プログラムPROGRAM

映画館の闇 『映画を見に行く普通の男』刊行記念
2012年5月26日(土)・27日(日)
ジル・ドゥルーズの大著『シネマ』の中で、フランスの映画論の中でもとりわけ詩的なものとして挙げられているジャン・ルイ・シェフェールの『映画を見に行く普通の男』の翻訳書が現代思潮新社より5月31日に刊行される予定です(神戸映画資料館で26日から先行発売)。
これを記念し、本書で取り上げられている作品を集めました。映画館の「本当の闇」を体験してください。
 
[関連企画] 5月26日(土)
神戸映画資料館レクチャー:映画の内/外
第9回 映画の夜と戦争③_『映画を見に行く普通の男』
ゲスト:丹生谷貴志 聞き手:井上正昭

Aプログラム
「巨人ゴーレム」
Der Golem, wie er in die Welt kam
(ドイツ / 1920 / 86分[18fps] 105分[16fps]/ サイレント / 16mm)
監督:パウル・ヴェゲナー、カール・ベーゼ
原作:グスタフ・マイリンク
脚本:パウル・ヴェゲナー、ヘンリク・ガレーン
撮影:カール・フロイント
出演:パウル・ヴェゲナー、アルバート・シュタインリュック、リダ・サルモノヴァ
 
ユダヤ教の伝承に登場する泥人形ゴーレムに材を取った物語。1915年、1917年に次ぐ3度目の映画化。
 
“その彫像が完遂されることへの欲望はもはや後退し、ただ唯一なる神に見捨てられた男が一人、人間のかたちが生成すべき場所に無意味に触れ続けようと祈念しているだけのような具合で、或いはどうにも出来ないほど大きすぎる人形を与えられて放りっぱなしにされた幼児のような具合で、そしてしかし、その虚しい遊びは不意にあやかしのように完遂されるのです。”
(『映画を見に行く普通の男』より)
 
Bプログラムローレル&ハーディ集(日本語字幕無し)
「二人の水兵 」Two Tars
(1928 / 21分 / サウンド版 / 16mm)
監督:ジェイムズ・パロット
監修:レオ・マッケリー
撮影:ジョージ・スティーブンス
出演:スタン・ローレル、オリヴァー・ハーディ、セルマ・ヒル、ルビー・ブライアン
 
「リバティ」Liberty
(1929/ 19分 / サウンド版 / 16mm)
監督:レオ・マッケリー 撮影:ジョージ・スティーブンス
出演:スタン・ローレル、オリヴァー・ハーディ、ジェイムズ・フィンレイスン、トム・ケネディ
 
「ビッグ・ビジネス」Big Business
(1929 / 19分 / サウンド版 / 16mm)
監督:ジェイムズ・ホーン 監修:レオ・マッケリー
出演:スタン・ローレル、オリヴァー・ハーディ、ジェイムズ・フィンレイスン、タイニー・サンフォード
 
チビではにかみ屋のローレルと巨漢で気むずかし屋のハーディの極楽コンビのよるスラップスティック・コメディ。
“彼らの言葉は互いの間を表面だけ引っかけて飛び交うだけでその背後には何も無く、僕らに向けてではないから僕らにはもっと無意味で、要するに一種の言葉以前の言葉、元から何も理解する気のない意味不明の言語学の徒であること。この二人組は、互いを互いの悪夢とする……のではなくて、互いに相手を自分がそこから誕生するべき胎盤にして作者とする─そんな具合に二人なのである。”
(『映画を見に行く普通の男』より)
 
Cプログラム
「吸血鬼」Vampyr
(ドイツ・フランス/1931/ 70分 / 16mm)
監督:カール・テホ・ドライヤー
脚本:カール・テホ・ドライヤー、クリステン・ジュル
音楽:ウォルフガング・ツェラー
撮影:ルドルフ・マテ
出演:ジュリアン・ウェスト、アンリエット・ジェラール、モーリス・シュッツ
 
カール・ドライヤー監督が『裁かるゝジャンヌ』に続いて手がけた幻想的な怪奇映画。
 
“吸血鬼を死なせるのに余計な儀式など要らないのです。自らは時間を表出することのない画像-身体をフィルムの回転という時間の中に巻き込み、そしてそれを映写機の中に─粉挽き小屋の中に─閉じこめるだけで、吸血鬼を栗鼠を、誰かを[何かを]死に至る仮死の中に投げ込むのに充分なのです。”
(『映画を見に行く普通の男』より)
 
Dプログラム
「フリークス」Freaks
(アメリカ / 1932 / 60分 / 16mm)
製作・監督:トッド・ブラウニング
原作:トッド・ロビンス
脚本:ウィリス・ゴールドベック、レオン・ゴードン、エドガー・アラン・ウールフ、アル・ボースバーグ
撮影:メリット・B・ガースタッド
出演:ウォーレス・フォード、オルガ・バクラノヴァ、ロスコー・エイツ、レイラ・ハイアムズ 、ハリー・アールズ
 
見世物小屋で奇形を売り物とするフリークスたち。公開当時、各地で上映禁止となったカルト作品。
 
“同じものなど何一つないのに似ている、そのことだけで出来た世界、似ているのに同じではない、同じではないのに似ている、これがこの世界の狂気であり、この世界は合せ鏡状の永遠に似ているのであり……そのことがこの世界の恐ろしさを成すのである。”
(『映画を見に行く普通の男』より)
 
 

《料金》入れ替え制1プログラムあたり
一般1000円 学生・シニア900円
会員900円 会員学生・シニア700円

《割引》
2プログラム目は200円引き
[レクチャー:第9回 映画の夜と戦争③_『映画を見に行く普通の男』] 参加者は1プログラム目も200円引き

これまでのプログラム|神戸映画資料館

※内容は予告無く変更する場合があります。

※作品によっては、経年退化で色褪せしている場合がございます。予めご理解ご了承の上、ご鑑賞くださいますようお願い申し上げます。