神戸映像アーカイブ実行委員会

神戸発掘映画祭 神戸発掘映画祭

16日(土)13:30
ホームムービーの日 in 神戸【参加無料】

ちいさなフィルムのためのちいさな祭典! 世界各地で同時開催
みなさんのホームムービーを見せてください!

フィルム上映:みなさんからお寄せいただいたホームムービー 司会:金千秋(FMわぃわぃ)

上映フィルム募集中

地域や家庭に眠るフィルムを持ち寄る上映会です。
個人的な記録(映像)が、地域の、そして時代の記憶を呼び覚まします。
この機会に、みなさんの思い出を映像とともに甦らせてください。

フィルムをお持ちのかたは、事前に事務局(神戸映画資料館内)までご連絡ください。
お寄せいただいたフィルムは、傷みや内容を確認後、持ち主の方と上映のご相談をします。上映させていただいたフィルムは、その後も内容を簡単に見られるようDVD化してお渡しいたします。

NPO法人映画保存協会(東京)が 〈ホームムービーの日〉 の日本での普及につとめています

個人コレクター特集

映画を収集・保存する資料館ができる以前から映画を集めていたのはコレクターと呼ばれる愛好家で、そのおかげで現存している映画がたくさんあります。自ら弁士を務めて活動写真上映会を開催していた玉岡忠大氏もそのお一人です。2016年に亡くなられた後、神戸映画資料館に寄贈されたフィルムを中心にご覧いただきます。
企画担当:安井喜雄(神戸映画資料館館長)

神戸映画資料館所蔵

16日(土)15:30

玉岡コレクション9ミリ半ホームムービー

『印象の神戸』/『三宮ヤミ市』

『印象の神戸』1942年/8分
『三宮ヤミ市』撮影年不明/1分
『家庭日記』1939-1946年/68分
『秋晴』1940年代/5分
『三木郊外の秋』1942年/5分
以上、9.5mmから新たにデジタル化(計88分)
活動写真好きの玉岡忠大氏は戦前からムービー・カメラを持ち撮影してきた。当初は9.5mmフィルムで後に16mmで撮影を続けた。太平洋戦争が始まってからも撮影を続け、フィルム入手難の戦争直後にも三木の自宅から新開地や三宮を訪れ撮影し、貴重な記録となっている。赤と緑のコマを交互に映すキネマカラー方式のフィルムも含まれており、その凝りように驚かされる。
伴奏:柳下美恵(ピアノ) 解説:衣川太一(神戸映画資料館研究員)

17日(日)13:30 参加無料(当日 映画祭期間中の映画鑑賞者対象)

トーク「玉岡忠大の映画人生」

玉岡忠大氏

玉岡忠大氏のご息女で作家の玉岡かおる氏を招き、映画ひとすじに生きた父の思い出を語っていただく。在りし日の玉岡氏に取材したサンテレビ番組の一部を参考上映。

抜粋上映「ふるさとステーション」(サンテレビ1999年11月21日放送「映画とわたし」7分)

ゲスト:玉岡かおる(作家) 聞き手:天宮遥(ピアニスト)

17日(日)14:30

『嘲笑』Mockery

アメリカ/1927年/79分[20コマ]/16mm 玉岡コレクション

監督:ベンヤミン・クリステンセン

出演:ロン・チェイニー、リカルド・コルテス、バーバラ・ベッドフォード

カルト作品『魔女』で知られるデンマークの巨匠ベンヤミン・クリステンセンが、米国に渡ってMGMで撮った2作目。赤軍の手からたまたま救うことになった美貌の伯爵夫人に恋をしてしまった愚鈍な農民が、ロシア革命の混乱の中で、身分違いの恋が叶うと信じて暴走する。「千の顔を持つ男」ロン・チェイニーが、『ノートルダムのせむし男』や『オペラの怪人』同様に、「美女と怪物」の物語を強烈な個性でもって演じている。レアな必見作。

伴奏:天宮遥(ピアノ) 解説:井上正昭(映画研究)

