐ、焼け野原に建ったバラック造りの映画館に小遣いを貯めて通い詰め、毎日映画を観たいがために映写技師の資格を所得。そしてある日観に行った上映会で、戦前から活躍し関西を代表する活動弁士・浜星波さんの語りに出会います。「トーキーよりも迫力がある」とたちまち魅せられ、弟子入りを志願。1979年に独立し、550回以上の公演を行ってきました。井上さんの語りは関西独特の七五調で、女性や子どもまで声色を使い分け、場面に応じた音楽も自分でカセットを操り伴奏を付けます。そんな井上さんの人生と活弁の魅力に迫ったドキュメンタリー映画。

 

井上陽一の活弁付き(2009年録音)
「御誂治郎吉格子」
(1931/80分[18fps]/16mm)
監督・脚本:伊藤大輔
撮影:唐澤弘光
出演:大河内傳次郎、伏見直江、伏見信子、山口佐喜雄、山本禮三郎、高勢實乗
 
伊藤大輔監督による大阪を舞台にした鼠小僧と女たちを描く恋愛時代劇の名作。大河内傳次郎、伏見直江、伏見信子といった大スターが競演し、撮影の名匠・唐澤弘光による見事なカメラワークなど、サイレント映画黄金時代の醍醐味が味わえる。
今回は、2009年1月、神戸映画資料館の新春上映会で録音した井上陽一氏の語りとともにご覧いただきます。
 

7月10日(土)  トーク
鵜久森典妙(プロデューサー)、大森くみこ(活動写真弁士)、ほか

 

《料金》 入替なし
一般:1500円 シニア(65歳以上):1300円 ユース(25歳以下)・会員:1200円
予約受付
メールと電話によるご予約を承ります。鑑賞を希望される日時と作品名、お名前、電話番号をお知らせください。予約で満席でなければ、当日に予約無しでもご入場いただけます。
info@kobe-eiga.net 078-754-8039

文化庁「ARTS for the future!」補助対象事業


新東宝ピンク映画 ラスト・フィルム・ショー in 神戸
最後のプログラムピクチャーと呼ばれて
〜滝田洋二郎監督と異色のフィルムメーカーたち〜  vol.6

2021年7月17日(土)・18日(日)

本シリーズ最終回。北川徹(磯村一路)監督の最後のピンク作品『変態』、ピンク四天王の一人、佐野和宏監督の『若妻 しとやかな卑猥』、そして、プロデュース作『短篇集 さりゆくもの』が公開中のほたる(葉月螢)主演、大ベテラン監督深町章による『痴漢覗き魔 和服妻いじり泣き』の3作品をお届けします。

7月17日(土)13:30『痴漢覗き魔 和服妻いじり泣き』上映前
舞台挨拶 ほたる(葉月螢)

 

「変態」

(1987/60分/35mm)新東宝映画
監督・脚本:北川徹 撮影:三好和宏 音楽:坂田白鬼 編集:菊池純一 助監督:井上潔
出演:前原祐子、黒沢ひとみ、下元史朗、中村仁、三上せいし

ストーカーに狙われた女性の恐怖をイメージビデオ的な手法を駆使して描く。唐突なお色気シーンでつないでいくAVにありがちな手法を踏襲しながらそこに硬質な実験映画の匂いを感じさせるのは北川徹こと磯村一路監督の資質によるものか。AV初期の人気女優前原祐子がその絶頂期に出演した一篇。

 

「若妻 しとやかな卑猥」

(1990/55分/35mm)国映
監督・脚本:佐野和宏 撮影:斉藤幸一 音楽:伊藤善之 編集:酒井正次 助監督:ついよし太
出演:岸加奈子、佐野和宏、吉沢健、一ノ瀬まみ、荒木太郎、小林節彦、伊藤清美

テレビ脚本家進次は元恋人の杏子にその生き方を罵倒され今は制作のあてもない映画の脚本を書いている。進次と杏子は再会を果たすが彼女の不能の夫に芽生えた嫉妬心が悲劇を招く。8mm撮影による映像も盛り込み、佐野作品のキーパーソン岸加奈子の魅力が全篇にあふれた痛切な作品。

 

「痴漢覗き魔 和服妻いじり泣き」 (プリントタイトル『痴漢箱男 覗かれた若妻』)

(1998/56分/35mm)新東宝映画
監督:深町章 脚本:岡輝男 撮影:清水正二 編集:酒井正次 助監督:高田宝重、佐藤吏
出演:葉月螢、工藤翔子、西藤尚、杉本まこと、樹かず、平賀勘一

