プログラムPROGRAM

ニュー・インディペンデント・シネマ

ニュー・インディペンデント・シネマ vol.3
中川奈月監督小特集

2021年8月20日(金)〜24日(火)

若手の注目作を紹介するシリーズ「ニュー・インディペンデント・シネマ」。
デジタル化により、続々と制作、公開されるようになった自主製作映画。しかし、本数が激増し、熱心な観客でもすべてを追いかけることは不可能な状態です。そして公開期間が長くないため、評価する声が聴こえてきたとしてもその時には上映が終わっていて、見逃してしまうことも多いのではないでしょうか。
そこでこのシリーズでは、神戸初上映の作品に加え、近年の話題作を取り上げて上映していきます。

今回は、前回上映し驚きをもって迎えられた『彼女はひとり』の中川奈月監督の小特集をお届けします。

 

Aプログラム
『彼女はひとり』
(2018/60分/ブルーレイ上映)
監督・脚本・編集:中川奈月
プロデューサー:ムン・ヘソン
撮影:芦澤明子 照明:御木茂則
録音:芦原邦雄 音楽:大嶋柊
美術:野澤優
出演:福永朱梨、金井浩人、美知枝、山中アラタ、中村優里、三坂知絵子、櫻井保幸、榮林桃伽、堀春菜、田中一平

SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2018国際コンペティション部門、SKIPシティアワード受賞
TAMA NEW WAVE2019ある視点部門
ドイツニッポンコネクション2019
田辺・弁慶映画祭2019 俳優賞受賞(福永朱梨)

高校生の澄子(福永朱梨)はある日橋から身を投げた。しかし、死ねずに生還してしまった。数ヶ月ぶりに学校に戻ってきた澄子は、幼馴染の秀明(金井浩人)を執拗に脅迫し始める。身を投げる原因を作ったのは秀明であり、秀明が教師である波多野(美知枝)と密かに交際していると言う秘密を握っていたのだった。その行為は日々エスカレートしていくが、そこには秀明との過去、そして澄子の家族に関わる、ある少女の幻影があった…。

本作品は立教大学大学院の修了制作として撮影された。学生映画であるにも関わらず、脚本の完成度の高さから、撮影には黒沢清監督、深田晃司監督、沖田修一監督の作品などを多く手掛ける芦澤明子キャメラウーマンが参加。主演には、カンヌ国際映画祭へ出品、絶賛された深田晃司監督『本気のしるし』出演の福永朱梨。誰にも愛されない孤独と悲しみから、他人を傷つけ、暴走していく澄子を繊細、かつ圧倒的な力で演じ、田辺・弁慶映画祭2019では俳優賞を受賞。

『昼の迷子』
(2018/30分/ブルーレイ上映)
監督:中川奈月 脚本:渡部雅人 撮影:呉楽
プロデューサー:徳永理仁、トリグル
製作:東京藝術大学大学院映像研究科
出演:青木柚、木下仁、山上直志、土村亮晟

引きこもりの昴太は日々、近所のホームレスを監視していた。ある計画を決行しようとした日、友達の慧の邪魔が入る。東京藝術大学大学院映像研究科での実習作品。短編ながら見応えのあるサスペンスホラー。

 

Bプログラム
『夜のそと』
(2019/93分/ブルーレイ上映)
監督・脚本:中川奈月
撮影監督:周談笑
プロデューサー:大塚安希、山崎智広
サウンドデザイン:AYITIKEN YAERMAIMAITI
音楽:大嶋柊 美術:北地那奈
編集:康凱洋
製作:東京藝術大学大学院映像研究科
出演:田中佐季、山岸健太、礒部泰宏、福永朱梨、河野宏明、小西悠加、小綿照雄、木村知貴

地方の小さな町に住むそと子は、ある夜、ある事を強要し束縛する夫、敦也から逃れようと森を彷徨っていると、都会からやってきたよそ者、幹郎に出会う。幹郎はそと子を気にかけはじめ、「自分ならなんとか出来る」と言うが…。東京藝術大学大学院映像研究科の修了制作作品。閉ざされた異常な人間関係を受け入れて生きる女性を主人公に据え、独特のダークな世界が展開する。

 

