プログラムPROGRAM

年別アーカイブ: 2020

前田憲二監督の長編記録映画 連続上映 第3回
2020年10月24日(土)・25日(日) 10:30〜 13:30〜

NPO法人ハヌルハウス代表の前田憲二監督から、自作の映画フィルムを寄贈していただいた。それを記念し隔月を目安に全てのフィルムを上映してゆきます。
今回は韓国DMZ国際ドキュメンタリー映画祭招待作品、神戸初公開の『東学農民革命 唐辛子とライフル銃』をご覧いただきます。

今後の上映予定作品は『土佐の泥繪師・繪金」『神々の履歴書』『土俗の乱声』『恨・芸能曼荼羅』『百萬人の身世打鈴』『原色に白を求める画家—呉炳学の宇宙』『月下の侵略者』など。

 

「東学農民革命 唐辛子とライフル銃」
(2016/111分/ブルーレイ上映)
製作:NPO法人ハヌルハウス、映像ハヌルビデオプロジェクト
プロデューサー・監督:前田憲二 作曲:甲田潤 撮影:北村徳男 編集:曺南鉉

韓国DMZ国際ドキュメンタリー映画祭招待作品
神戸初公開

『赤いマフラー』『ブルガサリ』など日本でも名高い映画監督、申相玉(シンサンオク、 1926~2006)が劇映画づくりを目指すが実現しなかった「東学農民革命」を、申監督とともに調査した前田憲二監督が長編ドキュメンタリー映画として完成した。東学農民革命とは、1860年に崔済愚(チェジェウ)によって創始され、人々の平等を強調した宗教思想「東学」を背景に、貧困と差別にあえぐ民衆が1894年に立ち上がった蜂起で、それが日本の派兵に繋がり日清戦争へと転がって行く。韓国の美しい風景や踊りや音楽などを交えながら、東学に関する史跡や人物を取材したこの作品は2016年の韓国DMZ国際ドキュメンタリー映画祭に招待され絶賛されたものの、日本の映画館では公開されず幻の映画となっている。関西ではホール上映の機会はあったが、今回が劇場初公開となる。前田監督の最新作をぜひご覧ください。

前田憲二
1935年大阪府出身。1960年代後半より日本各地や中国・朝鮮半島に祭りや芸能を追い続け、祭事を記録したテレビ・映画作品は250本以上におよぶ。 代表作に、『おきなわ戦の図 命どぅ宝』(1984)、『神々の履歴書』(1988)、『土俗の乱声 』(1991)、『恨・芸能曼陀羅』(1995)、『百萬人の身世打鈴』(2000)、『月下の侵略者』(2009)、『東学農民革命』(2016)などがある。2001年、韓国政府より王冠文化勲章を授与された。 NPO法人ハヌルハウス代表理事を務める。

《料金》
一般:1800円 シニア(65歳以上):1500円 ユース(25歳以下)・会員:1300円
予約受付
メールと電話によるご予約を承ります。鑑賞を希望される日時と作品名、お名前、電話番号をお知らせください。予約で満席でなければ、当日に予約無しでもご入場いただけます。
info@kobe-eiga.net 078-754-8039


連続講座:20世紀傑作映画 再(発)見
第10回 最も物議をかもしたアメリカ映画──グリフィス『国民の創生』を再考する

2020年10月31日(土)

このシリーズ講座では、映画史の節目を刻んできた傑作を毎回一本ずつ上映し、検証してゆく。時代の中から生まれながら、時代を超えて生き残る。古典とはそういうものだ。それは、つねに〈来るべき〉作品であり、映画館のような場所でそのつど〈発見〉される。このような観点から、作品を映画史の中にきっちりと位置づけ、それがいかにして生まれ、どのように受容され、それ以後の映画にどんな影響を与えたのかを検証する一方で、あたかも新作を見るように、その映画を純粋に味わい、どこにその〈映画的〉魅力があるのかを探ってゆく。

13:30〜 上映
「国民の創生」
The Birth of a Nation
(アメリカ/1915/156分[16コマ|短縮版]/16mm)
監督:デヴィッド・ウォーク・グリフィス
原作:トーマス・ディクスン
脚本:フランク・ウッズ、デヴィッド・ウォーク・グリフィス
撮影:ビリー・ビッツァー
出演:リリアン・ギッシュ、メエ・マーシュ、エルマー・クリフトン、ロバート・ハロン、ヘンリー・B・ウォルソール、ミリアム・クーパー

伴奏:鳥飼りょう

 

16:20〜(終了予定17:50) 講座
講師:井上正昭(翻訳・映画研究)
映画のアルカイックな時代に終わりを告げ、映画芸術の真の誕生を世に知らしめた、アメリカ映画最初の偉大な作品──グリフィスの『国民の創生』。世界の映画を見渡しても稀なことであるが、アメリカ映画において、国民の誕生は、映画の誕生とぴたり一つに重なり合う。それを象徴しているのがこの作品である。だが、この映画は他方で、最も嫌悪すべき人種差別主義的映画のシンボルとして、当時から今に至るまでタブーのように扱われてきたのだった。仮にグリフィスの映画に人種差別主義が存在するとして、それはいかなるものだったのか。『国民の創生』以前と以後のグリフィス作品における黒人やインディアンの描写も参照しつつ、この問題をもう少しニュアンス豊かに掘り下げてみたい。とはいえ、この映画はこの問題だけに収まりきるものではない。バイオグラフ時代からの集大成として作られたこの作品を通して、グリフィス映画の魅力のありかを探り、その映画史的意義についても再検討する。

