プログラムPROGRAM
2012 5

ゴールデンウィーク名画座 ジョン・フォード
2012年5月4日(金・祝)〜6日(日)
大映画監督ジョン・フォードの『黄色いリボン』と『肉弾鬼中隊』を35ミリプリントで上映。
 
「黄色いリボン」She Wore A Yellow Ribbon
(アメリカ/1949/103分/35mm/テクニカラー)
監督:ジョン・フォード
原作:ジェームズ・ワーナー・ベラ
脚本:フランク・ニュージェント、ローレンス・スターリングス
撮影:ウィントン・C・ホック
音楽:リチャード・ヘイグマン
出演:ジョン・ウェイン、ジョーン・ドルー、ジョン・エイガー、ベン・ジョンソン、ハリー・ケリー・Jr、ヴィクター・マクラグレン
 
“騎兵隊3部作”の第二作。1876年の西部。退役を間近に控えた騎兵隊の大尉ネイサン(ジョン・ウェイン)は、隊長の妻と姪を護送役に任命される。しかし、戦況の悪化により二人を伴って隊に戻った彼は、退役までの限られた時間の中、部下とともにインディアンに抗戦する。
 
 
「肉弾鬼中隊」The Lost Patrol
(アメリカ/1934/66分/35mm)
監督:ジョン・フォード
原作:フィリップ・マクドナルド
脚本:ダドリー・ニコルズ
撮影:ハロルド・ウェンストロム
音楽:マックス・スタイナー
出演:ヴィクター・マクラグレン、ボリス・カーロフ、ウォーレス・フォード、レジナルド・デニー
 
第一次大戦中のメソポタミア砂漠で、姿の見えないアラブ軍に追い詰められる英国軍中隊。限られた空間と登場人物で作られたフォード初めての戦争映画。一人また一人と味方が銃弾にたおれていく中で極限状態に陥る兵士たちの心理を描き出す。『フランケンシュタイン』(1931)のボリス・カーロフが伍長を演じている。
 

《料金》入れ替え制1本あたり
一般1000円 学生・シニア900円
会員900円 学生会員・シニア会員700円

《割引》
2本目は200円引き


戦後の大衆文化
2012年5月19日(土)・20日(日)
近年復元された『サザエさん 七転八起の巻』『煉獄に咲く花』ニュープリントに加え、今は見ることができない戦後の風俗を活写した『女体の放射能』『七彩の花吹雪』を併映。荒井良平、西河克己、石山稔らベテラン監督の力量を確認しよう。
Aプログラム
「サザエさん 七転八起の巻」
(1948 / 53分 / 35mm)
監督:荒井良平 原作:長谷川町子
脚本:京都伸夫 撮影:藤井春美、平野好美
音楽:服部良一
出演:東屋トン子、木野浩、宮城千賀子、滝沢静子、沢蘭子
国民的人気漫画「サザエさん」の日本初の実写映画化。雑誌記者をしているサザエさんが、友人の妹の入院費を捻出するために奔走するという物語。服部良一が作曲した軽快なレビューシーンがふんだんに盛り込まれている。日活京都時代劇映画の巨匠、荒井良平がマキノ真三と宮城千賀子夫妻が設立したマキノ映画で手がけた現代劇。東屋(あずまや)トン子は宮城千賀子と宝塚歌劇団の同窓生(旧芸名・東屋鈴子)で、マキノ映画での荒井良平の前作『ゴムまり』に出演、その役名であるトン子に芸名を改めた。
 
Bプログラム
「煉獄に咲く花 」
(1953 / 38分 / 35mm)
監督:石山稔 脚本:山田良平
撮影:布施福松 音楽:浦上鐘一
出演:鈴木暁子、原惠子、久世まゆみ、大倉節美、三船あき子
ある売春婦の手記を映画化したもので、水害で家族を失い東京に出てきて路頭に迷っていたところ、声をかけてきた親切そうな女に騙されて娼婦に転落した女と、貧しい漁村から病身の母の治療費をかせぐために東京に出て娼婦になった女を主人公に、人身売買の悲惨な実体を批判する映画。「衆議院参議院婦人議員推薦」と字幕が出る。監督は帝キネ、松竹下加茂、河合、大都などを渡り歩いたベテラン石山稔。
 
「女体の放射能」
(1950年代 / 10分 / 35mm)
和製短篇ヌードショウ映画。音楽に合わせ舞台上で繰り広げられる裸体の乱舞。製作会社、制作年、スタッフなど詳細不明。フィルムには「女体の放射能」とタイトルが出るが、フィルム缶には「女体放射能」と書かれている。「女体放射能」と同一作品なら1957年に上野ニュース館、1959年に新橋名画座で上映された記録がある。
 
「七彩の花吹雪」
(1953 / 20分 / 16mm)
監督:西河克己 撮影:高村倉太郎
出演:川路龍子、曙ゆり、小月冴子、南條名美
宝塚歌劇団、日本歌劇団(OSK)と並ぶ日本三大少女歌劇団のひとつ、松竹歌劇団(SKD)の定期公演「第22回東京踊り」の記録。東洋一を誇る浅草の国際劇場の舞台に繰り広げる歌と踊りの一大絵巻。当時、日本情緒溢れる派手なレビューで東京観光の目玉にもなっていた。監督は裕次郎、小百合、百恵などスター主演映画のベテラン西河克己。

《料金》入れ替え制1プログラムあたり
一般1000円 学生・シニア900円
会員900円 会員学生・シニア700円

《割引》2プログラム目は200円引き


映画館の闇 『映画を見に行く普通の男』刊行記念
2012年5月26日(土)・27日(日)
ジル・ドゥルーズの大著『シネマ』の中で、フランスの映画論の中でもとりわけ詩的なものとして挙げられているジャン・ルイ・シェフェールの『映画を見に行く普通の男』の翻訳書が現代思潮新社より5月31日に刊行される予定です(神戸映画資料館で26日から先行発売)。
これを記念し、本書で取り上げられている作品を集めました。映画館の「本当の闇」を体験してください。
 