17日(日)16:25

『ウーマン』Woman

アメリカ/1918年/99分[16コマ]/16mm 玉岡コレクション

監督:モーリス・ターナー

出演:ウォーレン・クック、フローレンス・ビリングス、エセル・ハラー

フランスとアメリカを往復して活躍し、かつてはグリフィスやデミルとも並び称された巨匠モーリス・ターナーが、米国時代に、『イントレランス』にも似た大胆な構成で、「女性」をテーマに撮った一種のエッセイ映画。アダムとイヴ、クラウディウスとメッサリナ、アベラールとエロイーズといった、歴史上・空想上の女たちを通して、人類における女性のあり方が問われる。いささか偏りがある女性観も含めて実に興味深い。淀川長治が10歳で映画の洗礼を受けた記念すべき作品。

伴奏:柳下美恵(ピアノ) 解説:井上正昭(映画研究)

23日(土)16:20

田中鐵商店アニメコレクション

『ちょん切れ蛇』

 

『ちょん切れ蛇』スミカズ映画創作社/1930年/幸内純一/16分

『瘤取り』横浜シネマ商会/1929年/村田安司/12分

『蛸の骨』横浜シネマ商会/1927年/村田安司/12分

『国歌 君が代』横浜シネマ商会/1930年/村田安司/6分

以上、田中鐵コレクション

『軟尖集(なんせんしゅう)』伴野文三郎商店/1939年/大石郁雄/13分

『白鼠物語り』三幸商会発声漫画研究所/1937年/鈴木宏昌/8分

すべて16mm(計67分)

大阪で硝子商品製造販売で成功した田中鐵商店の旧蔵フィルムが神戸映画資料館に寄贈された。多数のホーム・ムービーに混じって幻のアニメ『ちょん切れ蛇』など数本のアニメが含まれていた。日本アニメ三人の創始者の一人として知られる幸内純一の最後のアニメ作品で初の発掘上映。寄贈フィルム以外に、「活動弁士の映画史」の著者・高槻真樹の協力で購入した大石郁雄の『軟尖集』なども上映。

伴奏:鳥飼りょう(ピアノ)

29日(金)15:30

日米ハリウッドの映画スタジオ訪問

『昔の太秦スタジオ』/『帝キネ太秦撮影所』

 

『インス スタジオ見学』TOUR OF THE THOMAS H.INCE Studio 1920-1922 アメリカ/1922年/21分 玉岡コレクション

『サイレント期のハリウッド The CITY OF STARS』アメリカ/1920年代/ 25分 玉岡コレクション

『昔の太秦スタジオ』個人撮影/1931-1932年/播秀蓉(撮影)/14分 田渕宇一郎コレクション

『帝キネ太秦撮影所』個人撮影/1931年/4分

すべて16mm

玉岡コレクションに含まれていたアメリカの撮影所に関する映画と、神戸映画資料館所蔵の京都の撮影所見学を記録したホーム・ムービーをまとめた。1920年代の本場ハリウッドと、1930年代太秦で繁栄した日本のハリウッドを比較してみるのも面白い。

30日(土)13:30

古林義雄コレクション


『血染の十字架』/古林義雄氏と山根貞男

 

『切られ與三(短縮版)』市川右太衛門プロ 松竹/1928年/小石栄一/20分

阪東妻三郎名場面集(計31分) 『雲母阪』1924年、『尊王』1926年、『血染の十字架』『護国の鬼』1927年、『潮に乗る北斗』1929年、『からす組』1930年、『牢獄の花嫁』1931年、『神変麝香猫』『お好み安兵衛』1932年、『剣士桂小五郎』『新釈清水一角・浪人街』1933年、『夜明け鳥』1936年、『水戸黄門廻國記』『國定忠治』1937年、『忠治子守唄』1938年、『王政復古』1939年、『大楠公』1940年

すべて35mm

フィルム・コレクターについての著書を山根貞男が執筆中という。その中にも登場する阪東妻三郎ファンでフィルム収集家の古林義雄氏のプログラム。古林氏は昨年亡くなられたが、生前に収集フィルムのすべてを神戸映画資料館に寄贈された。今回は、古林フィルムを元に不足部を他から補完し国立映画アーカイブが復元した林長二郎主演の『切られ與三』、2001年の京都映画祭で古林フィルムに野中和隆、松本夏樹両氏のフィルムを加えて復元した阪妻名場面集を一挙上映。

