ビデオ撮影・編集体験ワークショップ
“ホームムービーを撮ろう!”
 

2012年9月15日(土)・16日(日)
2日間の短期集中講座(撮影・編集)
初心者から経験者まで、各受講者の希望に臨機応変に対応するカリキュラム。
ホームムービーにとどまらず、映像・動画による記録や、作品づくりに役に立つワークショップです。

 カリキュラム 
9月15日(土)10:30〜18:00
撮影実技「機材の使い方、撮影」
講師:唐津正樹、大岸智博
※ 受講生はビデオカメラ、スマートフォン等、動画の記録できる機器を持参してください。
※ こちらでもいくつかビデオカメラを御用意しています。ご相談ください。

1.撮影講習
SD、HDビデオカメラの使い方から、撮影に必要な知識「露出、フォーカス、ホワイトバランス」などを中心に撮影の基礎技術を学んでいただきます。また、編集時に必要となる映像素材についての事前準備「カット割、絵コンテ、ロケ交渉術」についてのアドバイスも行います。
※ビデオカメラご持参の場合は使用方法についてのQ&Aも受け付けます。
[カリキュラム内容(抜粋)]
・機材の使い方 「ビデオカメラとオプション(三脚)など」
・ビデオカメラの機能紹介「露出、フォーカス、ホワイトバランスetc…」
・撮影技術の紹介「パン、チルト、フォロー、etc…」
・シナリオ、カット割り、撮影の準備など

2.撮影実習
各自、撮影機材を持って、撮影に出ます。
被写体や撮影場所など内容は自由です。撮影場所の見つけ方、周辺への配慮など、実際に自力で行うために必要なことを実地に経験します。
出演者(レポーター、俳優)が必要な場合、各自連れてくるか、受講生などに協力を求めてください。
※ 撮影のテーマが決まっていない方は、事前にこちらでいくつかのテーマをご用意いたします。

9月16日(日)13:00〜18:00
編集実技「編集・DVD制作」
講師:唐津正樹
1.編集講習
映像編集ソフト「FinalCutPro」を使用して、前日に撮影した映像素材を編集します。
基本的な「カット編集、映像効果、音の調整、タイトル作成」などを学びます。
[カリキュラム内容(抜粋)]
・素材の編集「カット編集、インサート編集」
・映像効果「トランジション、ビデオフィルタ」
・色・輝度補正「簡単なカラーコレクション」
・音量の調整、音付け
・タイトル作成

2.編集実習
前日に撮影した映像を各自編集します。
※ 講座外で撮影した映像素材を持ち込んで編集してもかまいません。その場合、9月15日までに持参してください。

上映の許可をいただいた全受講者の映像を、〈ホームムービーの日 in 神戸〉 で上映させていただきます。
10月20日(土) 会場:神戸市立地域人材支援センター 入場無料

 募集要項 
受講資格:中学生以上、経験の有無は問わず
受講料
撮影実技のみ(15日):3,000円
編集実技のみ(16日):9,000円
撮影・編集実技(15日・16日):10,000円
 お申込み 
以下の項目を記入の上、info@kobe-eiga.netにお申し込みください。
お申込み締め切り:9月2日(日)[締切り日後は、電話でお問い合せください]
0.受講講座(撮影実技のみ/編集実技のみ/撮影・編集実技)
1.氏名
2.年齢
3.職業(学校名等)
4.住所
5.電話番号
6.メールアドレス
7.動画記録機器・三脚の有無/カメラの型番・メーカー
8.本講座に期待すること

 会 場  神戸映画資料館
 運 営  神戸ドキュメンタリー映画祭実行委員会
 助 成  長田区地域づくり活動助成
 協 力  KyotoDU、神戸芸術工科大学、新長田まちづくり株式会社
 お問い合わせ 
神戸映画資料館
078-754-8039
info@kobe-eiga.net


 入場料金 
 
前売 一回券 1,000円
* 前売券は神戸市立地域人材支援センターと神戸映画資料館で取り扱い。
前売・当日 三回券 2,500円
* 三回券は複数人で使用可(切り離し無効)
当日 一回券
一般 1,200円
学生・シニア 1,000円
神戸映画資料館会員 一般 1,000円
神戸映画資料館会員 学生・シニア 900円
 
*リピーター割引:半券の提示で当日料金100円引き
*当日の鑑賞券は、第1回目の上映スタート時刻の1時間前より発売します。
*整理券発行:27日(土)は12時から、28日(日)は10時から、当日鑑賞券発売開始と同時に整理券を発行します。前売り券をお持ちの方は整理券とお引き換えください。
 
 
 会 場 
 

神戸市立地域人材支援センター
JR新長田駅より南へ徒歩約13分
〒653-0042神戸市長田区二葉町7丁目1番18号
電話:078-646-8128

神戸映画資料館
JR新長田駅より南へ徒歩約5分
〒653-0036神戸市長田区腕塚町5丁目5番1-201
アスタくにづか1番館北棟2F
電話:078-754-8039
主催・お問い合せ
神戸ドキュメンタリー映画祭実行委員会(神戸映画資料館内)
078-754-8039 info@kobe-eiga.net


発掘された自主映画
 
これまで見ることができず幻だった映画を発掘して上映する。
市山隆次の『養護学校はあかんねん!』は、永らく持ち主と連絡が付かず上映の機会が絶たれたままであったが、今年になってプリントが関係者から神戸映画資料館に持ち込まれてきた。
加藤重二の『ばいばいあげいん』と『ロックアウト』は70年代末に大阪で作られた純粋な大阪映画だが、近年は上映される機会はなく忘れ去られていた。当時の「プレイガイドジャーナル」誌に華々しく紹介されたに伝説の2作品を、今は文筆家として活躍する加藤監督から入手して再上映が可能となった。
NDUの井上修とルポライターの竹中労が組んで作った『アジア懺悔行』と『山上伊太郎ここに眠る』は、題名のみキネマ旬報連載の「日本映画縦断」で知られていたが、実際に映画を見た人は極めて少ないのが実情だった。今回、井上修の努力でプリントが発見されついに上映が実現する。
この特集は、まさに幻の映画オンパレードである。      ──安井喜雄(プログラムディレクター)
 

 
10月19日(金)18:30〜 21日(日)13:00〜
養護学校はあかんねん!
(1979/50分/16mm)
企画制作:市山隆次
構成:大石十三夫、山邨伸貴 編集・インタビュー:山邨伸貴 
撮影:小田 博、小林義正 録音:若月 治 整音:久保田幸雄
Off Theater Film Festival ’79 一般公募部門入選作品
 
関西小川プロ『パルチザン前史』のプロデューサーとして知られ、土本典昭作品や福田克彦作品などでお馴染みの関西の出版社「長征社」を率いた市山隆次が自主製作した映画で、PFFの前身である情報誌「ぴあ」のオフシアターフェスティバルに応募入選した。「養護学校がなぜいけないのか?」を、身障者の肉声を通して語らせ、身障者の側から描くことによって、明確な姿勢をもたらした画期的なドキュメンタリー。
 
特別寄稿
『養護学校はあかんねん!』という事件     山根貞男(映画評論家)
 身体障害者が「養護学校義務化」に断固反対する。『養護学校はあかんねん!』はその姿を撮ったドキュメンタリー映画だが、「その姿」という一点が肝心要で、不自由な肉体を駆使し、反対を表明する姿には、だれしも目を瞠らずにはいられまい。
 まず、意志の力が迫ってくる。不如意な肉体を強引に動かし、自分の考えを表現しようとする心の強度、である。むろんその前提として、心のなかに泡立つ思念のマグマがあるわけで、それがつぎに迫ってくる。幼い日に障害を持たぬ友だちと一緒に遊んだときの楽しさが語られ、養護学校へ通って損をしたことが告げられるように、そのマグマには、それぞれの実体験が裏打ちされており、その事実がさらに迫ってくる。そして、ここに注目したいが、彼ら彼女らの強烈な姿の奥に、同じようには発語のできない多くの障害者の存在が、確実に浮かび上がってくる。
 彼ら彼女らの示す発語への欲望の凄まじさには、もの言えぬ仲間のぶんも含まれているにちがいない。しかも、肉体の不自由さを突き抜けて、言葉は理路整然と明晰であり、事態の本質を鋭くついている。明らかにそうしたあり方は障害者としての自覚と覚悟にもとづくと思われる。
 表現する者の姿を目に見え耳に聞こえる形で差し出す——その即物的な表現において、この映画は事件である。
 