 

井上正昭
1964年生まれ。Planet Studyo + 1 で映画の自主上映にたずさわる。訳書に『映画監督に著作権はない』(フリッツ・ラング、ピーター・ボグダノヴィッチ/筑摩書房 リュミエール叢書)、『恐怖の詩学 ジョン・カーペンター』(ジル・ブーランジェ/フィルムアート社)、共著に『映画を撮った35の言葉たち』(フィルムアート社)がある。
ブログ「明るい部屋:映画についての覚書」

《映画鑑賞料》 生演奏付き 一般1700円 ユース(25歳以下)1200円 会員1500円
《講座参加費》  一般1000円 ユース(25歳以下)500円 会員700円
予約受付
[先行予約]映画鑑賞と講座のセット予約
[開催一週間前より受付]映画鑑賞、または講座の単独予約
[映画鑑賞の単独予約]講座(定員19名)が満席になりましたので、映画鑑賞(定員38名)の単独予約を受け付けます。また、映画鑑賞を予約された方に限り、講座のキャンセル待ち予約を受け付けます。(10月5日より)

メールと電話によるご予約を承ります。鑑賞を希望される日時と作品名、お名前、電話番号をお知らせください。予約で満席でなければ、当日に予約無しでもご入場いただけます。
info@kobe-eiga.net 078-754-8039


第50回 くにづか月イチ上映会 映像で見る昭和の生活文化
2020年11月3日(火・祝) 13:30〜
神戸映画資料館が所蔵するフィルムの中から、昭和の暮らしを写し出す映像を、毎回3〜4本(計約60分)上映してゆく新企画。

《料金》 無料
アスタくにづか3番館1階の「コミュニティハウス」で整理券を進呈

主催:くにづかリボーンプロジェクト、アスタくにづか神戸市保留床テナント会


アクティブ・アーカイブ・プロジェクト 誰でもアーキビスト
みんなで発掘・宝探し試写会 2020
2020年11月3日(火・祝) 15:00〜
神戸映画資料館には、1万8千本を超える収蔵フィルムがありますが、内容が未調査のものも多数あります。劇映画のほか、教育目的で作られたものやホームムービーなどなど。それらを実際に映写機にかけて上映し見ていきます。一口に映画フィルムといっても多様であることを知っていただく機会です。どんな映像が写っているでしょうか。宝探しの気分でご参加ください。

《料金》 無料
予約受付
入場制限(座席数の3分の1の12席)を行いますので、メールと電話によるご予約を承ります。鑑賞を希望される日時と作品名、お名前、電話番号をお知らせください。予約で満席でなければ、当日に予約無しでもご入場いただけます。
info@kobe-eiga.net 078-754-8039

主催:神戸映像アーカイブ実行委員会


会員様限定イベント
2020年11月7日(土)13:30~16:40
会員様にメール及び郵便でご案内します。10月19日までに案内が届かない場合はお手数ですがお問い合わせください。

《料金》 2000円
予約受付
*10月20日より受付開始 対象:NPO法人プラネット映画保存ネットワーク 正会員・賛助会員・寄附者
*10月26日より受付開始 対象:シネマ倶楽部会員
メールと電話によるご予約を承ります。
会員種別と番号(または寄附者)、お名前、電話番号をお知らせください。
info@kobe-eiga.net 078-754-8039


青丘文庫研究会 映像を通して視る!
「植民地朝鮮と海女の記録、在日映像作家のまなざし」

2020年11月8日(日)14:00〜
会場:神戸学生青年センター(阪急六甲駅より徒歩3分)

青丘文庫研究会の上映会! 第4弾!
今回も神戸映画資料館所蔵のアーカイブに青丘文庫研究会会員の解説を交えて上映する。また、韓国映像資料院の協力により朝鮮総督府制作の戦争広報映画や宣伝映画も上映する。ほかにも戦前戦後の貴重な海女の記録、前回も参加した康浩郎監督が1959年第1回帰国事業の様子を撮影した16ミリフィルムも初めて上映する。同じ海峡を渡った1930年代の日本人の姿と1959年の在日朝鮮人の帰国の様子が同じスクリーンに投影される。また、日中戦争期の朝鮮における「皇民化」の姿を垣間見る。

「青丘文庫」は神戸長田のケミカル産業に従事していた韓皙曦(ハン・ソッキ)が朝鮮史関係文献を集め1969年に開設したもので、1997年に神戸市立中央図書館内に再オープン。今回の上映会は、そこで定期的に行われている「青丘文庫研究会」の例会として位置づけられている。上映場所を来年移転が決まった神戸学生青年センターに移して第4回の上映会を開く。

 

第1部 植民地朝鮮と「皇民化」
植民地であった朝鮮や満蒙、台湾などのアジアへ「視察」「研修」「修学旅行」などの名目で多くの日本人たちが海峡を渡った。旅行を記録したフィルムが残されているが、そのうちの一つを上映するとともに、日中戦争期に朝鮮総督府が「皇民化」を宣伝するために作成した2本のフィルムをとおして当時の社会相を視る
『満鮮のたび』(1932年/19分/DVD上映/サイレント)京都市小学校学事視察団 提供:神戸映画資料館
『朝鮮の愛国日』(1939年/11分/DVD上映) 朝鮮総督府制作 提供:韓国映像資料院
『銃後の朝鮮』(1940年/8分/DVD上映) 朝鮮総督府制作 提供:韓国映像資料院
トーク:水野直樹(京都大学名誉教授)

