プログラムPROGRAM

サイレント映画

神戸クラシックコメディ映画祭2022
2022年1月8日(土)〜10日(月・祝)

8日・9日 会場:神戸映画資料館(新長田)
10日 会場:旧グッゲンハイム邸(塩屋)

 

笑って つながる 

心が歩き出す

はるか北欧の凸凹二人組
古き良きアメリカの 伝説のコメディアン
花の都の東京も 喜劇スターが勢ぞろい
原始時代も ローマ時代も そして今でも
変わらないもの それは愛と笑い

──いいをじゅんこ
(クラシック喜劇研究家/古典喜劇映画上映委員会委員長)

 

 

©デンマーク映画協会

Aプログラム北欧の極楽コンビ ファイ&ビー
『ファイ&ビー 海辺の旅』Vester-Vov-Vov
(1927/108分/サイレント/Blu-ray)
パラディウム・フィルム
監督:ラウ・ラウリッツェン
出演:カール・シェンストロム、ハラルド・マドセン
デンマーク映画協会提供

ファイ&ビー(Fy&Bi)はデンマーク語で「灯台とサイドカー」を意味する。1920年代初めに結成しローレル&ハーディより早く世界の人気者になった。北欧の貧しくも美しい漁村を舞台にペーソスとシュールなドタバタが展開する。デンマーク映画協会の全面協力で知られざる北欧の喜劇コンビを紹介する。

伴奏:
8日・鳥飼りょう(piano)
10日・塩屋楽団:稲田誠(contrabass)、鈴木勝(electric guitar)、山本信記(synthesizer, trumpet)、森本アリ(sampler, jews harp)


Bプログラムニッポンの喜劇 三木のり平を愛す

©︎国際放映

『誰よりも金を愛す』
(1961/86分/トーキー/Blu-ray)新東宝
監督:斎藤寅次郎
出演:三木のり平、トニー谷、浜野桂子
国際放映提供

まもなく生誕100年を迎える三木のり平。演ずるは小原庄助の18代目子孫。故郷に錦を飾るべく現代の東京でケチケチ生活に励むも貯金はままならない。先祖代々の幽霊が助っ人として現れるが…。ハイテンポなオールスター喜劇の傑作!『何はなくとも三木のり平』(青土社)の編者で作家の戸田学氏によるトークあり。

トーク:戸田学(作家/映画コラムニスト)


Cプログラムマルクス兄弟 ナウ!
『我輩はカモである』Duck Soup
(1933/68分/トーキー/16mm)
パラマウント・ピクチャーズ
監督:レオ・マッケリー
出演:マルクス兄弟、マーガレット・デュモン、エドガー・ケネディ
プラネット・プラス・ワン提供

併映:『素晴らしき宝石泥棒』
The Incredible Jewel Robbery
(1959/8分(短縮版)/トーキー/16mm)
レヴュー・プロダクションズ
監督:ミッチェル・ライゼン
出演:ハーポ・マルクス、チコ・マルクス、ベニー・ルービン
神戸映画資料館提供

パラマウント時代の代表作であり、世の中のあらゆる権威を徹底的に笑い飛ばしたマルクス兄弟の真骨頂がついにクラコメに降臨する。今回は50年代にテレビ放映された(ほぼ)無声の短編喜劇を併映。上映後トークにマルクス兄弟ファンでもある富岡邦彦氏を迎え、彼らの喜劇を語り尽くす。

トーク:富岡邦彦(プラネット・プラス・ワン代表/映画プロデューサー)


Dプログラムグリフィスとキートン/慈愛と喜劇 第二章
『恋愛三代記』Three Ages
(1923/63分/サイレント/16mm)
バスター・キートン・プロダクションズ
監督:エディ・クライン、バスター・キートン
出演:バスター・キートン、ウォーレス・ビアリー、ジョー・ロバーツ
神戸映画資料館提供

2021年末の『イントレランス』上映との連携企画。異なる時代を並行して描くグリフィスの大作をパロディ化したのがキートンの初長編『恋愛三代記』である。本家とパロディ、どちらも傑作。ぜひ続けて観て欲しい。人気活動写真弁士の坂本頼光氏、神戸に来たる!!

弁士:坂本頼光 伴奏:天宮遥(piano)


Eプログラムルビッチ・オペレッタの至福
『ラヴ・パレード』The Love Parade
(1929/108分/トーキー/Blu-ray)
パラマウント・ピクチャーズ
監督:エルンスト・ルビッチ
出演:モーリス・シュバリエ、ジャネット・マクドナルド、ルピノ・レーン
ダッサイ・フィルムズ提供

フランス出身の歌手でブロードウェイのスターだったシュバリエを主演に迎え、“逆玉の輿”ロマンスを描く幸福感に満ちたオペレッタ。エルンスト・ルビッチ監督初のトーキーだが演出には迷いがない。無声コメディアンのルピノ・レーンが見事な体技と歌声を披露している。

 


Fプログラムショートコメディのマエストロ 兄弟篇
『ずるい若様』His Royal Slyness
(1920/25分/サイレント/16mm)
ハル・ローチ・スタジオ
監督:ハル・ローチ
出演:ハロルド・ロイド、ゲイロード・ロイド

『ドラマ・デラックス(短縮版)』Drama Deluxe
(1927/9分/サイレント/16mm)
ルピノ・レーン・コメディ・コーポレーション
監督:ノーマン・タウログ
出演:ルピノ・レーン、ウォレス・ルピノ

以上、個人蔵

『誰が夫か』The Caretaker’s Daughter
(1925/27分 24分/サイレント/16mm)ハル・ローチ・スタジオ
監督:レオ・マッケリー
出演:チャーリー・チェイス、ジェームス・パロット
神戸映画資料館(玉岡忠大コレクション)提供

『活動小屋』The House of Flickers
(1925/19分/サイレント/Blu-ray)フォックス・フィルム・コーポレーション
監督:ベンジャミン・ストロフ
出演:ジェームス・パロット、バスター・ブロディ
デンマーク映画協会提供

今回のマエストロは無声時代に実の兄弟が共演した短編を特集。『ドラマ・デラックス』のルピノ・レーンは『ラヴ・パレード』にも出演している。チャーリー・チェイスの実弟ジェームスが単独主演したフォックス喜劇は欧州で発掘された激レア。クラコメならではの短編喜劇の詰め合わせをご賞味あれ。

伴奏:鳥飼りょう(piano)


Gプログラムメエ・ウェスト&W・C・フィールズ
『南瓜おやじ西部へ行く』My Little Chickadee
(1940/87分/トーキー/16mm)
ユニバーサル・ピクチャーズ
監督:エディ・クライン
出演:メエ・ウェスト、W・C・フィールズ、ジョセフ・カレイア

伝説のコメディアンW・C・フィールズとハリウッドの姐御ことメエ・ウェストがダブル主演した唯一の作品。際どいセリフを自ら書き常に時代の反逆児だった“女王”メエ・ウェスト。独特のセリフ回しと存在感は一度見たら忘れられない。日本未公開作。


Hプログラムメーベルとファッティ(とキートン)
『デブ君の田舎暮らし』
Fatty and Mabel’s Simple Life
(1915/33分/サイレント/16mm)
キーストン・フィルム・カンパニー
監督:ロスコー・アーバックル
出演:メーベル・ノーマンド、ロスコー・アーバックル、アル・セント・ジョン

『でも好き』That Little Band of Gold
(1915/33分/サイレント/16mm)
キーストン・フィルム・カンパニー
監督:ロスコー・アーバックル
出演:ロスコー・アーバックル、メーベル・ノーマンド、フォード・スターリング

『デブ君の入院』Good Night, Nurse!
(1918/26分/サイレント/16mm)コミーク・フィルム・カンパニー
監督:ロスコー・アーバックル
出演:ロスコー・アーバックル、アル・セント・ジョン、バスター・キートン

以上、神戸映画資料館(玉岡忠大コレクション)提供

キーストン社でチャップリンと人気を二分したロスコー・アーバックルは、1915年からメーベル・ノーマンドとのコンビ作を多く発表。結婚のさまざまな形を描く家庭ドタバタ喜劇には映画監督としてのアーバックルの成長も見て取れる。独立後のキートンとの共演作もあわせて上映。玉岡コレクションの貴重なフィルムから生まれたプログラム。

伴奏:天宮遥(piano)

 

《料金》入れ替え制
活弁・演奏付き上映(10日) 一般1800円 中学生以下1300円
演奏付き上映
一般1500円 ユース(25歳以下)・シネマ倶楽部会員1300円 中学生以下1000円
上映のみ
一般1200円 ユース(25歳以下)・シネマ倶楽部会員1000円 中学生以下800円
*未就学児は無料
予約受付
メールと電話によるご予約を承ります。鑑賞を希望される日時と作品名、お名前、電話番号をお知らせください。予約で満席でなければ、当日に予約無しでもご入場いただけます。
神戸映画資料館 info@kobe-eiga.net 078-754-8039
旧グッゲンハイム邸 guggenheim2007@gmail.com 078-220-3924

