プログラムPROGRAM

21世紀のサイレント映画
第3回『大列車追跡』 with 天宮遥

2020年9月26日(土)13:30〜

同日開催の「第15講コメディ学入門」とあわせてお楽しみください。


生演奏とともにサイレント映画を楽しむシリーズ「21世紀のサイレント映画」。

映画の歴史の最初の30年間は、音が付いていない「サイレント(無声)映画」の時代でした。映画のための音声装置が開発される以前の映画ということになりますが、それは音のある映画(トーキー)より劣っているということではありません。むしろ、無声だからこそ極められた映画の魅力がつまっています。

サイレント映画は、当時から生演奏や活動弁士の語りといったライブパフォーマンスとともに上映されていましたが、近年、この上映スタイルが再び見直されています。
演奏や語りにより表情を変えるサイレント映画。
このシリーズでは毎回パフォーマーを迎えて、サイレント映画の新たな魅力を発見していきます。

 

「大列車追跡」 The General
(アメリカ/1926/80分[22コマ]/16mm)
監督:バスター・キートン、クライド・ブルックマン
脚本:アル・ボースバーグ、チャールズ・スミス
撮影:デヴ・ジェニングス
出演:バスター・キートン、マリオン・マック、グレン・キャベンダー、ジム・ファーレイ

南北戦争当時に実際に起きた北軍列車強奪事件をもとにバスター・キートンが撮りあげた超大作無声アクション喜劇。原作のノンフィクション本『The Great Locomotive Chase』は1862年出版で北軍の視点から書かれていたが、キートンとそのスタッフたちは機関車を奪われた南軍の機関士の視点から史実を脚色し、本物の蒸気機関車2台が追いつ追われつチェイスを繰り広げるエキサイティングな戦争喜劇に仕上げた。キートンのトレードマークである派手なスタントアクションは抑え気味で機関車そのものに「主役」の座を譲っているのもいかにもキートンらしい。キートンの世界では機関車もエキストラも大自然の光景までもがギャグとなり映画の中で光り輝く。ヒロインもただの囚われの乙女ではなくキートンの相棒として共に奮闘する。かつてオーソン・ウェルズは『大列車追跡』のビジュアルについて「南北戦争を最も正確に再現した映画」と賛辞を送った。何度観ても、いや観れば観るほどその面白さに圧倒されるキートン渾身の傑作喜劇。
(作品解説:いいをじゅんこ)

天宮 遥(ピアノ)
神戸生まれのシンガーソングライター、ピアニスト、作曲家。2016年よりサイレント映画ピアニストとしても活躍中。

《料金》 一般1700円 ユース(25歳以下)1200円 会員1500円
《割引》[第15講コメディ学入門]参加者は200円引き
予約受付
各回入場制限(座席数の2分の1の19席)を行いますので、メールと電話によるご予約を承ります。鑑賞を希望される日時と作品名、お名前、電話番号をお知らせください。予約で満席でなければ、当日に予約無しでもご入場いただけます。
info@kobe-eiga.net 078-754-8039


クラシックコメディの素晴らしい世界をみんなで楽しむ会
第15講コメディ学入門 「大解剖『大列車追跡』」
2020年9月26日(土)15:05〜(終了予定16:50)

これまでは一人のコメディアンをテーマに取り上げることの多かったコメディ学だが、神戸映画資料館の『大列車追跡』上映にあわせて今回はさまざまな角度からこの作品の徹底解剖を試みてみる。

無声映画史上最もお金のかかったワンショットがある、公開当時は興行的に失敗しキートン転落の遠因になった…などなどすでにいわくつきの映画であるが、他にも未公開シーンの謎や日本での初公開時期の謎など興味を惹くテーマが盛りだくさんの映画である。本物の機関車を使い、大勢のスタッフとエキストラが参加したオールロケの撮影は艱難辛苦が付きまとい、それをすべて乗り越えて完成した作品はまさにキートンの血と肉と魂の結晶だった。映画の面白さは無論のこと、その製作や公開の過程も同様に興味深い作品なのだ。今回のコメディ学はこれまでの調査の一次報告的な意味合いも含めて『大列車追跡』をあらゆる角度から大解剖しこの映画の多彩な魅力に迫りたい。

また、本作ロケ地であるオレゴン州コテージグローブの町を訪問した際の様子も報告する。この町は今もキートンを家族のように愛し、毎年キートンの誕生日には『大列車追跡』の上映会が開かれている。ロケ地の現在の様子や、地道な調査を続けている地元郷土史家の皆さんのお話などをご紹介したい。

いいをじゅんこ
クラシック喜劇研究家、ライター。バスター・キートンと運命の出会いをして以来、サイレント喜劇の世界に魅了される。無声~トーキー初期のいわゆる「喜劇の黄金時代」に作られたアメリカを中心としたクラシック喜劇を研究。映画史の鉱脈に埋もれた優れたコメディを紹介する講座《コメディ学入門》を企画し、2012年より神戸映画資料館にて不定期開催している。2016年1月には喜劇映画研究会・神戸映画資料館と共同で古典喜劇映画上映委員会を立ち上げ、《新春コメディ宝箱》を開催。その後《神戸クラシックコメディ映画祭》へと発展し現在に至る。ライターとして映画評、書評などをさまざまな媒体に執筆している。
「サイレント喜劇のすばらしき世界(The Wonderful World of Silent Comedy and more)」

《参加費》 一般1000円 ユース(25歳以下)500円 会員800円
予約受付
各回入場制限(座席数の2分の1の19席)を行いますので、メールと電話によるご予約を承ります。鑑賞を希望される日時と作品名、お名前、電話番号をお知らせください。予約で満席でなければ、当日に予約無しでもご入場いただけます。
info@kobe-eiga.net 078-754-8039

これまでのプログラム|神戸映画資料館

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