プログラムPROGRAM

古典

タマネギと潜水艦
──幻灯、紙芝居、アニメーションにみる戦時統制経済生活──

2021年12月26日(日)16:00〜18:00

国立映画アーカイブ所蔵

タマネギと季節外れの蚊取線香を抱き合わせで売ろうとする八百屋に、未亡人が語った潜水艦で戦死した夫とタマネギとの因縁とは──?
戦時期日本の国家による文化統制の強化には、映画、紙芝居、アニメーション、あるいは幻灯といった、「画像・映像で物語を伝達する」メディアを、公共的な教育・宣伝・広報に積極的に活用していく体制の構築を推し進めた面もあった。これらのメディアは、僻地農山漁村民など、従来は娯楽文化に接する機会の乏しかった人びとに、めまぐるしい戦況の変化や、日々更新される政策をわかりやすく伝達する機能を期待され、こども向けの娯楽や教育だけではなく、隣組常会などのおとなの集まりでも大いに活用された。
この企画では、戦時統制下の国民生活を捉える生々しいリアルタイムの視点と、現代の観客を驚かせる突拍子もない展開を兼ねそなえた戦時期の幻灯と紙芝居を、現物による上映・上演で紹介したうえで、併せて漫画家横山隆一が脚本・演出したアニメーション映画『フクちゃんの潜水艦』を上映する。
企画:鷲谷花(映画学、日本映像文化史)

 

幻灯上映
『無敵海軍』(1942年/約10分)文部省

紙芝居上演
『経済道義昂揚紙芝居 戦ひの村』(1943年/約15分)
原作:朝比奈豊 構成:山口擁器 作画:早川大濤

『経済道義昂揚紙芝居 善兵衛豆腐』(1942年/約15分)
原作:泉谷たけし 構成:山口擁器 作画:南正光

国立映画アーカイブ所蔵

映画上映
『フクちゃんの潜水艦』(1944年/32分/35mm)朝日映画社
原作・演出:横山隆一 演出:関屋五十二
脚本:滋野辰彦 演出:持永只仁
国立映画アーカイブ所蔵

レクチャー(45分)
講師:鷲谷花

 

《参加費》 一般:1000円 ユース(25歳以下):500円 会員:800円
予約受付
メールと電話によるご予約を承ります。鑑賞を希望される日時と作品名、お名前、電話番号をお知らせください。予約で満席でなければ、当日に予約無しでもご入場いただけます。
info@kobe-eiga.net 078-754-8039

協力:国立映画アーカイブ
文化庁「ARTS for the future!」補助対象事業


神戸クラシックコメディ映画祭2022 連携企画
グリフィスとキートン 慈愛と喜劇 第1章『イントレランス』
2021年12月25日(土) 

1月に開催される神戸クラシックコメディ映画祭2022(主催・古典喜劇映画上映委員会)との連携企画。映画黎明期の1910年代に作られ、その製作規模の大きさと、普遍的な人類愛を謳いあげたテーマで映画史に燦然と輝く傑作『イントレランス』を活弁と生伴奏で上映。
 

13:30〜 上映(途中休憩あり)
「イントレランス」
(アメリカ/1916/196分[16fps]/16mm)
監督・脚本:D・W・グリフィス
撮影:ビリー・ビッツァー
出演:メエ・マーシュ、マージョリー・ウィルソン、コンスタンス・タルマッジ、リリアン・ギッシュ他

バスター・キートンを初めて劇場のスクリーン上で観たのは、10年以上前の神戸映画資料館でのことだった。この時の番組は長編喜劇『恋愛三代記』と、D・W・グリフィス監督『イントレランス』の2本連続上映。『恋愛三代記』はキートンの初長編作品であるが、異なる時代を並行モンタージュで描く『イントレランス』の構成をパロディした喜劇としても知られている。つまりそれは“元ネタ”とパロディを1日で立て続けに観るというなんとも贅沢な映画体験であった。今回、神戸クラシックコメディ映画祭2022との連携企画として、年末と年始に日を分けての“連続”上映がついにふたたび実現する。まずは“元ネタ”の『イントレランス』を上映する。いわずと知れた映画史に燦然と輝く超大作だが、今回は16fpsの映写速度で1916年の初公開時に近い上映が可能となった。さらにコントラバス奏者の稲田誠率いる小編成楽団によるライブ演奏、そして活動写真弁士・大森くみこによる活弁付きでご覧いただく。本作が日本でメガヒットした1919年当時に近い映画体験に、どっぷりと浸ってもらいたい。映画研究者・堀潤之氏による上映後レクチャーでさらに作品世界を深掘りする。
企画:いいをじゅんこ(神戸クラシックコメディ映画祭実行委員長)