伴奏:ころあい(澤井まり、中西悦子、森本アリ、赤江真理子|管楽器と太鼓)

トーク:山根貞男(映画評論家)

9ミリ半フィルム特集

子供の成長記録や運動会、結婚式、旅行記録等はビデオの登場以前は映画フィルムであった。家庭用フィルムのサイズには16mm、9.5mm、8mmがあり、かつては個人が撮影機や映写機を購入して家庭で楽しんでいた。そして家庭の映写機で楽しめるように劇映画やアニメや記録映画が数多く販売された。16mmと8mmは近年まで国内で映写機が製造されていて現在でも上映が可能であるが、9.5mm(昔ながらの読み方は「九(く)ミリ半」)は戦後に利用者が減って映写機も製造されておらず、映写機があったとしても光量が小さく一般の上映は難しかった。この特集は、珍しいアニメーションや劇映画を最新技術でデジタル化して上映しようという試みである。
企画担当:安井喜雄

神戸映画資料館所蔵

23日(土)13:30

新発掘アニメーション

『海の宮殿』

 

『海の宮殿』日活/1927年/政岡憲三/9分

『泳げや泳げ』製作会社不詳/6分

『森の野球団(巻頭の音声欠落)』政岡映画美術研究所/1934年/原田晴一/8分/ 元素材16mm(巻頭のみ9.5mm)

『のらくろ二等兵』森紅/4分

『ピョン太郎従軍』12分

『大当り空の円タク』協力映画社/11分

『ワニザメトシロウサギ』11分

以上、記載以外は9.5mmから新たにデジタル化(計60分)

神戸映画資料館が所蔵する日本アニメーションの揺籃期に作られた漫画映画のコレクションは他のアーカイブが所蔵していない貴重なフィルムを有しており、東京国立近代美術館フィルムセンター(現 国立映画アーカイブ)などに複製を作るための原版として提供されてきた。しかし、詳細が不明な9.5mmフィルムが多数あったが、文化庁メディア芸術アーカイブ推進支援事業のもとでの調査が新発掘につながった。中でも玉岡コレクションに含まれていた政岡憲三の『海の宮殿」は今年のロッテルダム国際映画祭でも上映され話題となった。

伴奏:鳥飼りょう(ピアノ)

30日(土)17:00

9ミリ半時代劇

『槍供養』

『照る日くもる日』マキノ御室/1926年/二川文太郎/7分
『照る日曇る日』日活大将軍/1925年/高橋寿康/河部五郎、大河内伝次郎

『夜叉王』マキノ御室/1926年/マキノ省三/市川右太衛門

『浄魂』市川右太衛門プロ/1926年/押本七之輔/市川右太衛門

『槍供養』日活太秦/1927年/辻吉郎/久米譲、大河内伝次郎

『怪傑鬼』高木新平プロ/1927年/原敏郎/高木新平

『国定忠治』日活=松之助/1925年/池田富保
『国定忠治』東亜キネマ/1924年/牧野省三/澤田正二郎

『自来也』詳細不明 日活京都/1925年/池田富保/尾上松之助

以上、9.5mmから新たにデジタル化(計約50分)

1920年代に京都の撮影所で製作された35mm劇場用時代劇映画の部分を9.5mmフィルムに縮小して販売されていたものを集めた。マキノ、右太プロ、日活と京都が映画の都と言われた古き良き時代のチャンバラ映画の魅力を堪能しよう。なお、フィルム状態の都合でプログラムは変更の可能性あり。

伴奏:ころあい

31日(日)17:00

9ミリ半現代劇

『漕艇王』

『漕艇王』日活大将軍/1927年/内田吐夢/26分

『親』松竹キネマ蒲田/1929年/大久保忠素、清水宏/17分

『天国その日帰り』日活太秦/1930年/内田吐夢/13分

『勇敢なる水兵』日活大将軍/1926年/三枝源次郎/5分

以上、9.5mmから新たにデジタル化(計61分)