8月21日(土) トーク  Aプログラム上映後
ゲスト:中川奈月監督 聞き手:吉野大地
ご来館予定でしたが、新型コロナウィルスの感染拡大状況を鑑み、オンラインに変更いたします。何卒ご了承ください。(8月15日記)
立教大学大学院映像身体学科で篠崎誠監督のもとで学び、修了制作作品『彼女はひとり』を監督、2018年に完成版を映画祭に出品し高い評価を得る。その後、東京藝術大学大学院映像研究科に進み修了制作として『夜のそと』(2019)を監督した。

 
→ウェブスペシャル
 「中川奈月の映画に呑まれろ!」西田博至(批評家)

 

《料金》入れ替え制1プログラムあたり
一般1300円 ユース(25歳以下)・会員1000円
《割引》当日2プログラム目は200円引き
予約受付
メールと電話によるご予約を承ります。鑑賞を希望される日時と作品名、お名前、電話番号をお知らせください。予約で満席でなければ、当日に予約無しでもご入場いただけます。
info@kobe-eiga.net 078-754-8039

協力:東京藝術大学大学院映像研究科
文化庁「ARTS for the future!」補助対象事業


ニュー・インディペンデント・シネマ vol.2
『サクリファイス』『彼女はひとり』

2020年12月11日(金)〜15日(火)

若手の注目作を紹介する新シリーズ「ニュー・インディペンデント・シネマ」。

デジタル化により、続々と制作、公開されるようになった自主製作映画。しかし、本数が激増し、熱心な観客でもすべてを追いかけることは不可能な状態です。そして公開期間が長くないため、評価する声が聴こえてきたとしてもその時には上映が終わっていて、見逃してしまうことも多いのではないでしょうか。

そこでこのシリーズでは、神戸初上映の作品に加え、近年の話題作を取り上げて上映していきます。

 

「サクリファイス」
(2019/77分/デジタル)
監督・脚本・編集:壷井濯
プロデューサー:藤原里歩
副プロデューサー:柗下仁美、林海斗
撮影:柗下仁美 録音:藤原里歩
助監督:加登谷美琴 制作:下村花
音楽:大津沙良 整音:塚本啓介
スチール:柗下知之
主題歌:ぐみ(from パスワードの人)「小譚歌」
制作・配給:Récolte&Co. 配給協力:林海斗
宣伝デザイン:寺澤圭太郎 宣伝:髭野純

出演:青木柚、半田美樹、五味未知子、藤田晃輔、櫻井保幸、矢﨑初音、下村花、柗下仁美、青木陽南、田港璃空、三坂知絵子、草野康太、三浦貴大

SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2019国内コンペティション優秀作品賞(長編部門)
第32回東京国際映画祭 出品作品

© Récolte&Co.


かつて新興宗教団体〈汐の会〉で東日本大震災を予知した少女・翠は、今は陸上部に所属する女子大生としての日々を過ごしていた。
同じ頃、大学周辺では三つの事件が起こっていた。神崎ソラという孤独な学生の死。311匹殺されるまで終わらないとされる猫殺し。若者を戦争へ駆り立てる団体〈しんわ〉の暗躍。
平凡な毎日を忌み嫌う塔子は、同じ学部に通う愛想の良い青年・沖田が猫殺しの犯人ではないかと睨み行動を共にしていた。やがて彼が、キャンパス内で神崎ソラと接触を持っていた唯一の人物であることを知り、猫殺しだけでなくソラの殺害にも関与しているのではと疑い始めるが……。
東日本大震災から9年、「死の物語」の中を若者たちが疾走する。

企画は、大学の授業で「東日本大震災をテーマにした脚本を書く」という課題が出たところからスタートした。不幸の中から幸福への糸口を見出だせるのが映画だとすれば、〈つながり〉ではなく〈断絶〉を、今こそ恐れずに描くべきではないか。そして、それは現代人が目を背けがちな「死の物語」でなくてはならない。「死の物語」には他者の孤独や不幸に寄り添う力があるからだ。こうして書き上げられた『サクリファイス』の脚本は、その後、立教大学映像身体学科の第一回スカラシップ作品に選出され、映画化された。

→「サクリファイス」公式サイト

12月12日(土)『サクリファイス』上映後
リモート舞台挨拶 舞台挨拶 壷井濯(『サクリファイス』監督・脚本・編集)

