MENU
コレがいいのだっ!

NOBODY KNOWS チャーリー・バワーズサイレント映画の“無垢なる発明家”チャーリー・バワーズ、日本初の特集上映

上映作品

伴奏音楽:塩屋楽団+Solla

*上映作品はすべて無声映画です。
今回の上映用に新たに録音した伴奏音楽を付けて上映します。

上映劇場

最新情報は公式SNSでチェック

  • twitter
  • Insta
  • FB

主催:NPO法人プラネット映画保存ネットワーク
提供:Lobster Films/文化庁「ARTS for the future!」補助対象事業

INTRODUCTION

誰も知らないチャーリー・バワーズクレイジーボーイ
日本初の特集上映

木には缶詰が実り、ネズミが猫を銃で狙い、タマゴからはクルマが孵る……。今から100年近く前のサイレント時代末期に生み落とされた、映画史上類を見ないオリジナリティを放つチャーリー・バワーズの作品たち。誰もが息を呑む緻密なストップモーション・アニメーションと実写の融合(”バワーズ・システム”)によってバワーズが創り出した映像世界は、モダンでパンク、シュルレアリスティックでクレイジー。奇抜な発想とたまらなくポップな造形が縦横無尽にかけめぐる。それでいて喜劇王バスター・キートンのような憂愁と、キートンをもしのぐ狂気が潜んでいて、観る者を驚かせ、笑わせ、時にはホラー映画のような恐怖さえも感じさせる。

バワーズは多くの作品で“発明家”を演じている。孤独な発明家バワーズは、映画の中でルーブ・ゴールドバーグ風の奇妙な巨大機械や、万物が実る不思議な樹木の開発にいそしむ。それがしばしばカタストロフを招くとは知らぬままに……。これらの作品群が作られたのはマシン・エイジ(第一機械時代)と呼ばれる1920年代末期。後年チャップリンは『モダン・タイムス』(1936年)で機械文明を風刺するが、バワーズの機械への偏愛はむしろバスター・キートンに近い。キートンもまた機関車や客船などのマシン・エイジに発達を遂げた巨大機械を使ってコメディ活劇の傑作を生み出した。だがバワーズはコメディアンというよりやはり“発明家”である(国勢調査でも職業欄には“発明家”と書いていたらしい)。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のドクよろしく自宅の地下室でヘンテコな発明品を細々と作り続けるバワーズは、傍目には狂人である。だが彼の手にかかれば、無機物から生命が生まれ、有機物は機械を産む。バワーズの宇宙で機械と生命は幸福な結婚を遂げるのだ。 1946年の没後バワーズの存在は映画史に埋もれ、長い間忘れ去られていた。21世紀の今ようやく再評価が始まりつつあるのは、人工知能が発達して人間と機械の境界が曖昧になり、機械文明の新たなフェーズに入りつつある現代に彼がよみがえるための必然だったのかもしれない。

斜め上をいく天才は、 自分の存在すらも煙に巻く

そのあまりに独創的な映像世界をバワーズはたった一人で創造したのだろうか? カートゥーニスト出身の彼が突如パペット・アニメーションにのめりこんだ理由とは……? その経歴は実は今も謎に包まれている。 クエイ兄弟をはじめとする後世のアーティストに映画史の陰でひっそりと影響を与えているものの、当のバワーズ本人の実像はほとんど誰にも知られていない。彼自身が語ったというプロフィールは残されている。それによると生まれは伯爵家の血筋で、5歳で綱渡りをマスター、6歳でサーカス一座に誘拐され、9歳で一家の大黒柱に……と、あまりにドラマティックだ。だがそのほとんどが宣伝のため、あるいは周囲を楽しませるためのホラ話だったと言われている。『ほらふき倶楽部』の仏語字幕にこんな言葉がある──「真実の残酷さに耐えるべく 心ある市民らは『ほらふき倶楽部』を作った」。ひょっとしたらバワーズも、現実の残酷さに耐えるため、でっち上げの経歴で人々を煙に巻いていたのだろうか? いずれにしろ最大の謎は、これほどの才能がかくも長く忘れ去られていたことなのだ。

PROFILE

チャーリー・バワーズ
Charley Bowers

1889年頃-1946年/米国アイオワ州出身
*生年は諸説あり
伯爵家の血筋で、5歳で綱渡りをマスターし6歳でサーカス一座に誘拐された(本人談)。カートゥーン「マット&ジェフ」のアニメーターを経て、自身が主演する無声短篇映画の制作をスタート。長く忘れられていたが、1960年代にフランスで発見されたことを皮切りに、眠っていたフィルムが世界各地で発掘される(今回上映する4作品のうち3本はフランス語版)。21世紀に入り現存する作品のデジタル修復が行われ、映画史に埋もれた天才の再評価が高まりつつある。

