プログラムPROGRAM

ロシア・ソヴィエト映画 連続上映

ロシア・ソヴィエト映画 連続上映
第14回 戦争映画

2015年9月19日(土)〜21日(月・祝)
第二次世界大戦を扱った数あるソヴィエト映画の中から、ドイツとソ連の戦闘を描いた3作品を上映。

T-34_01「鬼戦車T-34」ЖАВОРОНОК
(1964/89分/35mm)レンフィルム
監督:ニキータ・クリーヒン、レオニード・メナケル
脚本:ミハイル・ドゥージン、セルゲイ・オフロフ
撮影:ニコライ・ジーリン、ヴィクトル・カラセフ
出演:ヴァチェスラフ・グレンコフ、ゲンナジー・ユフチン、ワレリー・ポゴレリツェフ
1942年、ドイツ東部にあるナチス軍の捕虜収容所では、捕虜を操縦士として乗せたソ連の戦車T-34を標的に射撃実験が行われていた。そんなある日、ソ連軍捕虜たちが戦車ごと大脱走を企てる。ソ連領を目指してドイツ中を走り抜ける本物の戦車T-34が主人公とも言える戦争映画。

 

sokoku_01「祖国のために」
ОНИ СРАЖАЛИСЬ ЗА РОДИНУ
(1972/135分/35mm)モスフィルム
脚本・監督:セルゲイ・ボンダルチュク
原作:ミハイル・ショーロホフ
撮影:ワジーム・ユーソフ
美術:フェリックス・ヤスケビッチ
音楽:ヴァチェスラフ・オフチンニコフ
出演:ワシーリー・シュクシン、ヴァチェスラフ・チーホノフ、セルゲイ・ボンダルチュク
戦線を実際に視察して書かれたショーロホフの長編小説の映画化。ナチス・ドイツ軍に圧倒されながらも不屈の意志で反撃を続けるソ連軍兵士たちや、戦闘シーンの臨場感は、ボンダルチュク監督の真骨頂。撮影は、ダネリヤの『モスクワを歩く』や『惑星ソラリス』等のタルコフスキー作品を多数手がけるワジーム・ユーソフ。

 

628_02「炎628」ИДИ И СМОТРИ
(1985/143分/35mm)
モスフィルム、ベラルーシフィルム
脚本・監督:エレム・クリモフ
原作・脚本:アレシ・アダモーヴィチ
撮影:アレクセイ・ロジオーノフ
美術:ヴィクトル・ぺトロフ
音楽:オレーグ・ヤンチェンコ
出演:アリョーシャ・クラフチェンコ、オリガ・ミローノワ、リュボミラス・ラウツァヴィチュス、ウラダス・バグドナス
628_011943年、ドイツ軍の侵攻を受けたベラルーシの村。たまたま銃を手に入れた少年がパルチザン部隊に加わるが、彼の村はそのせいで全員虐殺されてしまう。生の謳歌と残酷な死とが極端なまでに隣り合わせる戦場の無残を描く衝撃の作品。戦時下に実際にあった「ハティニ村虐殺事件」を題材にした小説の映画化で、そのような殺戮を受けた村の数が628にも及ぶという。

 

主催:神戸映画資料館、アテネ・フランセ文化センター
協力:ロシア映画社

《料金》入れ替え制
1本あたり
一般1200円 学生・シニア1000円
神戸プラネットシネマ倶楽部会員1000円 学生・シニア会員900円
アテネ・フランセ文化センター会員1000円
《割引》
当日に限り2本目は200円引き