 

第2部 海女の記録
康浩郎監督が1965年に撮影した『大都会の海女』、戦前に撮られた『和具の海女』は、いずれも伊勢の海で海女をする女性たちを描いたドキュメンタリーである。海女の研究の第一人者である伊地知紀子さんの解説も交え、貴重な海女の映像記録を上映する。
『和具の海女』(1940年/25分/DVD上映)
演出:上野耕三 提供:神戸映画資料館
『大都会の海女』(1965年/30分/DVD上映)
監督:康浩郎
トーク:伊地知紀子
(大阪市立大学文学部教授)

 

第3部 在日映像作家、康浩郎のまなざし
1959年12月14日、在日二世の康浩郎監督は新潟港から海峡を渡り帰国する在日朝鮮人の姿を16ミリフィルムで撮影した。それから60年以上経った今、その映像を始めて公開する。16ミリフィルムは編集されておらず劣化が進んでいる。済州島にルーツを持つ康浩郎監督みずからその思いを語っていただく。今回、経年劣化した未編集撮影ネガをテレシネしたものをDVDで上映する。
『帰国船』(1959/12分/DVD上映)監督:康浩郎
トーク:康浩郎(映画監督) 聞き手:飛田雄一(神戸学生青年センター)

《資料代》1500円  * どなたでもご参加いただけます

会場:神戸学生青年センター(阪急六甲駅より徒歩3分)
〒657-0064 兵庫県神戸市灘区山田町3丁目1−1
TEL:078-851-2760 FAX:078-821-5878

【新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大防止に伴う対応について】
・間隔をあけてご着席ください。
・マスクの着用、咳エチケットへのご協力をお願いします。
・発熱など体調不良のある方はご来場をお控えください。
・ご入場前、ご退出後に会場の消毒、換気を行います。

主催:青丘文庫研究会、神戸映画資料館


小池照男 映像作品全仕事
上映・パフォ-マンス・対談

2020年11月13日(金)・14日(土) 会場:神戸映画資料館

私の映画作品は、映画表現手法の大半とはかけ離れている印象を持たれるかもしれません、しかし、まぎれもなくこれは私の45年間の軌跡です。
映画表現による抽象世界を一歩進めようと作り続けています。今回私の映画に少しでも体験、触れていただけましたら幸いです。
小池照男

 

11月13日(金)18:30
セレクト作品上映 × ダンス
(約75分)
生態系-5-・生態系-20-・生態系-28-・多重演奏の楽しみ
ダンサ-:ますみとも

対談(約30分)
田中晋平(国立国際美術館客員研究員) × 小池照男

料金:1000円(記念カタログ購入者は500円)

 

11月14日(土)
13:00 Aプログラム
(80分)
初期作品と積層する熱としての生態系
『生態系-5-微動石』ほか

15:00 Bプログラム(85分)
視る行為としての生態系
『生態系-14-留』ほか

17:00 Cプログラム(90分)
凝視の宇宙としての生態系〜現在へ
『生態系-27-密度1』ほか

料金(入替制):500円(記念カタログ購入者は250円)

 

予約受付
各回入場制限(座席数の2分の1の19席 34席)を行いますので、メールと電話によるご予約を承ります。鑑賞を希望される日時、お名前、電話番号をお知らせください。予約で満席でなければ、当日に予約無しでもご入場いただけます。
info@kobe-eiga.net 078-754-8039

記念カタログ「ECOSYSTEM Teruo Koike Visual Works 1974-2020」 発売中
A4版・72頁・オールカラー 頒価1818円(税込2000円)

 

小池照男 映像個展
2020年11月8日(日)~11月23日(月・祝) 12:00~19:00
(火・水・木は休廊)
入場無料
会場:city gallery 2320
Tel. 078-611-4959 ホームページ
神戸市長田区二葉町2-3-20
JR新長田駅より南へ7分、国道2号線を渡り東へ3分。三井住友銀行手前を右へ、本町筋商店街を約3分進み、安田果物店向いの路地を東へ入る

* 両会場とも、新型コロナ感染防止のための対策を施していますのでご協力をお願いします。
* ご来場の際、作品鑑賞中も、できるだけマスク着用をお願いします。
* 三密を避けるため、一時的に入場制限させて頂く場合があります。ご了承ください。


フレデリック・ワイズマンのすべて vol.6
2020年11月21日(土)〜23日(月・祝)

講演 「『セントラル・パーク』の歩き方」
11月21日(土)16:45〜18:00
 参加無料(要当日鑑賞チケット半券)
講師:西田博至(新長田図書館館長)
今回は地域連携の取り組みとして、映画に造詣の深い新長田図書館の館長、西田博至氏にご講演いただきます。

 
2019年秋、神戸映画資料館では「フレデリック・ワイズマンのすべて in 関西」の一環として3作品を上映しました。この続きとして、月1回のペースでシリーズで上映していきます。