10月19日(金)19:40〜 21日(日)14:10〜 (2本立)
ばいばいあげいん
(1978/35分/16mm)
製作:皆既触映画社
脚本・演出:加藤重二 撮影:早川洋人、北川富夫
音楽:ロックンロールエンジェルス参他魔里亜 
出演:佐々木敏明、芝充世、ベティー、袋小路実朝、早川洋人
第2回自主製作映画展1978 一般公募部門入選作品
 
ニューハーフの元祖として今も有名なべティを主要配役にした大阪の自主映画。伝説のロックン・ロール・グループ「参佗魔里亜」(サンタマリア)が音楽を担当、映画の中でも演奏する。アメリカのスラップスティック・コメディが大好きでフィルムも収集研究していた監督が、その味を大阪風にアレンジして描いたユーモラスな作品。大阪駅前のバラック街や、南森町の旧読売テレビ前など、70年代の大阪の風景が懐かしい。第2回自主製作映画展(ぴあフィルムフェスティバルの前身)で入選。現在、監督は南雲海人として世界各地で取材活動を展開、アウシュビッツ生存者やアウン・サン・スーチーへのロングインタビューからポルノ官能小説まで書き続けている。
 
  
ロックアウト
(1979/60分/16mm)
制作:皆既蝕映画社
監督:加藤重二 撮影:早川洋人 主演・音楽:参佗魔里亜
出演:神田孝史 佐々木敏明
 
前作で音楽を担当した「参佗魔里亜」が、本作では主演者となって全編で演奏するロック映画。同時にサントラLPも発売された。多くの若者が欲求不満を身体中に溜め込みイライラのしっぱなし、誰もが爆発できない不発弾を抱えた80年代の始まる大阪の街を舞台に、「参佗魔里亜」の若者たちが猛烈な勢いで走り出す。関西の情報誌「プレイガイドジャーナル」79年9月号で特集が組まれるほど注目された作品。
 

 
10月28日(日)16:30〜(2本立)
アジア懺悔行
(1976/70分/16mm)
製作:「アジア懺悔行」製作委員会 
製作:竹中労 監督:井上修  撮影:井出情児
録音:宮城賢秀 ダビング:櫂の会
タイトル:竹中英太郎
 
新宗教団体連合会加盟の九宗教(大慧会、円応教、解脱会、神ながら教、妙道会、妙智会、立正佼成会、天真教、善隣会)の青年部が、東南アジア戦没者を弔うため、東南アジアに旅した記録。ルポライターの竹中労も同行し、タイ・ビルマ国境の泰緬鉄道、シンガポール、フィリピンと大東亜戦争の証人眠る地に赴き、汎アジアの旅の報告とした。懺悔行の日程を終了した日、竹中はマニラ市内の床屋で頭を丸め、勝手に得度して花和尚雲居と名乗ることにしたという。監督の井上修は、NDU(日本ドキュメンタリストユニオン)設立時からの最若手メンバーで、最近作は『出草之歌 台湾原住民の吶喊 背山一戦』(2005)。
 
 
山上伊太郎ここに眠る
(1977/10分/16mm)
製作・監督・脚本:夢野京太郎
助監督:岩木利守 撮影・編集:井上修
 
竹中労のキネマ旬報連載で名高い「日本映画縦断」で追ったマキノの名シナリオライター山上伊太郎。マキノ正博と組んだ『浪人街』など数々の傑作を残したが、1943年に応召しフィリピンへ赴任、45年にルソン島北部山岳地帯で行方不明となり、のちに戦死広報とともに空の骨壺が遺族のもとに届けられた。竹中労は77年、「伊太郎地蔵」を彫刻開眼、伊太郎戦没の地フィリピン・ラムフト河畔で灌仏の儀を行った。この映画はそのシネマレクィエムである。監督の夢野京太郎は竹中労(1930〜1991)のペンネーム。


伝説の映画集団NDUと布川徹郎
 
60年代末から70年代を疾走したNDU(日本ドキュメンタリストユニオン)の主要メンバー布川徹郎が今年2月に亡くなった。NDUは広河隆一(現「DAYS JAPAN」編集長)と立ち上げた早大カメラルポルタージュ研究会を出発点として、70年代の日本のドキュメンタリーを牽引した早大中退者で作る映画創作集団である。
これらの作品は、山形国際ドキュメンタリー映画祭で時折上映されたり、各地で希に自主上映されたりするものの、まとめて見る機会は少なかった。今回は、NDUと布川作品を一挙上映する。      ──安井喜雄(プログラムディレクター)
 
お寄せいただいたコメント
特製パンフレット
 

 
10月21日(日)16:00〜
鬼ッ子 闘う青年労働者の記録
(1969/78分/16mm)
NDU作品
米軍燃料タンク輸送阻止の闘いを主に、ベトナム反戦、反合理化闘争、日米安保阻止を旗印に共闘する青年労働者の姿を追う。
 

10月21日(日)17:40〜
沖縄エロス外伝 モトシンカカランヌー
(1971/94分/DVカム[原版16mm])
NDU作品
[最終部分及び音声の一部欠落]
日本から沖縄へ密航し、コザ吉原、Aサインバー、ヤクザのたまり場、全軍労ストなど復帰前沖縄の底辺を描く。
 

  
10月28日(日)11:00〜
倭奴(イエノム)へ 在韓被爆者 無告の二十六年
(1971/53分/16mm)
NDU作品
広島・長崎の被爆から26年。在韓被爆者8名は訪韓した佐藤首相への直訴状を持って日本大使館へ。唯一被爆国・日本の矛盾を問う。
 

 
10月28日(日)13:00〜
アジアはひとつ
(1973/96分/16mm)
NDU作品
沖縄本島、先島列島、西表炭坑を経て、国境を流浪する台湾人労働者を追いかけ八重山群島から台湾へ。最後に大和魂が残るタイヤル族の部落に辿り着く。
 

 
10月27日(土)13:00〜
太平洋戦争草稿
(1974/61分/16mm)
制作:小野沢稔彦、小柳津幸介、布川徹郎、菅孝行、斎藤晴彦、佐藤信、平岡正明
スペイン、ドイツ、日本の植民地からアメリカ統治に移行したマイクロネシア。朝鮮から徴用で来た人など太平洋戦争の生き残りを追い、侵略の近代史を問う。
 

 
10月27日(土)14:20〜
bastard on the border 幻の混民族共和国
(1976/74分/16mm)
監督:布川徹郎(布川プロダクション作品)
建国200年祭を祝うアメリカ。スラム街、ベトナム復員兵、強制収容された日系人、先住民族などアメリカの正史が覆い隠してきた叛国家の歴史を描く。
 

 
10月27日(土)17:30〜
風ッ喰らい時逆しま
(1979/88分/16mm)
監督:布川徹郎(布川プロダクション作品)
伝説の芝居集団・曲馬館は「地獄の天使たち」をひっさげ山谷、釜ヶ崎、沖縄コザ、網走、横浜寿町など日本列島を疾走し公演の旅を続ける。
 

 
10月26日(金)15:00〜(2本立)
ベイルート1982
PLO撤退からパレスチナ大虐殺まで

(1982/19分/16mm)
布川プロダクション作品
イスラエル軍のレバノン侵略に対しPLOは三ヵ月間戦い抜いたがついにベイルートを撤退。瓦礫の中で再び生活が始まるが、難民キャンプで大虐殺が起こる。
 
パレスチナ1976—1983
パレスチナ革命からわれわれが学んだもの

(1983/111分/16mm)
布川プロダクション作品
ベイルート難民キャンプの現状、勝利を鼓舞するアラファト議長、ベカー高原の開放戦士など、レバノン戦争前後のパレスチナ人に共感を持って描く。
 

 
10月26日(金)17:30〜
タックルセー 国体解体のためのプロローグ
(1987/48分/16mm)
「タックルセー」上映実行委員会作品
旧作『モトシンカカランヌー』に、沖縄戦、ひめゆりの塔火炎びん事件、コザ暴動、読谷高校日の丸引きずり下ろし事件などの映像を加え、沖縄解放に向けた団結のために編集。
 

 
10月28日(日)18:10〜
出草之歌 台湾原住民の吶喊 背山一戦
(2006/112分/DVカム)
NDU作品
撮影・編集:井上修
台湾原住民タイヤル族の高金素梅さんは、運動組織「原住民族部落工作隊」、原住民音楽グループ「飛魚雲豹音楽工団」と共に靖国神社に合祀された祖霊奪還の戦いに挑む。
 

 
10月26日(金)18:40〜(金稔万監督舞台挨拶)
長居テント村に大輪の舞台が立った
(2007/82分/DV)
撮影・編集:布川徹郎、金稔万
2007年春、行政代執行が行われようとする大阪長居公園のテント村の野宿者と支援者は、舞台を立て「しばい」を演ずることで行政権力と対峙する。
 
 