ロシア・ソヴィエト映画 連続上映
第13回 特撮ファンタジーの巨匠 プトゥシコ

2015年5月23日(土)・24日(日)
神話や民話をもとにしたファンタジックな特撮映画で知られるアレクサンドル・プトゥシコ監督の世界をご堪能ください。
 
「石の花」Каменный цветок
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(1946/80分/35mm)モスフィルム
監督:アレクサンドル・プトゥシコ 原作:パーヴェル・バジョーフ
撮影:フョードル・プローヴォロフ 美術:ミハイル・ボグダノフ、ゲンナーヂィ・ミャスニコフ
音楽:レフ・シュヴァルツ
出演:ヴラヂーミル・ドゥールジニコフ、タマーラ・マカーロヴァ、ミハイル・トロヤノフスキィ、アレクセイ・ケリベーレル
幼くして石細工の技を心得、誰をも驚かす名匠となったダニーラ。そんな彼はさらに石工としての腕を磨くべく、許嫁のカーチャのもとを離れ、本物と見紛う石の花を作るよう依頼してきた「銅山の女主」のいる地下に下る。しかし、その誘いはダニーラに人間界を忘れさせ、その技を思いのままにしようとする山の主の罠だった。1946年にはカンヌ映画祭でカラー作品最優秀賞、翌年47年には文学・芸術分野でスターリン賞一等を受賞した作品。

 

「妖婆・死棺の呪い」Вий
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(1967/78分/35mm)モスフィルム
監督:コンスタンチン・エルショーフ、ゲオールギィ・クロパチョーフ 原作:ニコライ・ゴーゴリ
撮影:ヴィクトル・ピシャーリニコフ、フョードル・プローヴォロフ
美術:アレクサンドル・プトゥシコ、ニコライ・マルキン、ローザ・サトゥノーフスカヤ
音楽:カレン・ハチャトゥリャン
出演:レオニート・クラヴリョーフ、ナターリヤ・ヴァルレイ、アレクセイ・グラズィーリン、ニコライ・クトゥーゾフ
神学校生ホマー・ブルートは旅先で遭遇した魔女の老婆に苦しめられ、殺めてしまう。しかし、その亡骸は地主の美しい娘に姿を変えていた。旅を切り上げキエフに戻ったホマーが数日後に呼び出された先はなんと自分の殺めた娘の埋葬式。祈祷を上げる三夜のあいだホマーは復讐を謀ろうとする悪霊たちから逃れようとし、最後の夜、彼を付け狙う悪霊たちが、地面にまで睫毛の垂れた鉄の顔を持つ妖怪ヴィイを召喚する。当時モスフィルムスタジオの学生監督だったクロパチョーフとエルショーフのフィルムをベースにプトゥシコの特撮技術と幻想美が加味された、ソ連時代最初で最後のホラー映画。

 

「ルスランとリュドミーラ」Руслан и Людмила
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(1972/約110分149分/35mm)モスフィルム
監督:アレクサンドル・プトゥシコ 原作:アレクサンドル・プーシキン
撮影:イーゴリ・ゲレイン、ヴァレンチン・ザハーロフ 美術:オーリガ・クルチーニナ
音楽:チーホン・フレンニコフ
出演:ヴァレーリィ・コージネツ、ナターリヤ・ペトローヴァ、アンドレイ・アブリコーソフ
原作は19世紀ロシアの国民的詩人アレクサンドル・プーシキンによる同名の物語詩。豪傑ルスランは自らの婚礼の席で、許嫁であったキエフ大公国の姫リュドミーラを黒魔術師チェルノモールにさらわれてしまう。大公スヴェトザールは、娘に恋心を寄せる男たちに向かって、姫を取り返した者に結婚を許すと告げると、ルスランを始めとする若者たちがリュドミーラの救出に向かう。プトゥシコの晩年最後にして、最も興行収益の多かった作品でもある。

 
 
作品解説:東海晃久
 
主催:神戸映画資料館、アテネ・フランセ文化センター
協力:ロシア映画社

《料金》入れ替え制
1本あたり
一般1200円 学生・シニア1000円
神戸プラネットシネマ倶楽部会員1000円 学生・シニア会員900円
アテネ・フランセ文化センター会員1000円
《割引》
当日に限り2本目は200円引き

ロシア・ソヴィエト映画 連続上映
第12回 グルジア特集3

2015年3月7日(土)・8日(日)

ミニトーク「入門:グルジアの歴史と文化」
3月8日(日)「青い山/本当らしくない本当の話」上映終了後
 ゲスト:伊藤順二(コーカサス近代史/京都大学准教授)
 聞き手:楯岡求美(ロシア文化史/神戸大学准教授)
 