企画・作品解説:いいをじゅんこ
デザイン:萩原小麻紀

主催:古典喜劇映画上映委員会
後援:神戸市、神戸市教育委員会
助成:神戸市芸術文化活動助成、芸術文化振興基金
協力:国際放映、ダッサイ・フィルムズ、デンマーク映画協会、プラネット・プラス・ワン、橋本英治、溝渕一夫、神戸映画資料館、旧グッゲンハイム邸


神戸クラシックコメディ映画祭2022 連携企画
グリフィスとキートン 慈愛と喜劇 第1章『イントレランス』
2021年12月25日(土) 

1月に開催される神戸クラシックコメディ映画祭2022(主催・古典喜劇映画上映委員会)との連携企画。映画黎明期の1910年代に作られ、その製作規模の大きさと、普遍的な人類愛を謳いあげたテーマで映画史に燦然と輝く傑作『イントレランス』を活弁と生伴奏で上映。
 

13:30〜 上映(途中休憩あり)
「イントレランス」
(アメリカ/1916/196分[16fps]/16mm)
監督・脚本:D・W・グリフィス
撮影:ビリー・ビッツァー
出演:メエ・マーシュ、マージョリー・ウィルソン、コンスタンス・タルマッジ、リリアン・ギッシュ他

バスター・キートンを初めて劇場のスクリーン上で観たのは、10年以上前の神戸映画資料館でのことだった。この時の番組は長編喜劇『恋愛三代記』と、D・W・グリフィス監督『イントレランス』の2本連続上映。『恋愛三代記』はキートンの初長編作品であるが、異なる時代を並行モンタージュで描く『イントレランス』の構成をパロディした喜劇としても知られている。つまりそれは“元ネタ”とパロディを1日で立て続けに観るというなんとも贅沢な映画体験であった。今回、神戸クラシックコメディ映画祭2022との連携企画として、年末と年始に日を分けての“連続”上映がついにふたたび実現する。まずは“元ネタ”の『イントレランス』を上映する。いわずと知れた映画史に燦然と輝く超大作だが、今回は16fpsの映写速度で1916年の初公開時に近い上映が可能となった。さらにコントラバス奏者の稲田誠率いる小編成楽団によるライブ演奏、そして活動写真弁士・大森くみこによる活弁付きでご覧いただく。本作が日本でメガヒットした1919年当時に近い映画体験に、どっぷりと浸ってもらいたい。映画研究者・堀潤之氏による上映後レクチャーでさらに作品世界を深掘りする。
企画:いいをじゅんこ(神戸クラシックコメディ映画祭実行委員長)

活動写真弁士:大森くみこ
伴奏:稲田誠
(contrabass)、カメイナホコ(keyboard/clarinet)、楯川陽二郎(drums)、柳瀬瑛美(euphonium)

 
17:20〜 レクチャー(終了予定18:00)
講師:堀潤之(映画研究/関西大学文学部教授)

 

《参加費》 一般:2000円 ユース(25歳以下):1500円 会員:1700円
予約受付
メールと電話によるご予約を承ります。鑑賞を希望される日時と作品名、お名前、電話番号をお知らせください。予約で満席でなければ、当日に予約無しでもご入場いただけます。
info@kobe-eiga.net 078-754-8039

文化庁「ARTS for the future!」補助対象事業


連続講座:20世紀傑作映画 再(発)見
第11回 殺人者はわれわれの中に──フリッツ・ラング『M』を読み解く

2021年6月12日(土)  5月から6月に延期となりました

このシリーズ講座では、映画史の節目を刻んできた傑作を毎回一本ずつ上映し、検証してゆく。時代の中から生まれながら、時代を超えて生き残る。古典とはそういうものだ。それは、つねに〈来るべき〉作品であり、映画館のような場所でそのつど〈発見〉される。このような観点から、作品を映画史の中にきっちりと位置づけ、それがいかにして生まれ、どのように受容され、それ以後の映画にどんな影響を与えたのかを検証する一方で、あたかも新作を見るように、その映画を純粋に味わい、どこにその〈映画的〉魅力があるのかを探ってゆく。

13:30〜 上映
「M」
(ドイツ/1931/96分/16mm)
英語字幕版プリント、日本語字幕は投影
監督:フリッツ・ラング
脚本:テア・フォン・ハルボウ、フリッツ・ラング
撮影:フリッツ・アルノ・ヴァグナー
出演:ペーター・ローレ、オットー・ベルニッケ、グスタフ・グリュントゲンス、エレン・ウィドマン

 

15:30〜(終了予定17:00) 講座
講師:井上正昭(翻訳・映画研究)
『M』がワイマール時代のドイツ映画を代表する極めつけの名作であることは言うまでもないが、この作品はまた、亡命映画作家フリッツ・ラングのフィルモグラフィーにおいても、彼のドイツ時代とアメリカ時代とをつなぐ蝶番のような位置を占める極めて重要な作品である。少女連続殺人というおぞましい事件をテーマにしながら、ここにはナチス前夜のベルリンの空気が見事に描かれていると同時に、アメリカ時代にも通じるラングの作品世界がほとんど完成しつつある。講座では、この傑作の時代背景やそこに現れるフリッツ・ラング的な諸テーマ、斬新なナラティヴと空間描写、それを支えるユニークな音響の使い方などなど、様々な観点から作品を読み解いてゆく。

 

井上正昭
1964年生まれ。Planet Studyo + 1 で映画の自主上映にたずさわる。訳書に『映画監督に著作権はない』(フリッツ・ラング、ピーター・ボグダノヴィッチ/筑摩書房 リュミエール叢書)、『恐怖の詩学 ジョン・カーペンター』(ジル・ブーランジェ/フィルムアート社)、共著に『映画を撮った35の言葉たち』(フィルムアート社)がある。
ブログ「明るい部屋:映画についての覚書」

《参加費》 参考上映付き  一般1500円 ユース(25歳以下)1000円 会員1200円
予約受付
メールと電話によるご予約を承ります。鑑賞を希望される日時と作品名、お名前、電話番号をお知らせください。予約で満席でなければ、当日に予約無しでもご入場いただけます。
info@kobe-eiga.net 078-754-8039

文化庁「ARTS for the future!」補助対象事業


神戸クラシックコメディ映画祭2021
2021年1月9日(土)〜11日(月・祝)

9日 会場:旧グッゲンハイム邸(塩屋)
10日・11日 会場:神戸映画資料館(新長田)

 

 

笑い 奇想 非現実の

宇宙を 旅する 三日間

 

──いいをじゅんこ
(クラシック喜劇研究家/古典喜劇映画上映委員会委員長)

 

 

 

Aプログラム迎春! ニッポンの喜劇

©︎国際放映

『エノケンのとび助冒険旅行』
(1949/81分/トーキー)
新東宝=エノケンプロ
監督:中川信夫
出演:榎本健一、ダイゴ幸江、徳川夢声(語り)
国際放映提供

日本の喜劇王エノケンがついにクラコメに登場。荒廃した都で出会った人形師のとび助とお福ちゃんが母を探す旅に出るファンタジー。語りに徳川夢声、監督に中川信夫と超豪華な制作陣がこどもたちを喜ばせるために撮りあげた。怪奇映画の要素もたっぷりで大人もワクワクさせてくれる。


Bプログラム100歳映画 キートン短編集
『キートンのハイ・サイン』The High Sign
(1921/21分/サイレント)
バスター・キートン・プロダクション
監督:エディ・クライン、バスター・キートン
出演:バスター・キートン、バーティン・バーケット、アル・セント・ジョン(客演)

『即席百人芸』The Playhouse
(1921/23分/サイレント)
バスター・キートン・プロダクション
監督:エディ・クライン、バスター・キートン
出演:バスター・キートン、ジョー・ロバーツ、ヴァージニア・フォックス

『キートンの船出』The Boat
(1921/23分/サイレント)
バスター・キートン・プロダクション
監督:エディ・クライン、バスター・キートン
出演:バスター・キートン、シビル・シーリー
以上、ダッサイ・フィルムズ提供

恒例の《100歳映画》はバスター・キートンの短編を特集する。ロスコー・アーバックルの下で修行を積んだキートンが独り立ちしたのはちょうど一世紀前。喜劇王キートンの伝説はここから始まった!!初監督作『ハイ・サイン』を含む傑作3本を上映。

伴奏:天宮遥
レクチャー:いいをじゅんこ


Cプログラムショートコメディのマエストロ 激レア編
『象つき遺産』An Elephant on His Hands
(1920/33分/サイレント/16mm)
エレファント・コメディーズ
監督:不明
出演:ヒューイ・マック、ドット・ファーレイ
神戸映画資料館提供

