2025年11月1日(土)〜3日(月・祝)、8日(土)・9日(日)
人生の幻影 ダグラス・サークの二都物語 第3弾
第3弾 アメリカ時代初期 亡命者サークが描くヨーロッパ
ファスビンダーやアルモドバルなど、多くの映画作家たちに今なお影響を与え続けている偉大な映画作家ダグラス・サーク。彼がナチスドイツを逃れてハリウッドに渡り、デトレフ・ジールクからダグラス・サークへと名を変え、50年代に撮った『天が許し給うすべて』や『風と共に散る』、『悲しみは空の彼方に』などの華麗なメロドラマの数々は、60年代末になって再評価され始め、メロドラマ映画の概念を根底から覆すことになる。メロドラマの巨匠として、ダグラス・サークの評価は今や不動のものとなったと言っていいだろう。しかしサークが撮ったのは何もメロドラマばかりではない。アメリカ時代に彼が手がけた作品は、コメディやフイルム・ノワール、歴史物、さらには西部劇さえも含む。
特集の第3弾は、デトレフ・ジールク名義最後の作品から、アメリカに渡りダグラス・サーク名義で手がけた初期作品の計5作品を一挙上映。
11月1日(土)〜3日(月・祝)
『小悪党』 Boefje
(オランダ/1939/88分)シティ・フィルム
監督:デトレフ・ジールク 原作:J.M. ブリュッセ
脚本:カール・ツックマイヤー、カート・アレクサンダー
撮影:アコス・ファルカシュ 音楽:コア・ステイン
出演:アニー・ファン・エース、ヒュース・ブロックス、エニー・エイマンス=スネイダース、ピート・ブロン
街で盗みを働く12歳のヤンと不良友達はギャングに憧れてアメリカに渡航しようとするが…。人に影響されやすいナイーブなヤンが、悪にも善にもなりうることを見抜く牧師の存在が重要。独特な顔つきと動作が印象的なヤンを演じたのは何と45歳の女優!サークがオランダで撮った2本のうちの1本で、撮影後すぐオランダを去ったサークは本作を観ることはなかった。
『ヒトラーの狂人』 Hitler’s Madman
(アメリカ/1943/84分) アンジェラス・プロダクションズ、PRC
監督:ダグラス・サーク 原作:バート・リットン
脚本:ペレッツ・ヒルシュバイン、メルビン・リーヴィ、ドリス・マロイ
撮影:ジャック・グリーンハル 音楽:カール・ハヨス
出演:パトリシア・モリソン、ジョン・キャラダイン、アラン・カーティス、ハワード・フリーマン、ラルフ・モーガン
ナチス支配下のチェコで起きたハイドリッヒ暗殺とナチスによる報復を描く。本人そっくりというジョン・キャラダイン扮するハイドリッヒの冷酷非情さに加え、村を殲滅させる凄惨な報復描写も凄い。同事件を題材にした『死刑執行人もまた死す』と見比べるのも一興。無名時代のエヴァ・ガードナーも出演している。
『夏の嵐』 Summer Storm
(アメリカ/1944/107分) アンジェラス・ピクチャーズ、ネロ・フィルムズ
監督:ダグラス・サーク 原作:アントン・チェーホフ
脚本:ローランド・リー、ダグラス・サーク、ロバート・ソーレン
撮影:ユージン・シュフタン 音楽:カール・ハヨス
出演:ジョージ・サンダース、リンダ・ダーネル、エドワード・エヴェレット・ホートン、シグ・ルーマン
帝政ロシア末期。判事のジョージ・サンダースは愛する人がいながら木こりの娘にのめり込むが…。男を踏み台にするリンダ・ダーネルと破滅してゆく貴族階級の男たちが、激変する時代を象徴するようだ。果てしない野心を秘めた娘を演じるリンダ・ダーネルの圧倒的魅力を堪能する1本。
11月8日(土)・9日(日)
『パリのスキャンダル』 A Scandal in Paris
(アメリカ/1946/100分)アーノルド・プレスバーガー・フィルムズ
監督:ダグラス・サーク
原作:ユージン・フランソワ・ヴィドック
脚本:エリス・セント・ジョセフ 撮影:ガイ・ロー
音楽:ハンス・アイスラー
出演:ジョージ・サンダース、シグニ・ハッソ、キャロル・ランディス、エイキム・タミロフ
犯罪者から警視総監になった実在のヴィドックをモデルに、ジョージ・サンダースがモテモテ知能犯を演じるクライム・ラブコメ。純情な令嬢と計算高い元歌姫のダブルヒロインも魅力的。ご都合主義ながらラストに向けて盛り上がる展開はさすがサーク! 影を使った演出やお猿さんも最高。
『ちょっとフランス風』 Slightly French
(アメリカ/1949/81分)コロンビア・ピクチャーズ
監督:ダグラス・サーク 原案:ハーバート・フィールズ
脚本:カレン・デ・ウルフ 撮影:チャールズ・ロートン・Jr
音楽:ジョージ・ダニング
出演:ドロシー・ラムーア、ドン・アメチー、ジャニス・カーター、ウィラード・パーカー
完璧主義が行き過ぎて主演のフランス人女優が逃げだし、監督を下ろされたドン・アメチー。見せ物小屋で見つけた女の子を“フランス風”に仕立てて撮影続行を企てるが…。映画内映画のダンスシーンの凄さで度肝を抜かれ、その後は片思いの連鎖に胸キュンの一本。ドロシー・ラムーアが魅力的なラブコメの傑作!
*全作品デジタル上映
《料金》 1本あたり(当日2本目以降は100円割引)
一般:1300円 シニア(65歳以上)・障害者:1100円 ユース(25歳以下):700円 会員:1000円
予約受付
メールと電話によるご予約を承ります。鑑賞を希望される日時と作品名、お名前、電話番号をお知らせください。予約で満席でなければ、当日に予約無しでもご入場いただけます。
info@kobe-eiga.net 078-754-8039
協力:ダッサイ・フィルムズ、井上正昭
