神戸映画資料館

PROGRAM プログラム

2025年12月20日(土)・21日(日)

朴壽南(パク スナム)監督初期作品 16mmフィルム特別上映

『よみがえる声』公開記念
朴壽南(パク スナム)監督初期作品 16mmフィルム特別上映

『もうひとつのヒロシマ アリランのうた』

戦後八十年の節目をむかえた今年、ドキュメンタリー映画の力作が話題になっている。ベルリン国際映画祭や釜山国際映画祭で評価され、東京を皮切りに全国に上映展開中の『よみがえる声』だ。山形国際ドキュメンタリー映画祭のクロージングでも上映され、その「声」が若い観客に届いていることを確認した。そうした観客の中から朴壽南監督の旧作を見たいとの声が高まってきたので、当館に監督から寄贈され保存する旧作2本をオリジナルの16mmフィルムで特別上映する。
朴壽南監督は、1963年の小松川事件少年被告囚との往復書簡で注目を集め、1965年の広島・長崎のコリアン被爆の実態調査や、1989年の沖縄へ強制連行された軍夫・慰安婦の実態調査、その成果である証言集を出版。活字だけではなく、小川紳介や土本典昭らと共闘した名キャメラマン大津幸四郎の協力を得て動く映像でその証言を集め記録した。

 

『もうひとつのヒロシマ アリランのうた』
(1986/58分/16mm)
監督:朴壽南 撮影:大津幸四郎、星野欣一
編集:富塚良一 整音:甲藤 勇 音楽:原正美
製作:青山企画、アリランのうた製作委員会

父や母たちは、
未曾有の原爆惨禍を証言して、
人類の未来を証言する

監督第1作。広島・長崎で十万人ともいわれながら、日本、南北朝鮮の政府からも棄民されてきた朝鮮人の原爆被爆の実態に初めて光をあてた作品。小松川事件(1958年)の少年死刑囚・李珍宇との書簡集の後、朴壽南は奪われた存在を回復する「私の旅」に向かい1965年から広島、長崎、筑豊へ。南北の分断をこえ朝鮮人被爆者の沈黙を掘り起こし、1973年に証言集を発表。1985年からペンをカメラに替え、植民地下の強制連行と皇民化教育、差別と原爆障害に苦しむ同胞の声なき声、治療のため来日した在韓被爆者の訴えをすくいとり、日本の反核運動に衝撃を与えた。1987年原水爆禁止世界大会で上映。

 

『アリランのうた オキナワからの証言』
(1991/100分/16mm)
監督:朴壽南 撮影:大津幸四郎、宮内一徳
編集:富塚良一 整音:甲藤勇 音楽:原正美
製作:アリランのうた製作委員会

私のあるべき場所はどこか。
それを捜して、
戦後なお隠蔽されてきた歴史の闇へ降りていった

歴史の闇に葬られてきた沖縄戦の朝鮮人「軍属」と「慰安婦」の実相を追う第2作。本作も死者の鎮魂と再生の思いに貫かれる。1989年、朴壽南は沖縄に移住し戦争体験を聞き取り、韓国の元「軍属」や日本兵ら100人以上を取材。慶良間諸島に強制連行された軍属の日本兵による虐殺や「慰安婦」の悲劇を明らかにする。「慰安婦」は「天皇の軍隊による性暴力」と提起した本作の上映運動は、90年代、日本の責任を問う韓国の元「慰安婦」の闘いを支えた。初めて「慰安婦」と名乗りでたペ・ポンギさんの映像は反響を呼び、その死後、市民の手で「慰安婦」「軍属」を悼む「アリラン慰霊のモニュメント」が1997年に沖縄・渡嘉敷島に建立された。

 

《料金》 1本あたり(当日2本目は100円割引)
一般:1800円 シニア(65歳以上):1300円 障害者:1000円 ユース(25歳以下)・会員:1200円
予約受付
メールと電話によるご予約を承ります。鑑賞を希望される日時と作品名、お名前、電話番号をお知らせください。予約で満席でなければ、当日に予約無しでもご入場いただけます。
info@kobe-eiga.net 078-754-8039

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