プログラムPROGRAM

ウィリアム・A・ウェルマン特集
2020年8月8日(土)〜10日(月・祝)、14日(金)・15日(土)

■ トーク 8月8日(土)15:05(45分) 参加無料(要当日鑑賞チケット半券)
 講師:井上正昭(翻訳・映画研究)
■ 生演奏付き上映 8月9日(日)13:00 「つばさ」伴奏:鳥飼りょう 特別料金(下記参照)

 
サイレント時代から活躍したアメリカ映画の巨匠ウィリアム・A・ウェルマン(1896-1975年)の小特集。第1回アカデミー作品賞を受賞した『つばさ』や、ギャング映画『民衆の敵』のほか、あまり知られていない傑作も紹介する。
 
「つばさ」Wings 伴奏:鳥飼 りょう
(1927/144分/サイレント/16mm)
製作:ルシアン・ハバード
出演:クララ・ボウ、チャールズ・“バディ”・ロジャース、リチャード・アーレン

第一次大戦の2人の戦闘機乗りの恋の鞘当てと友情を描いた戦争映画の古典で、航空機による空中戦を初めて描いた作品として名高い。大空をバックに風に舞うスカーフが活劇として画面を躍動させる。ロマンティックな騎士道精神に溢れた空中戦の一方で、生々しく描かれる地上の戦争描写にも注目。〈イット〉ガール、クララ・ボウはもちろんだが、一瞬だけ登場してあっけなく死んでゆくまだ無名時代のゲイリー・クーパーが印象深い。

 

「人生の乞食」Beggars of Life
(1928/82分/サイレント/ブルーレイ上映)
製作:ジェシー・L・ラスキー、アドルフ・ズーカー
出演:ルイーズ・ブルックス、リチャード・アーレン、ウォーレス・ビアリー

言い寄ってきた義父を殺してしまった娘が、たまたまそこに居合わせた放浪者と逃避行するロードムーヴィ―。ハリウッドでは脇役ばかりだったルイーズ・ブルックスが、『パンドラの箱』以前に本格的な女優としての演技を見せた唯一の作品である。ほぼ全編、男装で登場するブルックスがもちろん最大の魅力だが、スタントではなく彼女自身に走る列車から飛び降りさせるなど、ウェルマンの大胆な演出が光る、一級の列車映画でもある。

 

「民衆の敵」The Public Enemy
(1931/80分/16mm)
製作:ダリル・F・ザナック
出演:ジェームズ・キャグニー、エドワーズ・ウッズ、ジーン・ハーロウ

『犯罪王リコ』 や『暗黒街の顔役』などと同時期に撮られた、ギャング映画史上最も重要な作品の一つ。第一次世界大戦や禁酒法時代を背景に、シカゴのスラム街に育った不良少年が、犯罪に手を染め、やがてはギャングへとなってゆく様をリアリスティックに描く。暴力的なキャグニーの演技は、『ゴッドファーザー』へといたるその後のギャング映画の原型をなす。強烈であっけない幕切れは、見るものの脳裏に焼き付いて離れないはず。

 

「無責任時代」Nothing Sacred
(1937/74分/ブルーレイ上映)
製作:デヴィッド・O・セルズニック
脚本:ベン・ヘクト
出演:キャロル・ロンバード、フレデリック・マーチ

不治の病で余命を宣告された女が、人々の同情を集めてたちまち時の人となるが、実は彼女は健康そのものだった……。30年代を代表するスクリューボール・コメディの傑作であり、このジャンル初の、そしてキャロル・ロンバート唯一のカラー作品。コミカルな展開の一方で、ジャーナリズムの世界を手厳しく風刺し、テクニカラーが同時代をリアルに描くこともできることを世に示した。様々な意味で『スタア誕生』の姉妹編のような作品。

 

「牛泥棒」The Ox-Bow Incident
(1942/75分/16mm)
製作・脚本:ラマー・トロッティ
撮影:アーサー・ミラー
出演:ヘンリー・フォンダ、ダナ・アンドリュース、アンソニー・クイン

カウボーイたちによるリンチ事件を真っ正面から描いて、西部劇を根底で支えている法と正義の正当性を問いただす傑作ウエスタン。バザンが西部劇の古典的完成形と評した『駅馬車』のわずか数年後に撮られたこの名高い作品は、すでにしてバザンの言う〈超西部劇〉を予告している。公開当時その新しさはあまり理解されなかったが、今や西部劇の不滅の傑作としてイーストウッドを始め多くの人から高く評価されている必見作。

 

「廃墟の群盗」Yellow Sky
(1948/98分/16mm)
製作・脚本:ラマー・トロッティ
撮影:ジョー・マクドナルド
出演:グレゴリー・ペック、アン・バクスター、リチャード・ウィドマーク

強盗一味が追跡を逃れてたどりついた廃墟の街には、老人と孫娘だけが住んでいた。どうやら金鉱をみつけたらしい二人を巡ってやがて強盗一味の仲間割れが始まる。ユニークな西部劇ばかりを作ったウェルマンの傑作の一つで、ギャング映画のジャンルとも交差するノワールな作品。ウィドマークのサディスティックな演技がドラマを引き締める。緊迫した状況の中にもどこか緩やかな時間が流れるところがいかにもウェルマンらしい。

 

解説:井上正昭
協力:(株)ダッサイ・フィルムズ、プラネット・プラス・ワン
 

《料金》 入れ替え制1本あたり
一般1200円 ユース(25歳以下)700円 会員1000円
『つばさ』演奏付き上映 一般1700円 ユース(25歳以下)1200円 会員1500円
《割引》当日2本目は200円引き
予約受付
各回入場制限(座席数の2分の1の19席)を行いますので、メールと電話によるご予約を承ります。鑑賞を希望される日時と作品名、お名前、電話番号をお知らせください。予約で満席でなければ、当日に予約無しでもご入場いただけます。
info@kobe-eiga.net 078-754-8039

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