1967年の『チチカット・フォーリーズ』以来、“現代社会の観察者”として独自の映像表現を展開し続けているドキュメンタリー作家フレデリック・ワイズマン。
50年以上にわたり、学校、病院、警察、軍隊、裁判所、図書館、議会など、アメリカの様々な施設・組織を撮り続けてきました。ワイズマン自身が “〈われわれの生活様式の博物誌〉を紹介するドキュメンタリー・シリーズ” という作品群には、悲劇的であると同時に喜劇的、深刻でありながら滑稽でもあり、複雑であると同時に素朴(ナイーブ)、絶望の中にもユーモアが光る、矛盾に満ちた魅力的なアメリカの姿が映し出されています。

 

「ストア」 The Store

(1983/118分/16mm)撮影:ジョン・デイヴィー
1907年の開店以来、高級百貨店として揺るぎない地位を築いてきたニーマン=マーカス百貨店テキサス州ダラス本店。1982年のクリスマス・シーズンにおけるニーマン=マーカスを舞台に、訪れる客や接客する従業員、華やかな売場の舞台裏で働く人々の姿が映し出される。ワイズマン初のカラー作品。

 

「セントラル・パーク」 Central Park

(1989/176分/16mm)撮影:ジョン・デイヴィー
ニューヨーク市のランドマークのひとつセントラル・パーク。人々は、様々なかたちでこの公園を活用している。ジョギング、ボート遊び、スケートなどのスポーツ、散歩、ピクニック、パレード、コンサートなど音楽や演劇の発表、映画の撮影も行われる。市の公園課は公園を維持し、一般に開放するために様々な問題に対処すべく、四六時中、奮闘する。

 

《料金》
一般:1500円 シニア(65歳以上):1200円 ユース(25歳以下)・会員:1000円
予約受付
メールと電話によるご予約を承ります。鑑賞を希望される日時と作品名、お名前、電話番号をお知らせください。予約で満席でなければ、当日に予約無しでもご入場いただけます。
info@kobe-eiga.net 078-754-8039

→公式サイト(コミュニティシネマセンター)

共催:コミュニティシネマセンター
協力:アテネ・フランセ文化センター、山形国際ドキュメンタリー映画祭


新東宝ピンク映画 ラスト・フィルム・ショー in 神戸
最後のプログラムピクチャーと呼ばれて
〜滝田洋二郎監督と異色のフィルムメーカーたち〜  vol.1

2020年11月28日(土)・29日(日)

人気シリーズ「新東宝ピンク映画 ラスト・フィルム・ショー」が帰ってきました。新シリーズの初回は、滝田洋二郎監督による2作品をお届けします。

11月28日(土)15:50〜 参加無料
ミニトーク 太田耕耘機(ぴんくりんく) × 福原彰(新東宝映画)

「痴漢電車 下着検札」

(1984/64分/35mm)新東宝映画
監督:滝田洋二郎 脚本:高木功 撮影:志賀葉一 編集:酒井正次 助監督:片岡修二
出演:螢雪次朗、竹村祐佳、風かおる、竹中ナオト、中山光男、高橋雅之、雅セリナ、木村和美

爆殺された張作霖が所有していた世界最大の黒真珠の指輪が現代の日本に! その隠し場所を探すべく依頼を受けた私立探偵黒田一平は現代史の謎に詳しい推理作家松木清張に協力を求め……。夭逝した天才脚本家高木功&滝田洋二郎監督のゴールデンコンビによる傑作。竹中直人が重要な役で出演。

 

「ザ・緊縛」

(1984/60分/35mm)新東宝映画
監督:滝田洋二郎 脚本:夢野史郎 撮影:志賀葉一 編集:室田雄 助監督:佐藤寿保
出演:西川瀬里奈、中根徹、螢雪次朗、竹村祐佳、しのざきさとみ、伊藤幸子、池島ゆたか

謎めいた女がタクシー運転手に残していった一本のビデオテープ。そこにはある秘密の緊縛ショーの模様が収録されていて……。会員制のSMショーとその裏にうごめく組織の秘密をめぐって展開するノワール風の一篇。パンチの効いた展開の中にもロマンチックな演出が冴える異色娯楽作。

 

上映にあたって  福原彰(新東宝映画)
1962年に誕生したピンク映画は70年代に絶頂期を迎えますが、80年代に入ると家庭用ホームビデオとアダルトビデオの普及に押されて急速に劇場数を減らしていきます。この頃には対応策としてAV界のトップアイドルを主演に招いてレンタル市場を意識した作品作りも頻繁に試みられました(本企画にも菊池エリ、前原祐子といった女優たちが登場します)。ところが80年代なかばから90年前後になると、それまでとは明らかに異質な、エロチシズムや娯楽性の背面に隠れがちであった「映画そのもの」がむき出しになったかのような作品群が現れます。配収が右肩下がりのピンク映画に惰性的に製作費を投入し続ける配給会社の思惑とは関係ないところで、当時の若手の監督たちは映画の個性・面白さ・芸術的価値ないしは作家性というものにピンク映画の作り手としての存在意義を見出していくのです。そのふたつの代表例が、滝田洋二郎監督による文句なしに面白い「痴漢電車」シリーズと、国映朝倉大介氏製作の重厚な「ピンク四天王」による作品群といえるでしょう。やや遅れて「大蔵ヌーベルヴァーグ」もその流れにあったといっていいかもしれません。国映=新東宝系ではその流れが2000年代に入っても主に「ピンク七福神」といわれる監督たちに継承されていきますが、いっぽうで90年代の半ばをすぎたあたりからある種の反動もおこります。当時盛んになりつつあった低予算の「エロスVシネ」の市場に商業的な活路が見出されたこともあって、作風としては映画的なドラマ性を重視したスタイルで、新東宝系ではベテラン深町章監督を中心に、Vシネマの若い作り手たちとは一味違った低予算を逆手にとったような熟練した職人芸としてのピンク映画が多く作られ、オリジナルビデオ作品であるかのごとき装いで次々とビデオ化・DVD化されていくのです。これらの作品群はピンク映画を知らない若い世代の視聴者層(主に団塊ジュニアの世代)にある種の驚きをもたらし、当時まだそれなりの規模があったレンタル市場で安定した人気を獲得していきます。このように現在にいたるまで多彩にそしてしぶとく生き抜いてきたピンク映画が「最後のプログラムピクチャー」と呼ばれるのは決していわれのないことではありません。そのことは娯楽性・芸術性それぞれにバイアスのかかった今回のプログラムが証明しているといえるでしょう。

