2022年6月4日(土)5日(日)
映画製作委員会と映像集団「8の会」の仕事
フィルム時代を生きた高橋一郎、鵜久森典妙を偲んで
神戸ゆかりの映画人、監督の高橋一郎とプロデューサーの鵜久森典妙が昨年相次いで亡くなられた。神戸映画資料館に数多くのフィルムを寄贈いただき、上映して欲しいとの依頼を実現できないまま時が経ってしまった。遅くなってしまったが、お二方の偉業を偲び追悼上映を行うことにした。今回はこれまで上映機会の多かった映画製作委員会の作品のほか、高橋一郎がメンバーだった映像集団「8の会」の作品も加えた。「8の会」は1970年ごろ電電公社社員と放送業界人たちが「創らされている、から創りたい作品を世に送りたい」と8人が集まり1970年ごろに結成、大阪の桜ノ宮に事務所を設け、半分素人、半分プロのユニークな集団だった。
A=6月4日上映 B=6月5日上映
A
「笑ってる もえてる 光ってる」
(1981年/87分/ブルーレイ上映)映像集団「8の会」
監督:高橋一郎
撮影:重清憲二、岩井銀二、原博司、山添晢也、宮脇浩、土屋裕信、中務賢二、加川信樹、荒木克己、井上嘉雄、野村啓治、間宮信男、林耕一
語り:大山のぶ代
国際障害者年記念として大阪での養護学校の現状と展望を描く。堺市の百舌鳥古市古墳群に近接する大阪府立養護学校や堺市立「あけぼの療育センター」に長期取材し、肢体不自由児療育の様子が丹念に描かれる。
B
「原発はいま」
(1982年/49分/ブルーレイ上映)映像集団「8の会」
監督:近江道広 脚本:高橋一郎
撮影:原博司 ナレーション:南風洋子
原子力発電の安全神話は、スリーマイル島や敦賀の原発事故によって脆くも崩れた。福井県美浜、大飯、高浜、高知県窪川、宮城県女川などの原発地域を取材。原発を支えている「被曝要員」と呼ばれる下請け労働者たちの実態を検証し、その恐るべき労働実態を明らかにする。
A
「24,000年の方舟」
(1986年/33分/16mm)
「24,000年の方舟」映画製作委員会
構成、監督:高橋一郎 プロデューサー:鵜久森典妙
企画:鵜久森典妙、保木政男 撮影:山添哲也
ナレーター:大滝秀治
事故がなくても、原発が日々ためこんでいく核のゴミ。捨て所のない核のゴミを私たちは子孫に託す。住宅街を走り抜ける核燃料輸送車、カメラがその姿を初めて捉えた。プルトニウムの半減期は24000年、われらの方舟は茫漠たる海を漂う。原発再稼動を許すな!! 映画「ホピの予言」の監督で知られる宮田雪も登場しアメリカ先住民の被曝状況を語る。
B
「生命ある限り」
(1988年/49分/16mm)
兵庫県原爆被害者団体協議会、「被爆の実相の記録を残す」映画普及実行委員会
監督:高橋一郎 製作:菅和明、細川誠人、春田祐子
撮影:山添哲也、宮脇浩、林耕一、岩井銀二
ナレーター:小松敦子
製作協力:映像集団「8の会」
核兵器のない世界を目指して!! 兵庫県原爆被害者団体協議会に集う人々が語りつぐ原爆の悲惨と平和への願い。渾身の思いをこめた証言集。
A
「奇妙な出来事 アトピー」
(1991年/46分/16mm)
「アトピー」映画製作委員会
監督:高橋一郎 製作:鵜久森典妙 企画:壬生忠見、島川治信
撮影:山添哲也、間宮信男、林耕一、岩井銀二、宮脇浩
ナレーター:日色ともゑ
アトピーは単なる皮膚炎ではない。高脂肪・高蛋白の食のスタイル、農薬、添加物、合成洗剤をはじめとした化学物質、空気や水を汚染する物質、重金属、ダニ、心に負担をかけるストレス、衛生環境の変化等の社会問題が複雑に絡み合っている。高度経済成長の中で進められた経済至上主義が私たちの暮らしを支配し、そこから抜け出さねばならないことをアトピーは示唆している。
《日本記録映画作家協会賞、優秀映画鑑賞会推薦》
B
「風ものがたり 食と農と環境」
(1995年/58分/16mm)「風ものがたり」映画製作委員会
監督:高橋一郎 製作:鵜久森典妙 企画:島川治信、矢田宏 撮影:山添哲也
語り:川津祐介
小さな村の専業農家、小さな町の生産者と消費者の共同グループ、地方都市の生産者と消費者の共同グループ、大都市の消費者グループが登場。自然と共生しながら夢を持ち、胸を張って生きる人々。「土は生命」を合言葉に生きる人々を描く。「24000年の方舟」「奇妙な出来事アトピー」に続く映画製作委員会の環境三部作完結篇。
《地球環境映像祭環境教育映像賞、日本映画復興奨励賞、文部省選定、優秀映画鑑賞会推薦》
《料金》一日通し券
一般:1800円 シニア(65歳以上):1500円 ユース(25歳以下)・会員:1200円
予約受付
メールと電話によるご予約を承ります。鑑賞を希望される日、お名前、電話番号をお知らせください。予約で満席でなければ、当日に予約無しでもご入場いただけます。
info@kobe-eiga.net 078-754-8039
文化庁「ARTS for the future!2」補助対象事業