プログラムPROGRAM
2016 9

山根貞男さんと映画を見て話す会
2016年9月3日(土)13:30~ (16:30よりカフェトーク)

神戸映画資料館所蔵の映画を二本見た後、当館併設のシネマ・カフェ チェリーで山根貞男さんのお話をうかがいます。
 

《料金》 通し券(別途、カフェで1ドリンクのご注文をお願いします)
一般:1700円 会員:1500円
*招待券のご利用不可


中国引揚映画人特集 -幻灯と映画-
2016年9月4日(日)

『せんぷりせんじが笑った!』製作風景

『せんぷりせんじが笑った!』製作風景

 

1945年8月の日本敗戦後、当時の「満洲国」の首都新京(現長春)にあった国策映画会社・満洲映画協会(満映)の機材と施設と人材を引き継ぎ、東北電影公司が新たに発足した。長春に入った中国共産党軍に接収された東北電影公司(東影)は、なおも続く国民党軍と共産党軍の戦闘を逃れ、長春から奥地の興山(旧称鶴崗)に移動、その際に、新中国における映画事業建設への協力を呼びかける中国共産党幹部の説得に応じ、多数の日本人スタッフも同行した。旧満映日本人スタッフの一部は早期帰国したが、内田吐夢、木村荘十二の両監督ほか残留を選んだ人々は、屋外での苛酷な肉体労働に動員される苦難の体験も経つつ、中国の映画人と協同しつつ映画制作及び技術指導に取り組んだ。大半は1953年に帰国したこれらの人々は、内田吐夢など少数の例外を除き、多くは大手映画会社に受け容れられず、独立プロダクション映画を主な拠点としてフリーで活動するか、もしくは映画界を離れることを余儀なくされた。
神戸映画資料館の所蔵コレクションには、満映から東影を経て帰国した映画人たちが関わった映画及び幻灯のフィルムも含まれているが、今回は、その中から数本を上映し、いまだ知られざる部分も多い中国引揚映画人たちの戦後日本における活動の軌跡を辿ってみたい。

 

第一部 幻灯 14:00〜14:30

eigahakoushite01「映画はこうしてつくられる」(推定1955年)
製作:木曜プロダクション
配給:とうきょう・ふぃるむ
後援:日活映画株式会社
神戸映画資料館所蔵フィルムを上映

1954年に映画製作を再開した日活の調布撮影所に取材し、映画の企画から完成までのプロセスを解説する幻灯。フィルム及び説明台本に製作年月日、スタッフ名等は記載されていないが、フィルムのエッジコードと、内田吐夢監督の日本映画界復帰後第二作にあたる『自分の穴の中で』(1955年9月公開)の制作現場紹介を中心としていることから、おそらく1955年に製作されたと考えられる。

 

「せんぷりせんじが笑った!」(1956年)
原作:上野英信 美術:勢満雄 撮影:菊地利夫
製作:日本炭鉱労働組合 配給:日本幻灯文化社
脚本改訂:上野朱
上野朱氏所蔵のオリジナルプリントから作成したニュープリントを上映

1950年代の労働組合による幻灯の自主製作・自主上映運動において、主導的な役割を担ってきた日本炭鉱労働組合(炭労)の製作により、炭鉱の文化サークル運動の成果である上野英信文・千田梅二画の「えばなし」を幻灯化した作品。撮影を担当した菊池利夫、美術を担当した勢満雄は、いずれも満映から東影を経て、1953年に中国大陸から日本に引き揚げた元映画技術者。精巧に造型されたミニチュアセットと人形、緻密なライティングによって、原作の描いた苛酷な坑内労働の情景をリアルに映像化している。勢が美術スタッフとして参加した中国初の人形アニメーション『皇帝夢』(陳波児監督、持永只仁〔方明〕撮影、1946年)の経験が、本作の空間設計のリアリティに寄与していることは確実といえるだろう。