活動写真弁士:大森くみこ
伴奏:稲田誠
(contrabass)、カメイナホコ(keyboard/clarinet)、楯川陽二郎(drums)、柳瀬瑛美(euphonium)

 
17:20〜 レクチャー(終了予定18:00)
講師:堀潤之(映画研究/関西大学文学部教授)

 

《参加費》 一般:2000円 ユース(25歳以下):1500円 会員:1700円
予約受付
メールと電話によるご予約を承ります。鑑賞を希望される日時と作品名、お名前、電話番号をお知らせください。予約で満席でなければ、当日に予約無しでもご入場いただけます。
info@kobe-eiga.net 078-754-8039

文化庁「ARTS for the future!」補助対象事業


上映+講座 ジガ・ヴェルトフ『熱狂:ドンバス交響曲』 
2021年8月28日(土)13:30〜18:00

『カメラを持った男』(1929年)で広く知られ、ゴダールにも多大な影響を与えたソ連の映画作家ジガ・ヴェルトフ。彼の初のトーキー作品『熱狂:ドンバス交響曲』を取り上げ、上映と講座を実施します。

今回は新たな試みとして、レクチャーを間に挟んで、映画を2回ご覧いただきます。
まず上映し、その後、東海晃久氏によるレクチャー、そして2回目の上映、最後に丹生谷貴志氏と東海氏のトーク、という構成です。

 

「熱狂:ドンバス交響曲」 Энтузиазм (Симфония Донбаса)
(ソ連/1930/65分/16mm)製作:ウクライナフィルム
監督:ジガ・ヴェルトフ 助監督:エリザヴェータ・スヴィーロヴァ 撮影:ボリス・ツェイトリン
音響:ピョートル・シュトロ 音楽:ニコライ・チモフェーエフ、ドミートリー・ショスタコーヴィチ
 

レクチャー(50分)
講師:東海晃久(ロシア文学)
ドキュメンタリー映画の金字塔『カメラを持った男』(1929)撮影の翌年、ヴェルトフは世界初の同時録音による3部構成からなる新作に挑む。折しも、ソ連は戦後の国家再建を目指す新経済政策(ネップ)から第一次計画経済へと大転換を図り、これを機に各方面では集団化が開始される。本作においても俳優というプリズムを介しては見えてこない現実、カメラの眼(キノグラース)にしかとらえられない真実を映し出すことこそが革命的映画のあるべき姿なのだと、ヴェルトフは90年後の私たちに訴えかけてくる。
 

トーク(50分)
丹生谷貴志(美学)+東海晃久

 

協力:神戸芸術工科大学、橋本英治

《料金》 入替なし(1日通し)
一般:2000円 ユース(25歳以下)・会員:1800円
予約受付
メールと電話によるご予約を承ります。希望される日時とプログラム名、お名前、電話番号をお知らせください。予約で満席でなければ、当日に予約無しでもご入場いただけます。
info@kobe-eiga.net 078-754-8039

文化庁「ARTS for the future!」補助対象事業


21世紀のサイレント映画
第3回『大列車追跡』 with 天宮遥

2020年9月26日(土)13:30〜

同日開催の「第15講コメディ学入門」とあわせてお楽しみください。


生演奏とともにサイレント映画を楽しむシリーズ「21世紀のサイレント映画」。

映画の歴史の最初の30年間は、音が付いていない「サイレント(無声)映画」の時代でした。映画のための音声装置が開発される以前の映画ということになりますが、それは音のある映画(トーキー)より劣っているということではありません。むしろ、無声だからこそ極められた映画の魅力がつまっています。

サイレント映画は、当時から生演奏や活動弁士の語りといったライブパフォーマンスとともに上映されていましたが、近年、この上映スタイルが再び見直されています。
演奏や語りにより表情を変えるサイレント映画。
このシリーズでは毎回パフォーマーを迎えて、サイレント映画の新たな魅力を発見していきます。

 

「大列車追跡」 The General
(アメリカ/1926/80分[22コマ]/16mm)
監督:バスター・キートン、クライド・ブルックマン
脚本:アル・ボースバーグ、チャールズ・スミス
撮影:デヴ・ジェニングス
出演:バスター・キートン、マリオン・マック、グレン・キャベンダー、ジム・ファーレイ