 

「彼女はひとり」

(2018/60分/デジタル)
監督・脚本・編集:中川奈月 プロデューサー:ムン・ヘソン
撮影:芦澤明子 照明:御木茂則 録音:芦原邦雄 整音:板橋聖志
編集協力:和泉陽光 音楽:大嶋柊 美術:野澤優 衣装:古月悦子
助監督:杉山修平 演出助手:古月悦子、野澤優 特別指導:篠崎誠

出演:福永朱梨、金井浩人、美知枝、山中アラタ、中村優里、三坂知絵子、櫻井保幸、榮林桃伽、堀春菜、田中一平

SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2018国際コンペティション部門、SKIPシティアワード受賞
TAMA NEW WAVE2019ある視点部門
ドイツニッポンコネクション2019
田辺・弁慶映画祭2019 俳優賞受賞(福永朱梨)

高校生の澄子(福永朱梨)はある日橋から身を投げた。しかし、死ねずに生還してしまった。数ヶ月ぶりに学校に戻ってきた澄子は、幼馴染の秀明(金井浩人)を執拗に脅迫し始める。身を投げる原因を作ったのは秀明であり、秀明が教師である波多野(美知枝)と密かに交際していると言う秘密を握っていたのだった。その行為は日々エスカレートしていくが、そこには秀明との過去、そして澄子の家族に関わる、ある少女の幻影があった…。

本作品は立教大学大学院の修了制作として撮影された。学生映画であるにも関わらず、脚本の完成度の高さから、撮影には黒沢清監督、深田晃司監督、沖田修一監督の作品などを多く手掛ける芦澤明子キャメラウーマンが参加。主演には、カンヌ国際映画祭へ出品、絶賛された深田晃司監督『本気のしるし』出演の福永朱梨。誰にも愛されない孤独と悲しみから、他人を傷つけ、暴走していく澄子を繊細、かつ圧倒的な力で演じ、田辺・弁慶映画祭2019では俳優賞を受賞。

12月13日(日)『彼女はひとり』上映後
リモート舞台挨拶 中川奈月(『彼女はひとり』監督・脚本・編集)

 

《料金》 入れ替え制1本あたり
一般1300円 シニア(65歳以上)1100円
ユース(25歳以下)・会員1000円

予約受付
メールと電話によるご予約を承ります。鑑賞を希望される日時と作品名、お名前、電話番号をお知らせください。予約で満席でなければ、当日に予約無しでもご入場いただけます。
info@kobe-eiga.net 078-754-8039


ニュー・インディペンデント・シネマ vol.1
『オーファンズ・ブルース』『海抜』

2020年3月20日(金・祝)〜22日(日)

若手の注目作を紹介する新シリーズ「ニュー・インディペンデント・シネマ」。

デジタル化により、続々と制作、公開されるようになった自主製作映画。しかし、本数が激増し、熱心な観客でもすべてを追いかけることは不可能な状態です。そして公開期間が長くないため、評価する声が聴こえてきたとしてもその時には上映が終わっていて、見逃してしまうことも多いのではないでしょうか。

そこでこのシリーズでは、神戸初上映の作品に加え、近年の話題作を取り上げて上映していきます。

 

「オーファンズ・ブルース」
(2018/89分/デジタル)
監督・脚本:工藤梨穂 撮影:谷村咲貴
録音:佐古瑞季 照明:大﨑和
美術:柳芽似、プロムムアン・ソムチャイ
衣装:西田伸子 メイク:岡本まりの
助監督:遠藤海里、小森ちひろ
制作担当:池田有宇真、谷澤亮
配給・宣伝:アルミード
 
出演:村上由規乃、上川拓郎、辻凪子、佐々木詩音、窪瀬環、吉井優

夏が永遠のように続く世界で生きるエマ。最近、物忘れがひどい彼女はノートを手放さず、家にもあらゆるメモを貼っている。そんなある日、彼女の元に、孤児院時代の幼馴染であり 現在行方不明のヤンから象の絵が届く。エマはその消印を手掛かりに彼を探す旅に出た。道中で彼女は、ヤンと同様に幼馴染であったバンに邂逅し、その恋人であるユリとも知り合う。タヒチへ高飛びする計画が失敗した彼らは、ずるずるとエマの旅についていくこととなる。その一方で、エマはヤンへの思いを募らせ、また自らの記憶の喪失が加速していることを恐れ始めていた…。

