神戸映画資料館

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2024年11月23日(土)

連続講座:20世紀傑作映画 再(発)見 第21回

『グリード』──ハリウッドが愛し、憎み、そして恐れた天才監督の呪われた傑作

このシリーズ講座では、映画史の節目を刻んできた傑作を毎回一本ずつ上映し、検証してゆく。時代の中から生まれながら、時代を超えて生き残る。古典とはそういうものだ。それは、つねに〈来るべき〉作品であり、映画館のような場所でそのつど〈発見〉される。このような観点から、作品を映画史の中にきっちりと位置づけ、それがいかにして生まれ、どのように受容され、それ以後の映画にどんな影響を与えたのかを検証する一方で、あたかも新作を見るように、その映画を純粋に味わい、どこにその〈映画的〉魅力があるのかを探ってゆく。

 

13:30〜 上映
『グリード』Greed
(アメリカ/1924/145分[18fps]/16mm)
監督:エリッヒ・フォン・シュトロハイム
原作:フランク・ノリス
脚本:エリッヒ・フォン・シュトロハイム、ジューン・メイシス
撮影:ベン・レイノルズ、ウィリアム・H・ダニエルズ
出演:ギブソン・ゴーランド、ザス・ピッツ、ジーン・ハーショルト

伴奏:鳥飼りょう

 

16:10〜 講座(終了予定17:40)
講師:井上正昭(翻訳・映画研究)
シュトロハイムは厄介な監督である。彼の作品は、わずかな例外を除くと、どれもプロデューサーによってずたずたにカットされるか、そうでなければ、完成する前に彼の手から引き離されてしまった。だから我々は、否応なしに、その「見ることのできない」幻の完全版を脳裏に描きながら、彼の映画を見てしまう。わけてもこの『グリード』は、フィルムの半分以上がカットされて失われてしまうという悲惨な運命をたどり、シュトロハイムの最も呪われた作品として、負のオーラを放ちながら映画史に燦然と輝いている。このような映画をどのように見ればいいのだろうか? 今回の講座では、フランク・ノリスの原作、残された脚本、スチル写真などから、シュトロハイムが撮ろうとしていたはずの『グリード』にできうる限り迫りたい。ただ、一方で、100年の間この映画にまとわりついてきた、完全版を巡る諸々の神話が、眼の前にあるフィルムそのものを見ることを妨げてきたことも確かである。作品の大部分がカットされてしまったとしても、シュトロハイムの映画の画面は、それで力を失ってしまうようなものではない。あくまで今残っているフィルムだけに視線を注ぎながら、『グリード』という作品を読み解いていくことも重要だと思う。

 

井上正昭
1964年生まれ。Planet Studyo + 1 で映画の自主上映にたずさわる。訳書に『映画監督に著作権はない』(フリッツ・ラング、ピーター・ボグダノヴィッチ/筑摩書房 リュミエール叢書)、『恐怖の詩学 ジョン・カーペンター』(ジル・ブーランジェ/フィルムアート社)、共著に『映画を撮った35の言葉たち』(フィルムアート社)がある。
ブログ「明るい部屋:映画についての覚書」

《鑑賞料》 生伴奏付き上映 一般:2000円 ユース(25歳以下):1500円 会員:1700円
《講座参加費》 一般:1000円 ユース(25歳以下):500円 会員:700円
予約受付
メールと電話によるご予約を承ります。鑑賞を希望される日時と作品名、お名前、電話番号をお知らせください。予約で満席でなければ、当日に予約無しでもご入場いただけます。
info@kobe-eiga.net 078-754-8039

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