プログラムPROGRAM

連続講座:20世紀傑作映画 再(発)見
第4回 『カメラを持った男』──機械の眼が見た〈真実〉

2018年5月26日(土)
講師:井上正昭(翻訳・映画研究)

このシリーズ講座では、映画史の節目を刻んできた傑作を毎回一本ずつ上映し、検証してゆく。時代の中から生まれながら、時代を超えて生き残る。古典とはそういうものだ。それは、つねに〈来るべき〉作品であり、映画館のような場所でそのつど〈発見〉される。このような観点から、作品を映画史の中にきっちりと位置づけ、それがいかにして生まれ、どのように受容され、それ以後の映画にどんな影響を与えたのかを検証する一方で、あたかも新作を見るように、その映画を純粋に味わい、どこにその〈映画的〉魅力があるのかを探ってゆく。

14:00 13:30〜 参考上映
「カメラを持った男」
Человек с киноаппаратом
(ソ連/1929/66分[24fps] 100分[16fps]/16mm)

「キノ・プラウダ」
Kino-pravda
(ソ連/1922/20分[16fps]/16mm)
「キノ・プラウダ」1-12号を再編集したダイジェスト版。
監督:ジガ・ヴェルトフ
伴奏:鳥飼りょう

15:45〜(終了予定17:15) 講座
劇映画を否定し、「不意打ちの人生」を捉まえることを唱え、ゴダールにも影響を与えたソ連の映画作家ジガ・ヴェルトフ。今回の講座では、彼の代表作であり、映画史上もっとも重要なドキュメンタリー=アヴァンギャルドの一つ『カメラを持った男』について考える。パンク映画と呼びたくなるほど現代的なこの映画を、あえて同時代の文脈の中に置き直して、その画面の意味を読み解いてゆくと同時に、エイゼンシュテインのモンタージュ理論はもちろん、未来派・構成主義といった同時代の芸術運動やスターリン主義などとの関係についても検証する。

井上正昭
1964年生まれ。Planet Studyo + 1 で映画の自主上映にたずさわる。訳書に『映画監督に著作権はない』(フリッツ・ラング、ピーター・ボグダノヴィッチ/筑摩書房 リュミエール叢書)、『恐怖の詩学 ジョン・カーペンター』(ジル・ブーランジェ/フィルムアート社)、共著に『映画を撮った35の言葉たち』(フィルムアート社)がある。
ブログ「明るい部屋:映画についての覚書」

《参加費》 参考上映付き 1800円 学生1200円


第22回 くにづか月イチ上映会
2018年5月27日(日) 13:30〜

 

《料金》 無料

主催:くにづかリボーンプロジェクト、アスタくにづか神戸市保留床テナント会


高橋洋監督最新作
『霊的ボリシェヴィキ』
2018年6月1日(金)〜10日(日)[水・木休館]

それは、
あの世に触れる
〈恐怖の革命〉

Jホラーの巨匠、高橋洋が切り拓く、
かつてない “心霊映画”

 

「霊的ボリシェヴィキ」
(2017/72分/ブルーレイ上映)
監督:高橋洋 撮影:山田達也 照明:玉川直人
録音:臼井勝 音楽:長嶌寛幸 製作:映画美学校
配給・宣伝:『霊的ボリシェヴィキ』宣伝部
配給・宣伝協力:プレイタイム

出演:韓英恵、巴山祐樹、長宗我部陽子、高木公佑、近藤笑菜、河野知美、本間菜穂、南谷朝子、伊藤洋三郎

集音マイクがそこかしこに仕掛けられた奇妙な施設。呼び集められたのは、かつて “あの世に触れた” ことがあるという “ゲスト” と呼ばれる男女たちだった。その中の一人、由紀子には、幼い頃 “神隠し” に遭遇した過去があった。強すぎる霊気により一切のデジタル機器が通用しないこの場所 で、静かにアナログのテープが回り始める。やがてテープに記録されてゆくのは、人間の領域を踏み越える禁断の心霊実験だった……。