ゲストトーク 無料
10月27日(土)15:55〜 長田勇市(撮影監督)×上野昂志(映画評論家)
 
10月28日(日)15:00〜 井上修(NDU日本ドキュメンタリストユニオン)×上野昂志
 
■長田勇市
『ファンシイダンス』(89)、『がんばっていきまっしょい』(97)、『ウォーターボーイズ』(01)、『幽閉者 テロリスト』(06)など多数の作品で撮影監督を務める。その出発点となったのが『パレスチナ1976-1983』など布川徹郎との仕事であった。
 
■上野昂志
評論家。映画、文学、マンガ、写真等、文化現象全般にわたる批評を展開。「映画=反英雄たちの夢」(話の特集、83) 、「鈴木清順全映画」(立風書房、86/編著)、「映画全文1992〜1997」(リトルモア、98)など著書多数。
 
■井上修
NDUの創立から解散までの4作品に関わった主要スタッフで、その後はルポライターの竹中労と併走し、『アジア懺悔行』(76)、『山上伊太郎ここに眠る』(77)を作る。『出草之歌 台湾原住民の吶喊 背山一戦』は久しぶりの布川徹郎との仕事だった。


コメント
「モトシンカカランヌー」という映画のタイトルと布川徹郎の名前を聞いたのは、たしか映画監督の中江裕司氏からだ。
この数年ほどで警察と自治体、住民が一体となった「浄化運動」により壊滅させられてしまった真栄原新町(宜野湾市)や吉原(沖縄市)についての取材をはじめたころで、たまたま別用で会っていた中江氏に話をふってみたら、映画の名前と布川徹郎氏の名前が出た。たしか二年ほど前だったと思う。
中江氏から聞いたあと、監督の布川氏に会ってみたかったのだが、ぐずぐずしているうちに布川氏が今年の二月にすでに亡くなっていたことを知った。中江氏から話をうかがったときにすぐにアポイントメントをとっていればと悔やまれた。
どうすれば40年近く前につくられた映画を観ることができるのか調べ、大阪のプラネット映画資料図書館にたどりつき、拝見することができた。その後、布川氏といっしょに「モトシンカカランヌー」をつくった共同監督の人たちにお目にかかり、話をうかがう機会を得た。撮影後、沖縄に住み着いた共同監督の今氏と、井上氏である。井上氏は数年前に布川氏と共に「モトシンカカランヌー」の続編をつくるために、「アケミ」をさがしていたことがあったことを教えてくれた。が、中途で断念したという。
「モトシンカカランヌー」は私の取材テーマともろにシンクロすることもあり、私は井上氏からアケミさがしを託されることになった。井上氏からいくつかのヒントをいただき、映画に登場する元ヤクザにも会いに行ったし、人脈をたどってアケミがいたという真栄原新町で「アケミ」の顔写真を持って、取材で知り合った古参の売春商売の関係者に見せてまわった。また他の沖縄の売春店や、現役ヤクザにも消息をたずねている旅を続けている。結果を言えば、いまだ消息はわかっていない。「アケミ」という源氏名はどこにでもある名前だし、いかんせん「アケミ」についての情報が少なすぎるということもあるが、40年という沖縄戦後史の時間の濁流にのまれた布川氏たちが沖縄市の吉原で出会った「アケミ」の幻影は、追いかければ追いかけるほど消えていってしまうようだ。
私は「アケミ」さがしの旅は、もちろん続けようと思っている。そして、おそらく『沖縄アンダーグラウンド』と題されるであろう沖縄の売春街の戦後史のノンフィクション作品を書き上げることが、布川氏に対する時空を超えたぼくなりの追悼なのだと思っている。

藤井誠二(ノンフィクションライター)

 
「カメラ」という、謎の、なぞなぞの、「もの」が、この地にかつてあらわれ、今もなお現実に「ある」。
それを使って、様々なことが、なされている。
 
─この世界。イメージ。眼前。─
 
カメラを使って、お金儲けをするひともいるでしょう。
そうそう旅行のお供にはカメラ持って、記念写真。想い出になるよね。
そして。
イメージを限定し、決めつけ、広める使い方も「ある」。
とてもマッチョな道具だ。
「力」にとても近く、利用されやすい「もの」。
 
ただ、それらとは違うカメラの使い方がここには「ある」。
NDUの映画。
「力」の在処を探し、「力」を解きほぐし、さらに奥へ、別の「ちから」へと向おうとしている。
カメラは「からだ」と、ともに。
もちろん答えなど無い。
 
「俺たちは『あなた』と会うために映画をつくる」
そういう声が、NDUの映画群から、聴こえてくる。
 
しかも今回はフィルムだ。
「必ず」って言葉、あんまり使いたくないんやけど、今回だけは。
必見。必聴。御自由に。皆、集れ。

野口雄介(アーキペラゴ/俳優・『堀川中立売』『サウダーヂ』)

 
「伝説」にするには、早すぎる。
なぜならNDUが提起した既成権力への/運動内への「異議申し立て」は未消化のままだからだ。だから単純な回顧や批評を一蹴せねばならない。もしそれに甘んじるならば、それは最も反NDUではないだろうか。NDU機関誌「モトシンカカランヌー—企画書にかえて」(1969年7月刊)に「映画と映画を観る人間との間に夥しいスパークを発生させるような映画でありたい」とある。NDUの実践と思考の連続性は、鑑賞者を何かへと駆り立てる。またそれは、今日の「右」でも「左」でもないという曖昧な批評態度から発する閉塞的状況を解体する突破口であると私は確信している。私の発言に嫌悪感を示すならば、とにかくNDUの映画を観てから判断してほしい。ナショナリズムに対するインターナショナリズムの映画がここにある。

田中芳秀(編集者、1981年生)

 
布川徹郎さんと現場をともにしたことがある。
現場で感じた感覚を早急に判断し、待つことをしない風のドキュメンタリストは
いささか読み違いも多かった。
しかし、その読み違いがさらなる読み違いを呼び、反転し、最終的に本質に辿りつくような
アクロバティックは、世界を見る行為に勘違いはないのだと言っているようだった。
カメラは対象の表面を滑っているようでいて、その映像の波は、どこまで行っても
平面の映画の世界の中で、観る者を深い海底へと連れて行ってくれる。
表面には、すべてが映っている!

佐藤零郎(中崎町ドキュメンタリースペース)

 
『モトシンカカランヌー』にしても『アジアはひとつ』にしても、NDUの傑作は人と人とが邂逅することの事件性、その絶え間ないスパークの連なりで成り立っている。そのスパークの前では、国境などあってなきが如し。島々を南下しながらフィルムにその瞬間ごとの火花を託す、どこにも収斂しようとしないそのロマンの強靭さゆえに、上映の終わった後はいい酒に酔ったような気分にもなる。
「出会いの映画とは何か? ……それは一つの“作品”の創造の現場に人々が出会うことではなく、人々の出会いから“作品”が生まれていくことなのだ」
(竹中労「さらなる幻視の海へ」、「キネマ旬報」1972年5月下旬号)

岡田 秀則(東京国立近代美術館フィルムセンター主任研究員)

 
今年2月に開催された第3回座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバルで 『倭奴へ』をお借りして上映させてもらった。
カラカラと16ミリ特有の音をたてながらの上映を見ていると、とても幸せな気分になった。
社会に対して人々が大きな声をあげていた時代、ドキュメンタリーは運動と共にあった。
人々の強い想いや熱気が画面を通して伝わってくる。そんな時代を少しうらやましく感じながら映画を見させてもらった。
布川徹郎さんが亡くなってしまった今、私たちはこのドキュメンタリーや布川さんの生き様から何を引き継ぎどんな作品をこれから作っていくことができるだろうか?