時代劇に続き内田吐夢、清水宏などの名作を含む現代劇をプログラム。なお、フィルム状態の都合でプログラムは変更の可能性あり。

伴奏:ころあい

無声映画と音

映画館での生の活動写真弁士の語りや伴奏、SPレコードと同期させたレコードトーキーなど、映画は無声映画の時代から、音とともにありました。そして、映画そのものに音がつくトーキー映画への移行期の作品からは、映画にとって音とは何か、と新しい映画表現に取り組む映画人の熱意が伝わってきます。
企画構成:田中範子(映画祭事務局)

23日(土)15:00

レコードトーキー作品集

『文福茶釜』

『東京行進曲』服部小型映画研究所/1929/3分

『黒ニャゴ』(デジタル復元版)千代紙映画社/1929/大藤信郎/3分

『江戸子守唄」岡田嘉子プロダクション/1930/木村秀勝(撮影)/4分

『神田小唄』十字屋小型映画部/1930/3分

『マリチヤンノヱホン』日本キネマ商会/1930/6分

『村祭』(デジタル復元版)千代紙映画社/1930/大藤信郎/3分

『おもちゃの汽車』1931/西倉喜代治/2分

『大きくなるよ』Iida Pictures/1931/飯田東吉/3分

『茶目子の一日』(デジタル復元版)1931/西倉喜代治/7分

『文福茶釜』伴野文三郎商店/1932/大石郁雄/7分

以上、35mm、国立映画アーカイブ 所蔵

『開会の挨拶』1930年代後半/森紅/3分/ホノマトンの復元音声付

『ヴォルガの船唄』1932/森紅/2分

以上、9.5mmからデジタル化、神戸映画資料館 所蔵

1920年代末から1930年代初頭のアマチュア映画文化において、9.5mmや16mmのサイレントフィルムと、市販されていたSPレコードの音楽を同期させ、音付きの映画を自宅で楽しむ「レコード・トーキー」作品が普及した。今回上映するのは、国立映画アーカイブが寄贈されたフィルムの映像とレコードの音を組みわせ、35mmフィルムとして復元した作品群で、関西初上映。大藤信郎や大石郁雄のアニメーション作品や、女優・岡田嘉子が出演するオリジナル作品は見どころ。『東京行進曲』は溝口健二作品ではなく、アマチュア作家が製作したオリジナル。最後の2本は、神戸映画資料館で発見された大阪のアマチュア映画作家・森紅のフィルムとレコードから復元したもの。

企画担当・解説:板倉史明(神戸大学)

30日(土)15:30

往年の関西活弁再現上映『右門捕物帖 六番手柄』

東亜キネマ/1931年/ 67分/16mm 神戸映画資料館所蔵

監督:仁科熊彦 原作:佐々木味津三 脚色:山中貞雄 撮影:藤井春美 出演:嵐寛寿郎、原駒子

活弁録音同時再生(1975年/シギノ大劇・無声映画を守る会第二回鑑賞会/ 弁士:美露一郎、桂美郎)

堺大劇・無声映画際前説(音声) 1975年/ 16分

関西活弁友の会(弁士:今泉伍朗、金村哲郎、双葉黎村、会津健二、浜星波、ほか)

1975年に録音されたカセット・テープの音声を付して無声映画を上映する試み。堺大劇での関西活弁友の会メンバーによる上映前の弁士紹介では往年の関西弁士の声を聞くことができる。その後、美露一郎、桂美郎による『右門捕物帖 六番手柄』の弁士音声付き上映。録音テープのラベルに記載はないが、おそらくシギノ大劇での無声映画を守る会第二回鑑賞会で録音されたものと思われる。大野政夫が率いる和洋合奏団の迫力ある伴奏が楽しめる。

24日(日)13:30|29日(金)14:30

『東京の女』 トーキー初期フレーム再発見

© 1933松竹株式会社

松竹キネマ蒲田/1933年 /47分/英語字幕付/35mm 国立映画アーカイブ 所蔵

監督:小津安二郎 原作:エルンスト・シュワルツ 脚色:野田高梧 撮影:茂原英朗

出演:岡田嘉子、江川宇礼雄、田中絹代

小津安二郎の中篇サイレント作品。小津独自のローポジションの構図は、本作品から明確に使用されるようになった。今回はオリジナルの画面比率であるトーキー初期フレーム(1:1.19)を尊重して上映する。そうすることで奥行きを活かした演出や、フレーム下部に見える小道具の絶妙な配置をはっきり確認できる。会社でタイピストとして働く姉・ちか子(岡田嘉子)と学生の弟・良一(江川宇礼雄)は小さなアパートで仲良く暮らしていた。ある日、良一は恋人の春江(田中絹代)から、姉が夜のバーで働いていることを聞きショックを受ける……。

