プログラムPROGRAM
2018 12

芦屋小雁芸歴70年記念
秘蔵コレクション・フィルム蔵出し上映

TV・怪奇・SF・ジャズ・ミュージカル
2018年12月1日(土)・2日(日)

神戸映画資料館名誉館長で怪奇・SF映画のフィルム・コレクターとしても知られる芦屋小雁氏が今年芸歴70年を迎えた。それを記念して氏の秘蔵フィルムを上映し、その業績を振り返る。
60年代の初期テレビ番組として、藤本義一が脚本を担当し雁之助と小雁が主演するシリアスな現代劇と、出演作ではないが「まぼろし城」の組田彰造監督による時代劇。怪奇映画の古典であるフランケンシュタインと狼男の名場面集。カウント・ベイシー、デューク・エリントンなど著名なジャズメンが演奏する日本未公開の「ニューポート・ジャズ・フェスティバル1962」。そして懐かしのミュージカル映画名場面集。氏自身のトークもお楽しみに。

12月1日(土) TV・怪奇・SF
13:30〜 60年代TV上映 その1(60分/16mm)
14:40~ トーク1 テレビについて
15:25~ 60年代TV上映 その2(30分/16mm)
15:55~ 怪奇映画上映 フランケンシュタインと狼男のダイジェスト(30分/16mm)
16:25~ トーク2 怪奇SF映画について
終了予定17:00

12月2日(日) ジャズ・ミュージカル
13:30〜 未公開ジャズ映画上映「ニューポート・ジャズ・フェスティバル1962」(41分/16mm)
14:20~ トーク1 ジャズとミュージカル映画について
14:50~ ミュージカル映画上映(132分/16mm)
17:05~ トーク2 今後の抱負
終了予定17:25

* 外国映画の日本語字幕はございませんが、字幕無しでも楽しめる作品です。

《参加費》
1日券 一般:1800円 会員:1300円
2日通し券 一般:3000円 会員:2500円
*予約受付 info@kobe-eiga.net まで、参加希望日、お名前、ご連絡先(メールアドレスまたはお電話番号)をお知らせください。


第29回 くにづか月イチ上映会
2018年12月8日(土) 13:30〜
 
中世ヨーロッパで起こった集団悪魔憑き事件に材を取った作品。(108分)
 

《料金》 無料
アスタくにづか3番館1階の「コミュニティハウス」で整理券を進呈

主催:くにづかリボーンプロジェクト、アスタくにづか神戸市保留床テナント会


[貸館]映画『神楽鈴の鳴るとき』上映会&トークショー
2018年12月8日(土)18:00受付・開場 18:30開演


「神楽鈴の鳴るとき」(2018年/47分)

【作品紹介】
国の重要無形民俗文化財である「河口の稚児舞」をモチーフにした富士山河口湖映画祭準グランプリ脚本を映画化。
原案・脚本は、スタジオジブリ出身の美術家として知られる増山修。
稚児舞の少女を演じるのは、日本アカデミー賞新人俳優賞、濱田ここね。その祖父を演じるのは、今年急逝した名優、大杉漣。
音楽は日本の心を世界に発信し続け、外務省後援の民間外交使節団としても活躍する一座「HEAVENESE」。
加藤明子と白石朋也演じる、苦悩する夫婦の繊細な心情を、重鎮・小沼雄一監督が丁寧に描く。

【あらすじ】
フルート奏者の鏡子(加藤明子)と剣(白石朋也)はオシドリ演奏家夫婦として知られていたが、不妊をめぐる剣の一言が原因で、離婚の危機を迎えていた。
そんなとき、義理の父(大杉漣)から、事故で両親を亡くした姪っ子の鈴(濱田ここね)を、養子に迎えて欲しいと頼まれる。
鈴は、両親が健在であることが条件の、千年の伝統を持つ河口の稚児舞の舞手であった。
稚児舞は続けたいが、新しい両親に抵抗がある鈴。夫とは和解したくないが、鈴のことが気になっていく鏡子。
ともに自分でコントロールできない「命」というものに向き合う二人の関係は・・・