『スピード狂騒曲』Fast and Furious
(1924/14分/サイレント)
マーメイド・コメディーズ
監督:ノーマン・タウログ
出演:ライジ・コンレイ、スペンサー・ベル

『パパのお気に入り』Papa’s Boy
(1927/20分/サイレント)
ロイド・ハミルトン・コーポレーション
監督:ノーマン・タウログ
出演:ロイド・ハミルトン、グレン・キャヴェンダー
以上、Undercrank Production提供

クラコメ人気企画の秀作短編集。無声喜劇に欠かせないデブ君俳優や名バイプレーヤー、無冠の喜劇王ロイド・ハミルトンも紹介する。古典喜劇の本当の主役はこんな多彩・多才な「B面」コメディアンたちかもしれない。クラコメでしか観られないレアな上映をお見逃しなく。

伴奏:鳥飼りょう


Dプログラム奇想の喜劇 チャーリー・バウワーズ特集

©Flicker Alley

マット&ジェフ作品集
(1910年代/13分/サイレント)詳細不明
神戸映画資料館提供

『とても短い昼食』The Extra-Quick Lunch
(1918/6分/サイレント)
バド・フィッシャー・フィルム・コーポレーション
監督:チャールズ・R・バウワーズ、バド・フィッシャー

『探偵さんいらっしゃい』There It Is
(1928/23分/サイレント)
バウワーズ・コメディ・コーポレーション
監督:H・L・ミュラー
出演:チャーリー・バウワーズ、 キャサリン・マグワイア、バスター・ブロディ

『バナナだらけ』Many a Slip
(1927/24分/サイレント)
バウワーズ・コメディ・コーポレーション
監督:H・L・ミュラー
出演:チャーリー・バウワーズ、 コリン・パワーズ

『さあ君の番』Now You Tell One
(1926/22分/サイレント)
バウワーズ・コメディ・コーポレーション
監督:H・L・ミュラー
出演:チャーリー・バウワーズ
以上、Flicker Alley提供

チャーリー・バウワーズをご存知だろうか!? ストップモーションアニメと実写を融合し、自ら主演して超現実的コメディを生んだ孤高の喜劇人/アニメ作家だ。今回デジタル修復版で大特集する。その才能にきっとあなたも驚愕する!彼が制作に関わったアニメ「マット&ジェフ」(神戸映画資料館所蔵)の4Kデジタル版を併映。

伴奏:柳下美恵


Eプログラム映画に愛をこめて 『活動役者』
『活動役者』Show People
(1928/95分/サイレント/16mm)マキング・ヴィダー・プロダクション
監督:キング・ヴィダー
出演:マリオン・デイヴィス、ウィリアム・ヘインズ、デル・ヘンダーソン

併映 『紫恋狂乱』
(1928頃/8分/サイレント)賀古プロ
監督:不明
出演:清水林之助、片岡紅三郎、筑紫かず子
以上、神戸映画資料館提供

無声末期のハリウッドを舞台に映画を作る悲喜こもごもを繊細に描いたキング・ヴィダーの傑作。マリオン・デイヴィスの名コメディエンヌぶりや、大スターたちのカメオ出演も楽しい。併映は神戸映画資料館所蔵で最近作品が特定された貴重な日本映画の舞台裏ものをスクリーン初公開。

伴奏:鳥飼りょう


Fプログラムもっと! ハロルド・ロイド
『田吾作ロイド一番槍』The Kid Brother
(1927/84分/サイレント/16mm)
ハロルド・ロイド・コーポレーション
監督:テッド・ワイルド
出演:ハロルド・ロイド、ジョビナ・ラルストン、ウォルター・ジェームス
プラネット・プラス・ワン提供

ハロルド・ロイド無声後期の代表作。田舎の男所帯で末っ子のハロルドは心優しく、マッチョな父や兄に憧れるも失敗ばかり…。ヒロインをめぐる秀逸なギャグやクライマックスの死闘は素晴らしく、ロイド喜劇が到達した一つの頂点と言えよう。

伴奏:柳下美恵


Gプログラム旅するコメディ 腰抜けコンビ
『アフリカ珍道中』The Road to Zanzibar
(19541/91分/トーキー/16mm)
パラマウント・ピクチャーズ
監督:ヴィクター・シェルツィンゲル
出演:ビング・クロスビー、ボブ・ホープ、ドロシー・ラムーア、ウナ・マーケル
神戸映画資料館提供

ビング・クロスビーとボブ・ホープのコンビが世界で珍道中を繰り広げる人気シリーズの2作目。ドロシー・ラムーアも交えた大人のドタバタ劇で、メタなギャグは今観ても新鮮。クロスビーの歌に酔いホープのボケに笑うパラマウント喜劇の名作をフィルムで。

 

 


Hプログラムこども活弁ワークショップ発表会+
キッズマチネー活弁上映会
[無料]
『要心無用』Safety Last!
(1923/71分/サイレント/16mm)
ハル・ローチ・スタジオ
監督:フレッド・ニューメイヤー
出演:ハロルド・ロイド、ミルドレッド・デイヴィス、ビル・ストロザー
プラネット・プラス・ワン提供

今回も活弁ワークショップを開催します。大人気の活動写真弁士・大森くみこさんの講師ぶりには定評があり、こどもも大人も楽しみながらカツベンの世界を学べます。ワークショップ後には観客の前で成果を発表!続いて喜劇王ロイドの傑作を大森弁士のライブ活弁で無料上映します。

説明:大森くみこ
伴奏:天宮遥

 

中止
1月9日(土) 会場:旧グッゲンハイム邸
こども活弁ワークショップリターンズ

講師:大森くみこ(活動写真弁士)
対象年齢:小学校一年生から
料金等詳細は旧グッゲンハイム邸HPへ!

 

 
作品解説:いいをじゅんこ
記載以外はすべてBlu-rayでの上映

《料金》入れ替え制*当日に限り2プログラム目は100円割引 *未就学児は無料
演奏付き上映(招待券の利用不可) 一般1400円 会員・学生1200円 小中学生1000円
上映のみ 一般1200円 会員・学生1000円 小中学生800円
予約受付
メールと電話によるご予約を承ります。鑑賞を希望される日時と作品名、お名前、電話番号をお知らせください。予約で満席でなければ、当日に予約無しでもご入場いただけます。
神戸映画資料館 info@kobe-eiga.net 078-754-8039
旧グッゲンハイム邸 guggenheim2007@gmail.com 078-220-3924

フライヤー、ポスターデザイン:萩原小麻紀

主催:古典喜劇映画上映委員会
後援:神戸市、神戸市教育委員会
助成:芸術文化振興基金
協力:プラネット・プラス・ワン


連続講座:20世紀傑作映画 再(発)見
第10回 最も物議をかもしたアメリカ映画──グリフィス『国民の創生』を再考する

2020年10月31日(土)

このシリーズ講座では、映画史の節目を刻んできた傑作を毎回一本ずつ上映し、検証してゆく。時代の中から生まれながら、時代を超えて生き残る。古典とはそういうものだ。それは、つねに〈来るべき〉作品であり、映画館のような場所でそのつど〈発見〉される。このような観点から、作品を映画史の中にきっちりと位置づけ、それがいかにして生まれ、どのように受容され、それ以後の映画にどんな影響を与えたのかを検証する一方で、あたかも新作を見るように、その映画を純粋に味わい、どこにその〈映画的〉魅力があるのかを探ってゆく。

13:30〜 上映
「国民の創生」
The Birth of a Nation
(アメリカ/1915/156分[16コマ|短縮版]/16mm)
監督:デヴィッド・ウォーク・グリフィス
原作:トーマス・ディクスン
脚本:フランク・ウッズ、デヴィッド・ウォーク・グリフィス
撮影:ビリー・ビッツァー
出演:リリアン・ギッシュ、メエ・マーシュ、エルマー・クリフトン、ロバート・ハロン、ヘンリー・B・ウォルソール、ミリアム・クーパー

伴奏:鳥飼りょう

 

16:20〜(終了予定17:50) 講座
講師:井上正昭(翻訳・映画研究)
映画のアルカイックな時代に終わりを告げ、映画芸術の真の誕生を世に知らしめた、アメリカ映画最初の偉大な作品──グリフィスの『国民の創生』。世界の映画を見渡しても稀なことであるが、アメリカ映画において、国民の誕生は、映画の誕生とぴたり一つに重なり合う。それを象徴しているのがこの作品である。だが、この映画は他方で、最も嫌悪すべき人種差別主義的映画のシンボルとして、当時から今に至るまでタブーのように扱われてきたのだった。仮にグリフィスの映画に人種差別主義が存在するとして、それはいかなるものだったのか。『国民の創生』以前と以後のグリフィス作品における黒人やインディアンの描写も参照しつつ、この問題をもう少しニュアンス豊かに掘り下げてみたい。とはいえ、この映画はこの問題だけに収まりきるものではない。バイオグラフ時代からの集大成として作られたこの作品を通して、グリフィス映画の魅力のありかを探り、その映画史的意義についても再検討する。