「グルジアは、大国ロシアと中東・イスラム地域とのはざまで独自の文字や文化を維持し続けています。多くの苦難を経たからこそ、涙と笑いのないまぜになったグルジア映画の世界が醸造されたのでしょう。日本ではあまり語られることの少ないグルジアの歴史と文化について、グルジア近代史をご専門とする伊藤順二さんにお話を伺います。ケフィヤ・ヨーグルトと黒海だけではないグルジアの豊かな文化の一端をご紹介したいと思います。
 
共催:神戸大学大学院国際文化学研究科 研究プロジェクト「映像におけるタブーと美の相克」

「インタビュアー」
Несколько интервью по личным вопросам
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(1978/95分/35mm)グルジアフィルム
監督:ラナ・ゴゴベリーゼ
脚本:ザイラ・アルセニシヴィリ、エルロム・アフヴレジアニ、ラナ・ゴゴベリーゼ
撮影:ヌグザル・エルコマイシヴィリ 音楽:ギア・カンチェーリ
出演:ソフィコ・チアウレリ、ギア・バドリーゼ、カテワン・オハヘラシヴィリ、ジャンリ・ロラシヴィリ

仕事にも家族にも恵まれ、幸せな人生を送っていると信じている女性が、夫に裏切られて途方に暮れる。グルジアの女性監督が、日常の中で女性たちが直面する問題を繊細に描く。主役の新聞記者を演じるのはパラジャーノフの『ざくろの色』などで知られるソフィコ・チアウレリ。

 

「転回」
Круговорот
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(1986/100分/35mm)グルジアフィルム
監督:ラナ・ゴゴベリーゼ
脚本:ザイラ・アルセニシヴィリ、ラナ・ゴゴベリーゼ
撮影:ヌグザル・エルコマイシヴィリ 音楽:ギア・カンチェーリ
出演:レイラ・アバシーゼ、リヤ・エリアワ

二人の初老の女性——元スタア女優と言語学者が久しぶりに再会して起こる二人の人生の急転回。女性の生き方に焦点を当てた作品を発表し続けたグルジアの女性監督の代表作。第2回東京国際映画祭(1987)最優秀監督賞受賞。

 

「青い山/本当らしくない本当の話」
Голубые горы, или Неправдоподобная история
blueM01 blueM02
(1984/95分/35mm)グルジアフィルム
監督:エリダル・シェンゲラーヤ
脚本:レゾ・チェイシヴィリ 撮影:レヴァン・パータシヴィリ 音楽:ギア・カンチェーリ
出演:ラマーズ・ギオルゴビアーニ、ヴァシーリイ・カフリアシヴィリ

作家ソソは「青い山」という小説を書き上げ、出版社に持ち込む。ソソは何度も足を運んで結果を聞こうとするが、出版社の誰もが本来の仕事以外の何事かで忙しい。秋が過ぎ、冬も過ぎ、春になっても、まだ誰も原稿を読んでくれていない。やがて、原稿の行方もわからなくなり……。官僚社会を皮肉ったエキセントリック・コメディー。

 

主催:神戸映画資料館、アテネ・フランセ文化センター
協力:ロシア映画社

《料金》入れ替え制
1本あたり
一般1200円 学生・シニア1000円
神戸プラネットシネマ倶楽部会員1000円 学生・シニア会員900円
アテネ・フランセ文化センター会員1000円
《割引》
当日に限り2本目は200円引き

ロシア・ソヴィエト映画 連続上映
第11回 グルジア特集2

2014年11月22日(土)~24日(月・祝)
グルジア映画の新時代を開いたと言われるレゾ・チヘイーゼとテンギス・アブラーゼの作品を上映。

senkawokoetew「戦火を越えて」
Отец солдата
(1964/92分/35mm)
グルジアフィルム
監督:レゾ・チヘイーゼ
脚本:スリコ・ジゲンティ
撮影:レフ・スーホフ、アルチール・フィリパシビーリ
音楽:スルハン・ツィンツァーゼ
出演:ゼルゴ・ザカリアーゼ、ケテワン・ボチョリシヴィリ、ウラジミール・プリワツェフ、アレクサンドル・レベデフ
第二次大戦中のグルジア。戦争で負傷した息子を見舞いに行こうとした農夫が、なりゆきでドイツへ反撃する部隊の兵士となってベルリンまで行くが……。英雄物語ではない個人的体験として戦争を描く。テンギス・アブラーゼと共同監督した『青い目のロバ』(1955)によりグルジア映画の新時代を開いたと言われるレゾ・チヘイーゼ監督作品。