プロフィール

チャーリー・バワーズとはいいをじゅんこ(クラシック喜劇研究家)

サイレント映画時代末期の1920年代後半、チャーリー・バワーズは20本の新奇な短篇映画を生み出した。実写のスラップスティックとストップモーション・アニメーションを融合させたその作品群は、他に類を見ないオリジナリティに溢れている。ほとんど偏執的なまでに精緻なバワーズのアニメーションは現代の観客をも驚愕させる。
しかし、チャーリー・バワーズは忘れられたアーティストであった。短篇『IT’S A BIRD』(1930年)を公開から7年後に観たアンドレ・ブルトンはその才能に驚愕し絶賛のコメントを残しているが、バワーズが脚光を浴びることはなかった。フィルムのほとんどは失われ、バワーズは映画史から消えた。

チャーリー・バワーズとは、いったい何者なのか。その生涯は今も謎に包まれている。チャールズ・R・バワーズは19世紀末(生年は1887年、1889年と諸説ある)米国アイオワ州のクレストという町で生まれた。バワーズ自身が語った“プロフィール”によれば、彼は伯爵家の血筋に生まれ、5歳で綱渡りの技を体得し、6歳でサーカスの一座に誘拐され、カウボーイ、調教師などさまざまな職を転々とした…。だがこのドラマティックな半生はほとんどが脚色だったのではと言われている。
バワーズが1910年代初頭に新聞漫画家だったことは確認されている。「シカゴ・トリビューン」などの大手紙で漫画を担当。新聞王ハーストがアニメーション映画化した「カッツェンジャマー・キッズ」の制作にも関わった。その仕事が著名な漫画家バド・フィッシャーの目に留まる。バド・フィッシャーは大人気漫画「マット&ジェフ」の原作者で、アニメーション版のシリーズ化にあたり制作スタッフを探していた。バワーズはフィッシャー工房の一つを任され、何人ものアニメーターを抱えたスタジオの責任者に就任する。

だが1920年代に入る頃からバワーズの関心はストップモーション・アニメーション(パペット・アニメーション)へ移っていく。英国出身の撮影技師ハロルド・L・ミューラー(この人物の経歴もよくわからない)と独立プロダクションを立ち上げ、1926年に最初の“実写”短篇作品『たまご割れすぎ問題』(Egged On)を発表。バワーズ自身が主演する喜劇“Whirlwind Comedy Series”と銘打ち20本の短篇を作った。撮影手法を“バワーズ・システム”と謳っているものの、それが何を意味するのかは謎である。
かくしてバワーズはアニメーターから“コメディアン”となった。本格的な喜劇の訓練を受けたわけでは(おそらく)ないバワーズには、動きで観客を笑わせる技術や才能はさほどない。それでも観客を惹きつける何かが彼にはある。例えば無表情で知られるキートンの憂愁や、永遠の少年ハリー・ラングドンの純粋さなど、同時代のアメリカ喜劇の影響を見てとることもできる。制作と主演を兼ねたのも当時の名だたるコメディアンたちと共通している。

ただ、バワーズがコメディアンを自認していたかどうかははかりがたい。1930年の国勢調査では彼は職業を「発明家」と申告していたという。映画の中でも発明家の役を演じることが多かった。一人のコメディアンが同じ職業を何度も演じるというのは、当時の喜劇映画では極めて稀なことである。バワーズのいかにも器用そうな手の動きや、仕事に打ち込む真剣さを見ていると、コメディアンというより職人と呼ぶにふさわしいという気がする。

1930年、初のトーキー作品『IT’S A BIRD』を発表。39年にはニューヨーク万国博覧会に出品された企業宣伝映画のアニメーションを担当しナレーションも務めている。すでに健康を害していたバワーズはその後、東海岸に居を移した。1946年没。当時の映画雑誌に掲載された訃報には「カートゥーン・アニメーションのパイオニアであったチャールズ・バワーズが57歳で死去」とある。

バワーズの死から20年を経た1960年代半ば、シネマテーク・ド・トゥールーズの創設者レイモン・ボルド(Raymond Borde 1920-2004)は、旅芸人から買い受けた大量のネガフィルムの中に奇妙な無声映画数本のプリントを見つけた。「ブリコロ(Bricolo フランス語で“日曜大工、修理屋”の意)」の愛称で呼ばれるそのコメディアンにボルドはたちまち魅了された。そしてそれがチャーリー・バワーズであることをつきとめた。 だがその後も一部のファンや専門家を除きバワーズが注目されることはなく、再評価の機運がようやく高まったのは90年代以降である。アーキビストのセルジュ・ブロンベルグ(『メリエスの素晴らしき映画魔術』監督)が『ほらふき倶楽部』(Now You Tell One)を観て強い衝撃を受け、世界のアーカイブに眠るバワーズ作品の調査発掘に着手した。その調査の成果として初めてまとまったバワーズ作品がDVD化されたのが2003年。さらに本格的なデジタル修復作業が進められ、2019年にロブスター社から2枚組Blu-rayが発売された。 バワーズの再発掘は今も世界各地で進んでいる。現存しないと思われていた短篇『HOP OFF』(1928年)のフィルム(部分)が米国に存在するとの最新情報もある。日本でもあるいはコレクターの収集フィルムの中にひっそりと眠っていないとも限らない。チャーリー・バワーズは、まさに今よみがえりつつある天才なのである。