 

井上正昭
1964年生まれ。Planet Studyo + 1 で映画の自主上映にたずさわる。訳書に『映画監督に著作権はない』(フリッツ・ラング、ピーター・ボグダノヴィッチ/筑摩書房 リュミエール叢書)、『恐怖の詩学 ジョン・カーペンター』(ジル・ブーランジェ/フィルムアート社)、共著に『映画を撮った35の言葉たち』(フィルムアート社)がある。
ブログ「明るい部屋:映画についての覚書」

《映画鑑賞料》 生演奏付き 一般1700円 ユース(25歳以下)1200円 会員1500円
《講座参加費》  一般1000円 ユース(25歳以下)500円 会員700円
予約受付
[先行予約]映画鑑賞と講座のセット予約
[開催一週間前より受付]映画鑑賞、または講座の単独予約
[映画鑑賞の単独予約]講座(定員19名)が満席になりましたので、映画鑑賞(定員38名)の単独予約を受け付けます。また、映画鑑賞を予約された方に限り、講座のキャンセル待ち予約を受け付けます。(10月5日より)

メールと電話によるご予約を承ります。鑑賞を希望される日時と作品名、お名前、電話番号をお知らせください。予約で満席でなければ、当日に予約無しでもご入場いただけます。
info@kobe-eiga.net 078-754-8039


21世紀のサイレント映画
第3回『大列車追跡』 with 天宮遥

2020年9月26日(土)13:30〜

同日開催の「第15講コメディ学入門」とあわせてお楽しみください。


生演奏とともにサイレント映画を楽しむシリーズ「21世紀のサイレント映画」。

映画の歴史の最初の30年間は、音が付いていない「サイレント(無声)映画」の時代でした。映画のための音声装置が開発される以前の映画ということになりますが、それは音のある映画(トーキー)より劣っているということではありません。むしろ、無声だからこそ極められた映画の魅力がつまっています。

サイレント映画は、当時から生演奏や活動弁士の語りといったライブパフォーマンスとともに上映されていましたが、近年、この上映スタイルが再び見直されています。
演奏や語りにより表情を変えるサイレント映画。
このシリーズでは毎回パフォーマーを迎えて、サイレント映画の新たな魅力を発見していきます。

 

「大列車追跡」 The General
(アメリカ/1926/80分[22コマ]/16mm)
監督:バスター・キートン、クライド・ブルックマン
脚本:アル・ボースバーグ、チャールズ・スミス
撮影:デヴ・ジェニングス
出演:バスター・キートン、マリオン・マック、グレン・キャベンダー、ジム・ファーレイ

南北戦争当時に実際に起きた北軍列車強奪事件をもとにバスター・キートンが撮りあげた超大作無声アクション喜劇。原作のノンフィクション本『The Great Locomotive Chase』は1862年出版で北軍の視点から書かれていたが、キートンとそのスタッフたちは機関車を奪われた南軍の機関士の視点から史実を脚色し、本物の蒸気機関車2台が追いつ追われつチェイスを繰り広げるエキサイティングな戦争喜劇に仕上げた。キートンのトレードマークである派手なスタントアクションは抑え気味で機関車そのものに「主役」の座を譲っているのもいかにもキートンらしい。キートンの世界では機関車もエキストラも大自然の光景までもがギャグとなり映画の中で光り輝く。ヒロインもただの囚われの乙女ではなくキートンの相棒として共に奮闘する。かつてオーソン・ウェルズは『大列車追跡』のビジュアルについて「南北戦争を最も正確に再現した映画」と賛辞を送った。何度観ても、いや観れば観るほどその面白さに圧倒されるキートン渾身の傑作喜劇。
(作品解説:いいをじゅんこ)

天宮 遥(ピアノ)
神戸生まれのシンガーソングライター、ピアニスト、作曲家。2016年よりサイレント映画ピアニストとしても活躍中。

《料金》 一般1700円 ユース(25歳以下)1200円 会員1500円
《割引》[第15講コメディ学入門]参加者は200円引き
予約受付
各回入場制限(座席数の2分の1の19席)を行いますので、メールと電話によるご予約を承ります。鑑賞を希望される日時と作品名、お名前、電話番号をお知らせください。予約で満席でなければ、当日に予約無しでもご入場いただけます。
info@kobe-eiga.net 078-754-8039


クラシックコメディの素晴らしい世界をみんなで楽しむ会
第15講コメディ学入門 「大解剖『大列車追跡』」
2020年9月26日(土)15:05〜(終了予定16:50)

これまでは一人のコメディアンをテーマに取り上げることの多かったコメディ学だが、神戸映画資料館の『大列車追跡』上映にあわせて今回はさまざまな角度からこの作品の徹底解剖を試みてみる。

無声映画史上最もお金のかかったワンショットがある、公開当時は興行的に失敗しキートン転落の遠因になった…などなどすでにいわくつきの映画であるが、他にも未公開シーンの謎や日本での初公開時期の謎など興味を惹くテーマが盛りだくさんの映画である。本物の機関車を使い、大勢のスタッフとエキストラが参加したオールロケの撮影は艱難辛苦が付きまとい、それをすべて乗り越えて完成した作品はまさにキートンの血と肉と魂の結晶だった。映画の面白さは無論のこと、その製作や公開の過程も同様に興味深い作品なのだ。今回のコメディ学はこれまでの調査の一次報告的な意味合いも含めて『大列車追跡』をあらゆる角度から大解剖しこの映画の多彩な魅力に迫りたい。

また、本作ロケ地であるオレゴン州コテージグローブの町を訪問した際の様子も報告する。この町は今もキートンを家族のように愛し、毎年キートンの誕生日には『大列車追跡』の上映会が開かれている。ロケ地の現在の様子や、地道な調査を続けている地元郷土史家の皆さんのお話などをご紹介したい。

いいをじゅんこ
クラシック喜劇研究家、ライター。バスター・キートンと運命の出会いをして以来、サイレント喜劇の世界に魅了される。無声~トーキー初期のいわゆる「喜劇の黄金時代」に作られたアメリカを中心としたクラシック喜劇を研究。映画史の鉱脈に埋もれた優れたコメディを紹介する講座《コメディ学入門》を企画し、2012年より神戸映画資料館にて不定期開催している。2016年1月には喜劇映画研究会・神戸映画資料館と共同で古典喜劇映画上映委員会を立ち上げ、《新春コメディ宝箱》を開催。その後《神戸クラシックコメディ映画祭》へと発展し現在に至る。ライターとして映画評、書評などをさまざまな媒体に執筆している。
「サイレント喜劇のすばらしき世界(The Wonderful World of Silent Comedy and more)」

《参加費》 一般1000円 ユース(25歳以下)500円 会員800円
予約受付
各回入場制限(座席数の2分の1の19席)を行いますので、メールと電話によるご予約を承ります。鑑賞を希望される日時と作品名、お名前、電話番号をお知らせください。予約で満席でなければ、当日に予約無しでもご入場いただけます。
info@kobe-eiga.net 078-754-8039


ウィリアム・A・ウェルマン特集
2020年8月8日(土)〜10日(月・祝)、14日(金)・15日(土)

■ トーク 8月8日(土)15:05(45分) 参加無料(要当日鑑賞チケット半券)
 講師:井上正昭(翻訳・映画研究)
■ 生演奏付き上映 8月9日(日)13:00 「つばさ」伴奏:鳥飼りょう 特別料金(下記参照)

 
サイレント時代から活躍したアメリカ映画の巨匠ウィリアム・A・ウェルマン(1896-1975年)の小特集。第1回アカデミー作品賞を受賞した『つばさ』や、ギャング映画『民衆の敵』のほか、あまり知られていない傑作も紹介する。
 
「つばさ」Wings 伴奏:鳥飼 りょう
(1927/144分/サイレント/16mm)
製作:ルシアン・ハバード
出演:クララ・ボウ、チャールズ・“バディ”・ロジャース、リチャード・アーレン

第一次大戦の2人の戦闘機乗りの恋の鞘当てと友情を描いた戦争映画の古典で、航空機による空中戦を初めて描いた作品として名高い。大空をバックに風に舞うスカーフが活劇として画面を躍動させる。ロマンティックな騎士道精神に溢れた空中戦の一方で、生々しく描かれる地上の戦争描写にも注目。〈イット〉ガール、クララ・ボウはもちろんだが、一瞬だけ登場してあっけなく死んでゆくまだ無名時代のゲイリー・クーパーが印象深い。

 

「人生の乞食」Beggars of Life
(1928/82分/サイレント/ブルーレイ上映)
製作:ジェシー・L・ラスキー、アドルフ・ズーカー
出演:ルイーズ・ブルックス、リチャード・アーレン、ウォーレス・ビアリー