 

naegiw「ルカじいさんと苗木」
Саженцы
(1973/90分/35mm)
グルジアフィルム
監督:レゾ・チヘイーゼ
脚本:スリコ・ジゲンチ
撮影:アベサロム・マイスラーゼ
音楽:ノダル・ガブーニャ
出演:ラマーズ・チヒクワーゼ、ミシコ・メスヒ
幻のナシの苗木を探して、グルジアを旅するルカじいさんとその孫が主人公のロードムービー。二人は道中で出会った人々に助けられながら旅を続ける。昔ながらのもてなしの美徳を保ちながらも、大きく変貌していく町や農村、人間の姿が描かれる。

 

kibounokiw「希望の樹」
ДРЕВО ЖЕЛАНИЯ
(1977/108分/35mm)
グルジアフィルム
監督:テンギス・アブラーゼ
原作:ゲオルギー・レオニーゼ
脚本:レヴァズ・イナニシヴィリ、テンギス・アブラーゼ
撮影:ロメール・アフヴレディアニ
音楽:ベジーナ・クヴェルナーゼ、ヤコヴ・ボボヒーゼ
出演:リカ・カヴジャラーゼ、ソソ・ジャチヴリアニ、ザザ・コレリシヴィリ、ソフィコ・チアウレリ
ロシア革命前の、グルジア東部の小さな村。美しい娘が羊飼いの恋人から引き離され、金持ちと結婚させられたことから起こる悲劇をコーカサス地方の豊かな自然を背景に描き出す。美しくも残酷な処罰のシーンや、愚かしくも魅力的な村人たちが印象的な、アブラーゼのグルジア史三部作の第二作。

 

主催:神戸映画資料館、アテネ・フランセ文化センター
協力:ロシア映画社

《料金》入れ替え制
1本あたり
一般1200円 学生・シニア1000円
神戸プラネットシネマ倶楽部会員1000円 学生・シニア会員900円
アテネ・フランセ文化センター会員1000円
《割引》
当日に限り2本目は200円引き

ロシア・ソヴィエト映画 連続上映
第10回 グルジア特集1

2014年9月13日(土)~15日(月・祝)
パラジャーノフ、イオセリアーニ、ダネリヤなど、特異な才能を生み出した旧ソ連のグルジアを特集する。

denenshi01「田園詩」
Пастораль
(1975/98分/35mm)グルジアフィルム
監督:オタール・イオセリアーニ
脚本:オタール・イオセリアーニ、レヴァズ・イナニシヴィーリ他
撮影:アベサロム・マイスラッゼ
音楽:エカテリーナ・ポポーヴァ
出演:ナナ・イオセリアーニ、タマーラ・ガバラシヴィーリ、ミハイル・ナネイシヴィーリ、レーリ・ザルディアシヴィーリ
グルジアのとある奥深い農村に学生音楽家たちが休暇を兼ねて楽器練習に訪れ、再び都会に帰るまでの束の間のひと時が描かれる。監督にとってソ連時代最後の長篇作品となった本作にはグルジア映画特有のコミカルなたとえ話の体裁もなければ、主人公もあらかた不在で、筋書きは意識的に排除され、第一作「落ち葉」の冒頭で描かれていた農村風景の変奏として描かれていくかに見える。しかし、農村の方言はグルジア人にも分からぬ言葉で、都会人と村人たちのそれぞれの世界は互いに閉じたままで、いつまでも出会うことがない。本作はこの出会いの不在をまるで唯一の主人公であるかのように映し出している。(東海晃久)