加瀬澤 充(ドキュメンタリージャパン)

 
出会いは1971年、京都の西部講堂だった。映画は『沖縄エロス外伝 モトシンカカランヌー』。おったまげた。あるのは圧倒的な映像だけ。教条や正義は無かった。一発でもっていかれた。以来四十年来のファン。長い冬眠から醒め再浮上した2005『出草之歌 台湾原住民の吶喊 背山一戦』にも震えた。1973『アジアはひとつ』のエンディング「もう一度戦争がしたい、あはは」から一直線に繋がっている。力も志もまったく衰えていない。
小川紳介もいい。土本典昭も悪くはない。けど、NDU布川徹郎はもっといいのだ。きっと何度でも再浮上するに決まっている。
生涯「監督」を名乗らず、「共同制作」を貫いた布川が残した「取材現場・備忘録」にこんな項がある。《未来よりも現在が豊かで大事。現在よりも過去が豊かで大事》 《現場の成り行き、最優先。匿名・無名・無告の人たちからのメッセージを聞け》

山田 哲夫(映画プロデューサー)

 
正直に言うと、これまで私はNDU初期の『鬼ッ子』(69)も『モトシンカカランヌー』(71)も『倭奴へ』(71)も全くピンとこなかったのだが、今回、東中野でそれ以降の作品群をまとめて観てびっくりした。面白い!特に『アジアはひとつ』(73)から『太平洋戦争草稿』(74)へと展開する、映像による思想的営為に圧倒された。沖縄から台湾そしてミクロネシアへ──幻の大日本帝国の膨張領域をなぞるかのように、あのゴジラが北上してきたマリンロードをNDUは南へと遡行する。その営為は30年を隔てて『出草之歌』(05)に再び収斂し、台湾先住民の野太くも美しい歌声とともにNDUのラディカルな健在ぶり熟成ぶりが示されるだろう。

石坂 健治(映画研究者)


特製パンフレット
 
〈エッセイ〉
NDU日本ドキュメンタリーユニオンとはいったいなんなのだ?:井上修
 
〈作品解説〉
全13作品:中村葉子
+布川徹郎によるエッセイ
〈論考〉
NDUは、境界を往く:上野昂志
遠けれど、まなざしは近く:ローランド・ドメーニグ
追想 布川徹郎:鈴木義昭
 
〈記録〉
布川徹郎の足跡:安井喜雄
NDUと布川徹郎 関連文献
 
 
定価:1000円(税込み)
*別冊英語版:500円(税込み)


 


 
ちいさなフィルムのためのちいさな祭典! 世界16カ国で同時開催
ホームムービーの日 in 神戸
みなさんのホームムービーを見せてください!
 

                                     画:椿﨑和生

上映フィルム募集中 
地域や家庭に眠るフィルムを持ち寄る上映会です。
個人的な記録(映像)が、地域の、そして時代の記憶を呼び覚まします。

*フィルムの状態確認が必要ですので、お早めにお問い合せください。
 
《ホームムービーの日 HMD》は、名もなきフィルムに光をあてる記念日です。世界中のフィルムアーキビスト(フィルムの収集や保存の専門家)の呼びかけにより毎年この日に催されます。この日をきっかけに貴重な映像が発掘され、映画フィルムの適切な保存方法が広まりつつあります。
この機会に、みなさんの思い出を映像とともに甦らせてください。
 
公募フィルムの上映:10月20日(土)13:00〜
会場:神戸市立地域人材支援センター


 
2012年10月20日(土) 会場:神戸市立地域人材支援センター 参加無料
13:00〜 公募フィルム上映 + 特別上映「あすは太陽の輝く街に」
「あすは太陽の輝く街に」
(1965/16mm/29分)神戸市広報課所蔵
大正筋、本町筋、六間道などの西神戸商業地域は、戦災を免れ古い木造住宅が建ち並んでいた。神戸市が昭和37年に立ち上げた市街地改造計画「大橋地区市街地改造事業」が実現するまでの道のりを映像で振り返る。
 
16:00〜 ワークショップ作品上映
 
特別展示「神戸のくらし写真展」 企画:神戸アーカイブ写真館(地域人材支援センター3階)
 

 
2012年10月21日(日) 会場:神戸映画資料館 参加無料
11:00〜「第二回 神戸みなとの祭」ほか
「第二回 神戸みなとの祭」
(1934/16mm/29分)神戸市広報課所蔵

昭和9年11月7日、8日に行われた「第二回 神戸みなとの祭」の記録。港湾巡覧に始まり、湊川公園での「祭典」、「国際大行列」、「懐古行列」、市電軌道を巡る花電車などの貴重な映像記録。
 
「神戸海港博覧会」を含むホームムービー
(1930頃/16mm/15分)神戸映画資料館収蔵
大阪の地下鉄御堂筋線工事、天神祭など大阪の商人が撮影したと思われるホームムービー。昭和5年に開かれた「神戸海港博覧会」の様子などが映し出される。
内容:1有本洋服羅紗本店/2地下鉄御堂筋建設工事/3天神祭/4岡山金光/5神戸開港博覧会/6中之島付近/7墓参り/8祇園八坂神社/9大阪城、淀川改修紀功碑と毛馬閘門
 
「地理教材・港としての神戸」
(1932頃/16mm/16分)神戸映画資料館収蔵
京都市小学校映画教育研究会製作
小学校向けの教材映画で、神戸の港を紹介。今話題の神戸生絲検査所内部の様子も写る。
内容:1船の出入り/2神戸税関/3旅客荷物検査所/4神戸生絲検査所/5海洋気象台/6水上署/7両替商/8浚渫船
 
「中国−九州篇」
(撮影時期不明/16mm/15分)神戸映画資料館収蔵
日本航空輸送会社
大阪から福岡に至る飛行機から撮影した航空撮影映画。航空郵便の利便性を訴える日本航空輸送会社の広報映画。
内容:1甲子園球場/2神戸港/3湊川神社/4須磨一の谷付近/5垂水海岸/6舞子浜/7淡路島と明石海峡/8淡路島岩屋/9明石市/10姫路城/11播州室津より家島群島を望む/12那波湾/13播州相生湾/14岡山県牛窓付近/15兒島湾を望む/16岡山市/17後楽園/18水島灘/19笠岡町/20福山市/21福山芦田川口/22鞆の津/23仙酔島/24阿伏鬼観音/25松永付近の塩田/26尾道市/27芸備
 
「舞子の浜と六甲登山」のホームムービー
(撮影時期不明/16mm/5分)神戸映画資料館収蔵
 

主催・お問い合せ
神戸ドキュメンタリー映画祭実行委員会(神戸映画資料館内)
078-754-8039 info@kobe-eiga.net

 
NPO法人映画保存協会(東京)が〈ホームムービーの日〉の日本での普及につとめています


第3回神戸ドキュメンタリー映画祭 3.11後を生きる 早く、遅く。
2011年12月3日(土)、4日(日)
9日(金)、10日(土)、11日(日)

3月に起きた東日本大震災後、ドキュメンタリー界だけでなく、広く映像に携わる人々が厄災がもたらしたものについて考え、すぐに作品としてかたちにしました。この動きは阪神淡路大地震の時とは大きく異なるものです。
第3回神戸ドキュメンタリー映画祭は「3.11後を生きる 早く、遅く。」をテーマに据えました。
神戸映画資料館は、神戸でも最も震災の被害の大きかった地・長田区にあります。
被災地の街の復興、そこに暮らす人々の心の問題……。
迅速な対応と解決が求められると同時に、長い年月が必要な側面もあることを神戸の人たちは知っていることでしょう。映画を通して、そのことを考えたいと思います。

「なみのおと」

(監督:濱口竜介、酒井耕/2011/142分/ブルーレイ上映)
津波被害を受けた三陸沿岸部に暮らす人たちが、震災発生当時のことを中心に語る “口承記録” 。『PASSION』『The Depths』などで注目される濱口竜介が、同じく東京藝術大学大学院映像研究科出身の酒井耕と共同で監督した。142分の最新版での上映。
この“語り”は、実際は過去や未来のためという以上に、今まさに起こっている「復興」の活動そのものなのではないだろうか、という気がしています。それは、瓦礫をただの瓦礫にしないための、個人と共同体の歴史を取り返す作業であるからなのです。
(山形国際ドキュメンタリー映画祭・東日本大震災復興支援上映プロジェクト「Cinema with Us ともにある」カタログより、作者のことば)

「相馬看花 奪われた土地の記憶」

(監督:松林要樹/2011/111分/ブルーレイ上映)
福島第一原子力発電所から20キロ圏内の避難指示地域、福島県南相馬市の江井地区。4月3日にこの地域に入ったドキュメンタリー監督・松林要樹は、地元の市議会議員・田中京子に同行し、彼女らが震災前まで暮らしていた今は静まりかえった町、そして現在身を寄せる避難所を訪れる。そこから浮かび上がるのは人々の個人史や地域と家族の絆だが、避難所を転々とすることを余儀なくされる彼らは、土地とともにそれをも奪われてしまうのか。山形国際ドキュメンタリー映画祭での初公開時よりサブタイトルを改題。

311仙台短篇映画祭映画制作プロジェクト作品「明日」

(41人の監督たち/2011/137分/ブルーレイ上映)
仙台短篇映画祭の呼びかけにより、映画祭ゆかりの監督たちがそれぞれの3.11以降を描いた3分11秒の新作を撮りおろしたオムニバス作品。参加する監督は、今回上映する『なみのおと』の濱口竜介、『劇場版 その街のこども』の井上剛のほか、冨永昌敬(『アトムの足音が聞こえる』)、鈴木卓爾(『ゲゲゲの女房』)、瀬田なつき(『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』)、塩田明彦(『カナリア』)、河瀬直美(『朱花の月』)、佐藤央(『MISSING』)、山下敦弘(『「マイ・バック・ページ』)などの豪華メンバー。