言い寄ってきた義父を殺してしまった娘が、たまたまそこに居合わせた放浪者と逃避行するロードムーヴィ―。ハリウッドでは脇役ばかりだったルイーズ・ブルックスが、『パンドラの箱』以前に本格的な女優としての演技を見せた唯一の作品である。ほぼ全編、男装で登場するブルックスがもちろん最大の魅力だが、スタントではなく彼女自身に走る列車から飛び降りさせるなど、ウェルマンの大胆な演出が光る、一級の列車映画でもある。

 

「民衆の敵」The Public Enemy
(1931/80分/16mm)
製作:ダリル・F・ザナック
出演:ジェームズ・キャグニー、エドワーズ・ウッズ、ジーン・ハーロウ

『犯罪王リコ』 や『暗黒街の顔役』などと同時期に撮られた、ギャング映画史上最も重要な作品の一つ。第一次世界大戦や禁酒法時代を背景に、シカゴのスラム街に育った不良少年が、犯罪に手を染め、やがてはギャングへとなってゆく様をリアリスティックに描く。暴力的なキャグニーの演技は、『ゴッドファーザー』へといたるその後のギャング映画の原型をなす。強烈であっけない幕切れは、見るものの脳裏に焼き付いて離れないはず。

 

「無責任時代」Nothing Sacred
(1937/74分/ブルーレイ上映)
製作:デヴィッド・O・セルズニック
脚本:ベン・ヘクト
出演:キャロル・ロンバード、フレデリック・マーチ

不治の病で余命を宣告された女が、人々の同情を集めてたちまち時の人となるが、実は彼女は健康そのものだった……。30年代を代表するスクリューボール・コメディの傑作であり、このジャンル初の、そしてキャロル・ロンバート唯一のカラー作品。コミカルな展開の一方で、ジャーナリズムの世界を手厳しく風刺し、テクニカラーが同時代をリアルに描くこともできることを世に示した。様々な意味で『スタア誕生』の姉妹編のような作品。

 

「牛泥棒」The Ox-Bow Incident
(1942/75分/16mm)
製作・脚本:ラマー・トロッティ
撮影:アーサー・ミラー
出演:ヘンリー・フォンダ、ダナ・アンドリュース、アンソニー・クイン

カウボーイたちによるリンチ事件を真っ正面から描いて、西部劇を根底で支えている法と正義の正当性を問いただす傑作ウエスタン。バザンが西部劇の古典的完成形と評した『駅馬車』のわずか数年後に撮られたこの名高い作品は、すでにしてバザンの言う〈超西部劇〉を予告している。公開当時その新しさはあまり理解されなかったが、今や西部劇の不滅の傑作としてイーストウッドを始め多くの人から高く評価されている必見作。

 

「廃墟の群盗」Yellow Sky
(1948/98分/16mm)
製作・脚本:ラマー・トロッティ
撮影:ジョー・マクドナルド
出演:グレゴリー・ペック、アン・バクスター、リチャード・ウィドマーク

強盗一味が追跡を逃れてたどりついた廃墟の街には、老人と孫娘だけが住んでいた。どうやら金鉱をみつけたらしい二人を巡ってやがて強盗一味の仲間割れが始まる。ユニークな西部劇ばかりを作ったウェルマンの傑作の一つで、ギャング映画のジャンルとも交差するノワールな作品。ウィドマークのサディスティックな演技がドラマを引き締める。緊迫した状況の中にもどこか緩やかな時間が流れるところがいかにもウェルマンらしい。

 

解説:井上正昭
協力:(株)ダッサイ・フィルムズ、プラネット・プラス・ワン
 

《料金》 入れ替え制1本あたり
一般1200円 ユース(25歳以下)700円 会員1000円
『つばさ』演奏付き上映 一般1700円 ユース(25歳以下)1200円 会員1500円
《割引》当日2本目は200円引き
予約受付
各回入場制限(座席数の2分の1の19席)を行いますので、メールと電話によるご予約を承ります。鑑賞を希望される日時と作品名、お名前、電話番号をお知らせください。予約で満席でなければ、当日に予約無しでもご入場いただけます。
info@kobe-eiga.net 078-754-8039


21世紀のサイレント映画
第2回 パプスト監督『喜びなき街』『パンドラの箱』

2020年2月29日(土)

生演奏とともにサイレント映画を楽しむ新シリーズ「21世紀のサイレント映画」。

映画の歴史の最初の30年間は、音が付いていない「サイレント(無声)映画」の時代でした。映画のための音声装置が開発される以前の映画ということになりますが、それは音のある映画(トーキー)より劣っているということではありません。むしろ、無声だからこそ極められた映画の魅力がつまっています。

サイレント映画は、当時から生演奏や活動弁士の語りといったライブパフォーマンスとともに上映されていましたが、近年、この上映スタイルが再び見直されています。
演奏や語りにより表情を変えるサイレント映画。
このシリーズでは毎回パフォーマーを迎えて、サイレント映画の新たな魅力を発見していきます。

今回は、昨年12月に好評だった『パンドラの箱』のアンコール上映、そして併催の「連続講座:20世紀傑作映画 再(発)見 第8回 パプストとブルックス──『パンドラの箱』を読み解く」で解説のあったパプスト『喜びなき街』を演奏付きで上映します。


「喜びなき街」
Die freudlose Gasse
(ドイツ/1925/97分[20コマ]/16mm)
監督:ゲオルク・ヴィルヘルム・パプスト
原作:フーゴー・ベッタウアー
脚本:ヴィリー・ハース
撮影:グイト・ゼーバー、クルト・エルテル
出演:アスタ・ニールセン、グレタ・ガルボ、ヴェルナー・クラウス

第一次世界大戦後の超インフレ時代のウィーンを舞台に、貧困に苦しむ庶民の生活をあざといほど生々しく描いたパプスト初期の代表作。これを見れば、パプストのいわゆる新即物主義が表現主義に裏打ちされたものであったことがわかる。彼は女優の存在を際だたせることに優れた監督でもあった。ガルボはもちろんだが、伝説の女優アスタ・ニールセンにも注目してほしい。実は、無名時代のディートリッヒも出ているという話があるのだが、真相は不明である。

伴奏:天宮 遥
 

「パンドラの箱」
Die Büchse der Pandora
(ドイツ[英語版]/1929/124分[18コマ]/16mm)
監督:ゲオルク・ヴィルヘルム・パプスト
原作:フランク・ヴェデキント
脚本:ラディスラウス・ヴァイダ
撮影:ギュンター・クランプ
出演:ルイーズ・ブルックス、フリッツ・コルトナー、フランツ・レデラー、グスタフ・ディーズル

F・ヴェデキントの戯曲をサイレント映画へと昇華させたパプストの傑作。女優ルイーズ・ブルックスを銀幕のアイコンとして不滅のものにしたまさに神話的作品である。ルルとは何者なのか。彼女は〈宿命の女〉なのか、それともワイマールのフラッパー娘なのか。男たちを破滅させる悪女なのか、それとも彼らによる犠牲者なのか。この問いを前に、ルル=ブルックスはただ謎のようにそこに存在し、われわれをいつまでも曖昧に魅了し続けるばかりだ。

伴奏:鳥飼 りょう
 
 
作品解説:井上正昭
協力:プラネット・プラス・ワン

《料金》 入れ替え制1本あたり
一般1400円 ユース(25歳以下)1000円 会員1200円


神戸クラシックコメディ映画祭2020
2020年1月11日(土)〜13(月・祝)

11日・13日 会場:神戸映画資料館(新長田)
12日 会場:旧グッゲンハイム邸(塩屋)

 

お待ちかね 年の初めは
神戸クラコメの笑い初め
フェアバンクスのチャンバラにワクワク
いつも仲良しローレル&ハーディ
キートン チェイスに 千恵蔵さんも
笑いのタイムマシンに乗って
いざ 喜劇の時間旅行へ!

──いいをじゅんこ
(クラシック喜劇研究家/古典喜劇映画上映委員会委員長)

 

 

 

Aプログラムプラネットの宝石たち 神戸映画資料館所蔵コメディ集
『ボビーの離婚騒動』Reno or Bust
(1924/17分/サイレント)クリスティ・フィルム・カンパニー
監督:アーチー・メイヨ
出演:ボビー・ヴァーノン、デュアン・トンプソン

『戦争ゴッコ』Dogs of War!(欠落あり)
(1923/15分/サイレント)ハル・ローチ・スタジオ
監督:ロバート・マクガワン
出演:ちびっこギャング

『モンティの運は天にあり』Flying Luck(短縮版)
(1927/15分/サイレント)モンティ・バンクス・エンタープライズ
監督:ハーマン・C・レイメイカー
出演:モンティ・バンクス、ジーン・アーサー

『國士無双』Kokushi Musou(不完全)
(1932/21分/サイレント)日活
監督:伊丹万作
出演:片岡千恵蔵、山田五十鈴、高勢実乗

神戸映画資料館所蔵フィルムの中からとりわけ珍しいコメディ作品を厳選したプログラム。言わずと知れた千恵プロ明朗時代劇の傑作『國士無双』は新春らしく和楽と弁士付きの貴重な上映。断片のみ現存する作品だが何度観ても面白い!

