神戸映画資料館

PROGRAM プログラム

2023年3月18日(土)・19日(日)

帝国日本映画と朝鮮

金学成

 

帝国日本の統治下、多くの朝鮮人が映画製作に関わった。本イベントでは、解放後、癒やしがたい傷痕を抱えながら韓国映画史にその名を残し、日韓の映画交流にも尽力した二人のキャメラマン、金井成一=金学成(キム・ハクソン)と井上莞=李炳宇(イ・ビョンウ)に関わる二本の記録映画、および、多数の在日朝鮮人がエキストラとして撮影現場に参加した巨匠内田吐夢の階級矛盾を描く傾向映画、これら三本の作品上映と、『朝鮮映画の時代 帝国日本が創造した植民地表象』(法政大学出版会)の著者梁仁實(ヤン・インシル)氏のトークを通して、〈帝国日本映画と朝鮮〉をめぐる知られざる諸相の一端を浮き彫りにする。

 

 

上映作品
 
『2つの名前を持つ男 キャメラマン金学成・金井成一の足跡』
(2005/日本語、韓国語/カラー/デジタル/81分)
監督:田中文人 撮影監督:長田勇市 作品提供:田中文人
兪賢穆(ユ・ヒョンモク)監督の『誤発弾』(1961)などの作品で、韓国映画史にその名を残す名キャメラマン金学成(キム・ハクソン)。彼は戦前、日本で「金井成一」の名前で撮影技師となり帰国。発展途上にあった朝鮮映画の向上に大きく貢献することになる。彼が育てた現在の韓国映画界の重鎮たち、また家族の証言により、歴史に翻弄されつつ闘った、ふたつの名前を持つこの偉大なキャメラマンの足跡を追う。

田中文人監督来館、上映前挨拶

 

 

『空の少年兵』
(1941/日本語/モノクロ/35mm/37分)作品提供:国立映画アーカイブ
撮影・編集:井上莞 原作:岡部信次、小山良夫
助手:黒瀬近、後藤周治 
後援:海軍省 製作会社:芸術映画社
映画を目指して日本に渡り、プロキノでは嵐玄海の名で活動した撮影の井上莞=李炳宇(イ・ビョンウ)。日本ドキュメンタリー映画の始祖とも言うべき石本統吉の『雪国』、申相玉(シン・サンオク)、金洙容(キム・スヨン)作品の撮影監督としても活躍。この映画は、海の荒鷲を目指してきた少年たちの姿を克明に描いた井上の力作で、決死的空中撮影を敢行した甲斐あって映画的にも評価された。

 

 

『喜劇 汗』 弁士:大森くみこ 伴奏:天宮遥
(1930/日本語/モノクロ/16mm/サイレント(活弁・伴奏録音版)/76分)
監督:内田吐夢 原作・脚本:小林正 撮影:松澤又男
装置:池田延治郎 字幕:二豊久
出演:島耕二(北山平左エ門)、吉井康(源兵衛/家老)、土井平太郎、赤星黙、村田宏壽(仙太/親方)、田村邦男(チョロ竹)、沖悦二(金造)、滝花久子(お静/金造娘)、田中春男(運転手)
享楽的な生活に退屈した金持ちのドラ息子が、ある偶然からルンペンに服を取り替えられ、労働者となって汗を流して何かを得るというストーリー。政治的な主題を持った傾向映画で、搾取する側のブルジョワをアイロニカルに描く。多数の朝鮮人労働者が登場する映画としても知られ、後に巨匠として知られる内田吐夢監督が若き日の才能を開花させた喜劇映画の一篇。

 

19日(日)トークイベント「帝国日本映画と朝鮮」
梁仁實
(岩手大学准教授) 聞き手:上田学(神戸学院大学准教授)

「朝鮮映画の時代」

 

《参加費》1日通し
一般:1800円 シニア(65歳以上):1600円 ユース(25歳以下):1200円 会員:1500円
予約受付
メールと電話によるご予約を承ります。鑑賞を希望される日程、お名前、電話番号をお知らせください。予約で満席でなければ、当日に予約無しでもご入場いただけます。
info@kobe-eiga.net 078-754-8039

主催:河合塾日韓文化交流研究会、神戸映画資料館
協力:法政大学出版局、国立映画アーカイブ

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