トークショー
出演
増山修(原案・脚本・プロダクションデザイン・制作総指揮)
竹原直子(プロデューサー)
 

→公式サイト

《料金》
1500円(小学生以下1000円)
※予約および当日受付 ※お問い合わせ・ご予約 kagurasuzu@inspired.jp
懇親会 20:30~ 参加費3,500円(12/6メール予約締切)


ジャン・コクトーの“映画マジック”
2018年12月9日(日)

詩人で画家でもあったジャン・コクトー(1889−1963)は、『詩人の血』(1932)を初監督して以来、数多くの映画作品を生み出した。今回は3本の監督作品を上映し、60年代の「大阪シネクラブ研究会」時代から映画に取り憑かれ、現在は映画字幕制作に携わる北村孝志氏を迎えコクトー映画の魅力を語っていただく。

[上映]
「詩人の血」Le Sang d’un poète
(フランス/1930/51分/16mm)
監督・脚本:ジャン・コクトー 撮影:ジョルジュ・ペリナール 音楽:ジョルジュ・オーリック
出演:リー・ミラー、ポリーヌ・カルトン、エンリケ・リベロ、オデット・タラザク

「オルフェ」Orphée
(フランス/1949/112分/16mm)
監督・原作・脚本:ジャン・コクトー 撮影:ニコラ・エイエ 音楽:ジョルジュ・オーリック
出演:ジャン・マレー、マリア・カザレス、フランソワ・ペリエ、エドアール・デルミ、ジュリエット・グレコ、マリー・デア、ジャン=ピエール・メルヴィル、ロジェ・ブラン

参考上映(82分/35mm)

[トーク]
講師 北村孝志(映画字幕製作者)
ジャン・コクトーという詩人の映画は、いわゆる映画本来の“映像の面白さ”、ジョルジュ・メリエス以来の“映画マジック”に満ちている。ヌーベルバーグの動きが世界の映画を変貌させた時代があったが、そのシュールな感覚、古典的な映画技法が、CG全盛の現在でも大いに“映画的魅力”を発揮している事実を、ぜひ体感していただきたい。今回は特に、数々のゲストスターが出演した場面などを図示して、大いに語り合いたいと考えます。

北村孝志
1947年奈良県生まれ。大阪市立大学在学中から、大阪シネクラブ研究会、大阪労映、大阪学生映画友の会などで、映画鑑賞および上映会に携わり、仕事の関係で東京に移ってからは川本三郎氏の「傍役グラフィティー」「女優グラフィティー」の執筆に参加、またキングレコードなどサントラLPの解説文などを数多く手掛けた。1980年代半ばから、「月刊ビデオコレクション」「週刊テレビガイド」「月刊CDジャーナル」「月刊VISIC」などで、ビデオ紹介記事を手掛け、同じころビデオテープの発売が盛んになって、ビデオソフトの字幕入れなどを担当した。1995年からは独立し、個人事業主としてNHK−BS放送における映画放送の日本語字幕制作を主とし、現在に至る。

 

《料金》入れ替え制1本あたり 一般800円 学生・会員700円
《割引》当日2本目は200円引き  *トークは参加無料(要当日の映画チケット半券)


ロシア・ソヴィエト映画 連続上映
第25回 グリゴーリィ・チュフライ特集 後編

2018年12月15日(土)・16日(日)

「女狙撃兵マリュートカ」Сорок первый
(1956/93分/35mm)モスフィルム

監督:グリゴーリィ・チュフライ
脚本:グリゴーリィ・コルチュノーフ
撮影:セルゲイ・ウルセフスキィ
音楽:ニコライ・クリュコーフ
出演:イゾルダ・イズヴィツカヤ、オレグ・ストリジェーノフ、ニコライ・クリュチコーフ

ロシア革命後の内戦の時代。狙撃の名手の女性パルチザンが、白軍将校の護送中に難破して無人島に二人きりとなる。やがて、二人の間に特別な感情が芽生える。戦場での敵味方を超えたロマンスを描き、ソ連映画の新しい波を感じさせた作品。

 