協力:ぴんくりんく

《料金》入れ替え制1本あたり
一般1200円 ユース1000円 会員900円
《割引》当日2本目は200円引き


第51回 くにづか月イチ上映会 映像で見る昭和の生活文化
2020年12月5日(土) 13:30〜
神戸映画資料館が所蔵するフィルムの中から、昭和の暮らしを写し出す映像を、毎回3〜4本(計約60分)上映していきます。

《料金》 無料
アスタくにづか3番館1階の「コミュニティハウス」で整理券を進呈

主催:くにづかリボーンプロジェクト、アスタくにづか神戸市保留床テナント会


アクティブ・アーカイブ・プロジェクト 誰でもアーキビスト
みんなで発掘・宝探し試写会 2020
2020年12月5日(土) 15:00〜
神戸映画資料館には、1万8千本を超える収蔵フィルムがありますが、内容が未調査のものも多数あります。劇映画のほか、教育目的で作られたものやホームムービーなどなど。それらを実際に映写機にかけて上映し見ていきます。一口に映画フィルムといっても多様であることを知っていただく機会です。どんな映像が写っているでしょうか。宝探しの気分でご参加ください。

《料金》 無料
予約受付
入場制限(座席数の3分の1の12席)を行いますので、メールと電話によるご予約を承ります。鑑賞を希望される日時と作品名、お名前、電話番号をお知らせください。予約で満席でなければ、当日に予約無しでもご入場いただけます。
info@kobe-eiga.net 078-754-8039

主催:神戸映像アーカイブ実行委員会


新東宝ピンク映画 ラスト・フィルム・ショー in 神戸
最後のプログラムピクチャーと呼ばれて
〜滝田洋二郎監督と異色のフィルムメーカーたち〜  vol.2

2020年12月12日(土)・13日(日)

人気シリーズ「新東宝ピンク映画 ラスト・フィルム・ショー」が帰ってきました。今回は、名コンビ、サトウトシキ監督・小林政広脚本の『Eカップ本番II 豊熟』と、小林政広唯一のピンク映画監督作『一週間 愛欲日記』の2作品をお届けします。

12月13日(日)『一週間 愛欲日記』上映後 参加無料
オンライントーク ほたる(葉月螢) 聞き手:太田耕耘機(ぴんくりんく)

「一週間 愛欲日記」

(2000/62分/35mm)国映
監督・脚本:小林政広 撮影:広中康人 編集:金子尚樹 監督補:上野俊哉 助監督:菅沼隆
出演:葉月螢、川瀬陽太

飲み屋で出会った美智子と行夫は肉体関係を持ち、ひたすらセックスに明け暮れるが……。サトウトシキらの脚本を手がけ、後に『海辺のリア』に至るまで数々の作品を生んだ小林政広唯一のピンク映画監督作。男女二人とアパートのワンセットという究極の設定の中で男女の愛欲を濃密に描き出した。

 

「Eカップ本番II 豊熟」(プリントタイトル『巨乳熟妻』)

(1989/59分/35mm)新東宝映画
監督:サトウトシキ 脚本:小林政広 撮影:下元哲 音楽:ISAO YAMADA 助監督:勝山茂雄
出演:藤沙月、中根徹、井上あんり、平賀勘一、夢恋次朗、菊次朗

文男は古い上着から妻祐子が独身時代に住んでいたアパートの鍵を見つける。部屋には現在若い女が住んでいた。文男はその部屋で秘かに過去の幸せな日々を追い求めるが、祐子は不倫相手との関係にゆれていて……。脚本の小林政広(宏一)とサトウトシキ監督の名コンビによる初期の秀作。

 

協力:ぴんくりんく

《料金》入れ替え制1本あたり
一般1200円 ユース1000円 会員900円
《割引》当日2本目は200円引き
予約受付
メールと電話によるご予約を承ります。鑑賞を希望される日時と作品名、お名前、電話番号をお知らせください。予約で満席でなければ、当日に予約無しでもご入場いただけます。
info@kobe-eiga.net 078-754-8039


ニュー・インディペンデント・シネマ vol.2
『サクリファイス』『彼女はひとり』

2020年12月11日(金)〜15日(火)