 

marathon01「秋のマラソン」
Осенний марафон
(1979/94分/35mm)モスフィルム
監督:ゲオルギー・ダネリヤ
脚本:アレクサンドル・ヴォローヂン
撮影:セルゲイ・ヴロンスキィ
音楽:アンドレイ・ペトローフ
出演:オレーク・バシラシヴィーリ、ナターリヤ・グンダレヴァ、マリーナ・ネヨーロヴァ、エヴゲーニィ・レオーノフ
舞台は70年代末のレニングラード。大学教員で翻訳家でもある主人公ブズィーキンはタイピストのアーラと不倫。子供が欲しいと言われるも、妻ニーナと別れる勇気のない彼はいつもの優柔不断さから二人のあいだで引き裂かれ続ける。ソープオペラ的題材を用いながらも、ダネーリヤは主人公を同僚や隣人たちとのあいだをピンボールのように弾いていっては、自らの得意とするシチュエーションの虜に仕立て上げる。不甲斐ないと罵られるべきブズィーキンは次第に観る者の前に、自らの吐き出した糸に絡みとられていく蜘蛛の悲哀を帯び始める。(東海晃久)

 

短篇集
kekkon01「結婚」
Свадьба
(1964/20分/35mm)グルジアフィルム
監督:ミハイル・コバヒーゼ
バスで知り合った女性にプロポーズを決意した若者の運命。セリフや言葉を排し、映像と音楽だけで作られた映画大学の卒業制作。60年代グルジアの映像実験の代表作。

kasa01「傘」
Зонтик
(1967/20分/35mm)グルジアフィルム
監督:ミハイル・コバヒーゼ
自由に跳ね回る傘をつかまえ、軽やかにスキップする男に少女が引き寄せられる。グルジアの監督コバヒーゼは、軽妙な短編で注目されるも、実験性ゆえに不遇をかこった。

arabesque01「ピロスマニのアラベスク」
Арабески на тему Пиросмани
(1986/20分/35mm)グルジア記録映画スタジオ
監督:セルゲイ・パラジャーノフ
グルジア出身のパラジャーノフが、グルジアの国民的画家の運命と作品に捧げたオマージュ。様々な映像手法を駆使しつつ画家の生涯と作品に迫るドキュメンタリー。

 

主催:神戸映画資料館、アテネ・フランセ文化センター
協力:ロシア映画社

《料金》入れ替え制
1本あたり
一般1200円 学生・シニア1000円
神戸プラネットシネマ倶楽部会員1000円 学生・シニア会員900円
アテネ・フランセ文化センター会員1000円
《割引》
当日に限り2本目は200円引き

ロシア・ソヴィエト映画 連続上映
第9回 キラ・ムラートワ

2014年6月28日(土)・29日(日)
旧ソ連とルーマニア間で領土争いが繰り返されていたベッサラビア(現モルドバ共和国)生まれで、ウクライナを中心に活動するキラ・ムラートワ監督の2作品を上映する。2013年のロッテルダム国際映画祭では最新作が上映され特集が組まれるなど、約50年にわたり活躍する女性監督。

「長い見送り」
Долгие проводы
(1971/95分/35mm)
オデッサフィルム(ウクライナ)
監督:キラ・ムラートワ
脚本:ナタリア・リャザンツェワ
撮影:ゲンナジー・カリューク
音楽:オレーグ・カラワイチューク
出演:オレグ・ウラジーミルスキー、ジナイーダ・シャルコ
離婚した母親と、思春期の多感な息子のあいだの葛藤を、瑞々しくも大胆なタッチで描いたムラートワの監督第2作。「ロング・グッドバイ」を意味する原題を持つこの作品と、これとは真逆のタイトルを持つ単独監督デビュー作『短い出会い』の初期2作はアイロニカルにも「地方メロドラマ」と称される。キャメラの繊細な動き、突飛なモンタージュ、音とイメージのずれなど、その斬新な映像センスがすでに比類ない才能を感じさせる驚くべき傑作。党の要請に部分的に従わなかったために、この作品は16年間お蔵入りとなり、ムラートワは以後長きにわたって映画を撮れなくなる。次第に壊れてゆく母親を演じるジナイーダ・シャルコの、ジーナ・ローランズを彷彿とさせる神経症的な演技がすばらしい。