幻灯口演:東川絹子、鷲谷 花

 

第二部 トークと映画 14:45〜16:30
トークセッション
晏 妮(日本映画大学・特任教授、著書『戦時日中映画交渉史』ほか)・鷲谷 花(成城大学・非常勤講師)

「五匹の子猿たち」(1956年)
製作:電通映画社・人形映画製作所 企画:教育映画配給社 プロデューサー:稲村喜一
演出:田中喜次・持永忠仁 脚本:田中喜次 撮影:岸次郎 美術:吉田護吉 音楽:加藤三雄

瀬尾光世の芸術映画社のアニメーターだった持永忠仁は、戦争末期に満洲に渡り、敗戦後は東影を経て上海電影製片廠に移り、中国名「方明」を名乗って草創期の新中国アニメーション映画界において活躍した。帰国後、持永は人形映画製作所を拠点に、人形を使ったストップモーション・アニメーション映画の制作に取り組む。本作は第一作『瓜子姫とあまんじゃく』(1956年)に続く「人形映画」第二作にあたるが、持永の自伝には、引揚後、しばらく職を得られなかった時期に、スライド『五匹の子猿』を制作したとの記述があり、先行する幻灯版が存在する可能性もある。

 

「末っ子大将(暴れん坊大将)」(1960年)
製作:新日本プロ 企画:大阪母親プロ 配給:新東宝
監督:木村荘十二 原作:村田忠昭 脚本:依田義賢
撮影:木塚誠一 音楽:大木正夫 美術:小林三郎
出演:望月優子

1930年代にP.C.Lの看板監督のひとりとして活躍した木村荘十二は、1941年に満洲に渡り、敗戦後の幾多の苦難を経て、1953年に新中国より帰国、その後はもっぱら独立プロダクションの児童映画を監督し、団地の集会所で自主上映会を開催するなど、大手撮影所の外部で活動した。同じ1953年帰国組の内田吐夢とは対照的に、今日顧みられる機会の乏しい戦後の木村のキャリアを再考するにあたり、本作は貴重な作品のひとつといえる。

 

 

《参加費》無料

※本プログラムはJSPS科研費15K02188「昭和期日本における幻灯(スライド)文化の復興と独自の発展に関する研究」(研究代表者:鷲谷花)の助成による


ロシア・ソヴィエト映画 連続上映
第17回 女たちの群像

2016年9月10日(土)・11日(日)
モスクワに生きる女性たちの青春期から円熟期の人生模様を映し出す『モスクワは涙を信じない』と、少女たちを通してスターリン体制下の社会を描く『翌日戦争が始まった』の2作品。

「モスクワは涙を信じない」МОСКВА СЛЕЗАМ НЕ ВЕРИТ
(1980/149分/35mm)モスフィルム
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監督:ウラジーミル・メニショフ
脚本:ワレンチン・チェルヌィフ
撮影:イーゴリ・スラヴネヴィチ
美術:サイド・メニャリシチコフ
音楽:セルゲイ・ニキーチン
出演:ヴェーラ・アレントワ、イリーナ・ムラヴィヨワ、ライサ・リャザノワ、アレクセイ・バターロフ
田舎からモスクワに勉強のため出てきた三人の女性。一人は良妻賢母を夢み、もう一人は軽薄に流行を追う。最後のカーチャは上昇志向が強く、有名なスポーツ選手と結婚するが、結局は離婚して子供を育てる。20年後、工場長になったカーチャの前に新たな恋の相手が現れる。現代女性の生きざまを描き、ソ連で絶大な人気を博したメロドラマ。

 

