神戸映画資料館

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2023年2月4日(土)

連続講座:20世紀傑作映画 再(発)見 第15回

国辱映画『チート』とサイレント時代の知られざるデミル

このシリーズ講座では、映画史の節目を刻んできた傑作を毎回一本ずつ上映し、検証してゆく。時代の中から生まれながら、時代を超えて生き残る。古典とはそういうものだ。それは、つねに〈来るべき〉作品であり、映画館のような場所でそのつど〈発見〉される。このような観点から、作品を映画史の中にきっちりと位置づけ、それがいかにして生まれ、どのように受容され、それ以後の映画にどんな影響を与えたのかを検証する一方で、あたかも新作を見るように、その映画を純粋に味わい、どこにその〈映画的〉魅力があるのかを探ってゆく。

 

13:30〜 上映
「チート」The Cheat
(アメリカ/1915/59分[18fps]/16mm)
神戸映画資料館(玉岡忠大コレクション)所蔵
監督:セシル・B・デミル
脚本:ジニー・マクファーソン、ヘクター・ターンブル
撮影:アルヴィン・ワイコフ
出演:ファニー・ウォード、早川雪洲

伴奏:鳥飼りょう

 

14:45〜 講座(終了予定16:15)
講師:井上正昭(翻訳・映画研究)
セシル・B・デミルは、映画史上最も有名でありながら最も知られていない監督かもしれない。聖書を題材にしたスペクタクル大作を得意とする監督という流布しているイメージは、トーキー以後のデミルの活動すらカヴァーしきれていないし、それにもまして、彼のサイレント時代は、トーキー以後とは全く異なるヴァラエティに富んだ作品群で彩られている。この時期に撮られたほとんど未知の作品の数々を眼にすれば、デミルに対する印象はおそらく大きく変わるに違いない。そろそろこの映画監督に正当な評価を下すべき時が来ているのではないか。今回上映する『チート』は、早川雪洲演じる人物の描写が国辱的であるとして上映が禁じられたこともあって、我が国では悪い意味でつとに有名であり、デミルのサイレント時代の作品としては、『男性と女性』などと並んで最も見られている作品のひとつである。その意味では、デミルのイメージを大きく変えるものではないかもしれないが、彼のフィルモグラフィーにおいても、映画史的にも重要な作品であることは間違いない。今回の講座では、この作品を中心に、デミルのサイレント時代の知られざる作品にスポットを当て、この〈映画作家〉について再考するきっかけとしたい。

 

井上正昭
1964年生まれ。Planet Studyo + 1 で映画の自主上映にたずさわる。訳書に『映画監督に著作権はない』(フリッツ・ラング、ピーター・ボグダノヴィッチ/筑摩書房 リュミエール叢書)、『恐怖の詩学 ジョン・カーペンター』(ジル・ブーランジェ/フィルムアート社)、共著に『映画を撮った35の言葉たち』(フィルムアート社)がある。
ブログ「明るい部屋:映画についての覚書」

《参加費》 生伴奏付き上映+講座
一般:2000円 ユース(25歳以下):1500円 会員:1700円
予約受付
メールと電話によるご予約を承ります。鑑賞を希望される日時と作品名、お名前、電話番号をお知らせください。予約で満席でなければ、当日に予約無しでもご入場いただけます。
info@kobe-eiga.net 078-754-8039

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