伴奏
戎屋海老(弁士)+清優の会(琴・三味線)
天宮遥(電子ピアノ)


Bプログラム100歳映画
『奇傑ゾロ』The Mark of Zorro
(1920/90分/サイレント)ダグラス・フェアバンクス・ピクチャーズ
監督:フレッド・ニブロ
出演:ダグラス・フェアバンクス、ノア・ビアリー

恒例プログラム「100歳映画」はついに20年代に突入。ダグラス・フェアバンクスが軽喜劇から剣戟映画へ路線変更したのがちょうど百年前。弱きを助け強きをくじく覆面ヒーローの元祖だ。アクションとロマンスたっぷりの痛快娯楽活劇!

伴奏
天宮遥(電子ピアノ)


Cプログラム迎春 ニッポンの喜劇

©日活

『続清水港』Zoku Shimizu Minato
(1940/90分/トーキー)日活
監督:マキノ正博
出演:片岡千恵蔵、広沢虎造、轟夕起子
(株)日活提供

清水次郎長ものをパロディ化した元祖タイムスリップ時代劇。夢と現実ならぬ時代劇と現代劇の狭間で森の石松となった千恵蔵の悪戦苦闘ぶりに彼の喜劇的センスが光る。浪曲師・広沢虎造との「石松三十石船道中」の軽妙な掛け合いは必見!子役として長門裕之が出演している。画面上のタイトルは再公開時の題『清水港 代参夢道中』。

Dプログラムショートコメディのマエストロ
『ビリーの舞台裏』The Lion’s Whiskers(短縮版)
(1925/12分/サイレント)マック・セネット・コメディーズ
監督:デル・ロード
出演:ビリー・ビーバン、マデリン・ハーロック、サンシャイン・ハート

『キルトとズボン』Putting Pants on Phillip
(1927/27分/サイレント)ハル・ローチ・スタジオ
監督:クライド・ブルックマン
出演:スタン・ローレル、オリヴァー・ハーディ

『映画の夜』Movie Night
(1929/22分/サイレント)ハル・ローチ・スタジオ
監督:ルイス・R・フォスター
出演:チャーリー・チェイス、タイニー・サンフォード

『八百屋の恋』労工之愛情
(1922/23分 29分/サイレント/DVD)明星影片公司
監督:張石川
出演:鄭鹧鸪、余瑛、鄭正秋
現代中国映画上映会提供

喜劇の真髄は短編にあり。おなじみチャーリー・チェイス最後の無声作品やローレル&ハーディの初期傑作などに加え、現存する最古の中国映画『八百屋の恋』を関西初上映!中国無声映画についてのアフタートークも行う。

伴奏
鳥飼りょう(電子ピアノ)

トーク
菅原慶乃(関西大学教授) 聞き手:いいをじゅんこ(クラシック喜劇研究家)

菅原慶乃
関西大学文学部教授。専門は中国語圏の映画史。1998年〜2001年まで北京電影学院に留学。著書に『映画館のなかの近代:映画観客の上海史』(晃洋書房、2019年)、『越境の映画史』(堀潤之との共編、関西大学出版部、2014年)など。


Eプログラム激レア!キートン
『拳闘屋キートン』Battling Butler
(1926/77分/サイレント/Blu-ray)バスター・キートン・プロダクションズ
監督:バスター・キートン
出演:バスター・キートン、スニッツ・エドワーズ
(株)ダッサイ・フィルムズ提供

キートン演じる草食系の御曹司がひょんなことからボクシングに挑戦。忠実な執事に助けられ、ヒロインとの結婚目指して奮闘する。高級ファッションに身を包むキートンのおぼっちゃまぶりも見逃せない。レアなキートン喜劇を堪能しよう!

12日 説明:大森くみこ(活動弁士) 伴奏:鳥飼りょう(グランドピアノ)
13日 録音伴奏付き上映

Fプログラムよみがえる喜劇人 アリス・ハウエルの世界
『海神のやんちゃ娘』Neptune’s Naughty Daughter
(1917/24分/サイレント/Blu-ray)センチュリー・フィルム・カンパニー
監督:J・G・ブリストーン
出演:アリス・ハウエル、ファッティ・ボス

『アリスのスター誕生』How Stars are Made
(1916/12分/サイレント/Blu-ray)L-KOカンパニー
監督:J・G・ブリストーン
出演:アリス・ハウエル、レイモンド・グリフィス

『アリスの恋は儚し』Distilled Love
(1920/25分/サイレント/Blu-ray)リールクラフト・ピクチャーズ
監督:ヴィン・ムーア
出演:アリス・ハウエル、ディック・スミス、オリヴァー・ハーディ

以上、アンダー・クランク・プロダクション提供
協力:デンマーク映画協会、米国議会図書館

忘れられた喜劇人の復権もクラコメのテーマの一つ。今回紹介するアリス・ハウエルは無声時代に「女チャップリン」と称賛された名コメディエンヌだ。女性の視点と包容力をスラップスティックに織り込んだアリスの喜劇はまさにその称号にふさわしい。

伴奏:塩屋楽団(澤井まり saxophone、鈴木勝 guitar、清造理英子 trombone、森本アリ trumpet、吉野かおり trombone)

Gプログラム英国発イーリング・コメディ
『白いスーツの男』The Man with the White Suit
(1951/85分/トーキー)イーリング・スタジオ
監督:アレクサンダー・マッケンドリック
出演:アレック・ギネス、ジョーン・グリーンウッド

決して汚れない「究極の繊維」を発明した科学者を襲う予想外の危機。資本主義社会への痛烈な諷刺を独特のウィットで描く。戦後の英国で花開いたイーリング喜劇はコメディ映画史の知られざる至宝。名優アレック・ギネスのドタバタ演技は必見。


Hプログラムこども活弁ワークショップ発表会[無料]

大森くみこ弁士を講師に招いてちびっこ(+おとな)の活弁ワークショップを開催します。カツベンが熱いいま、無声映画をより身近に感じる貴重な体験です。奮闘の成果を旧グッゲンハイム邸にて発表!

1月12日(日) 会場:旧グッゲンハイム邸
こども活弁ワークショップ!開催

 

作品解説:いいをじゅんこ(『続清水港』は吉井美稀)
記載以外はすべて16mmフィルムでの上映

《料金》入れ替え制*当日に限り2プログラム目は100円割引 *未就学児は無料
活弁+演奏付き上映 一律1500円
演奏付き上映 一般1400円 会員・学生1200円 小中学生1000円
上映のみ 一般1200円 会員・学生1000円 小中学生800円

フライヤー、ポスターデザイン:萩原小麻紀

主催:古典喜劇映画上映委員会
後援:神戸市、神戸市教育委員会
助成:芸術文化振興基金
協力:プラネット・プラス・ワン


連続講座:20世紀傑作映画 再(発)見
第8回 パプストとブルックス──『パンドラの箱』を読み解く

2019年12月22日(日)

このシリーズ講座では、映画史の節目を刻んできた傑作を毎回一本ずつ上映し、検証してゆく。時代の中から生まれながら、時代を超えて生き残る。古典とはそういうものだ。それは、つねに〈来るべき〉作品であり、映画館のような場所でそのつど〈発見〉される。このような観点から、作品を映画史の中にきっちりと位置づけ、それがいかにして生まれ、どのように受容され、それ以後の映画にどんな影響を与えたのかを検証する一方で、あたかも新作を見るように、その映画を純粋に味わい、どこにその〈映画的〉魅力があるのかを探ってゆく。

13:30〜 上映
「パンドラの箱」
Die Büchse der Pandora
(ドイツ/1929/131分/16mm)
監督:ゲオルク・ヴィルヘルム・パプスト
原作:フランク・ヴェデキント
脚本:ラディスラウス・ヴァイダ
撮影:ギュンター・クランプ
出演:ルイーズ・ブルックス、フリッツ・コルトナー、フランツ・レデラー、グスタフ・ディーズル

伴奏:塩屋楽団
(鈴木勝:guitar 山本信記:synthesizer, electronics 森本アリ:sampler, trumpet)
 

16:00〜(終了予定17:30) 講座
講師:井上正昭(翻訳・映画研究)
G・W・パプストの映画『パンドラの箱』が作られてから今年で実に90年になる。しかしこの映画でルルを演じた女優ルイーズ・ブルックスはその輝きをいささかも失っていない。それどころか、彼女はその謎めいた存在感で現代のわれわれをますます魅了しつづけている。女優と登場人物が、そして作品そのものがこれほど分かち難く結びついた映画は稀である。『パンドラの箱』を語ることは、ルル=ブルックスを語ることと同じだった。しかし、それ故にこの映画のそれ以外の細部はしばしばし見過ごされてきたとも言える。今回の講座では、〈宿命の女〉ルル=ブルックスについて考えてゆく一方で、ヴェデキントの原作戯曲やワイマール文化、そしてパプストの演出などにも注目しながらこの映画を読み解いてゆく。『パンドラの箱』はブルックスという稀有な存在なしにはありえなかった。それは間違いないが、監督パプストとの運命的な出会いがなければこの作品が生まれなかったこともまた確かである。今講座では、巨匠と呼ばれながら今ではあまり語られることのない、このなんとも輪郭の曖昧な〈映画作家〉にも照明を当ててみたい。