脚本家として『女優霊』『リング』でJ(ジャパニーズ)ホラーというジャンルを確立させた高橋洋。前監督作『旧支配者のキャロル』(2011年)から6年ぶりに監督、脚本を務めた最新作は、かつてないスタイルの心霊恐怖映画となった。
『霊的ボリシェヴィキ』という衝撃的なタイトルは、神道霊学研究家の武田崇元氏が70年代に提起して以降、ディープ・オカルトの世界でのみ密かに語り継がれた言葉である。20年以上前からこの言葉に取り憑かれた高橋は、商業ベースでの実現を試みながら果たせず、今回、最もオリジナルの構想に近い形で、映画による “霊的革命” を実現へと導いた。
高橋が一貫して追求してきた「恐怖映画」の要素と、前作『旧支配者のキャロル』からさらに深化した「人間ドラマ」が組み合わさり、新たなる恐怖の地平が切り拓かれる!
その最初のホン読み(シナリオの読み合わせ)は、「まるでそれ自体が降霊実験のようだった」とスタッフは証言する。『霊的ボリシェヴィキ』は観客を直接映画の中へと巻き込み、スクリーンに漂う“霊気”を体感させる、まったく新しい形の “霊的エンターテインメント” である。

→公式サイト

《料金》
一般:1700円 学生:1000円 シニア:1100円 会員:1000円
*初日サービスDAY 一律1100円
 *招待券のご利用不可

 


『霊的ボリシェヴィキ』公開記念
高橋洋監督作品集
2018年6月2日(土)・3日(日)、9日(土)・10日(日)

『ソドムの市』『狂気の海』『旧支配者のキャロル』に加え、映画美学校で制作されたコラボ短篇を一挙上映。

Aプログラム
「ソドムの市」
(2004/104分/DVCAM)©2004ホラー番長製作委員会
監督・脚本:高橋洋 撮影:小暮洋輔 美術:山本直輝 音楽:長嶌寛幸
出演:浦井崇、小嶺麗奈、中原翔子、園部貴一
「ホラー番長」シリーズの一本として撮られた高橋洋長編デビュー作。盲目の極悪人「ソドムの市」こと爼渡海市郎(浦井崇)は、最悪の破壊計画をたくらんでいた。発端は18世紀、市郎の祖先、領主市兵衛によって身に覚えのない罪で責め殺された腰元のテレーズ(小嶺麗奈)とキャサリン(宮田亜紀)。それがまったくの濡れ衣だったと判った途端、爼渡海家一族に、二人の女の呪いが襲いかかる。そして現代、呪われた血を受け継いだ市郎はキャサリンそっくりの妹を斬り殺し、悪逆非道を繰り返していた。そこに立ちはだかる復讐の女刑事はテレーズと瓜二つ。市郎は二人の女が呼び寄せる地獄の呪いに絡め取られ、この世を混乱の淵に叩きもうとする。特撮、マブゼ、井原西鶴…高橋洋が好きなものを全部ぶち込んだ、時空を超えた地獄絵巻!

 

Bプログラム
「狂気の海」
(2007/34分/DVCAM)
監督・脚本:高橋洋 撮影:山田達也 録音:臼井勝 音楽:長嶌寛幸
出演:中原翔子、田口トモロヲ、長宗我部陽子
時まさに現代、国会での圧倒的な議席数を背景に日本国首相・真壁晋太郎(田口トモロヲ)は日本を「普通の国」にするべく憲法改正に着手しようとしていた。しかし、首相夫人(中原翔子)はあまりにも憲法九条を愛し過ぎてしまっていた。明らかに狂った形で……。そんな緊迫した事態の中、合衆国大統領が何者かによって呪い殺されるという事件が起きる。動き出す〈FBI霊的国防部〉。捜査官のライス(長宗我部陽子)は、強力な軍事力を背景に首相夫妻を追い詰める。やはり日本は核武装して対抗するほかないのか!? しかし、アメリカすらも思い及ばぬ、言語を絶した人々が日本の地下には潜んでいたのだった……!!映画美学校フィクション・コース第9期高等科コラボレーション実習作品。

併映
「おそらく悪魔が」(2009/9分/DV)
監督・脚本:高橋洋 出演:伊野紗紀、渡辺あい
『恐怖』を撮り終えたばかりの高橋洋がまたもや撮った「姉妹物」。インチキ霊媒師の姉の言いなりになっている妹。妹は愛する男と叛逆を決意するが……。出演は後に『反駁』を撮る伊野紗紀と『愛∞コンタクト』の渡辺あいの監督コンビ。映画美学校フィクション・コース第13期初等科ミニコラボ実習作品。

「続・おそらく悪魔が」(2011/11分/DV)
監督・脚本:高橋洋 出演:きむらゆき、八幡みゆき
Jホラーシアターで流れた企画『デアボリック!』を高橋洋が無理やり短編化。霊能姉妹の血の相克に呪われた屋敷。訪れた撮影隊の前に超常現象の嵐が! 出演は『海街diary』のきむらゆきと今や演劇界の大型新人、八幡みゆき。映画美学校フィクション・コース第15期初等科ミニコラボ実習作品。

