プログラムPROGRAM

連続講座:20世紀傑作映画 再(発)見
第4回 『カメラを持った男』──機械の眼が見た〈真実〉

2018年5月26日(土)
講師:井上正昭(翻訳・映画研究)

このシリーズ講座では、映画史の節目を刻んできた傑作を毎回一本ずつ上映し、検証してゆく。時代の中から生まれながら、時代を超えて生き残る。古典とはそういうものだ。それは、つねに〈来るべき〉作品であり、映画館のような場所でそのつど〈発見〉される。このような観点から、作品を映画史の中にきっちりと位置づけ、それがいかにして生まれ、どのように受容され、それ以後の映画にどんな影響を与えたのかを検証する一方で、あたかも新作を見るように、その映画を純粋に味わい、どこにその〈映画的〉魅力があるのかを探ってゆく。

14:00 13:30〜 参考上映
「カメラを持った男」
Человек с киноаппаратом
(ソ連/1929/66分[24fps] 100分[16fps]/16mm)

「キノ・プラウダ」
Kino-pravda
(ソ連/1922/20分[16fps]/16mm)
「キノ・プラウダ」1-12号を再編集したダイジェスト版。
監督:ジガ・ヴェルトフ
伴奏:鳥飼りょう

15:45〜(終了予定17:15) 講座
劇映画を否定し、「不意打ちの人生」を捉まえることを唱え、ゴダールにも影響を与えたソ連の映画作家ジガ・ヴェルトフ。今回の講座では、彼の代表作であり、映画史上もっとも重要なドキュメンタリー=アヴァンギャルドの一つ『カメラを持った男』について考える。パンク映画と呼びたくなるほど現代的なこの映画を、あえて同時代の文脈の中に置き直して、その画面の意味を読み解いてゆくと同時に、エイゼンシュテインのモンタージュ理論はもちろん、未来派・構成主義といった同時代の芸術運動やスターリン主義などとの関係についても検証する。

井上正昭
1964年生まれ。Planet Studyo + 1 で映画の自主上映にたずさわる。訳書に『映画監督に著作権はない』(フリッツ・ラング、ピーター・ボグダノヴィッチ/筑摩書房 リュミエール叢書)、『恐怖の詩学 ジョン・カーペンター』(ジル・ブーランジェ/フィルムアート社)、共著に『映画を撮った35の言葉たち』(フィルムアート社)がある。
ブログ「明るい部屋:映画についての覚書」

《参加費》 参考上映付き 1800円 学生1200円

これまでのプログラム|神戸映画資料館

※内容は予告無く変更する場合があります。

※作品によっては、経年退化で色褪せしている場合がございます。予めご理解ご了承の上、ご鑑賞くださいますようお願い申し上げます。