深町章監督の面目躍如たる江戸川乱歩調猟奇浪漫の傑作。「終戦直後、『箱』の内と外で心を通わせあう夫婦」という難しい題材をごく普通のハウススタジオのわずか二部屋で撮影したという奇跡の映画。葉月螢扮する若妻のけなげさが涙を誘う。ビデオでは『鍵穴』シリーズの第一弾としてヒットした。

 

協力:ぴんくりんく
R18+ 18歳未満の方はご鑑賞いただけません。

《料金》入れ替え制1本あたり
一般1200円 ユース1000円 会員900円
《割引》当日2本目は200円引き
予約受付
メールと電話によるご予約を承ります。鑑賞を希望される日時と作品名、お名前、電話番号をお知らせください。予約で満席でなければ、当日に予約無しでもご入場いただけます。
info@kobe-eiga.net 078-754-8039

文化庁「ARTS for the future!」補助対象事業


第57回 くにづか月イチ上映会 映像で見る昭和の生活文化
2021年7月19日(月 ・祝) 13:30〜  

神戸映画資料館が所蔵するフィルムの中から、昭和の暮らしを写し出す映像を、毎回3〜4本(計約60分)上映していきます。

《料金》 無料
アスタくにづか3番館1階の「コミュニティハウス」で整理券を進呈

主催:くにづかリボーンプロジェクト、アスタくにづか神戸市保留床テナント会


時代劇小特集 新規収蔵プリントより
2021年7月24日(土)・25日(日)

今回は個人コレクターから最近譲り受けた時代劇2作品をご覧いただきます。
また、6月に刊行される「日本映画作品大事典」(三省堂)の編者である映画評論家の山根貞男さんをお招きし、トークを開催します。

 

「地獄太鼓」
(1953/85分/16mm)大映京都
監督:荒井良平 脚本:民門敏雄 原作:井上金太郎 撮影:竹村康和 音楽:高橋半
出演:大河内伝次郎、黒川弥太郎、坂東好太郎、久保幸江,南條新太郎、市川小太夫

題名から想像できないが題材は「水戸黄門」。水戸に隠居の黄門(大河内)が助さん(黒川)、格さん(南條)を引き連れ江戸の街へ。市中でスリ(坂東)が黄門から煙草入れを盗ったことから話は展開。韓国宮廷ドラマのようにお世継ぎ問題で将軍綱吉の側近、柳原甲斐守(市川)が策謀する。久保幸江などの唄も楽し。

 

「牢獄の花嫁(総集篇)」
(1939/97分/16mm)日活京都
監督:荒井良平 脚色:稲垣浩 原作:吉川英治 撮影:宮川一夫 音楽:白木義信
出演:阪東妻三郎、尾上菊太郎、市川春代、河部五郎、原健作、香川良介、志村喬

1931年に阪東妻三郎主演で成功した同名映画の再映画化で、戦後上映された前後篇の総集版。阪妻と市川春代がともに二役を演じている。町奉行の東儀三郎兵衛(志村)は、名与力・塙江漢(阪妻)の息子・郁次郎(菊太郎)を殺しの下手人として捕らえる。江漢は倅の潔白を晴らすため奔走するが…。阪妻同士が一画面に収まるなど宮川一夫キャメラマンの手腕がお見事。なお古いプリントにつき映像と音声が悪いことをご了承ください。

 

7月24日(土) トーク  参加無料(要当日鑑賞チケット半券)
『日本映画作品大事典』(三省堂)刊行記念「映画を集める人々」 山根貞男(映画評論家)
映画ほど事典に適さぬものはない
三省堂の『日本映画作品大事典』がやっと出た。編集を始めたとき、4年か5年の仕事と目論んでいたところ、22年も掛かってしまった。何でそうなったのか。映画ほど事典に適さぬものはないからである。そのあたりを、今回のトーク「映画を集める人々」で語ろうと思う。映画を集める人とは当館の安井喜雄館長のようなコレクターのことで、ど外れた、素敵な人々が多い。わたしはそういうフィルムコレクター諸氏を歴訪し、1冊の本にしつつある。30年以上前からの作業で、まもなく纏まる。そのあたりを報告するつもりだが、それと映画事典とは、どう繋がるのか。あとは、当日、お聞きください。(山根貞男)

 

《料金》 入れ替え制1本あたり
一般1200円 ユース(25歳以下)800円 会員1000円
《割引》当日2本目は200円引き
予約受付
メールと電話によるご予約を承ります。鑑賞を希望される日時と作品名、お名前、電話番号をお知らせください。予約で満席でなければ、当日に予約無しでもご入場いただけます。
info@kobe-eiga.net 078-754-8039

文化庁「ARTS for the future!」補助対象事業


これまでのプログラム|神戸映画資料館

※内容は予告無く変更する場合があります。

※作品によっては、経年退化で色褪せしている場合がございます。予めご理解ご了承の上、ご鑑賞くださいますようお願い申し上げます。