「炎の天使」 (2012/9分/HD)
監督・脚本:高橋洋 出演:きむらゆき、中川智明
前作の霊感女優まどか(きむらゆき)は演劇集団を率いていた! 「人としてどーなんですか?」が禁句の過酷なオーディション! あまりの罰当たりな所業についに戦車の砲撃が始まった! 高橋洋がこだわる「邪教集団物」の一本。映画美学校フィクション・コース第16期初等科ミニコラボ実習作品。

「代理人アイリーン」(2015/15分/HD)
監督・脚本:高橋洋 出演:奥崎愛野、的場裕美、山田雄三
高橋洋がカナザワ映画祭「映画の生体解剖」トークで着想を得た「邪教集団物」。神の代理人を名乗る女に森で救われた恋人たち。二人を待ち受けていたのはタコ踊りをする狂った教団だった! 映画美学校フィクション・コース第19期初等科&アクターズ・コース俳優育成ワークショップミニコラボ実習作品。

 

Cプログラム
「旧支配者のキャロル」
(2011/47分/HD)
監督・脚本:高橋洋 撮影:山田達也 録音:臼井勝 音楽:長嶌寛幸
出演:松本若菜、中原翔子、津田寛治、本間玲音、伊藤洋三郎
ホラーから一転「真の人間ドラマ」に初めて挑んだ一作。映画学校の卒業制作の監督に選ばれたみゆき(松本若菜)。彼女は講師であり、憧れの女優、早川ナオミ(中原翔子)に出演を依頼する。監督という大役に熱が入るみゆき。だが、ナオミが科す試練はあまりに過酷だった。「現場では心にスタンガンを持て!」ナオミの言葉を反芻する現場にただならぬ緊張感が走る。プレッシャーと戦うみゆきは、クラスメイトで出演者でもある村井(津田寛治)に支えられながら撮影を続けるが、現場は熾烈を極めていく……。映画美学校フィクション・コース第13期高等科コラボレーション実習作品。

併映
「画廊」(2017/8分/HD)
監督:高橋洋 脚本:平野未来 出演:古内啓子、高木公佑、浅田麻衣
高橋洋が初めて他人の脚本で監督。絵が一枚も飾られていない画廊にさまよい込んだヒロイン。やがて暗がりに次々と投影されてゆくのは自分がかつて見た悪夢だった。悪夢の前で審問が開始される…。『霊的ボリシェヴィキ』の髙木公佑が学外からゲスト出演! 映画美学校脚本コース第6期高等科映像化演習作品。

「アウグスト・ストリンドベリ全集 生霊人間」(2018/21分/HD)
監督・脚本:高橋洋 出演:湯川紋子 石山優太 那須愛美 釜口恵太
舞台俳優、石山には秘かな企みがあった。いつも死ぬ役ばかりでウンザリだ。今度は自分がエチュード劇を主宰して、絶対死なない役をゲットしてやる! だが役者仲間の湯川が自身の生霊体験を話し始めたばかりに、稽古はコントロール不能に陥ってゆく……。「ゲーテを越えようとしてオカルトに走った?」北欧の大劇作家ストリンドベリの戯曲が原型をとどめない展開に!映画美学校フィクション・コース第21期初等科&アクターズ・コース俳優養成講座2017ミニコラボ実習作品。

 

《料金》
一般:1400円 学生:1000円 シニア:1100円 会員:1000円
*当日『霊的ボリシェヴィキ』ご鑑賞で200円割引 *招待券のご利用不可


続・新東宝ピンク映画 ラスト・フィルム・ショー in 神戸 vol.1
“A History of Pink~昭和から平成へ~”

2018年6月16日(土)・17日(日)

前回は21世紀にはいってピンク映画デビューした「新人監督」の作品にスポットを当てたが、今回は“A History of Pink~昭和から平成へ~”と題し、昭和40年代から平成にかけて製作された作品群、とくに今年のベルリン映画祭で特集が組まれた国映の朝倉大介プロデュース作品を軸にシリーズでお届けする。