南北戦争当時に実際に起きた北軍列車強奪事件をもとにバスター・キートンが撮りあげた超大作無声アクション喜劇。原作のノンフィクション本『The Great Locomotive Chase』は1862年出版で北軍の視点から書かれていたが、キートンとそのスタッフたちは機関車を奪われた南軍の機関士の視点から史実を脚色し、本物の蒸気機関車2台が追いつ追われつチェイスを繰り広げるエキサイティングな戦争喜劇に仕上げた。キートンのトレードマークである派手なスタントアクションは抑え気味で機関車そのものに「主役」の座を譲っているのもいかにもキートンらしい。キートンの世界では機関車もエキストラも大自然の光景までもがギャグとなり映画の中で光り輝く。ヒロインもただの囚われの乙女ではなくキートンの相棒として共に奮闘する。かつてオーソン・ウェルズは『大列車追跡』のビジュアルについて「南北戦争を最も正確に再現した映画」と賛辞を送った。何度観ても、いや観れば観るほどその面白さに圧倒されるキートン渾身の傑作喜劇。
(作品解説:いいをじゅんこ)

天宮 遥(ピアノ)
神戸生まれのシンガーソングライター、ピアニスト、作曲家。2016年よりサイレント映画ピアニストとしても活躍中。

《料金》 一般1700円 ユース(25歳以下)1200円 会員1500円
《割引》[第15講コメディ学入門]参加者は200円引き
予約受付
各回入場制限(座席数の2分の1の19席)を行いますので、メールと電話によるご予約を承ります。鑑賞を希望される日時と作品名、お名前、電話番号をお知らせください。予約で満席でなければ、当日に予約無しでもご入場いただけます。
info@kobe-eiga.net 078-754-8039


クラシックコメディの素晴らしい世界をみんなで楽しむ会
第15講コメディ学入門 「大解剖『大列車追跡』」
2020年9月26日(土)15:05〜(終了予定16:50)

これまでは一人のコメディアンをテーマに取り上げることの多かったコメディ学だが、神戸映画資料館の『大列車追跡』上映にあわせて今回はさまざまな角度からこの作品の徹底解剖を試みてみる。

無声映画史上最もお金のかかったワンショットがある、公開当時は興行的に失敗しキートン転落の遠因になった…などなどすでにいわくつきの映画であるが、他にも未公開シーンの謎や日本での初公開時期の謎など興味を惹くテーマが盛りだくさんの映画である。本物の機関車を使い、大勢のスタッフとエキストラが参加したオールロケの撮影は艱難辛苦が付きまとい、それをすべて乗り越えて完成した作品はまさにキートンの血と肉と魂の結晶だった。映画の面白さは無論のこと、その製作や公開の過程も同様に興味深い作品なのだ。今回のコメディ学はこれまでの調査の一次報告的な意味合いも含めて『大列車追跡』をあらゆる角度から大解剖しこの映画の多彩な魅力に迫りたい。

また、本作ロケ地であるオレゴン州コテージグローブの町を訪問した際の様子も報告する。この町は今もキートンを家族のように愛し、毎年キートンの誕生日には『大列車追跡』の上映会が開かれている。ロケ地の現在の様子や、地道な調査を続けている地元郷土史家の皆さんのお話などをご紹介したい。

いいをじゅんこ
クラシック喜劇研究家、ライター。バスター・キートンと運命の出会いをして以来、サイレント喜劇の世界に魅了される。無声~トーキー初期のいわゆる「喜劇の黄金時代」に作られたアメリカを中心としたクラシック喜劇を研究。映画史の鉱脈に埋もれた優れたコメディを紹介する講座《コメディ学入門》を企画し、2012年より神戸映画資料館にて不定期開催している。2016年1月には喜劇映画研究会・神戸映画資料館と共同で古典喜劇映画上映委員会を立ち上げ、《新春コメディ宝箱》を開催。その後《神戸クラシックコメディ映画祭》へと発展し現在に至る。ライターとして映画評、書評などをさまざまな媒体に執筆している。
「サイレント喜劇のすばらしき世界(The Wonderful World of Silent Comedy and more)」

《参加費》 一般1000円 ユース(25歳以下)500円 会員800円
予約受付
各回入場制限(座席数の2分の1の19席)を行いますので、メールと電話によるご予約を承ります。鑑賞を希望される日時と作品名、お名前、電話番号をお知らせください。予約で満席でなければ、当日に予約無しでもご入場いただけます。
info@kobe-eiga.net 078-754-8039