「東日本大震災 東北朝鮮学校の記録 2011.3.15-3.20」

(制作:コマプレス/2011/67分/DVD上映)
震災で校舎が全壊した仙台市の東北朝鮮初中級学校。日本行政からの支援が皆無の中、全国同胞から救援物資が次々と送られてくる。学校はその物資で地域の日本学校に、おにぎりの差し入れや炊き出しを行う。緊迫しつつも相互扶助を実践した震災発生直後の日々。震災の破壊力が社会的状況によって何倍にも増してマイノリティを襲う日本社会の状況に問題を投げかける。制作のコマプレスは、“小さな声 低い視点”をモットーに、声なき声、不可視の葛藤、抵抗とみなされない抵抗を明るみに出し、世界に伝えることを目的に活動している。

「劇場版 その街のこども」

(監督:井上剛/2010/83分/ブルーレイ上映)
脚本:渡辺あや 音楽:大友良英 撮影:松宮拓、青木智紀
出演:佐藤江梨子、森山未來
阪神・淡路大震災からちょうど15年目にあたる2010年1月17日、NHKで放送された「その街のこども」の劇場版。こどもの頃に震災を体験し、いまは東京で暮らす勇治と美夏。彼らは「追悼のつどい」が行われる前日に神戸で偶然知り合い、震災15年目の朝を迎えるまでの時間を共に過ごすことになる。全く異なる震災体験をしたふたりの間には、大きな溝が広がっているように見えた。しかし、“ある場所”に差し掛かったとき、美夏は勇治が長年抱え込んできた過去を垣間見ることになる。復興を遂げた真夜中の神戸の街を背に、これまで語ることのできなかったふたりの想いが、不器用にあふれ出そうとしていた。

参考上映 [鑑賞無料]
「わたしはここにいます〜石巻・門脇小学校・夏」

(監督:青池憲司/2011/29分/DVD上映)
かつて、『記憶のための連作「野田北部・鷹取の人びと」』、『阪神大震災 再生の日々を生きる』で神戸・長田地区の町の再生を記録した青池憲司監督が、現在、宮城県石巻市で長篇ドキュメンタリーに取り組んでいる。東日本大震災の復興期を活きる「こども・家族・教師・地域の人たち」の6月〜8月の記録を、2012年夏完成予定のドキュメンタリー本篇の〔予告篇〕として参考上映。

2011年12月3日(土)ゲストトーク
濱口竜介、酒井耕
(「なみのおと」共同監督)

2011年12月10日(土)トークセッション
コマプレス
(「東日本大震災 東北朝鮮学校の記録」制作)
金千秋(FMわぃわぃ総合プロデューサー)

《参加費》無料(要・当日の上映会チケット)

2011年12月3日(土)18:30〜 交流芋煮会 in 神戸
芋煮会とは、東北地方で行われる季節の野外行事。肉や野菜を炊いた素朴な味噌鍋です。
今回は屋内ですが、仙台市出身者が仙台味噌で「仙台風芋煮」をお作りいたします。
被災地での活動報告もあります。ぜひご参加ください。

《参加費》500円 *ドリンクのご注文は別途お願いいたします(ビール、東北の地酒など)

《料金》入れ替え制
1回券
一般・シニア:1200円 学生:1000円
会員一般・シニア:1000円 会員学生:900円

3回券(前売り)
2800円(非会員共通) 2400円(会員共通)

〈前売りチケットの取り扱い〉 神戸映画資料館
前売りチケットは、メール連絡でも受け付けます(締め切りは12月2日18:00)。受け取り・お支払いは映画祭期間中の来館時で結構です。info@kobe-eiga.net 宛に、種類(非会員/会員)、お名前、連絡先(電話)、枚数を書いてお送りください。追って受付確認のメールを差し上げます。

*当日券、および整理券は、12:00からその日のすべての上映会分を販売、発行いたします。
*前売り3回券、および招待券をお持ちの方は、受付にて整理券をお求めください。

主催:神戸プラネット(神戸映画資料館)
後援:長田区役所
協力:新長田まちづくり株式会社、山形国際ドキュメンタリー映画祭、仙台短篇映画祭、東京藝術大学大学院、福興サロン和~Nagomi~
助成:アサヒビール芸術文化財団


第2回神戸ドキュメンタリー映画祭
記録映画に生きる 土本典昭の軌跡

2010年9月18日(土)〜26日(日)

「水俣」シリーズなどを通して世界に大きな衝撃を与えた、日本ドキュメンタリー界を代表する監督・土本典昭(1928-2008)。第2回神戸ドキュメンタリー映画祭では、土本典昭の初期作品から晩年にいたる24作品を上映し、偉大なる映画作家の歩みを回顧します。
あわせて、土本と同時代の仲間たちを招いたトークイベント、ゆかりの映画人を招いた座談会も開き、ゲストが関係する作品を参考上映します。
いま生きているものの記録として映画を撮り続けた土本は「いつもそこには考えることの快楽があった」と述べています。現実を見て、魅了されて、考え続けた土本典昭の作品は、いつまでも生き続けており、あらゆるものに開かれて、われわれを魅了し続けています。

2010年9月19日(日)ゲストトーク
大津幸四郎
(監督/撮影監督)、小林茂(監督/撮影監督) 聞き手:山根貞男(映画評論家)

2010年9月20日(月・祝)ゲストトーク
松本俊夫
(映像作家) 聞き手:山根貞男

2010年9月25日(土)座談会
土本基子
(土本典昭夫人)、伏屋博雄(プロデューサー)、水野祥子(映画研究者)、安井喜雄(神戸映画資料館館長)
参考上映「天皇即位の日の記録」(1990/約10分/16mm)

《料金》無料(要・当日の上映会チケット)

カフェ・ロビースペース
2009年、東京国立近代美術館フィルムセンター展示室で開催された展覧会「ドキュメンタリー作家 土本典昭」の記録映像を、神戸ドキュメンタリー映画祭会期中ご覧いただけます。
制作:映画同人シネ・アソシエ

2010年9月18日(土)13:00
「ドキュメント路上」
(1964/54分/35mm/FC所蔵ニュープリント)
東洋シネマ 撮影:鈴木達夫
高度経済成長の只中、都市整備の工事が急ピッチで進んでいた東京は日々交通戦争の状態であった。タクシー運転手を主人公に、違反や危険なしには働けない労働環境、そして交通事故が必然的に起こる実情を描き出す。警視庁の交通PR映画として作られたが、「映画青年の遊びの映画」と一蹴され、活用されずお蔵入りした作品。

2010年9月18日(土)14:15
「留学生チュア スイ リン」
(1965/51分/16mm)
藤プロ 撮影:瀬川順一
文部省国費留学生として千葉大に学ぶチュア・スイ・リン君は、本国の英領マラヤがマレーシア連邦として独立することを知り、イギリスの特殊権益が続く限り本当の独立はないとして抗議の声を上げていた。本国は即刻チュア君に帰国命令を出し、文部省も彼の国費留学生としての身分を剥奪、大学も彼を除籍にした。帰国すれば投獄となるチュア君は、抗議行動と裁判に起ち上がる。

2010年9月18日(土)15:30 / 24日(金)13:00
「パルチザン前史」
(1969/120分/16mm)
小川プロダクション 撮影:大津幸四郎、一之瀬正史
関西小川プロが製作参加した作品。京都大学全共闘のノンセクト学生を組織する京都大学助手の滝田修の革命運動を追う。軍事訓練の様子のほか、家庭を持ち、予備校の教壇に立ちながら大学解体を唱えることの矛盾について率直に語る滝田の姿。60年代末の学生運動の空気を伝える歴史的作品。

2010年9月19日(日)13:00 / 25日(土)16:20
「水俣 患者さんとその世界」
(1971/完全版167分/16mm/FC所蔵ニュープリント)
東プロダクション 撮影:大津幸四郎
1968年、政府は水俣病を公害病として認定し、原因はチッソの工場廃水との見解を示した。チッソを相手に裁判を起した29世帯を中心に潜在患者の発掘の過程までを描いた記録映画の記念碑的名作。大阪でのチッソ株主総会における患者の怒りの爆発で、この映画は劇的なピークをむかえる。土本監督の水俣第1作で、これを契機に水俣病が世界に知られることになった。