伴奏 (29日は24日の収録再生):天宮遥(ピアノ)

24日(日)15:00|29日(金)13:30

『丹下左膳 第一篇(不完全)』 トーキー初期フレーム再発見

提供:国立映画アーカイブ

日活太秦/1933年/ 47分/35mm 国立映画アーカイブ 所蔵

監督・脚本:伊藤大輔 原作:林不忘 撮影:酒井宏 音楽:松平信博、宮野顯 録音:E・F・マッキナニー

出演:大河内傅次郎、沢村国太郎、山田五十鈴

時代劇映画の巨匠・伊藤大輔が初めてトーキーに取り組んだ作品。主演は大河内傅次郎で、この後も大河内は『丹下左膳余話 百万両の壺』(山中貞雄、1935年)をはじめとして戦後まで何度も左膳役を演じた。フィルムはイギリスで発見され、現在国立映画アーカイブに収蔵されているもので、今回はオリジナルの画面比率(トーキー初期フレーム)で上映する。残念ながら前半部分しか現存していないが、伊藤大輔の音にこだわった演出が随所に確認できる。

企画担当・解説:板倉史明(神戸大学)

22日(金)18:00 参加無料|オンライン同時開催

SPレコードの音で蘇る関西の活弁

ボン大学日本・韓国研究専攻「片岡プロジェクト」では、弁士として活躍する片岡一郎氏が所蔵していた活弁SPレコードについて、デジタル音源化による公開準備と、それに伴う調査研究を進めています。今回のプログラムでは、新たにデジタル化された音源のなかから、かつて関西で活躍していた松本狂郎や伍東宏郎、里見義郎らのレコードを選定し、彼らの口頭芸を紹介していきます。あわせて、活弁とレコードをめぐる歴史などについて、近年の研究成果を解説します。

解説:ラインハルト・ツェルナー(ボン大学)、湯川史郎(ボン大学)、吉原大志(兵庫県立歴史博物館)、上田学(神戸学院大学)

共催:片岡プロジェクト(ボン大学 日本・韓国研究専攻)、科研費「田中栄三資料のカタロギングによる新派映画の基盤的研究」(神戸学院大学)

知られざる鉄道映画

一昨年の山形国際ドキュメンタリー映画祭で上映され再上映を望む声が高かった『白茂線』の関西初上映。併せて神戸映画資料館が近年入手した鉄道映画を上映。
企画担当:安井喜雄

22日(金)13:30

知られざる鉄道映画①

『白茂線』 提供:国立映画アーカイブ 

 

『白茂線』芸術映画社/1943 1941年/森井輝雄/21分/35mm 国立映画アーカイブ 所蔵

『未成年』三井芸術プロダクション/1953年/水木荘也/46分/16mm 神戸映画資料館所蔵

『白茂線』は、鮮満国境に近い山岳地帯を走る開拓鉄道の沿線に生きる人々の生活や、人間と自然との闘いを描く。『未成年』は蒸気機関車の釜炊きに未来を感じる少年を描き、伊福部昭が音楽を担当。

22日(金)15:00

知られざる鉄道映画②

『風雪の30年(総集編)』国鉄労働組合/1976年/斉藤茂夫/100分/16mm 神戸映画資料館所蔵

明治の鉄道の始まりから日本国有鉄道(国鉄)の誕生、そして国鉄労働組合の結成、戦後から1976年までの国鉄労働者の闘いを描く。国鉄は1987年に分割民営化されJRになったが、その前に抱える様々な事情が浮き彫りになる貴重な記録である。

