プログラムPROGRAM

四方田犬彦朗読会『わたしの犬の眼で』
2017年5月13日(土)16:00〜(途中休憩あり/終了予定19:00)

物語は物語の破綻のなかで語られなければならない。なぜならこの破綻と物語の遥かな再生は同じことであるからだ。未来の再生は今ここで生身の「声」によって瞬時になされるだろう。「風と埃が突然巻き起こる」。発せられ消えゆく言葉はすでに呪われている。生と死をめぐるこの極限の語りは、いわゆる文学の「語り」自体を裏切り、嘲笑ってさえいるのだ。
訳者・四方田犬彦自身によるブラジル女性前衛作家イルダ・イルスト「わたしの犬の眼で」の朗読は、それを論証できるまたとない機会だ。われわれはすでに奇妙な劇場にいる。幕はすでに上がっている。
  鈴木創士(現代思潮新社「エートル叢書」 監修)

 

イルダ・イルスト
ブラジルの詩人、小説家、劇作家。1930年に富裕なコーヒー園の娘として生まれる。サンパウロ大学で法学を学ぶかたわら、詩人としてデビュー。2004年、サンパウロ近郊にあった「太陽の家」で逝去。この館で芸術家やゲイの青年たち、百匹の犬たちに囲まれて、創作活動を続けた。数々の著名な文学賞を受賞しながらも、20世紀ブラジル文学界にあって最も毀誉褒貶に満ちた作家として知られる。
四方田犬彦
比較文学・映画研究家、詩人、エッセイスト。著書に『ルイス・ブニュエル』、『モロッコ流謫』、『先生とわたし』、『貴種と転生 中上健次』、『蒐集行為としての芸術』、『わが煉獄』、ほか多数がある。パゾリーニ、ダルウィーシュ、ボウルズの翻訳者としても知られる。サントリー学芸賞、伊藤整文学賞、芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。

 
イルダ・イルスト著・四方田犬彦訳『猥褻なD夫人』(「わたしの犬の眼で」を併載)、エートル叢書第24弾! 現代思潮新社より絶賛発売中!

主催:神戸映画資料館、現代思潮新社
 

《参加費》 1000円

これまでのプログラム|神戸映画資料館

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