2010年9月20日(月・祝)16:20
「水俣一揆 一生を問う人々」
(1973/108分/16mm)
青林舎 撮影:大津幸四郎、高岩仁
1973年3月20日、熊本地裁は患者の訴えを認め、チッソに慰謝料の支払いを命じた。その後、ひきつづきチッソ本社で直接交渉がくりひろげられる。「死ぬまで面倒をみてくれろ」と誓約書への署名を求める患者とつっぱねる会社側の対立の様子が、初めて同時録音で記録された。

2010年9月22日(水)13:00
「医学としての水俣病 第一部 資料・証言篇」
(1974/82分/16mm/FC所蔵ニュープリント)
青林舎 撮影:大津幸四郎
1956年、50名余の「奇病」患者発見から始まる医学者チームの研究と記録をたどる3部作の第1部。水俣病の原因を膨大な研究映像を用いて病理学的に解明していく。さらに、水俣病が「社会病」でもあることを患者の医療補償を求める闘いの歴史によって示し、今日のヘドロ未処理の現状までを描いている。

2010年9月22日(水)14:40
「医学としての水俣病 第二部 病理・病像篇」
(1974/103分/16mm/FC所蔵ニュープリント)
青林舎 撮影:大津幸四郎
有機水銀がいかに人体に侵入するかを、病理解剖などを用いて示す。長年、新潟水俣病を追跡してきた新潟大学の調査が熊本の水俣病研究を補強。不知火海漁民の食生活に対する警告を発しつつ、水俣病患者認定のための患者負担など、医学のかかえる矛盾を明らかにする。

2010年9月22日(水)16:40
「医学としての水俣病 第三部 臨床・疫学篇」
(1975/91分/16mm/FC所蔵ニュープリント)
青林舎 撮影:大津幸四郎
現地での数十年間の臨床体験をもつ精神神経学者の活動と意見を軸に、今日の水俣病の臨床上の問題点と疫学的側面が描かれる。ここでは医学的判断がつかないとされる例、水俣病の認定を却下された例を取り上げ、水俣病研究が第二段階にさしかかったことを示唆する。

2010年9月21日(火)13:00
「不知火海」
(1975/153分/16mm/FC所蔵ニュープリント)
青林舎 撮影:大津幸四郎
水俣が悲劇の土地として滅びてはならない、「ここで生き続ける人がある限り、ここは甦るのだ」との思いで制作された作品。「脳を手術したら治らないか」と初めて治療の可能性を尋ねる胎児性の少女に答えることのできない医師。水俣湾の対岸の島には、いまだ救済の手が届かない漁師たちの暮らしがあった。

2010年9月20日(月・祝)13:00
「しばられた手の祈り」
(1977/40分/スライド)火種プロダクション
共同構成:前田勝弘、小池征人
自主制作のための火種工房を主宰する富山妙子は、新しい芸術運動として、詩と絵と音楽によるスライドを製作。これは政治犯釈放を訴えるために、金芝河の原作をもとに土本監督が構成したもの。音楽を高橋悠治が担当。

2010年9月21日(火)16:00
「わが街わが青春 石川さゆり水俣熱唱」
(1978/43分/16mm/FC所蔵ニュープリント)
青林舎 撮影:一之瀬正史
水俣病の公式発見から20年、胎児性水俣病の患者たちも20歳を迎えた。「何かデッカイことをやりたい!」一人の青年が石川さゆりショーを考えついた。身体の痛みをひと時忘れ、一人前の大人として仕事を果たそうと奮闘する若い患者たち。

2010年9月23日(木・祝)13:00
「偲ぶ・中野重治 葬儀・告別式の記録 1979年9月8日」
(1979/55分/16mm/FC所蔵ニュープリント)
中野重治を偲ぶ映画人有志の会
プロレタリア文学作家、中野重治の葬儀と告別式の記録。知人、友人が思い出を語り、会葬者の流れに代表作「雨の降る品川駅」「わたしは嘆かずにはいられない」の朗読が重ねられる。

2010年9月26日(日)15:20
「海とお月さまたち」
(1980/50分/16mm)
日本記録映画研究所 撮影:瀬川順一
海の潮の流れを支配する月と、その潮の流れをよんで漁をする漁師たち、そして不知火海に生きる様々な魚たちを詩的に描いた児童向き映像ファンタジー。

2010年9月21日(火)17:00
「水俣の図 物語」
(1981/111分/16mm)
青林舎 撮影:瀬川順一、一之瀬正史
丸木位里、丸木俊夫妻が、巨大壁画「水俣の図」の制作に取り組む。彼らを絵に向かわせていく不知火海の美しさと、裏腹な人間の受難の問題。瀬川順一のキャメラ、武満徹の音楽、石牟礼道子による詩が「絵の記録映画」を構成する。

2010年9月23日(木・祝)14:10
「原発切抜帖」
(1982/45分/16mm/FC所蔵ニュープリント)
青林舎 撮影:渡辺重治
世界唯一の原爆被爆体験国から原子力大国へかけ進む日本の戦後史を、新聞記事の早めくりで一息に見直す試み。主役は土本による新聞記事のスクラップブックで、小沢昭一が軽妙なナレーションを付けている。

2010年9月23日(木・祝)15:10
「海盗り 下北半島・浜関根」
(1984/103分/16mm/FC所蔵ニュープリント)
青林舎 撮影:清水良雄
横なぐりのヤマセふぶく下北半島の小さな漁村、浜関根。1981年、ここに原子力船「むつ」の新母港を建設するという話がにわかに降ってわいた。この映画は浜関根の漁業権をめぐる攻防を漁民の側から見た記録である。プルトニウム半島化する下北半島での漁民の「海盗リ」に対する死闘を描く。

2010年9月23日(木・祝)17:10
「はじけ鳳仙花 わが筑豊わが朝鮮」
(1984/48分/16mm/FC所蔵ニュープリント)
幻燈社 撮影:清水良雄
戦時下の旧満州で過ごした植民地体験から、加害者としての日本人を描くことを模索する画家・富山妙子。彼女の作品に高橋悠治の音楽、李礼仙の語りが加わり、劇中劇のように身の上ばなし「身世打鈴(シンセタリョン)」が展開する。

2010年9月26日(日)16:30
「ひろしまを見たひと 原爆の図丸木美術館」
(1985/25分/スライド)
原爆の図丸木美術館、青林舎 撮影:本橋成一
丸木位里、丸木俊夫妻の共同制作の原点は、1945年8月6日に原爆が落とされた広島の惨状である。この悲劇を繰り返さないよう平和への祈りを込めて描かれたのが、超大作「原爆の図」。夫妻の40年に及ぶ共同制作の足跡をたどり、作品を解説したスライド作品。

2010年9月20日(月・祝)13:55 [参考上映「銀輪」と2本立て]
「日本一ぶりの里訪問記」
(1986/27分/ビデオ)青林舎 撮影:清水良雄
日本一の養殖ぶりの産地、鹿児島県長島町・東町漁協のPR映画。限られた漁場、僻地・離島という条件の下、東町漁協は養殖ぶり日本最大の産地として成長した。沿岸漁業と養殖漁業の両立、網元制度の廃止、漁協中心の新しい協同性の確立など、その軌跡を探る。

2010年9月26日(日)13:00
「よみがえれカレーズ」
(1989/116分/16mm/FC所蔵ニュープリント)
記録社、シグロ 共同監督:熊谷博子、アブドゥル・ラティーフ 撮影:一之瀬正史 他
土本がアフガニスタンに取材した第1作。1988年5月15日のソ連軍撤退開始から同年12月までの約5ヶ月間、現地撮影が行われた。内戦の爪あとが残る中、帰国した難民、地下水脈 “カレーズ” を守る民衆らの姿を見つめる。

2010年9月24日(金)15:20
「回想・川本輝夫 ミナマタ 井戸を掘ったひと」
(1999/42分/DVCAM)
土本典昭仕事部屋
長く水俣病運動の先頭に立ち、1999年12月に急逝した川本輝夫。その生前の姿を土本の水俣作品に見る。市会議員になって活動を続けたが、彼の「井戸を掘った者はおいてきぼりです」の言葉から運動の複雑さを浮かび上がらせる。追悼集会で上映された土本典昭による「私家版」ビデオである。

2010年9月24日(金)16:20
「もうひとつのアフガニスタン カーブル日記1985年」
(2003/42分/DVCAM)
映画同人シネ・アソシエ 撮影:高岩仁、一之瀬正史
1985年のアフガニスタン初訪問時に撮影された内戦下の首都カーブルが記録されている。新しい祝日・革命記念日の20万市民の素顔など「民主共和国」時代の日常を描く。