[関連企画] 5月26日(土)
神戸映画資料館レクチャー:映画の内/外
第9回 映画の夜と戦争③_『映画を見に行く普通の男』
ゲスト:丹生谷貴志 聞き手:井上正昭

Aプログラム
「巨人ゴーレム」
Der Golem, wie er in die Welt kam
(ドイツ / 1920 / 86分[18fps] 105分[16fps]/ サイレント / 16mm)
監督:パウル・ヴェゲナー、カール・ベーゼ
原作:グスタフ・マイリンク
脚本:パウル・ヴェゲナー、ヘンリク・ガレーン
撮影:カール・フロイント
出演:パウル・ヴェゲナー、アルバート・シュタインリュック、リダ・サルモノヴァ
 
ユダヤ教の伝承に登場する泥人形ゴーレムに材を取った物語。1915年、1917年に次ぐ3度目の映画化。
 
“その彫像が完遂されることへの欲望はもはや後退し、ただ唯一なる神に見捨てられた男が一人、人間のかたちが生成すべき場所に無意味に触れ続けようと祈念しているだけのような具合で、或いはどうにも出来ないほど大きすぎる人形を与えられて放りっぱなしにされた幼児のような具合で、そしてしかし、その虚しい遊びは不意にあやかしのように完遂されるのです。”
(『映画を見に行く普通の男』より)
 
Bプログラムローレル&ハーディ集(日本語字幕無し)
「二人の水兵 」Two Tars
(1928 / 21分 / サウンド版 / 16mm)
監督:ジェイムズ・パロット
監修:レオ・マッケリー
撮影:ジョージ・スティーブンス
出演:スタン・ローレル、オリヴァー・ハーディ、セルマ・ヒル、ルビー・ブライアン
 
「リバティ」Liberty
(1929/ 19分 / サウンド版 / 16mm)
監督:レオ・マッケリー 撮影:ジョージ・スティーブンス
出演:スタン・ローレル、オリヴァー・ハーディ、ジェイムズ・フィンレイスン、トム・ケネディ
 
「ビッグ・ビジネス」Big Business
(1929 / 19分 / サウンド版 / 16mm)
監督:ジェイムズ・ホーン 監修:レオ・マッケリー
出演:スタン・ローレル、オリヴァー・ハーディ、ジェイムズ・フィンレイスン、タイニー・サンフォード
 
チビではにかみ屋のローレルと巨漢で気むずかし屋のハーディの極楽コンビのよるスラップスティック・コメディ。
“彼らの言葉は互いの間を表面だけ引っかけて飛び交うだけでその背後には何も無く、僕らに向けてではないから僕らにはもっと無意味で、要するに一種の言葉以前の言葉、元から何も理解する気のない意味不明の言語学の徒であること。この二人組は、互いを互いの悪夢とする……のではなくて、互いに相手を自分がそこから誕生するべき胎盤にして作者とする─そんな具合に二人なのである。”
(『映画を見に行く普通の男』より)
 
Cプログラム
「吸血鬼」Vampyr
(ドイツ・フランス/1931/ 70分 / 16mm)
監督:カール・テホ・ドライヤー
脚本:カール・テホ・ドライヤー、クリステン・ジュル
音楽:ウォルフガング・ツェラー
撮影:ルドルフ・マテ
出演:ジュリアン・ウェスト、アンリエット・ジェラール、モーリス・シュッツ
 
カール・ドライヤー監督が『裁かるゝジャンヌ』に続いて手がけた幻想的な怪奇映画。
 
“吸血鬼を死なせるのに余計な儀式など要らないのです。自らは時間を表出することのない画像-身体をフィルムの回転という時間の中に巻き込み、そしてそれを映写機の中に─粉挽き小屋の中に─閉じこめるだけで、吸血鬼を栗鼠を、誰かを[何かを]死に至る仮死の中に投げ込むのに充分なのです。”
(『映画を見に行く普通の男』より)
 
Dプログラム
「フリークス」Freaks
(アメリカ / 1932 / 60分 / 16mm)
製作・監督:トッド・ブラウニング
原作:トッド・ロビンス
脚本:ウィリス・ゴールドベック、レオン・ゴードン、エドガー・アラン・ウールフ、アル・ボースバーグ
撮影:メリット・B・ガースタッド
出演:ウォーレス・フォード、オルガ・バクラノヴァ、ロスコー・エイツ、レイラ・ハイアムズ 、ハリー・アールズ
 
見世物小屋で奇形を売り物とするフリークスたち。公開当時、各地で上映禁止となったカルト作品。
 
“同じものなど何一つないのに似ている、そのことだけで出来た世界、似ているのに同じではない、同じではないのに似ている、これがこの世界の狂気であり、この世界は合せ鏡状の永遠に似ているのであり……そのことがこの世界の恐ろしさを成すのである。”
(『映画を見に行く普通の男』より)
 
 

《料金》入れ替え制1プログラムあたり
一般1000円 学生・シニア900円
会員900円 会員学生・シニア700円

《割引》
2プログラム目は200円引き
[レクチャー:第9回 映画の夜と戦争③_『映画を見に行く普通の男』] 参加者は1プログラム目も200円引き


これまでのプログラム|神戸映画資料館

※内容は予告無く変更する場合があります。

※作品によっては、経年退化で色褪せしている場合がございます。予めご理解ご了承の上、ご鑑賞くださいますようお願い申し上げます。