その他プログラム

24日(日)16:30

自主映画の黎明—『青春散歌・置けない日々』

JISYU〈自主映画アーカイブ上映〉 vol.10

『青春散歌 置けない日々』映影社同人/1975年/ 90分/16mm

製作:佐々木史朗、橋浦方人 脚本演出:橋浦方人 撮影:山田達郎 録音:尾形竜平 音楽:小林ユタカ 美術:大重潤一郎 製作主任:市東宏志

出演:矢野誠、高間とも子、鈴木両全、茂利験、高木馨

〈自主映画アーカイブ上映〉は、かつてフィルムを中心に制作されたインディペンデント映画を上映、その文化・歴史を発掘するシリーズ。今回は、ぴあフィルムフェスティバルや自主映画ブームが起きる直前の時代、若者たちに衝撃をもたらした『青春散歌・置けない日々』を上映する。

地方から上京した映画青年・石岡は、理想と遠いPR映画の助監督を続けていた。句点や読点を打てない青年の非ドラマ的な日常を描く本作は、「日本のニューシネマ」や「同時代映画」と呼ばれた当時の自主映画の最重要作といえる。

企画担当・解説:田中晋平(神戸映画資料館研究員)

協力:シネアスト・オーガニゼーション大阪

29日(金)16:40

本宮映画劇場 六邦映画救出大作戦

『さすらいの悶え』六邦映画/1973年/ 63分/35mm

監督:秋津隆二

R18(18歳未満の方はご鑑賞いただけません)

今年で107周年を迎えた本宮映画劇場(福島県)。二代目館主・田村修司が閉館から約50年経った今も独り劇場を守っています。2019年の台風19号では所蔵フィルムの半分が水害に遭いましたが、フィルム救済プロジェクトにより、ほとんどが助かりました。その過程で無傷のフィルムも発掘され、館主が買い取った六邦映画作品群のなかにあった成人映画『さすらいの悶え』もその一つ。秋津隆二監督、戸塚順脚本。女王・谷ナオミと関西ヌード界の明星・朝霞かす美の裸の競艶。ストリップ劇場と人身密輸売買の暗黒街を背景に描く愛欲ドラマ。インターネットにもほとんど情報のない謎映画。『場末のシネマパラダイス 本宮映画劇場』(田村優子著/筑摩書房)の出版を記念して、約50年ぶりの御開帳!

トーク:田村優子(本宮映画劇場)、太田耕耘キ(ぴんくりんく)、郷田真理子(本宮映画劇場フィルム救済プロジェクト)

共催:本宮映画劇場

30日(土)11:00 参加無料

神戸映画資料館 所蔵フィルム調査

『海の宮殿』(政岡憲三)や『ちょん切れ蛇』(幸内純一)など今回、新発掘上映されるアニメーション映画作家の作品解説に加え、近年取り組んでいる作品の同定作業の実際を紹介します。不明作品の調査は様々な角度からの取り組みが必要ですが、偶然も手伝って判明した作品のいくつかを、断片映像を示しながら明らかにします。

講師:佐崎順昭(映画史研究)

31日(日)13:00 参加無料|オンライン同時開催

<シンポジウム> デジタル映像アーカイブの未来研究
“配信の可能性篇”

本シンポジウムでは、映像アーカイブの現在そして未来を見つめる。映像を収集・保存し、真正な形での上映を行う。その姿勢を保ちつつ、コレクションの配信へと踏み出し、自分たちがどんな映像を有するかを人々にアピールしながら、より多くの利用者に活用してもらう——それが新しいアーカイブの在り方となりつつあることに、私たちは気づいているだろうか。このような新しいアーカイブの在り方をすでに始めている国内外のケースを紹介しながら、配信に力を入れる方法の利点及び問題点について、発表者と参加者が共に考える。また、海外や日本のアーカイブによる配信例を紹介すると同時に、もう一つ重要なアーカイブとして、2019年の浸水被害によりいまだ休館中の川崎市市民ミュージアム・映像部門の未来の在り方にも考えを馳せる。

【登壇(予定)】石田美紀、板倉史明、國永孟、久保豊、常石史子、とちぎあきら、ミツヨ・ワダ・マルシアーノ

【共催】科学研究費補助金・基盤研究(B)「デジタル映像アーカイブの未来研究」(研究代表者 ミツヨ・ワダ・マルシアーノ)

PageTop