参考文献:
なみきたかし、伴野孝司、望月信夫、森卓也(1986)『世界アニメーション映画史』ぱるぷ 岡田秀則(2009)「NFCニューズレター 連載フィルムアーカイブの諸問題第73回『ノンフィルムの森⑤シネマテーク・ド・トゥールーズ』」東京国立美術館フィルムセンター
細馬宏通(2013)『ミッキーはなぜ口笛を吹くのか アニメーションの表現史』新潮社
Goldmark, Daniel /Keil, Charlie (2011) Funny Pictures: Animation and Comedy in Studio-era Hollywood, University of California Press, Ltd.
Massa, Steve(2013) Lame Brains & Lunatics: The Good, The Bad, and The Forgotten of Silent Comedy, BearManor Media
赤塚若樹(2019)「ブラザーズ・クエイと「東欧的なもの」」首都大学東京人文学研究科人文学報
Axmaker, Sean(2019)Celebrating Bricolo, ブルーレイThe Extraordinary World of Charley Bowers, Flicker Alleyに添付のブックレット解説
Grayson, Eric(2020), A Charley Bowers Cartoon Detective Story, Cartoon Research URL: https://cartoonresearch.com/index.php/a-charley-bowers-cartoon-detective-story/ (2021年8月8日閲覧)

画像提供:スティーヴ・マッサ

LINEUP

伴奏音楽:塩屋楽団+Solla

稲田誠:contrabass, electric bass / 鈴木勝:electric guitar /森本アリ:sampler, gameboy, jews harp /山本信記:synthesizer, trumpet / Solla:piano, organ, andes25f

*上映作品はすべて無声映画です。
今回の上映用に新たに録音した伴奏音楽を付けて上映します。

TRAILER

COMING SOON

OUTLINE

◉上映作品(4作品一挙上映)

『たまご割れすぎ問題』『全自動レストラン』『ほらふき倶楽部』『怪人現る』

◉日程・会場(3都市/全6回上映)

[東京]

11月12日(金)18:30
11月13日(土)14:00

上映後、細馬宏通(視聴覚文化研究)トーク

会場:アテネ・フランセ文化センター

(JR「御茶ノ水駅」「水道橋」徒歩7分 アテネ・フランセ4階|03-3291-4339 13:00-20:00)

[大阪]

11月19日(金)18:20
11月20日(土)13:30

上映後、鈴木卓爾(映画監督)トーク

会場:シネ・ヌーヴォ

(大阪メトロ中央線「九条駅」徒歩3分|阪神なんば線「九条駅」徒歩5分|06-6582-1416)

[神戸]

11月21日(日)13:30  16:00

上映後、いいをじゅんこ(クラシック喜劇研究家)他トーク

会場:神戸映画資料館

(JR「新長田駅」徒歩5分|078-754-8039)

◉料金 1,800円(税込)

◉チケット

[東京・神戸会場]

10月29日(金)よりご予約受付開始。

<予約方法>
メールか電話にて、①希望日時 ②会場名 ③お名前 ④お電話番号をお知らせください。
ご予約・お問合せ:神戸映画資料館 078-754-8039 info@kobe-eiga.net

<当日受付>
当日空席がある場合はご予約なしでも入場可。残席状況は公式サイト等でお知らせします。

[大阪会場]

オンライン・窓口ともに11月7日(日)よりチケット販売開始。

<オンライン予約>
https://cinenouveau.sboticket.net/
<当日受付>
9:30よりチケット販売開始(全席指定席)

【注意事項】※新型コロナウイルス感染症対策は各会場の方針に準じます。ご予約後、ご都合が悪くなられた場合は、お早めにご連絡ください。

CREDIT

お問合せ:神戸映画資料館 078-754-8039 
info@kobe-eiga.net
主催:NPO法人プラネット映画保存ネットワーク
提供:Lobster Films
文化庁「ARTS for the future!」補助対象事業
宣伝美術:nix graphics
宣伝協力:ユカワユウコ
録音・ミックス:和田真也
DCP作成:東山映像
予告篇:麓貴広
公式サイト:相澤誠(ADW.Inc)
協力:古典喜劇映画上映委員会
PageTop