2024年12月22日(日)
『あきあはせ』『ウ・マリニェイロ』上映会
2023年、マルセイユ国際映画祭インターナショナルコンペティションにおいて、審査委員長を務めるアンゲラ・シャーネレク監督のもと、準大賞に当たるジョルジュ・ド・ボルガール賞を受賞したフェルナンド・ペソア原作の長編『ウ・マリニェイロ』。2024年、同映画祭フランス国内コンペティションにおいて、初公開された樋口一葉原作の中編『あきあはせ』。
2019年に仏国立現代アートスタジオ=ル・フレノワを修了後、現在はフランス・パリを拠点に活動する、これら山角洋平の制作・監督の二作品を、このたび新しい日本語字幕とともに上映します。日本初公開となるこの機会に、当日は、現在一時帰国中の山角監督と、氏とかねてから交流のある、同志社大学の高木繁光教授を神戸に招き、質疑応答と対談を行います。
13:30
『あきあはせ』 Habits d’automne
(フランス-ポルトガル/2024/45分)
監督・制作:山角洋平
原作:樋口一葉『あきあはせ』
マルセイユ国際映画祭2024 フランス国内コンペティション出品
リタ・センラは、私たちが日本式と呼んでいる小さなカップで、友人のためにお茶を入れる。ジョルジオ・モランディやポール・セザンヌの絵画のように構成されたショットは、読者の夢想から引き出された、優雅な二重写しと結びつく。それぞれの音、色、質感が私たちの感性を高める。その洗練と繊細さの中で、『あきあはせ』からは、ドストエフスキーが口にしたある実存的要求が立ち上がる──「美は世界を救う。」山角洋平にとって映画とは、作品と文化が相互に反応し、あらゆる芸術が称賛される場所。アトリエ──批評家ジャン=リュック・ナンシーにとってお馴染みの、「居どころのない場所」──は、「ありふれたもの、したがって意味のあるもの」が生み出される場であり、また「共にある」ということ、「存在することに触れられた存在」の場でもある。
クレール・ラソル(マルセイユ国際映画祭 選考委員)
対談・質疑応答(45分):高木繁光(同志社大学教授)、山角洋平(監督・制作)
15:20
『ウ・マリニェイロ』O Marinheiro
(フランス-ポルトガル/2023/75分)
監督・制作:山角洋平
原作:フェルナンド・ペソア『O Marinheiro』
マルセイユ国際映画祭2023 インターナショナル・コンペティション、ジョルジュ・ド・ボールガール賞受賞
「私たちは生まれたときにポジティブを与えられた。ネガティヴを作るのは、私たち。」 カフカのこの一文は、ゴダールを夢見させた。山角洋平は、そのことを最大限にまで実現する。彼の映画の2番目のショットでは、遠くに灯台が見え、前景には造形的な韻を踏みつつ、岸壁に置かれたボトルが見える。大きさの、すべてのスケールは廃止されている。これは、小津の『浮草』(1959)の最初のショットと同一の、しかしながら反転された繰り返し。この日本の巨匠の映画と同様に、『ウ・マリニェイロ』の本当の主題は、物事の移り変わりにある。すべてがただ過ぎ去るだけだとしたら、現実感には何の意味があるのか? いや、そうではない。映画の最後で、日の光が戻り、ポルトの街の景色が見えるとき、それは眩惑に他ならない。そして、小津のもう一人の弟子、ジャン=クロード・ルソーの教えが思い出される── 「すべては堪能するためにある。」
シリル・ネラ(マルセイユ国際映画祭 選考委員)
対談・質疑応答(25分):高木繁光、山角洋平
《料金》 1作品:1500円 2作品:2500円
予約受付
メールと電話によるご予約を承ります。鑑賞を希望される日時と作品名、お名前、電話番号をお知らせください。予約で満席でなければ、当日に予約無しでもご入場いただけます。
info@kobe-eiga.net 078-754-8039
主催:レシ(recit@recit-rec.com) 助成:公益財団法人神戸文化支援基金
共催:神戸映画資料館