若手の注目作を紹介する新シリーズ「ニュー・インディペンデント・シネマ」。

デジタル化により、続々と制作、公開されるようになった自主製作映画。しかし、本数が激増し、熱心な観客でもすべてを追いかけることは不可能な状態です。そして公開期間が長くないため、評価する声が聴こえてきたとしてもその時には上映が終わっていて、見逃してしまうことも多いのではないでしょうか。

そこでこのシリーズでは、神戸初上映の作品に加え、近年の話題作を取り上げて上映していきます。

 

「サクリファイス」
(2019/77分/デジタル)
監督・脚本・編集:壷井濯
プロデューサー:藤原里歩
副プロデューサー:柗下仁美、林海斗
撮影:柗下仁美 録音:藤原里歩
助監督:加登谷美琴 制作:下村花
音楽:大津沙良 整音:塚本啓介
スチール:柗下知之
主題歌:ぐみ(from パスワードの人)「小譚歌」
制作・配給:Récolte&Co. 配給協力:林海斗
宣伝デザイン:寺澤圭太郎 宣伝:髭野純

出演:青木柚、半田美樹、五味未知子、藤田晃輔、櫻井保幸、矢﨑初音、下村花、柗下仁美、青木陽南、田港璃空、三坂知絵子、草野康太、三浦貴大

SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2019国内コンペティション優秀作品賞(長編部門)
第32回東京国際映画祭 出品作品

© Récolte&Co.


かつて新興宗教団体〈汐の会〉で東日本大震災を予知した少女・翠は、今は陸上部に所属する女子大生としての日々を過ごしていた。
同じ頃、大学周辺では三つの事件が起こっていた。神崎ソラという孤独な学生の死。311匹殺されるまで終わらないとされる猫殺し。若者を戦争へ駆り立てる団体〈しんわ〉の暗躍。
平凡な毎日を忌み嫌う塔子は、同じ学部に通う愛想の良い青年・沖田が猫殺しの犯人ではないかと睨み行動を共にしていた。やがて彼が、キャンパス内で神崎ソラと接触を持っていた唯一の人物であることを知り、猫殺しだけでなくソラの殺害にも関与しているのではと疑い始めるが……。
東日本大震災から9年、「死の物語」の中を若者たちが疾走する。

企画は、大学の授業で「東日本大震災をテーマにした脚本を書く」という課題が出たところからスタートした。不幸の中から幸福への糸口を見出だせるのが映画だとすれば、〈つながり〉ではなく〈断絶〉を、今こそ恐れずに描くべきではないか。そして、それは現代人が目を背けがちな「死の物語」でなくてはならない。「死の物語」には他者の孤独や不幸に寄り添う力があるからだ。こうして書き上げられた『サクリファイス』の脚本は、その後、立教大学映像身体学科の第一回スカラシップ作品に選出され、映画化された。

→「サクリファイス」公式サイト

12月12日(土)『サクリファイス』上映後
リモート舞台挨拶 舞台挨拶 壷井濯(『サクリファイス』監督・脚本・編集)

 

「彼女はひとり」

(2018/60分/デジタル)
監督・脚本・編集:中川奈月 プロデューサー:ムン・ヘソン
撮影:芦澤明子 照明:御木茂則 録音:芦原邦雄 整音:板橋聖志
編集協力:和泉陽光 音楽:大嶋柊 美術:野澤優 衣装:古月悦子
助監督:杉山修平 演出助手:古月悦子、野澤優 特別指導:篠崎誠

出演:福永朱梨、金井浩人、美知枝、山中アラタ、中村優里、三坂知絵子、櫻井保幸、榮林桃伽、堀春菜、田中一平

SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2018国際コンペティション部門、SKIPシティアワード受賞
TAMA NEW WAVE2019ある視点部門
ドイツニッポンコネクション2019
田辺・弁慶映画祭2019 俳優賞受賞(福永朱梨)

高校生の澄子(福永朱梨)はある日橋から身を投げた。しかし、死ねずに生還してしまった。数ヶ月ぶりに学校に戻ってきた澄子は、幼馴染の秀明(金井浩人)を執拗に脅迫し始める。身を投げる原因を作ったのは秀明であり、秀明が教師である波多野(美知枝)と密かに交際していると言う秘密を握っていたのだった。その行為は日々エスカレートしていくが、そこには秀明との過去、そして澄子の家族に関わる、ある少女の幻影があった…。

本作品は立教大学大学院の修了制作として撮影された。学生映画であるにも関わらず、脚本の完成度の高さから、撮影には黒沢清監督、深田晃司監督、沖田修一監督の作品などを多く手掛ける芦澤明子キャメラウーマンが参加。主演には、カンヌ国際映画祭へ出品、絶賛された深田晃司監督『本気のしるし』出演の福永朱梨。誰にも愛されない孤独と悲しみから、他人を傷つけ、暴走していく澄子を繊細、かつ圧倒的な力で演じ、田辺・弁慶映画祭2019では俳優賞を受賞。

12月13日(日)『彼女はひとり』上映後
リモート舞台挨拶 中川奈月(『彼女はひとり』監督・脚本・編集)

 

《料金》 入れ替え制1本あたり
一般1300円 シニア(65歳以上)1100円
ユース(25歳以下)・会員1000円

予約受付
メールと電話によるご予約を承ります。鑑賞を希望される日時と作品名、お名前、電話番号をお知らせください。予約で満席でなければ、当日に予約無しでもご入場いただけます。
info@kobe-eiga.net 078-754-8039