井上正昭
1964年生まれ。Planet Studyo + 1 で映画の自主上映にたずさわる。訳書に『映画監督に著作権はない』(フリッツ・ラング、ピーター・ボグダノヴィッチ/筑摩書房 リュミエール叢書)、『恐怖の詩学 ジョン・カーペンター』(ジル・ブーランジェ/フィルムアート社)、共著に『映画を撮った35の言葉たち』(フィルムアート社)がある。
ブログ「明るい部屋:映画についての覚書」

《映画鑑賞料》 生演奏付き 一般1400円 学生1200円 会員1200円
《講座参加費》  一般1000円 学生500円 会員700円


21世紀のサイレント映画
第1回『スージーの真心』 with 天宮遥

2019年2月17日(日)

生演奏とともにサイレント映画を楽しむ新シリーズ「21世紀のサイレント映画」。

映画の歴史の最初の30年間は、音が付いていない「サイレント(無声)映画」の時代でした。映画のための音声装置が開発される以前の映画ということになりますが、それは音のある映画(トーキー)より劣っているということではありません。むしろ、無声だからこそ極められた映画の魅力がつまっています。

サイレント映画は、当時から生演奏や活動弁士の語りといったライブパフォーマンスとともに上映されていましたが、近年、この上映スタイルが再び見直されています。
演奏や語りにより表情を変えるサイレント映画。
このシリーズでは毎回パフォーマーを迎えて、サイレント映画の新たな魅力を発見していきます。

「スージーの真心」
True Heart Susie
(アメリカ/1919/90分[16コマ]/16mm)
監督:デイヴィッド・ウォーク・グリフィス
撮影:ビリー・ビッツァー
出演:リリアン・ギッシュ、ロバート・ハーロン

田舎暮らしのスージーとウィルアムは幼なじみ。スージーは密かにウィルアムの学費などを出して助けていた。やがて大学を出たウィルアムは牧師となって帰郷するのだが…。

天宮 遥(ピアノ)
神戸生まれのシンガーソングライター、ピアニスト、作曲家。2016年よりサイレント映画ピアニストとしても活躍中。

《料金》 一般1400円 学生・会員1200円


神戸クラシックコメディ映画祭2019
1月12日(土)〜14(月・祝)
 
12日・14日 会場:神戸映画資料館(新長田)
13日 会場:旧グッゲンハイム邸(塩屋)

 

笑いのビッグバン!

ルビッチに和製ミュージカル
発掘されたコメディにみんな知ってるあの喜劇王
極楽コンビもちびっこギャングもキートンも
いろいろ取り揃えて一挙上映
喜劇のゴッド&モンスターが神戸に降臨する三日間!

──いいをじゅんこ(クラシック喜劇研究家/古典喜劇映画上映委員会委員長)

 

 

Aプログラム100歳映画
「花嫁人形」Die Puppe
(1919/64分/サイレント/Blu-ray)ウーファ
監督:エルンスト・ルビッチ
出演:ヘルマン・ティミヒ、オッシ・オスヴァルダ
(株)ダッサイ・フィルムズ提供

名匠エルンスト・ルビッチの喜劇『花嫁人形』は2019年に「100歳」を迎える。女嫌いの青年が結婚するハメになり怖い叔父の目をごまかそうと人形を花嫁にする。ところがそれは人形師の娘が化けた姿で…。100年経っても色褪せない最高のお伽話は観る者をひたすら幸福にしてくれる。

伴奏
13日 柳下美恵(ピアノ)
14日 天宮遥(電子ピアノ)

 

Bプログラム日本の傑作喜劇① 和楽伴奏で観るコメディ

「塙団右衛門 化物退治の巻」Hanawa Danemon
(1935/10分/サイレント)日本マンガフィルム研究所
作画監督:片岡芳太郎
監督:魔須田和弘
神戸映画資料館所蔵作品

伴奏
戎屋海老(弁士)+清優の会(琴・三味線)

 

国立映画アーカイブ所蔵作品

「爆弾花嫁」Bakudan Hanayome
(1935/30分/サウンド版[一部無声]/35mm)松竹キネマ(蒲田撮影所)
監督:佐々木圭祐
改定編集:斎藤寅次郎
出演:谷麗光、柳生小夜子、小倉繁
国立映画アーカイブ所蔵作品

豪傑の誉れ高い塙団右衛門を主人公にした戦前アニメをクラコメ初の和楽伴奏で賑やかにお届けする。ロシアのフィルムアーカイブで発掘された貴重な短編『爆弾花嫁』はオリジナルサウンド版での上映。ニッポンの極上ドタバタ喜劇を観て一年を笑顔でスタートしよう。新春にふさわしいプログラム。

 

©国際放映

Cプログラム日本の傑作喜劇②
「腰抜け二刀流」Koshinuke Nitoryu
(1950/76分/トーキー/Blu-ray)新東宝
監督:並木鏡太郎
出演:森繁久弥、轟夕起子

森繁久弥の映画初主演作。ボブ・ホープの『腰抜け二丁拳銃』(49)を下敷きにしたミュージカル喜劇。当時軽演劇に出ていた森繁が「実力からいえば当然とはいえ、異例の出世ぶり」(『日本の喜劇人』小林信彦)を果たし見事なスラップスティック芸で魅せる。伝説の名女優・轟夕起子、花菱アチャコ、清川虹子ら共演。

 

Dプログラム最後の喜劇王 ジェリー・ルイス
「マイ・フレンド・アーマ」My Friend Irma
(1949/102分/トーキー)パラマウント・ピクチャーズ
監督:ジョージ・マーシャル
出演:マリー・ウィルソン、ディーン・マーティン&ジェリー・ルイス

2017年に91才で世を去ったジェリー・ルイス。ディーン・マーティンとの「底抜けコンビ」は日本でも大人気だった。彼らが映画デビューを果たした本作は、日本未公開。日本語字幕付きフィルム上映は激レア中の激レア!コンビが得意としたナイトクラブのネタが再現されているのも見所。

 

 

Eプログラムチャーリー・チェイス特集
「うっかり屋メーベル」Mabel’s Blunder
(1914/13分 19分/サイレント)キーストン・フィルム・カンパニー
監督:メーベル・ノーマンド
出演:メーベル・ノーマンド、ハリー・マッコイ、チャーリー・チェイス

「チェイスの一日警官」Sittin’ Pretty
(1924/14分/サイレント)ハル・ローチ・スタジオ
監督:レオ・マッケリー
出演:チャーリー・チェイス、ポール・パロット

「チェイスの国王万歳」Long Fliv the King
(1926/22分 18分/サイレント)ハル・ローチ・スタジオ
監督:レオ・マッケリー
出演:チャーリー・チェイス、マックス・デイヴィッドソン、オリヴァー・ハーディ

「ママの言う通り」On the Wrong Trek
(1936/18分/トーキー)ハル・ローチ・スタジオ
監督:チャールズ・パロット、ハロルド・ロウ
出演:チャーリー・チェイス、ロシーナ・ローレンス

過去のクラコメで名だたる喜劇王たちに迫る人気だったチャーリー・チェイスを大フィーチャー。映画初期からトーキーに至るキャリアを一挙に楽しめる。中流紳士が巻き込まれる騒動を描かせたらチェイスの右に出るものなし!実弟との幻の共演作や歌い踊るチャーリーが見られるトーキー作品も。

伴奏:柳下美恵(電子ピアノ)

 

Fプログラムよみがえる喜劇人 マルセル・ペレーズの世界
「ダムの海中結婚」Lend Me Your Wife
(1921/20分/サイレント/Blu-ray)イーグル・フィルムズ
監督:マルセル・ペレーズ
出演:マルセル・ペレーズ、レックス・アダムス

「ダムの十六人早変り」A Busy Night
(1916/17分/サイレント/Blu-ray)イーグル・フィルムズ
監督:マルセル・ペレーズ
出演:マルセル・ペレーズ

「ユー・アー・ネクスト」You’re Next
(1919/21分/サイレント/Blu-ray)ジェスター・コメディ・カンパニー
監督:マルセル・ペレーズ
出演:マルセル・ペレーズ、ドロシー・アール