「翌日戦争が始まった」ЗАВТРА БЫЛА ВОЙНА
(1987/86分/35mm)ゴーリキー・スタジオ
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監督:ユーリー・カラ
原作・脚本:ポリス・ワシーリエフ
撮影:ワジーム・セミョーノヴィフ
美術:アナトーリー・コチュロフ
出演:イリーナ・チェルニチェンコ、ナターリア・ネコダ、ユーリャ・タルホワ、セルゲイ・ニコネンコ、ヴェーラ・アレントワ、ウラジーミル・ザマンスキー
独ソ戦前夜の田舎町。禁止されていたエセーニンの詩を朗読した少女は、すぐに父親が「人民の敵」として逮捕される。少女自身も、友人や教師に裏切られ、つらい状況に置かれる。カラ監督の卒業制作だが、40年代の時代状況とともに、大人の一歩手前にいる子供たちの隠微な世界を描き出す手腕は、世界中で高く評価された。

 

主催:神戸映画資料館、アテネ・フランセ文化センター
協力:ロシア映画社

《料金》入れ替え制
1本あたり
一般1200円 学生・シニア1000円
神戸プラネットシネマ倶楽部会員1000円 学生・シニア会員900円
アテネ・フランセ文化センター会員1000円
《割引》
当日2本目からは200円引き


[貸館] 丸五市場ロケ映画『ミズノの帰還』完成披露試写会
2016年9月11日(日) 10:30〜、12:00〜

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お待たせしました!
丸五市場や駒ヶ林港等の新長田周辺をはじめ、全編神戸市内ロケの中編映画『ミズノの帰還』。
丸一年前に撮影でお世話になった作品がやっと完成いたしました。ロケ地のおひざ元での試写を開催いたします。

『ミズノの帰還』は「10万円でブレードランナー」を合言葉に、超低予算で作られたSFコメディ映画です。
低予算ながら神戸の風景を巧みに切り取り作り上げた近未来の壮大な世界観と、どうしても出てしまう手作りのチープさのギャップが見どころです。

主役は神戸のご当地映画「シナモンの最初の魔法」に出演の松田尚子さん、悪のエスパー「ミズノ」役には神戸市垂水区在住の水野祐樹さんと、神戸にゆかりの深い役者陣が登場します。また、奈須崇さんや劇団ヨーロッパ企画から黒木正浩さんらベテランが脇を固めます。

すでにアメリカやスイスの映画祭から問い合わせのあるこの作品の試写について、無料ですので是非とも足をお運びください。

mizunomain02「ミズノの帰還」 40分 2016年
監督:佃光
出演:松田尚子 水野祐樹 黒木正浩 舛本昌幸
協力:丸五市場 中田工務店 神戸アニメストリート 駒ヶ林蛭子神社 神戸フィルムオフィス 株式会社くにづか

〈あらすじ〉
新長田の蕎麦屋「いまい庵」で働くマミ。彼女の正体は優秀な元エスパーハンターだ。
一方、元町で凶悪なエスパー、ミズノが警官を殺害。
神戸を舞台に避けられぬ戦いが、始まる!

《料金》 無料(カンパ制)

主催:Studio NYANCO
問い合わせ先:広報 早瀬 shuko.cocoa1216@gmail.com


くにづか100円上映会
2016年9月17日(土) 11:00〜

鑑賞料はワンコイン100円!
 

《料金》 100円
(アスタくにづか4番館1階の「コミュニティハウス」では、先着30名様に招待券を進呈)

主催:くにづかリボーンプロジェクト、アスタくにづか神戸市保留床テナント会


[貸館]介護映画「かあちゃんに贈る歌」
2016年9月18日(日)・19日(月・祝) 13:15〜、15:15〜(受付は15分前から)

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「これからの介護を地域で考えよう」
上映会&介護をテーマにトークイベント

約800万人といわれる団塊世代の方が全て後期高齢者になられる2025年には介護の人材が全国で約40万人不足すると推計されています。
また、認知症の患者数は700万人を超えると推計されています。
敬老の日を迎えこれからの介護を皆さんと考えたいと思います。
映画上映後に、監督、映画関係者や福祉関係者と共に今後の介護についてトークイベントを致します。