ジョージア[グルジア]映画祭
2020年12月19日(土)・20日(日)、26日(土)・27日(日)

岩波ホール創立50周年記念特別企画として開催され、大きな話題をよんだ「ジョージア[グルジア]映画祭・コーカサスの風」で上映された作品の中から、古典的名作5作品と短篇ドキュメンタリー2作品を上映します。

Aプログラム
「私のお祖母さん」 CHEMI BEBIA

伴奏:塩屋楽団
鈴木勝(electric guitar)、山本信記(electronics, synthesizer etc.)、森本アリ(sampler, keyboard etc.)、稲田誠(contrabass)

(1929/61分/サイレント) 
監督:コンスタンティネ(コテ)・ミカベリゼ 脚本:ギオルギ・ムディヴァニ、コテ・ミカベリゼ
撮影:アントン・ポリケヴィチ、ウラディミル・ポズナン 美術:イラクリ・ガムレケリ
出演:アレクサンドレ・タカイシュヴィリ(官僚)、ベラ・チェルノワ(官僚の妻)、E.オヴァノフ(ドアマン)、アカキ・フォラヴァ(労働者)
グロテスクと思えるほどに辛らつに官僚主義を批判している作品。作風は極めて斬新、表現主義的、未来派的、超現実主義的であり、さまざまな冒険に満ちたアヴァンギャルド映画である。風采の上がらない一役人の運命をとおして、役所と役人の無能さをブラックなユーモアで痛烈に風刺している。次から次へと息つく間もなく新しい展開が用意されていて、特に人形のアニメーションを自由に使い、自殺を試みる主人公と興奮する妻と娘の異様なシーンは強烈である。本作はアナーキーで、過激な内容だったために、ジョージア映画史上、初めて公開禁止、お蔵入りになり、1967年まで上映されることがなかった。

 

Bプログラム
「スヴァネティの塩」 JIM SHVANTE

伴奏:仲川達也/Liftman→Instagram

(1930/49分/サイレント)
監督:ミヘイル・カラトジシュヴィリ 脚本:セルゲイ・トレティアコフ
撮影:シャルヴァ・ゲゲラシュヴィリ、ミヘイル・カラトジシュヴィリ 美術:ダヴィト・カカバゼ
ジョージア北西部、コーカサスのスヴァネティ地方で、独特の塔が林立する村で知られるウシュグリの人々が、社会主義政権のもとで道路を建設し、因習を打破するというプロパガンダ映画。山岳地帯では貴重な塩をめぐるエピソードなど、四季をとおして過酷な自然環境のなかで生きる村人たちの姿が、荒々しい映像とモンタージュによって映し出される。地域の争い、織物、帽子作り、収穫、冷害、岩山での重労働、雪崩による死、貧富の格差、出産 ―― 新旧の世代の対立、自然と人間の対峙、宗教の問題を描いたといわれる本作は、スペインのルイス・ブニュエル監督「糧なき土地」(1932)に匹敵すると評価された。

「映像」 ANAREKLI
(2010/11分)
監督:ギオルギ・ムレヴリシュヴィリ
ムレヴリシュヴィリ監督の第1作。スヴァネティ地方で、村人を対象に野外上映が行われた様子を描いたドキュメンタリー。野外上映会で上映される3本の映画は、旧ソ連時代のジョージア映画「記録」「クヴェヴリ」「セレナーデ」である。

「西暦2015年」 A.D.2015
(2015/10分)
監督:ハトゥナ・フンダゼ 脚本:ハトゥナ・フンダゼ 撮影:ラウラ・カンスィ
旧ソ連邦時代は活気を呈していたジョージア・フィルムの撮影所は、今はほとんど使用されることはない。しかし当時から働いている職人たちは、老いてもなお撮影所を維持しようと黙々と作業を続けている。プリントの修復や、往年の映画で使用された衣装や小道具、資料の管理など、その仕事は限りない。本作は職人たちの姿をとおして、撮影所への彼らの愛とともに、厳しい現状を伝える作品である。この作品から3年後の今日、関係者の努力によって撮影所の状況はだいぶ改善され、さまざまなプロジェクトが生まれつつあるが、まだ問題は山積されている。

 

Cプログラム
「ケトとコテ」 KETO DA KOTE

(1948/90分)
監督:ヴァフタング・タブリアシュヴィリ、シャルヴァ・ゲデヴァニシュヴィリ
原作・脚本:セルゴ・パシャリシュヴィリ、ヴィクトル・ドリゼ(オペラ)、アフクセンティ・ツァガレリ(演劇)
撮影:アレクサンドレ・ディグメロフ 美術:イオセブ・スンバタシュヴィリ、ファルナオズ・ラピアシュヴィリ
衣装:P.パリアシュヴィリ 音楽:ヴィクトル・ドリゼ、アルチル・ケレセリゼ 編集:ヴァシリ・ドレンコ
出演:メデア・ジャパリゼ(ケト)、バトゥ・クラヴェイシュヴィリ(コテ)、タマル・チャフチャヴァゼ(ハヌマ)、ペトレ・アミラナシュヴィリ(レヴァン公爵)、シャルヴァ・ガンバシゼ(マカル)、メリ・ダヴィタシュヴィリ(カバト)、ヴァソ・ゴジアシュヴィリ(シコ)、ギオルギ・シャヴグリゼ(ニコ)、ヴェリコ・アンジャパリゼ(女王)
第二次世界大戦直後に作られた、歌あり踊りありの絢爛豪華なミュージカル映画の傑作。19世紀半ば、ロシア帝政下のチフリス(トビリシ)。富裕な商人マカルは、美しい娘ケトを結婚させて、貴族階級に仲間入りすることを夢見ていた。そこでマカルは独身で破産寸前のレヴァン公爵に娘との縁談を働きかける。レヴァン公爵は商人とかかわることを望んでいなかったが、金のために結婚をやむなく受け入れた。しかしケトは公爵の甥の若い詩人コテと愛し合っていた。コテも事態を知って、結婚を仲介するハヌマに相談する。さらに彼は絶望するケトのもとへゆき、2人は愛を確かめあう。ハヌマは若い2人を救うために計画を練り、彼らの友人たちと行動を起こし、周囲の者たちを見事に出しぬき、ケトとコテは、めでたく幸福を手に入れる。