2010年9月24日(金)17:20
「在りし日のカーブル博物館1988年」
(2003/32分/DVCAM)
映画同人シネ・アソシエ 撮影:高岩仁、一之瀬正史
アフガニスタンの文化財は、1992年民主共和国の崩壊以後、その7割が破壊されたり、略奪されて海外に流出して失われた。しかし、カーブル博物館が1993年に破壊される前の88年、土本らは幸運にも代表的文化財を撮影していた。世界唯一の在りし日の博物館の記録である。『よみがえれカレーズ』の未使用ネガから復元し、将来のアフガニスタンの資料映像となるように「私家版」として完成させた。

2010年9月26日(日)17:15
「みなまた日記 甦える魂を訪ねて」
(2004/100分/DVCAM)
映画同人シネ・アソシエ
1996年「水俣・東京展」に掲げる水俣病犠牲者の遺影を集めるため、土本が約1年間水俣に滞在した時にビデオキャメラにおさめた素材を2004年にまとめた。撮影の数年後、改めて仮編集のままのビデオを見た土本がまず再発見したのは「“墓場”(埋立地)を『水俣病を記憶する場』(聖地)に作りかえていった」患者自らの働きかけだった。水俣最終作にして土本の遺作となった、水俣の甦りを訪ねる旅の記録。

参考上映
2010年9月20日(月・祝)13:55
[「日本一ぶりの里訪問記」と2本立て]
「銀輪」
(1956/12分/35mm/FC所蔵ニュープリント)
新理研 監督:矢部正男、松本俊夫、樋口源一郎 撮影:荒木秀三郎
のちに実験映画作家として活躍する松本俊夫が中心になって制作した、日本自転車工業会の海外PR用映画。少年の自転車へのあこがれを幻想的に表現している。松本が前衛芸術グループの実験工房とともに構想をまとめ、武満徹が音楽を、円谷英二が特殊撮影を担当。幻の映画だったがフィルムセンターがオリジナルネガをもとにデジタル復元した。
参考上映
2010年9月19日(日)17:30
「阿賀に生きる」
(1992/115分/16mm)
阿賀に生きる製作委員会 監督:佐藤真 撮影:小林茂
80年代の水俣を描いた『無辜なる海』(1983/香取直孝監督)のスタッフだった佐藤真が、水俣と同様の問題を抱える新潟県・阿賀野川に着目、川筋に生きる人々の暮らしや公害の事実を、3年にわたる長期滞在で撮影した作品。福祉ドキュメンタリーで知られ、作り手と被写体の人たちがともに考えながら映画をつくった柳澤壽男監督に師事した小林茂カメラマンの影響が強く感じられる。

参考上映
2010年9月25日(土)13:00
「映画は生きものの記録である 土本典昭の仕事」
(2006/94分/DVCAM)
ビジュアルトラックス 企画・製作: 伏屋博雄 監督:藤原敏史 撮影: 加藤孝信
これまでの作品のファイルや新聞切抜帖、スティンベック(フィルム編集机)やビデオ編集機の置かれた土本の仕事部屋。伏屋博雄、藤原敏史、石坂健治らは何度も仕事部屋を訪ね、土本が長年追い続けてきた「水俣」や『ある機関助士』『ドキュメント路上』『不知火海』など自作への思いを聞く。そこに各作品の名シーンを挿入し、土本作品初体験の観客にも理解しやすく構成されている。さらに、久しぶりに水俣へ出向いた土本の姿をカメラは追う。

参考上映
2010年9月18日(土)17:50
「大野一雄 ひとりごとのように」
(2007/100分/DVCAM)
クエスト 監督・撮影:大津幸四郎
平野克己監督の『魂の風景・大野一雄の世界』(1991)で撮影を担当した大津幸四郎が、腰を打ち歩行不能になり、言葉も不自由になりながらも、100歳を超えてなお舞台に立ち続ける舞踏家・大野一雄の姿を描く。今年6月1日、惜しまれつつ103歳で亡くなった大野を偲ぶ上映でもある。

《料金》入れ替え制
1回券
一般:1200円 学生・シニア・障がい者:1000円
会員一般:1000円 会員学生・シニア・障がい者:900円

3回券(前売り)
2600円(非会員共通) 2300円(会員共通)

期間中フリーパス券(限定10枚/取扱は神戸映画資料館のみ)
*3×3.5cm程度の顔写真(モノクロコピー可)をご用意ください。
12000円(会員共通)

〈前売りチケットの取り扱い〉
神戸映画資料館、プラネット・プラス・ワン

*当日券、および整理券は、12:00からその日のすべての上映会分を販売、発行いたします。
*前売り3回券、フリーパス券、および招待券をお持ちの方は、受付にて整理券をお求めください。

主催:神戸プラネット(神戸映画資料館)
後援:長田区役所
助成:しみん基金KOBE、アサヒビール芸術文化財団、芸術文化振興基金
協力:新長田まちづくり株式会社
上映素材・写真提供および協力:東京国立近代美術館フィルムセンター、シグロ、映画同人シネ・アソシエ、自由工房、アテネ・フランセ文化センター、火種プロダクション、東町漁業協同組合、モンタージュ、徳間書店、クエスト、大津幸四郎、伏屋博雄、「阿賀に生きる」製作委員会、小林茂、高岩純子


第1回神戸ドキュメンタリー映画祭
《社会福祉への眼差し》柳澤壽男監督特集上映

2009年9月19日(土)〜23日(水・祝)、26日(土)・27日(日) 

「地域福祉」をテーマにした作品にこだわり続けた柳澤壽男監督作品を特集上映します。
自主製作の五作品『夜明け前の子どもたち』、『ぼくのなかの夜と朝』、『甘えることは許されない』、『そっちやない、こっちや コミュニティケアへの道』、『風とゆききし』を連続して見られる貴重な機会です。
一作ごとの映画作りが生み出す関係性やその動きに呼応して変化していくドキュメンタリー作家、柳澤壽男の世界を感じることができるでしょう。

厚い雲を切り開く
  柳澤監督は膨大な作品群を持ちながら、それを話すことをよしともせず、50歳を前にすっかり人生をかえてしまった人でした。私は最後の二作『そっちやない、こっちや』と『風とゆききし』に助手としてつかせてもらいました。一作一作、悩み、あらたな文体を思考し、映画の現場の人々とラッシュを共に見て話し込む監督でした。その狭間から、作品が隆起してきました。柳澤作品は、人の限りない哀しみが映りこみながら、厚い雲を切り裂いて降りてくる陽光のように、人間存在そのもののよろこびが湧きあがってくるようです。
   小林茂(映画監督)
人間の可変性を信じて
  柳澤壽男の晩年の長篇五本を見ると、映画の孕む感情の変容が強い力で迫ってくる。写っているのは障害者や難病患者の日々の姿だが、画面には動きがあふれつづけ、その積み重ねのなか、感情が析出する。そのあり方が、五本において、ゆっくりと確実に変動してゆくのである。柳澤壽男が人間の可変性を信じていることは五本を通して変わらず、だから、画面に彼ら彼女らの動きが充満する。そこから感情が出てくるのは当然として、明らかに一本一本異なっており、その微妙な違いが面白い。柳澤壽男自身、そのようにして撮りつづけ、おそらく三本目の『甘えることは許されない』を転換点に、さらに豊かな映画世界へ向かったと思われる。
   山根貞男(映画評論家)
柳澤壽男の映画 一歩先を歩みつづける<直前の過去>
  見終わったあと、登場人物の〈それから〉が気になってしかたない。これが、柳澤壽男作品の特徴だろう。あのひとたちは、エンドマークのあと、どうなっていったのだろうか。人物たちのそれからに思いを馳せたくなるのは、福祉ドキュメンタリーと呼ばれる五作品ばかりではなく、たとえば『富士山頂観測所』(1948)の気象部員にしても、東京電力のPR映画『野を越え山を越え』(1955)に出てくる水力発電所の家族にしても同様だ。フィクションとドキュメンタリーのちがいを問わず、登場人物の事後が気になる映画はあるが、柳澤作品ではことに気になる。まるで映画は、被写体の未来を想像するための助走にすぎないかのようだ。特徴のもうひとつは、映されている映像が〈現在ただいま〉ではなく、〈直前の過去〉に見えるということだ。おそらく、ふたつはひとつにつながっている。
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   鈴木一誌(グラフィックデザイナー)