その1回目に選んだのは1984年に製作された滝田洋二郎、周防正行、広木隆一監督の極め付きの3作品。
 

「真昼の切り裂き魔」
(1984/60分/35mm)国映
監督:滝田洋二郎 企画:朝倉大介
脚本:夢野史郎 撮影:志賀葉一
照明:金沢正夫 助監督:片岡修二
出演:織本かおる、中根徹、麻生うさぎ、青木祐子、池島ゆたか、下元史朗
 
女性の下腹部を切りとって殺す残虐な切り裂き魔。雑誌編集者の亜矢はたまたま被害者の死体を発見する。ところがあるカメラ雑誌の投稿ページに掲載された写真には男が女に切りかかる様が写っていて……。異常犯罪の世界を描いた傑作ミステリー篇。若き滝田洋二郎監督の手腕が冴える。

 

「変態家族 兄貴の嫁さん」
(1984/62分/35mm)国映
監督・脚本:周防正行 企画:朝倉大介
撮影:長田勇市 美術:種田陽平
音楽:周防義和 編集:菊池純一
出演:風かおる、下元史朗、大杉漣、山地美貴、麻生うさぎ、首藤啓
 
周防正行監督の名を世に知らしめたピンク映画による小津スタイルの忠実な模倣。単なるキワモノではない充実した内容と完成度がその後の周防監督の活躍ぶりを予言するかのようだ。2月に急逝した俳優の大杉漣氏が30年前に70代の老け役に挑戦した貴重な作品でもある。
 

「白昼女子高生を犯す」(プリントタイトル『欲望の海 義母を犯す』)
(1984/60分/35mm)新東宝映画
監督:広木隆一 脚本:今成宗和
撮影:遠藤政史 照明:森久保雪一
助監督:富岡忠文
出演:首藤啓、甲斐よしみ、沖ようこ、野上正義、ひびき恭子、下元史朗
 
達夫は高校生の久美と典子を海岸でみかける。二人は家出中で久美のボーイフレンドはその海でサーフィン中に波にさらわれ行方不明になったという……。いまや日本を代表する映画監督の一人、広木(廣木)隆一監督の若き日の作品。冬の海の情景を効果的に使ったほろ苦い青春物語だ。

 

協力:ぴんくりんく

《料金》入れ替え制1本あたり
一般1200円 学生1000円 会員900円
《割引》当日2本目は200円引き


七里圭監督最新作 『あなたはわたしじゃない』 & 初期作品35mmフィルム上映
2018年6月30日(土)・7月1日(日)

「音から作る映画」の到達点。
映画以後、の映画。

 

「あなたはわたしじゃない」
サロメの娘 ディコンストラクション
(2018/83分/ブルーレイ上映)
監督:七里圭 テキスト:新柵未成
撮影:高橋哲也、村上拓也、河合宏樹、本田孝義
録音・音響:宇波拓
音楽協力:池田拓実、多井智紀、西村直晃、檜垣智也
製作・配給:charmpoint

出演:青柳いづみ、長宗我部陽子、黒田育世、安藤朋子、川口隆夫、飴屋法水

 

「あなたはわたしじゃない」
そう言って、あの人は私のまえからいなくなった。

あの晩、私は森の中で置き去りにされた。
獣のマスクをしたあの人は、私のお母さん、だったのだろうか?
どことも知れぬ白い部屋で、若い女がつぶやき続ける。
記憶とも空想ともつかぬ独白に、呼び出されるように現れる、囚われの人々。
生き惑う男に素知らぬ振りして、女たちは踊りを止めない。
母から娘へ継がれるカルマを断ち、アイデンティティのくびきから解き放たれるために。

 

初期作品

「のんきな姉さん」
(2004/87分/35mm)
監督・脚本:七里圭 原作:山本直樹
撮影:たむらまさき 音楽:侘美秀俊 編集:宮島竜治
照明:佐藤譲 録音:白取貢
製作:ウォーターメロン・カンパニー、トランス・フォーマー、オービー企画
出演:梶原阿貴、塩田貞治、大森南朋、梓、佐藤允、三浦友和、細田玲菜、細田晃慶

姉(梶原阿貴)との禁じられた愛の記憶を小説に書き、雪山で自殺しようとする弟(塩田貞治)と、聖なる夜にオフィスで残業する姉。その二人の現在に、記憶=小説がフラッシュ・バックされてゆく。雪山と都会、現在と過去という二つの空間、二つの時間が錯綜し、いつしか姉弟はふたりきりで、夜空一杯に打ちあがる花火を見ている。そこは夢の世界か、黄泉の国か…。