以上3作品 Undercrank Production提供 協力:ニューヨーク近代美術館

フィルム発掘やデジタル技術の進歩により知られざる喜劇人の復権が進んでいる。スペイン出身のマルセル・ペレーズもその一人。映画初期に欧州で活躍し日本では「ダム君」の愛称で親しまれたが、夭折し忘れ去られた。今回は米国時代の3作品を上映。日本での上映は約100年ぶり!創造性溢れるペレーズの喜劇と塩屋楽団のコラボは画期的。

伴奏:塩屋楽団(鈴木勝 guitar、森本アリ trumpet、山本信記 trumpet, piano、吉野かおり trombone、澤井まり alto saxophone、仲川達也 synthesizer, sampler)

 

Gプログラムショートコメディのマエストロ サイレント編
「マックスと犬」Max et son chien Dick

国立映画アーカイブ所蔵

(1912/9分/サイレント/35mm)パテ・フレール
監督:マックス・ランデー
出演:マックス・ランデー、犬のディック
国立映画アーカイブ所蔵作品

「チャップリンの勇敢」Easy Street
(1917/23分/サイレント)ミューチュアル社
監督:チャールズ・チャップリン
出演:チャールズ・チャップリン、エリック・キャンベル

「サタデー・アフタヌーン」Saturday Afternoon
(1926/30分 27分/サイレント)マック・セネット・コメディーズ
監督:ハリー・エドワーズ
出演:ハリー・ラングドン、ヴァーノン・デント

「白日夢」Daydreams
(1922/23分/サイレント)ファースト・ナショナル・ピクチャーズ
監督:バスター・キートン、エディ・クライン
出演:バスター・キートン、ジョー・キートン

クラコメ恒例の短編喜劇集、今回は無声編とトーキー編に分けてお届けする。無声編は誰もが納得の喜劇王たちが集結。フランスのマックス・ランデーとチャップリンの「師弟対決」、永遠の少年ハリー・ラングドンのチャーミングな結婚喜劇、そして我らがバスター・キートンの隠れた傑作。ご堪能あれ!

伴奏:鳥飼りょう(電子ピアノ)

 

Hプログラムショートコメディのマエストロ トーキー編
「極楽ボート騒動」Towed in a Hall
(1932/21分/トーキー)ハル・ローチ・スタジオ
監督:ジョージ・マーシャル
出演:ローレル&ハーディ、ビリー・ギルバート

「キーストン・ホテル」Keystone Hotel
(1935/15分/トーキー)ワーナー・ブラザース
監督:ラルフ・スタウブ
出演:フォード・スターリング、ベン・ターピン他

「新学期はつらいよ」Bored of Education
(1936/10分/トーキー)ハル・ローチ・スタジオ
監督:ゴードン・ダグラス
出演:ちびっこギャング、ロシーナ・ローレンス

「3ばか競馬必勝法」Playing the Ponies
(1937/15分/トーキー)コロンビア・ピクチャーズ・コーポレーション
監督:チャールズ・ラモン
出演:3ばか大将

無声喜劇のDNAを受け継いだ短編はトーキー初期にまだまだ作られていた。往年の無声スターの同窓会コメディ『キーストン・ホテル』は屈指のパイ投げ合戦で知られるカルト作。懐かしのちびっこギャングと3ばか大将はご家族でどうぞ。ローレル&ハーディは欧米で新作伝記映画が公開予定。

 

 前座

「処刑遊戯(完全版)」(2017/3分/DVD)作:顔ジャワ
「漫画ヘントウセン」(2016/4分/DVD)作:顔ジャワ
顔ジャワ(清本一毅)の毒があって不思議に可愛いアニメーションでひと笑い。

 

 

作品解説:いいをじゅんこ
記載以外はすべて16mmフィルムでの上映

《料金》入れ替え制*当日に限り2プログラム目は100円割引
演奏付き上映(招待券のご利用不可) 一般1400円 会員・学生1200円 小中学生1000円
上映のみ 一般1200円 会員・学生1000円 小中学生800円
*未就学児は無料

フライヤーデザイン:萩原小麻紀

主催:古典喜劇映画上映委員会
後援:神戸市、神戸市教育委員会
助成:芸術文化振興基金
協力:国立映画アーカイブ


サイレント映画鑑賞会 コメディ学入門連携プログラム

2018年4月15日(日)13:30〜

同日開催の「第14講コメディ学入門」とあわせてお楽しみください。

「極楽発展倶楽部」Sons of the Desert
(アメリカ/1933/58分/トーキー/16mm)
監督:ウィリアム・A・サイター
出演:ローレル&ハーディ、メイ・ブッシュ、チャーリー・チェイス

秘密結社「砂漠の息子たち」に所属するローレルとハーディは定例会と称した宴会旅行に参加したくてたまらないが妻たちは許さない。そこで妙案を思いつくがこれが惨事を招くことに…。
ローレル&ハーディの結婚喜劇では常に夫と妻の戦争が描かれる。尻に敷かれた夫の悲哀と結託が巻き起こす騒動はまさにバディ喜劇の最高峰。ハル・ローチスタジオの盟友チャーリー・チェイスも友情出演している。原題「砂漠の息子たち」は現在ローレル&ハーディ公式ファンクラブの名称になっている。

 

「警官騒動」Cops
(アメリカ/1922/24分/無声/16mm)
監督:エディ・クライン、バスター・キートン
出演:バスター・キートン、ヴァージニア・フォックス

気のいい青年が爆弾テロと間違われ、警官の大群に追いかけられるキートン喜劇真骨頂の1本。ハリウッド中心部のいくつかの通りを使ってロケ撮影された。逃げるキートンが自動車の後部につかまり水平に飛ぶ超人的スタントを撮影した場所は、ファンや研究者の間で「聖地」と呼ばれている。上映後の講座《コメディ学入門》では、クラシック喜劇研究家いいをじゅんこが今年2月にロケ地を訪れた際のレポートを行う。
 
 
解説:いいをじゅんこ

《料金》2本立て(入替無し)
一般1200円 学生1000円 会員900円
《割引》[第14講コメディ学入門] 参加者は200円引き

 

 

クラシックコメディの素晴らしい世界をみんなで楽しむ会
第14講コメディ学入門
いいをじゅんこのアメリカ珍道中〜クラシック喜劇巡礼の旅・大報告会〜

2018年4月15日(日)15:20〜(終了予定17:20)

クラシック喜劇映画にはいくつかの「聖地」がある。有名なロケ地、映画でよく見る風景、喜劇王たちが眠る場所、etc,etc…。ファンや研究者にとって、それらの聖地を巡礼するのはひとつの大きな夢である。2018年2月、その巡礼者の列に加わるというわたしの長年の夢が、とうとう叶った。2週間にわたってアメリカの三都市を訪れ、クラシック喜劇の聖地を巡るという、無謀にして壮大(?)な旅を敢行したのである。

30年振りの渡米、十余年ぶりの海外で、時差ボケと苦闘し聞き取れない英語に悩まされながらの珍道中。だがそこには、夢にまで見た場所に遂に身をおいた感動や、喜劇をこよなく愛する人々との出会い、心躍る映画館体験が待っていた。

さらに、アカデミーの研究施設で超一級の一次資料に直接ふれたり、ニューヨーク近代美術館ではレアなフィルムコレクションを鑑賞するという得難い経験もできた。米国で映画が産業としてだけでなく文化財として入念に保護されている現状や、研究者への手厚いサポートなど、実際に体験して考えることも多くあった。

今回の講座は、この旅の成果の報告会となる。現地で撮影した写真や動画をまじえながら、旅で得た収穫を皆さんと共有したい。クラシック喜劇に興味のある方はもちろん、米国での映画資料の調査に関心がある方にも役立つ情報を提供できればと思っている。講座の前に行われる関連作品の上映もあわせてご参加いただければ、より深い作品理解につながるだろう。

いいをじゅんこ
クラシック喜劇研究家、ライター。バスター・キートンと運命の出会いをして以来、サイレント喜劇の世界に魅了される。無声~トーキー初期のいわゆる「喜劇の黄金時代」に作られたアメリカを中心としたクラシック喜劇を研究。映画史の鉱脈に埋もれた優れたコメディを紹介する講座《コメディ学入門》を企画し、2012年より神戸映画資料館にて不定期開催している。2016年1月には喜劇映画研究会・神戸映画資料館と共同で古典喜劇映画上映委員会を立ち上げ、《新春コメディ宝箱》を開催。その後《神戸クラシックコメディ映画祭》へと発展し現在に至る。ライターとして映画評、書評などをさまざまな媒体に執筆している。
「サイレント喜劇のすばらしき世界(The Wonderful World of Silent Comedy and more)」

「極楽発展倶楽部」

《参加費》 1000円
*予約受付中
info@kobe-eiga.net まで、参加者様のお名前・ご連絡先(メールアドレスまたはお電話番号)をお知らせください。


これまでのプログラム|神戸映画資料館

※内容は予告無く変更する場合があります。

※作品によっては、経年退化で色褪せしている場合がございます。予めご理解ご了承の上、ご鑑賞くださいますようお願い申し上げます。