ふたりのジャン、ルノワールとギャバン
2020年9月5日(土)・6日(日)
 

私がルノワールから学んだものは俳優という仕事のすべてだったと言ってよいだろう。
実のところ、私は彼によって演じることの喜びを知ったのだ。

  ── ジャン・ギャバン
 
フランスの名優ジャン・ギャバン(1904-1976年)はその俳優人生において、ジャン・ルノワール(1894-1979年)が監督した5作品に出演している。『どん底』(1936)、『大いなる幻影』(1937)、『獣人』(1938)、『フレンチ・カンカン』(1955)、『捕えられた伍長』(1962)。今回は、代表作『大いなる幻影』をはさんで作られた2作品をご覧いただきます。

 

「どん底」Les Bas-Fonds

(フランス/1936/90分/16mm)
監督:ジャン・ルノワール 原作:マクシム・ゴーリキー 脚本:シャルル・スパーク、ジャン・ルノワール
撮影:フェドート・ブルガソフ、ジャン・バシュレ 音楽:ジャン・ヴィエネル、ロジェ・デゾルミエール
出演:ジャン・ギャバン、ルイ・ジューヴェ、シュジー・プリム、ウラジミール・ソコロフ

ゴーリキーの戯曲を原作に、舞台を帝政ロシアからパリ郊外へ移し映画化した。泥棒から足を洗おうとする男(ギャバン)と貴族から没落してゆく男爵(ルイ・ジューヴェ)の人生の交錯と友情を描く。

 

「獣人」La Bête Humaine

(フランス/1938/100分/16mm)
監督・脚本:ジャン・ルノワール 原作:エミール・ゾラ
撮影:クルト・クーラン 音楽:ジョゼフ・コズマ
出演:ジャン・ギャバン、シモーヌ・シモン、フェルナン・ルドゥー、ジュリアン・カレット
 
鉄道機関士(ギャバン)が上司の美しい妻(シモーヌ・シモン)に誘惑され、恐ろしい計画に引きずりこまれてゆく。冒頭7分にわたる機関車の疾走シーンやシモーヌ・シモンのコケティッシュな妖婦ぶりに魅了される官能サスペンス。

 

協力:プラネット・プラス・ワン

《料金》 入れ替え制1本あたり
一般1200円 ユース(25歳以下)700円 会員1000円
《割引》当日2本目は200円引き
予約受付
各回入場制限(座席数の2分の1の19席)を行いますので、メールと電話によるご予約を承ります。鑑賞を希望される日時と作品名、お名前、電話番号をお知らせください。予約で満席でなければ、当日に予約無しでもご入場いただけます。
info@kobe-eiga.net 078-754-8039


ウィリアム・A・ウェルマン特集
2020年8月8日(土)〜10日(月・祝)、14日(金)・15日(土)

■ トーク 8月8日(土)15:05(45分) 参加無料(要当日鑑賞チケット半券)
 講師:井上正昭(翻訳・映画研究)
■ 生演奏付き上映 8月9日(日)13:00 「つばさ」伴奏:鳥飼りょう 特別料金(下記参照)

 
サイレント時代から活躍したアメリカ映画の巨匠ウィリアム・A・ウェルマン(1896-1975年)の小特集。第1回アカデミー作品賞を受賞した『つばさ』や、ギャング映画『民衆の敵』のほか、あまり知られていない傑作も紹介する。
 
「つばさ」Wings 伴奏:鳥飼 りょう
(1927/144分/サイレント/16mm)
製作:ルシアン・ハバード
出演:クララ・ボウ、チャールズ・“バディ”・ロジャース、リチャード・アーレン

第一次大戦の2人の戦闘機乗りの恋の鞘当てと友情を描いた戦争映画の古典で、航空機による空中戦を初めて描いた作品として名高い。大空をバックに風に舞うスカーフが活劇として画面を躍動させる。ロマンティックな騎士道精神に溢れた空中戦の一方で、生々しく描かれる地上の戦争描写にも注目。〈イット〉ガール、クララ・ボウはもちろんだが、一瞬だけ登場してあっけなく死んでゆくまだ無名時代のゲイリー・クーパーが印象深い。

 

「人生の乞食」Beggars of Life
(1928/82分/サイレント/ブルーレイ上映)
製作:ジェシー・L・ラスキー、アドルフ・ズーカー
出演:ルイーズ・ブルックス、リチャード・アーレン、ウォーレス・ビアリー