目覚めれば目覚めるほど夢に近づいていく、不思議な感触の長編劇場公開映画第一作。七里はこのデビュー作を監督するにあたり、敬愛する山本直樹の同名漫画を原作にして、その漫画の霊感源、唐十郎『安寿子の靴』、森鴎外『山椒大夫』までを射程に収めた。

 

「夢で逢えたら」
(2004/20分/35mm)
撮影:高橋哲也、鈴木明彦 音楽:侘美秀俊
編集:宮島竜治 音響効果:岡瀬晶彦 整音:白取貢
記録:田口良子 プロデューサー:磯見俊裕
出演:安妙子、大友三郎

バスで眠っているうちに、僕(大友三郎)は〝どこか″にたどり着く。よく知っているような、でもぜんぜん知らないような街。長い坂道、釣り堀の向こうの公園、揺れるブランコ。そして僕は、一人の女性(安妙子)に逢った。誰だろう?よく知っているような、知らないような、彼女の部屋…。

まるで夢の中に迷い込んでしまったような、寄る辺ない不思議な切なさを湛えた実験的な短編。この映画はサイレントではない。しかし、二人の登場人物を取り巻く現実の状況音から、彼らの声だけが抜き取られているので、何を話しているのか分らない。声が失われた世界でのボーイ・ミーツ・ガール。欠如を抱えた映像として『眠り姫』、『ホッテントットエプロン』の原型であり、以後の長編を胚胎している重要な作品。「この映画でできたことと、できなかったことが、僕のすべて」とは、七里の言。

 

トーク 6月30日(土)14:35~ 参加無料(当日の映画鑑賞者対象)
七里 圭(監督)+堀 潤之(映画研究・表象文化論)

《料金》
一般:1700円 学生:1000円 シニア:1100円 会員:1000円
*当日2プログラム目は200円割引 *招待券のご利用不可


『沈黙 立ち上がる慰安婦』神戸公開記念
朴壽南(パク スナム)特集

1948年の朝鮮学校が強制的に閉鎖された「4・24阪神教育闘争」から70周年を迎えた今年、在日の抱える問題に正面から取り組んで来た朴壽南監督の業績を振り返る。
1949年に東京朝鮮中等学校入学した朴壽南は、1950年の朝鮮戦争勃発を経て、1963年の小松川事件少年被告囚との往復書簡で注目を集め、1965年の広島・長崎のコリアン被爆の実態調査や、1989年の沖縄へ強制連行された軍夫・慰安婦の実態調査、その成果である証言集の出版。活字だけでなく動く映像でその証言を集め記録するドキュメンタリー映画作家としても知られる。最新作『沈黙 立ち上がる慰安婦』神戸公開に合わせ日本ドキュメンタリー映画史に欠かせない旧作をまとめて上映する。
 安井喜雄(神戸映画資料館館長)

第一週
2018年7月7日(土)・8日(日)

「ぬちがふぅ(命果報) 玉砕場からの証言」
(2012/132分/ブルーレイ上映)
監督・製作:朴壽南 撮影:大津幸四郎、照屋真治
録音:奥井義哉、諸見長人 編集:上嶋皓之、小俣孝行
音楽:原正美 ナレーション:朴壽南、三宅健太
制作コーディネータ:安井喜雄(資料提供:プラネット映画資料図書館)
製作:「アリランのうた」製作委員会

韓国釜山平和映画祭2014大賞〈夢見る平和賞〉受賞
山形国際ドキュメンタリー映画祭2013 特別招待作品
あいち国際女性映画祭2013 正式招待作品

太平洋戦争末期、‘鉄の暴風’にさらされ、約20万人が死亡した沖縄戦。
1945年3月26日、米軍が最初に上陸をめざした慶良間諸島では、日本軍が島の住民へある命令を下していた。「玉砕」、自決の命令である。 渡嘉敷島では330名、座間味島178名、慶留間島(げるまじま)では、島の人口の半分の命が玉砕の悲犠牲になった。阿嘉島では日本軍によって、スパイ容疑がかけられ住民が殺された。

朝鮮半島から強制的に沖縄の戦場に連行された若者たち、前線の慰安所につながれ名もわからないまま死んでいった少女たちの存在を探す旅は、沖縄人自身の戦争体験の深い傷と沈黙との出会いでもあった。
その玉砕場の記憶を掘り起こす旅は、1944年7月サイパンの玉砕場から生きて帰った沖縄人との出会いからはじまる。青酸カリを兵隊に渡され、口に含み奇跡的に助かったかつての少女だ。敵に一矢報いるまでは死ねないと、かつての軍国少年は一家の自決寸前で死ぬことを拒否していった。