「人生は素晴らしい」Жизнь прекрасна
(1980/100分/35mm)モスフィルム、クワトロ・ファヴァッリ・チネマトグラフィカ

監督:グリゴーリィ・チュフライ
脚本:グリゴーリィ・チュフライ、アウグスト・カミニート
撮影:ルイジ・クヴェイレル
音楽:アルマンド・トロヴァヨーリ
出演:ジャンカルロ・ジャンニーニ、オルネラ・ムーティ

地中海沿岸にある独裁国家。行きつけのカフェが反政府運動の拠点だったため逮捕されたタクシー運転手は、傍観者であることをやめて脱獄を決意する。イタリアとの合作映画。

 

主催:神戸映画資料館、アテネ・フランセ文化センター
協力:ロシア映画社、東海晃久

《料金》入れ替え制
1本あたり
一般1200円 学生1000円
神戸プラネットシネマ倶楽部会員1000円
アテネ・フランセ文化センター会員1000円
《割引》
当日2本目は200円引き


『若き日のリンカーン』上映と講演
2018年12月23日(日)

スピルバーグ論を刊行準備中の藤井仁子氏が、ジョン・フォードの傑作『若き日のリンカーン』を入り口にアメリカ映画と民主主義を語ります。

13:30〜 上映
「若き日のリンカーン」
Young Mr. Lincoln
(アメリカ/1939/100分/16mm)
監督:ジョン・フォード
脚本:ラマー・トロッティ
撮影:バート・グレノン
美術:リチャード・ディ、マーク・リー・カーク
音楽:アルフレッド・ニューマン
出演:ヘンリー・フォンダ、アリス・ブラディ、マージョリー・ウィーバー、リチャード・クロムウェル、エディ・コリンズ、エドウィン・マックスウェル
のちに偉大な大統領となるリンカーンの修業時代を描いたジョン・フォードの傑作。ヘンリー・フォンダが一見呆けたような長身の青年エイブを好演し、弁護士として開拓者一家を助け、難事件の解決に挑む。フォードが生涯執着を示した裁判映画として出色の出来だが、悲しい初恋の思い出ににじむ清冽な抒情こそ真骨頂であろう。(解説:藤井仁子)

 

15:20〜(終了予定16:50) 講演 藤井仁子
「リンカーンはなぜ殺される──『若き日のリンカーン』と〈創設〉の問題」
奇跡の年と呼ばれる1939年は、フォードにとっても『駅馬車』の数か月後に『若き日のリンカーン』が封切られる奇跡の年となった。グリフィスの『国民の創生』からスピルバーグの『リンカーン』まで繰り返し映画に登場してきたリンカーンだが、この映画はその「若き日」に焦点を絞った点で異色である。しかし、それにしてもなぜ「若き日」なのか。リンカーンと合衆国そのものの「若き日」を描くこの映画のうちにアメリカ映画がアメリカ自身を表象しようとするときの歪みの根源があることを、〈創設〉という観点からあきらかにしたい(本講演はJSPS科研費16K02342の助成を受けて行なわれます)。

藤井仁子
1973年生まれ。早稲田大学文学学術院教授、映画評論家。編著書に『入門・現代ハリウッド映画講義』(人文書院)、『甦る相米慎二』(共編、インスクリプト)、『森﨑東党宣言!』(インスクリプト)、共訳書に『わたしは邪魔された――ニコラス・レイ映画講義録』(みすず書房)など。

 

《鑑賞料》 一般1000円 学生・会員800円
*講演は参加無料


[貸館]望月優子特集上映
2018年12月28日(金)13:00〜16:00

望月優子(1917-1977)は、『日本の悲劇』(木下惠介監督、1953年)、『米』(今井正監督、1957年)、『荷車の歌』(山本薩夫監督、1959年)などで演じた、労働と育児に粉骨砕身する母の役柄から「日本のお母さん」とも称された、戦後日本映画史を代表する名優のひとりです。1960年代以降は、農山漁村問題を中心とする社会問題について積極的にメディアで発言し、3本の中編映画と複数のテレビ番組を監督し、あるいは1971年には社会党の公認候補として参議院議員に選出されるなど、「映画女優」に留まらない多彩な活動を展開しました。今回は近年発見された監督作『ここに生きる』と、主演作にして知られざる佳作の『末っ子大将』を上映し、併せて、映画研究者の斉藤綾子氏(明治学院大学教授)に、映画女優、監督、社会活動家としての望月優子の多面的な仕事についてお話を伺います。