 

Dプログラム
「大いなる緑の谷」 DIDI MTSVANE VELI

(1967/87分)
監督・脚本:メラブ・ココチャシュヴィリ 撮影:ギオルギ・ゲルサミア
編集:ノダル・マミサシュヴィリ 編集:ジュリエッタ・ツォツォノヴァ 音楽:ノダル・マミサシュヴィリ
出演:ダヴィト・アバシゼ(ソサナ)、リア・カパナゼ(ピリムゼ)、ムジア・マグラケリゼ(ソフィオ)、イリア・バカクリ(ギオルギ)、ズラブ・ツェラゼ(イオタム)
ソサナは、家族とともに「大いなる緑の谷」で、先祖から受け継いだ牛飼いを営み、牛とともに谷を転々としながら生活をしている。彼には谷の豊かな自然と、家族と、牛が人生のすべてであり、ほかの世界は想像できない。しかし妻のピリムゼは定住の生活を望んでいる。息子のイオタムは父を慕いながらも、両親の考えの違いを心配している。一方で、この地域では油田開発とともに新しい村の建設が進み、谷の自然環境も少しずつ変わり、現代文明はソサナの世界を脅かしてゆく。彼はこの変化に戸惑い、抗い、新しい時代は、谷の価値あるものを破壊することになると主張するが…。2017年に作品を修復、デジタル化し、12月のトビリシ国際映画祭で披露された。

 

Eプログラム
「少女デドゥナ」 DEDUNA

(1985/60分)
監督:ダヴィト・ジャネリゼ
原作・脚本:レヴァズ・イナニシュヴィリ 撮影:レリ・マチャイゼ
美術:ショタ・ゴゴラシュヴィリ、マルハズ・デカノイゼ 音楽:ヤコブ・ボボヒゼ 音響:イメリ・マンガラゼ
出演:マレヒ・リコケリ(デドゥナ)、ベシク・オドシャシュヴィリ、ザカリア・コレリシュヴィリ、タマル・スヒルトラゼ、レヴァン・ピルバニ、イリナ・グダゼ
特別出演:ジョージア国立弦楽四重奏団
コーカサスの山深い村で、母親を亡くし、父親と二人で暮らす少女の質朴な生活を、ドキュメンタリーのように静かなタッチで描いた作品。デドゥナとは「母(デダ)の愛する娘」という意味。町からヘリコプターで弦楽四重奏の楽団がやってきて、シューベルトの「死と乙女」を演奏し、帰ってゆく。ほかに近所の一家との交流、道に迷った少年を引きとって一緒に生活するほかには、ドラマらしい出来事は起こらない。しかし静かに、そして豊かに心に残るものがある。原作、脚本は「田園詩」「希望の樹」のレヴァズ・イナニシュヴィリ。原作はA4の紙2、3枚に収まる彼が書いた同名の短篇である。
この作品は1985年マンハイム国際映画祭でグランプリを受賞した(ロシア語題名は「ほたる」)。しかし当時、数本のプリントしか作られず、現在、「少女デドゥナ」のプリントはジョージアにはない。ネガはソ連時代のほかのジョージア映画と同様にロシアが所蔵し、唯一のプリントはドイツのコレクターが所有しているので自由に見ることができない。今回の上映はジャネリゼ監督がプライベートにもっていた状態の悪いDVD(おそらく状態の悪いプリントから制作したもの)を提供してもらい、DCP化したものによる。

 

すべてブルーレイ上映
作品紹介:はらだたけひで

《料金》
一般1500円 ユース(25歳以下)・会員1000円
演奏付き上映 一般1700円 ユース(25歳以下)・会員1200円
予約受付
メールと電話によるご予約を承ります。鑑賞を希望される日時と作品名、お名前、電話番号をお知らせください。予約で満席でなければ、当日に予約無しでもご入場いただけます。
info@kobe-eiga.net 078-754-8039

→公式サイト(コミュニティシネマセンター)

共催:ジョージア映画祭・コミュニティシネマセンター
特別協力:ジョージア国立映画センター、ジョージア映画アカデミー、ジョージアフィルム、ジョージア映画発展基金

企画:はらだたけひで
企画協力・日本語字幕:児島康宏 上映素材制作:大谷和之


これまでのプログラム|神戸映画資料館

※内容は予告無く変更する場合があります。

※作品によっては、経年退化で色褪せしている場合がございます。予めご理解ご了承の上、ご鑑賞くださいますようお願い申し上げます。