命がけで脱出し一命をとりとめた朝鮮人元軍属たち6名が、韓国から47年ぶりに再び島を訪れ、しまんちゅ(島人)と共に、かつて自分たちが労働を強いられ、仲間が殺されたその現場を探す旅がはじまる。
沖縄の住民たちは韓国からの元軍属の訪問をなつかしむように迎え、共に戦火の中の記憶を語りだす。沖縄の島々に連行され天皇の軍隊の奴隷として監禁され踏みにじられた朝鮮の「慰安婦」。まだ15、6歳の女の子たちが、どこにどのように連れて来られ、慰安所ではどうだったのか。朴壽南の執念の取材が、住民達の口を開かせ鮮明な記憶となって浮き彫りとなる。

講演:朴壽南 7月8日(日)15:50~ 参加無料(当日の映画鑑賞者対象)

 

第二週
2018年7月21日(土)・22日(日)

「もうひとつのヒロシマ アリランのうた」(1986/58分/16mm)

監督:朴壽南 撮影:宮内一徳 編集:富塚良一 整音:甲藤 勇 音楽:原正美
製作:青山企画、アリランのうた製作委員会

広島で七万人、長崎で三万人にも上るといわれながら、これまで日本国政府ばかりか、南北朝鮮の政府からも棄民され続けてきた朝鮮人原爆被爆の実態に初めて光をあてたドキュメンタリー。
小松川事件の少年死刑囚との往復書簡(『罪と死と愛と』三一書房・1963年刊、『李珍宇全書簡集』新人物往来社・1979年刊)に始まった在日二世の朴壽南監督の旅は、朝鮮人原爆被爆者たちの沈黙を掘り起こすため広島、長崎へ。朝鮮人原爆被爆の全体像を初めて提示した「朝鮮・ヒロシマ・半日本人」(三省堂・1973年刊)を発表したあと、ペンをカメラに持ちかえ、初となるドキュメンタリー映画を完成。本作は、1986年の公開以来、全国各地400ヶ所で自主上映運動が展開され、さらには1987年の原水爆禁止世界大会で上映されるなど、国際的にも高い評価を受けた。

 

「アリランのうた オキナワからの証言」(1991/100分/16mm)

監督:朴壽南 撮影:大津幸四郎、宮内一徳 編集:富塚良一 整音:甲藤勇 音楽:原正美
製作:アリランのうた製作委員会

映画『もうひとつのヒロシマ』(1986年)­に続く朴壽南の第2作目。
1989年から韓国の元「軍属」や沖縄の住民など100人以上を取材し、日本軍による朝鮮人の虐殺や、沖縄戦における「慰安婦」の存在を浮き彫りにさせた長編ドキュメンタリー。
半世紀もの間、「戦場の娼婦」としておとしめられてきた「従軍慰安婦」。彼女たちは日本国家の強権によって恥辱と恐怖の中で絶望の日々を強いられた犠牲者である。沖縄に移住し3年にわたって証言を収集し完成させたドキュメントは歴史の闇に葬られてきた「慰安婦」の真実を明らかにする。映画の製作と上映運動は90年代、韓国の元「慰安婦」被害者たちによる日本政府への戦後補償を求める運動へと展開していった。
取材は、「大江・岩波集団自決訴訟」の原告である座間味島の元戦隊長の梅澤裕氏ら日本兵にもせまり、沖縄戦における被害と加害の視点を鋭くえぐる。また「慰安婦」として初めて名乗りをあげた故ペ・ポンギさんが登場し、彼女の死後、上映を担った全国の市民は、悲惨な運命を強いられたペ・ポンギさんに連なる多くの女性たちを悼み、心に刻む慰霊碑建立へと立ち上がり、97年、沖縄・渡嘉敷島に「アリラン慰霊のモニュメント」が建立された。

 

→『沈黙 立ち上がる慰安婦』7月7日〜13日 元町映画館で公開
→『沈黙 立ち上がる慰安婦』映画の公式サイト
→パク・スナム公式サイト

《料金》入れ替え制
一般:1400円 学生:1000円 会員:1000円


これまでのプログラム|神戸映画資料館

※内容は予告無く変更する場合があります。

※作品によっては、経年退化で色褪せしている場合がございます。予めご理解ご了承の上、ご鑑賞くださいますようお願い申し上げます。