「夜明け前の子どもたち」
(1968/120分/白黒/16mm[原版35mm])
監督:柳澤壽男
企画:財団法人大木会 心身障害者福祉問題総合研究所
製作:国際短篇映画社
脚本:秋浜悟史 撮影:瀬川順一 音楽構成:大野松雄、小杉武久
音楽:三木稔 録音:片山幹男 照明:久米成男
編集:高橋春子、加納宗子 解説:植田譲
1963年に開設された滋賀県野洲町の重症心身障害児療育施設「びわこ学園」。手探りの養育が始まったばかりの学園には、元気で無邪気な子どもたちと、彼らを支えるために苦悩し格闘する職員たちの姿があった。 医療と教育の両面から子どもたちに働きかけようという「びわこ学園」の試みの記録で、障害者の記録映画に取り組んだ柳澤監督の原点ともいえる作品。亀井文夫監督『戦ふ兵隊』や羽田澄子監督『薄墨の桜』などの名カメラマン瀬川順一による被写体の生き生きとした描写とともに、それまでのPR映画には見られない柳澤演出の初々しさが感じられる。

「ぼくのなかの夜と朝」
(1971年/100分/カラー/16mm)
製作:社団法人西多賀ベッドスクール後援会 製作:今野正己、浮田洋一
監督:柳澤壽男 脚本構成:大沼鉄郎 撮影:石井尋成、秋山洋、長田勇
編集:高橋春子 音楽:松村禎三 録音:大橋鉄矢
解説:伊藤惣一 監修:近藤文雄
仙台市にある国立療養所西多賀病院(現・独立行政法人国立病院機構西多賀病院)は1947年に結核療養所として開設され、進行性筋萎縮症(筋ジストロフィー)の治療を全国に先駆けて取り組んできたことでも知られる。この映画は1969年の秋から1970年の春にかけ、西多賀病院のベッドスクールで生活する130人の筋ジストロフィーに冒された子供たちを記録したものである。病弱児童による詩を字幕で挿入しながら、不治の病に冒された子供たちの生きる意味や学ぶ意味を映画を通して考える。

「甘えることは許されない」
(1975/105分/カラー/16mm)
製作・監督:柳澤壽男 脚本:厚木たか
撮影:坂本力康 音楽・録音:菊地進平
ナレーター:久米明 編集:青木千恵 監修:近藤文雄
1966年に開園した仙台市の重度身体障害者収容授産施設・西多賀ワークキャンパス。ワークキャンパスとは「働きながら学ぶ園」の意味を持ち、障害者が就労を柱にしつつ充実した生活の場を築くところで、この映画は1973年10月から1975 年5月にかけて撮影された。柳澤やスタッフは車椅子や松葉杖を頼りに働く人たちとともに、ひたすらに「働くとは一体どういうことか」を考えながら記録した。働くことに生き甲斐を見いだす障害者たちの姿を通し、私たちはもっと深く障害を受けている人の身になって物事を考えるように力を尽くさなければならないと実感する。

「そっちやない、こっちや
コミュニティケアへの道」

(1982/113分/カラー/16mm)
企画:伊藤方文
製作:記録映画 コミュニティー・ケアへの道 製作委員会
構成監督:柳澤壽男 題字:沙羅千春 撮影:塩瀬申幸
スチール:小林茂 録音:小林賢 解説:伊藤惣一
作詩:森永都子 作曲:冬木透
愛知県知多市の療育グループの記録で、障害者にとってのコミュニティ・ケア=地域福祉とは何かを考える。知的な発達に障害のある方の家族の会「知多市手をつなぐ親の会」などの協力の下、成人となった知的障害者とその親たちの交流、指導員たちと一緒に考え設計した「家」づくりの困難、借り受けた宿舎を改造し共同作業所「ポパイノイエ」と名付けるコミュニティを完成させる様子などを丹念に記録する。「撮りながら考え、考えながら撮る」原則を貫いて人々を感動させるドキュメンタリーを2年の歳月をかけて完成した。山路ふみ子文化財団福祉映画賞受賞。

「風とゆききし」
(1989年/154分/カラー/16mm)
製作:財団法人 盛岡市民福祉バンク 製作・監督:柳澤壽男
撮影:瀬川順一、瀬川浩、柳田義和
助監督・スチール:小林茂
音響:村上文朗、長島久雄 音楽プロデューサー:斉藤晃
音楽ディレクター:八木良弘 作曲:木村政巳
録音:奥井義哉 解説:伊藤惣一
盛岡市民福祉バンクは1975年にリサイクルと在宅福祉をドッキングさせた障害者福祉運動を開始し、1979年に財団法人化、1981年に盛岡市浅岸に付属農場いきいき牧場を開設して農耕型の福祉活動を始める。この牧場を中心に4年がかりで撮影した柳澤監督最後のドキュメンタリー映画。身障者がより自由に生き生きと生きるにはどうすればいいのか、福祉バンクの職員、所員、ボランティア、そして障害者の日常からさまざまな問題点が浮かび上がってくる。日本映画ペンクラブ推薦優秀作品。

参考上映
「どこかで春が」
(1959年/65分/白黒/16mm)
製作:新映画ぷろだくしょん、合資会社奥商会
監督:柳澤壽男 製作:米山彊 原作:片岡司郎 脚本:厚木たか
撮影:瀬川浩 照明:堀源吉 演出助手:間宮則夫、小島義史、馬場勇
音楽:草川啓 効果:大野松雄 解説:宇野重吉
出演:今村正一、市口淑子、真砂純忠、新居忠、東野久雄、小林一三
大阪近郊の小都市(映像では布施)にある中学校(映像では河内中学校)の演劇部は北海道冷害地救援のための生活劇の練習に励んでいた。中には新聞配達をしたり、自宅で封筒貼りなどのアルバイトをしながら通学する貧しい家庭の子供たちも多く、次第に欠席が多くなっていった。演劇部は演劇だけでなく幻灯会活動を始め、アリババ、彦市とんちばなし、原水爆などのスライドを街頭で上映し街を明るくするために頑張っていた。演劇部が優等生づらして気にくわないと暴力を振るう小泉君と、家庭が貧しくても頑張る演劇部のケイコさんの友情物語を軸に、貧乏に負けず生き抜く子供たちの生き様を描く児童向き劇映画。昭和30年代の布施の風景や大阪弁の会話が懐かしい。

参考無料上映
「神戸っ子」
(1960年/54分/カラー/16mm)
監督・脚本:柳澤寿男
製作:三井芸術プロダクション
作品提供:株式会社神戸製鋼所
車好きな卒業間近の神戸大学生、妹が洋裁店をしながら中学生の弟を養っている三人暮らしの一家。手作りのエンジンの話を中心に据え、特殊鋼をPRした劇映画。柳澤夫人の磯田充子さんが女優時代に京知子の芸名で出演している。

NEW 参考無料上映
「車大工」
(1976年/38分/カラー/16mm)
企画:京都府 製作:小坂プロ
監督:柳澤壽男 脚本:杉本浩平 撮影:山根和佳
作品提供:京都府

NEW 参考無料上映
「古典雅楽器 雲の上の音がたちのぼる」
(1977年/51分/カラー/16mm)
企画:京都府 製作:小坂プロ
監督:柳澤壽男 脚本:杉本浩平 撮影:塩瀬申幸
作品提供:京都府

柳澤壽男(1916〜1999)

1916年群馬県生まれ。松竹京都下加茂撮影所の助監督から出発。劇映画『安来ばやし』(40年)を監督するが、『小林一茶』(41年/亀井文夫)に感銘を受け、記録映画を志す。戦後の混乱から高度成長に至る時期、日本映画社、岩波映画など多くの短編映画各社を渡り歩いて記録映画やPR映画を多数手掛けた。『富士山頂観測所』(48年)や『海に生きる』(49年)などで高い評価を得るが、PR映画全盛の時代に作家が望むような仕事は困難となり企業の宣伝に加担する仕事に見切りを付けることにした。自主製作を決意し、68年の『夜明け前の子どもたち』から89年の『風とゆききし』まで、計5本の長編ドキュメンタリー映画に取り組んだ。障害者の生活とその苦悩を通 して人間が自由に生きることとは何かを問う作品群は、山形国際ドキュメンタリー映画祭や各地の福祉映画祭などで高い評価を得るなど、今も観客に感動を与える命の長い映画となっている。晩年は看護婦をテーマとした新作『ナースキャップ』に取り組んでいたが、実現しないまま1999年6月16日83歳にて急逝。

《料金》入れ替え制
1回券
一般:1300円 学生・シニア・障がい者:1000円
会員一般:1000円 会員学生・シニア・障がい者:900円

3回券
2800円(非会員共通) 2600円(会員共通)

前売り 1回券(共通):1000円

〈前売りチケットの取り扱い〉
神戸映画資料館、プラネット・プラス・ワン、
全国のチケットぴあ(Pコード461-146)ほかで発売中

主催:神戸プラネット(神戸映画資料館)
後援:長田区役所 助成:アサヒビール芸術文化財団
協力:新長田まちづくり株式会社、株式会社神戸製鋼所、京都府


※内容は予告無く変更する場合があります。