トークイベントゲスト
坂本まゆみさん(介護研修トレーナー) 守田基師子さん(アートポップ21代表・出演者) 大河原幸子さん(美脳力アカデミー協会代表理事・出演者) 和田真奈美さん(薬剤師・出演者) 和田優奈さん(子役出演者) 松浦貴子さん(ピアノ講師・出演者) 細川十平さん(有料老人ホーム ホーム長) 天満ゆかさん(神戸防災コミュニケーションズ代表) 木下恭兵さん(介護福祉士・認知症サポーター)
葉七はなこ監督(全国通所介護事業者連絡会理事)
※ ゲストは、現時点で決定している方のみで今後追加予定。又、ゲストは日によって代わります。
監督は全日参加予定。

「かあちゃんに贈る歌」(新人監督映画祭プレミア招聘作品)
〈キャスト〉あいはら友子、西方凌、赤塚真人、風間トオル(特別出演)
監修:和田秀樹
脚本・監督:葉七はなこ
エグゼクティブプロデューサー:井内徳次、佐藤みな子
製作:テンダープロ、映画「かあちゃんに贈る歌」製作委員会
制作:オーブンアイズ

介護をテーマに、核家族が抱える介護の現実、介護問題、家族の終末期、命の大切さ、
介護を支える福祉・医療関係者との絆を描いた映画。
受験のシンデレラ、「わたし」の人生(みち) 我が命のタンゴ2作品がモナコ国際映画祭で4冠に輝いた世界で活躍中の映画監督和田秀樹が監修。
脚本、監督の葉七はなこが亡き母の介護をしていた時の実話をモデルにして製作。

〈あらすじ〉
新庄満子はパワフルで明るく人情深い、いわゆる「大阪のおばちゃん」。
娘の葉月は、歌手を目指して日夜ライブハウスに立つ夢見がちなアラフォー、パラサイト・シングルのダメ女。
そんな葉月をかあちゃんの満子はいつも応援し支え続けていたが、突然倒れて寝たきりになってしまう。葉月は戸惑いながらも福祉関係の人達に支えられたり、病院で知り合った認知症の母を介護する男性・林あきらに励まされ、彼にほのかな恋心を抱きながら母の在宅介護を一人続ける日々を過ごす。しかしある日医師から母の余命が半年と宣告され、さらには歌手の夢も破れて葉月は自暴自棄に陥る。

[公式サイト]

 

《料金》 前売り券:1000円 当日:1500円
9月19日敬老の日のみ感謝を込めて70歳以上の方は無料ご招待。
〈前売り券ご購入、お取り置き連絡先〉
株式会社テンダープロ(担当:下出) 03-5798-7775 メール info@tenderpro.net
お名前、連絡先、チケット枚数をご連絡ください。

主催:映画かあちゃんに贈る歌上映委員会、(株)テンダープロ

後援:兵庫県、神戸市、兵庫県教育委員会、兵庫県地域包括・在宅介護支援センター協議会、兵庫県ホームヘルプ事業者協議会、(一社)兵庫県介護支援専門員協会、(一社)全国通所介護事業者連絡会、IKH「医療、介護、保健従事者が元気になる会」、(公社)大阪介護支援専門員協会、生野区居宅介護支援事業者連絡会、生野区訪問介護事業者連絡会、菜の花ケアプランセンター、サランヘルパーセンター、(株)ケアリンク、宅幼老所あでらんて(株)、Fracia ito office、(株)いさむ・ポーク、(一社)美脳力アカデミー協会、デイサービスセンター雅、アートポップ21、JUNピアノ教室、(株)ジョインハーツ、(株)リノテック


これまでのプログラム|神戸映画資料館

※内容は予告無く変更する場合があります。

※作品によっては、経年退化で色褪せしている場合がございます。予めご理解ご了承の上、ご鑑賞くださいますようお願い申し上げます。