終わらない夏に終末感が漂う中で、
誰もが誰かの背中を追い、誰かを待っている。
カセットテープを巻き戻していくかのような旅が今、始まる。

異常な高温が続き、誰もが汗ばむある夏の日々を描いた本作は、寺山修司著書の一節から着想された、当時22歳の女性監督が手掛けた渾身のロードムービーである。アジアの異国を思わせる中華街や市場、そして鮮やかな新緑の草原など彼らの旅路を彩る様々なロケーションの移ろいは、観る人を日常からどこかへと連れ出してゆく。日本の見慣れた街並みから外れた“無国籍”な雰囲気が取り巻くこの世界で、私たちは彼らの愛、そして希望を目撃するだろう。
第40回ぴあフィルムフェスティバルにてグランプリ・ひかりTV賞を獲得後、なら国際映画祭学生部門NARA-waveではゴールデンKOJIKA賞と観客賞をダブル受賞など、数々の映画祭を席巻した珠玉の作品。
ひとつの季節に閉じ込められ、やがて明瞭になっていく彼らの孤独を独特の世界観で描き出した本作。 “忘れゆく”、あるいは“忘れられてしまう”という絶望の中に、この映画は、ある光を映しだした。
スクリーンの中で生き続けていく彼らの姿は決して忘れられない。

『オーファンズ・ブルース』は撮りながらもう次回作のことを考えているようなさもしさとは無縁の、退路を断った厳しさに貫かれている。その未来のなさが全篇を現在形できらめかせるのだ。私が褒めるのではない。すべてを肯定せよとこの映画が私の胸ぐらをつかんで迫ってくるのである。
藤井仁子(映画評論家)
「2019年 第93回キネマ旬報ベスト・テン 日本映画ベスト・テン 選評」より

→「オーファンズ・ブルース」公式サイト

 

「海抜」
(2018/80分/デジタル)
監督・製作・脚本・編集:高橋賢成
製作・監督補:田村太一、名取佳輝
撮影:伊藤はるか 照明:渡邉知里 録音:窪田りかこ
美術監督:田村太一 共同編集:鵜野澤まみ
スクリプター:菅谷光津子 プロデューサー:秋山涼子
製作顧問:金田克美 配給・宣伝:アルミード
 
出演:阿部倫士、松﨑岬、佐藤有紗、奥田誠也、三森晟十朗

高校時代、“事件”を目撃しながら何もできなかった男。
12年間に及ぶ贖罪のドラマ。

高校時代、中学校の同窓生同士で起きた強姦事件を目の当たりにしながら、何もできなかった男・浩。忘れてはならない過去から目を背けたまま、大人になってしまった浩や当事者たち。しかし事件から数十年後、忘れたかった過去が、再生し始めていた浩の人生に重く覆いかぶさってゆく──。

第31回東京国際映画祭正式招待!
ドイツ日本映画祭ニッポン・コネクションで最高賞受賞!!

『愛がなんだ』の今泉力哉監督をはじめ、新進気鋭の映画作家を数々紹介してきた東京国際映画祭・日本映画スプラッシュ部門に、史上最年少の22歳で招待された高橋賢成監督の鮮烈なデビュー作。ひとつの強姦事件で壊されたいくつもの人生を、断片的かつ突き放した視点で描く重厚な人間ドラマ。
主人公・浩を演じる阿部倫士をはじめ、メインキャストおよびスタッフは撮影当時全員大学生。大学の卒業制作として制作されたにも関わらず、荒くもストレートに題材にぶつかる骨太な物語が高く評価され、各国の映画祭で絶賛を浴びた。

→「海抜」公式サイト

 

《料金》 入れ替え制1本あたり
一般1700円 シニア(65歳以上)1100円
ユース(25歳以下)・会員1000円


これまでのプログラム|神戸映画資料館

※内容は予告無く変更する場合があります。

※作品によっては、経年退化で色褪せしている場合がございます。予めご理解ご了承の上、ご鑑賞くださいますようお願い申し上げます。