2021年5月1日(土)〜4日(火・祝)
春の時代劇まつり
春の時代劇まつり
第一週 山中貞雄と加藤泰
2021年5月1日(土)〜4日(火・祝)
今年は加藤泰監督生誕100年の記念すべき年。加藤監督が亡くなられたのは1985年6月17日のことだったが、もうあれから31年が過ぎてしまったとは、信じられないくらい時の経過は早いものである。映画を愛していた加藤監督が生きておられたら、現在の映画状況をどう考えておられるのかを聞いてみたかった。
神戸映画資料館では加藤監督の偉大さを再確認するために、35ミリニュープリントで甦った『剣難女難』『清水港は鬼より怖い』『潜水艦』の3作品を上映する。この秋は京都文化博物館やシネ・ヌーヴォでも特集上映が企画されているので併せてご覧いただければ嬉しいところである。(安井喜雄)
「河内山宗俊」
(1936/82分/16mm)
製作:宝プロ 監督:加藤泰
脚本:木下藤吉、友田晶二郎 撮影:近藤憲昭
音楽:高橋半 美術:鈴木孝俊
出演:大泉滉、林加壽惠、桂春団治、広沢虎造、永田とよ子、加東大介、澤村國太郎、林田十郎、芦の家雁玉、鳳衣子、美ち奴、山茶花究、坊屋三郎
フィルム提供:東京国立近代美術館フィルムセンター
「宝」の看板がかかった茶屋で繰り広げられる奇想天外なハチャメチャ・コメディー・ミュージカル。江戸の老舗の若旦那が侠客に憧れて次郎長の子分になるという次郎長もの映画だが、二代目広澤虎造や二代目桂春團治、歌手の美ち奴ら多彩な芸人が登場し歌って踊る。娯楽映画を志向する加藤泰ならではのサービス精神に満ちた作品。フィルムセンター所蔵35mmオリジナルネガの欠落部を、神戸映画資料館保存16mmプリントを35mmブローアップして補完作製した現存する最長版での上映。なお、メイン・タイトルは『虎造の清水港』と改変されている。
「人情紙風船」
(1937/86分/16mm)
製作:理研科学映画 後援:海軍省
演出:西尾佳雄 原案:八木保太郎 脚本:加藤泰通
撮影:笠間公夫 音楽:永岡研介
フィルム提供:東京国立近代美術館フィルムセンター
潜水艦に対する国民の認識を深めるため海軍省の絶大なる援助の下に製作された我国はじめての本格的な潜水艦映画。本物の潜水艦を使用、呉の海軍潜水学校を舞台に潜水艦の活動を縦横に描きその機能を科学的に解説したもの。加藤泰が初めて監督した作品だが、映画法下で監督として登録されていなかったため、クレジット上では西尾佳雄が演出となっている。劣化の激しかったフィルムセンター所蔵16mmプリントから復元した35mmプリントによる関西初上映。
「剣難女難 第一部・女心流転の巻」(1951/70分/35mm)
「剣難女難 第二部・剣光流星の巻」(1951/71分/35mm)
宝プロ・新東宝提携作品 製作:高村将嗣
監督:加藤泰 脚本:木下藤吉 原作:吉川英治 撮影:藤井春美 音楽:高橋半
出演:黒川弥太郎、市川春代、堀正夫、加賀邦男、阿部九州男、澤村國太郎、東龍子
加藤泰監督の記念すべき劇映画第一作で、吉川英治原作の痛快娯楽時代劇。加藤泰は「チャンバラ映画への初心とウンチクを、この前後篇一万三千呎のチャンバラにつぐチャンバラへ、唯一筋に、何の衒いもなく傾けて、脇目もふらず撮りあげたと言えるのを、今でも嬉しく思っている」と回想している。一部二部ともに東京国立近代美術館フィルムセンターでの特集上映のため、権利者である国際放映の協力のもと神戸映画資料館保存16ミリプリントからブローアップして作製したニュープリントを上映。
[第一部]主人公、福知山藩の春日新九郎は剣が全くダメな武士。兄の重蔵が宮津藩との剣道試合で自斉に破れため、兄共々藩を追われた。許嫁・千浪に横恋慕する玄蕃に命を狙われ、それを助けた女に惚れられるなど紆余曲折。江戸の道場に入門し剣に励むが、ある日、宿敵の自斉が現れ試合するも惨敗。その後、将軍家綱の側室の姉・お光の方に見初められ愛欲に溺れる。
[第二部]玄蕃に父を殺された千浪が、兄の重蔵とともに江戸に出てきた。新九郎は、お光の方から離れ賭場を転々とし、巷では「御曹子の新九郎」と呼ばれていた。千浪と重蔵に出会えた新九郎は心機一転、信州の山奥で剣の修行に励む。お光の方の取り計らいで宿敵・自斉との御前試合が実現。千浪と病に伏した重蔵は剣の達人となった新九郎の勝利を祈った。
協力:国際放映、東京国立近代美術館フィルムセンター
《料金》 1本あたり
一般1200円 ユース(25歳以下)800円 会員1000円
《割引》当日2本目は200円引き
予約受付
メールと電話によるご予約を承ります。鑑賞を希望される日時と作品名、お名前、電話番号をお知らせください。予約で満席でなければ、当日に予約無しでもご入場いただけます。
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