言い寄ってきた義父を殺してしまった娘が、たまたまそこに居合わせた放浪者と逃避行するロードムーヴィ―。ハリウッドでは脇役ばかりだったルイーズ・ブルックスが、『パンドラの箱』以前に本格的な女優としての演技を見せた唯一の作品である。ほぼ全編、男装で登場するブルックスがもちろん最大の魅力だが、スタントではなく彼女自身に走る列車から飛び降りさせるなど、ウェルマンの大胆な演出が光る、一級の列車映画でもある。

 

「民衆の敵」The Public Enemy
(1931/80分/16mm)
製作:ダリル・F・ザナック
出演:ジェームズ・キャグニー、エドワーズ・ウッズ、ジーン・ハーロウ

『犯罪王リコ』 や『暗黒街の顔役』などと同時期に撮られた、ギャング映画史上最も重要な作品の一つ。第一次世界大戦や禁酒法時代を背景に、シカゴのスラム街に育った不良少年が、犯罪に手を染め、やがてはギャングへとなってゆく様をリアリスティックに描く。暴力的なキャグニーの演技は、『ゴッドファーザー』へといたるその後のギャング映画の原型をなす。強烈であっけない幕切れは、見るものの脳裏に焼き付いて離れないはず。

 

「無責任時代」Nothing Sacred
(1937/74分/ブルーレイ上映)
製作:デヴィッド・O・セルズニック
脚本:ベン・ヘクト
出演:キャロル・ロンバード、フレデリック・マーチ

不治の病で余命を宣告された女が、人々の同情を集めてたちまち時の人となるが、実は彼女は健康そのものだった……。30年代を代表するスクリューボール・コメディの傑作であり、このジャンル初の、そしてキャロル・ロンバート唯一のカラー作品。コミカルな展開の一方で、ジャーナリズムの世界を手厳しく風刺し、テクニカラーが同時代をリアルに描くこともできることを世に示した。様々な意味で『スタア誕生』の姉妹編のような作品。

 

「牛泥棒」The Ox-Bow Incident
(1942/75分/16mm)
製作・脚本:ラマー・トロッティ
撮影:アーサー・ミラー
出演:ヘンリー・フォンダ、ダナ・アンドリュース、アンソニー・クイン

カウボーイたちによるリンチ事件を真っ正面から描いて、西部劇を根底で支えている法と正義の正当性を問いただす傑作ウエスタン。バザンが西部劇の古典的完成形と評した『駅馬車』のわずか数年後に撮られたこの名高い作品は、すでにしてバザンの言う〈超西部劇〉を予告している。公開当時その新しさはあまり理解されなかったが、今や西部劇の不滅の傑作としてイーストウッドを始め多くの人から高く評価されている必見作。

 

「廃墟の群盗」Yellow Sky
(1948/98分/16mm)
製作・脚本:ラマー・トロッティ
撮影:ジョー・マクドナルド
出演:グレゴリー・ペック、アン・バクスター、リチャード・ウィドマーク

強盗一味が追跡を逃れてたどりついた廃墟の街には、老人と孫娘だけが住んでいた。どうやら金鉱をみつけたらしい二人を巡ってやがて強盗一味の仲間割れが始まる。ユニークな西部劇ばかりを作ったウェルマンの傑作の一つで、ギャング映画のジャンルとも交差するノワールな作品。ウィドマークのサディスティックな演技がドラマを引き締める。緊迫した状況の中にもどこか緩やかな時間が流れるところがいかにもウェルマンらしい。

 

解説:井上正昭
協力:(株)ダッサイ・フィルムズ、プラネット・プラス・ワン
 

《料金》 入れ替え制1本あたり
一般1200円 ユース(25歳以下)700円 会員1000円
『つばさ』演奏付き上映 一般1700円 ユース(25歳以下)1200円 会員1500円
《割引》当日2本目は200円引き
予約受付
各回入場制限(座席数の2分の1の19席)を行いますので、メールと電話によるご予約を承ります。鑑賞を希望される日時と作品名、お名前、電話番号をお知らせください。予約で満席でなければ、当日に予約無しでもご入場いただけます。
info@kobe-eiga.net 078-754-8039


これまでのプログラム|神戸映画資料館

※内容は予告無く変更する場合があります。

※作品によっては、経年退化で色褪せしている場合がございます。予めご理解ご了承の上、ご鑑賞くださいますようお願い申し上げます。