[上映作品]
「末っ子大将(暴れん坊大将)」
(1960/50分/16mm)
製作:新日本プロ 企画:大阪母親プロ 配給:新東宝
監督:木村荘十二 原作:村田忠昭 脚本:依田義賢
撮影:木塚誠一 音楽:大木正夫 美術:小林三郎
出演:望月優子

1930年代にP.C.L~東宝の看板監督のひとりとして活躍した木村荘十二は、1941年に満洲に渡り、当地で敗戦を迎える。新中国での留用期間を経て、1953年に日本に引き揚げた後は、もっぱら独立プロダクションの児童映画を監督した。本作は大阪母親プロの公募に当選した村田忠昭の原作を、村田の創作の師だった依田義賢が脚本化して製作されたもので、小品ながら、依田の脚本、木村の演出、主演の望月優子の演技のいずれも精度の高い佳作といえる。

 

「ここに生きる」
(1962/40分/DVD上映)協力:国立映画アーカイブ
製作:オオタ・ぷろだくしょん 全日本自由労働組合
監督:望月優子 撮影:安承玟(アン・スンミン) 音楽:伊藤翁介 ナレーション:矢野宣

朝鮮帰国事業に関する第1作『海を渡る友情』(東映教育映画、1960年)、混血児差別問題に関する第2作『おなじ太陽の下で』(東映教育映画、1962年)に続く、望月優子監督の第3作目。全日本自由労働組合の委託により、当時国会に提出されていた緊急失業対策法改正案に対する反対運動の一環として製作された。炭鉱離職者、被差別部落出身者、女性など、全国の失業対策事業の日雇労働の現場で働く人びとの日々の労働と生活を、実際の作業現場や組合事務所・託児所などの現場で撮影した記録映像と、職業俳優を交えた再現ドラマパートを交錯しつつ映し出す。撮影の安承玟は、後に李學仁(イ・ハギン)監督『異邦人の河』(1975年)などの撮影監督も担当するが、ここでも水面やボタ山の地表、アスファルトの質感を叙情的に見せる映像が鮮烈な印象を残す。

 

[参考上映]
幻灯「にこよん」(1955)
製作:全日自労・飯田橋自由労働組合
脚本・演出・撮影:桝谷新太郎 配給:日本幻灯文化株式会社
※神戸映画資料館所蔵オリジナルフィルムから作成したニュープリントを上映。

映画『ここに生きる』を製作した全日自労は、映画のみならず、複数の幻灯を自主製作している。全日自労の飯田橋分会の失対日雇労働者たちが自主製作した幻灯『にこよん』は、その先駆的な試みであり、脚本・演出・撮影を担当した桝谷新太郎は、当初、満洲からの引揚後に失対日雇労働者となった自身の体験を基に執筆した脚本を、仲間の女性労働者たちの意見を受けて、女性を主人公に変更して改稿した。1950年代の時点で「女性の労働問題」にフォーカスした異例の映像作品であり、同じく全日自労が製作した『ここに生きる』の「女こども」へのフォーカスとの連続性も興味深い。

 

[トークセッション]
「女性映画作家・望月優子」(仮)
斉藤綾子(明治学院大学教授・映画学)
聞き手・鷲谷花(大阪国際児童文学振興財団特別専門員)

 

《参加費》無料

主催:JSPS科研費共同研究18K02022「近現代日本の社会運動組織による「スクリーンのメディア」活用の歴史・地域的展開」(研究代表者:鷲谷花)


これまでのプログラム|神戸映画資料館

※内容は予告無く変更する場合があります。

※作品によっては、経年退化で色褪せしている場合がございます。予めご理解ご了承の上、ご鑑賞くださいますようお願い申し上げます。