「灰色の石の中で」
Среди серых камней
(1983年/83分/35mm)
オデッサフィルム(ウクライナ)
監督・脚本:キラ・ムラートワ
原作:ウラディミール・コロレンコ
撮影:アレクセイ・ロジオーノフ
出演:イーゴリ・シャラーポフ、スタニスラフ・ゴヴォルーヒン
舞台はおそらく19世紀のロシア。母を亡くしたばかりの少年ワーシャは、妻の想い出に浸って自分を見てくれない父親を避けるようにひとり街を遊び歩くうちに、同い年ぐらいの兄妹と知り合い、奇妙な浮浪者たちが隠れすむ教会の地下に入り浸るようになる。子供向けの物語を借りた大人のための寓話。『長い見送り』の直後からすでにシナリオが書き始められていたが、度重なる検閲によって細部の改変を強いられ、ムラートワはついには完成作から自分の名前を外してしまう。絶えず動き回り、いっせいに話し始める人物たち。理解しがたい行動と、反復される支離滅裂な言葉。混沌としたイメージは、これ以後の作品に共通するものであり、むしろ『長い見送り』以上にムラートワ作品の特徴が現れていると言ってもいい。

作品解説:井上正昭

主催:神戸映画資料館、アテネ・フランセ文化センター
協力:ロシア映画社

《料金》入れ替え制
1本あたり
一般1200円 学生・シニア1000円
神戸プラネットシネマ倶楽部会員1000円 学生・シニア会員900円
アテネ・フランセ文化センター会員1000円

《割引》
当日に限り2本目は200円引き


ロシア・ソヴィエト映画 連続上映
第8回 サイレント黄金時代とエルムレル

2014年3月22日(土)・23日(日)


写真提供:国立中央映画博物館
(Museum of Сinema, Moscow)

「帝国の破片」ОбломокИмперии
(1929/100分[18コマ]112分[16コマ]/無声/35mm)
ソフキノ・レニングラード
東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵作品
監督:フリードリヒ・エルムレル
脚本:フリードリヒ・エルムレル、カテリーナ・ヴィノグラーツカヤ
撮影:エヴゲニー・シネイデル、グレープ・ブシュトゥエフ
出演:フョードル・ニキーチン、リュドミラ・セミョーノワ
 
第一次世界大戦で記憶を失った男が、意識を取り戻すと目の前に現れたのは、全く見知らぬ革命政権後の世界であった。ソヴィエト版浦島太郎とも言える物語で、フロイトの精神分析の影響も見られる。ソヴィエト映画サイレント時代の転換期の作品。
 
 
 


写真提供:国立中央映画博物館
(Museum of Сinema, Moscow)

「新バビロン」НОВЫЙ ВАВИЛОН
(1929/102分[18コマ]115分[16コマ]/無声/35mm)
ソフキノ・レニングラード
東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵作品
監督・脚本:グリゴリー・コージンツェフ、レオニード・トラウベルグ
撮影:アンドレイ・モスクヴィン
出演:エレーナ・クジミナ、ピョートル・ソボレフスキー
 
アメリカ文化の影響を受けた前衛的劇団「フェクス」から映画界に転じ、その後のレンフィルムを担ったコージンツェフとトラウベルグの初期作品。1871年、民衆の蜂起によるパリ・コミューンを舞台に、バリケードを挟んで引き裂かれる恋人たちを描く。
 
 
 
「呼応計画」Встречный
(1932/110分/35mm)
ロスフィルム
監督:フリードリヒ・エルムレル、セルゲイ・ユトケーヴィチ
脚本:レオ・アルンシタム、レオニード・リユバシェフスキー、フリードリヒ・エルムレル、セルゲイ・ユトケーヴィチ
撮影:アレクサンドル・ギンツブルグ、ジョゼフ・マルトス、ウラジーミル・ラポポルト
音楽:ドミトリー・ショスタコーヴィチ
出演:ウラジーミル・ガルジン、マリア・プリュメンターリ=タマーリナ、タチヤーナ・グレーツカヤ
 
国が掲げる第1次五カ年計画の早期遂行のため、労働者によって自発的に立てられた高い目標計画(呼応計画)のもと、タービン建設に取り組む労働者たちを、社会主義建設に燃える若者と旧世代の熟練労働者の断絶とともに描くトーキー初期作品。
 
* 「帝国の破片」と「新バビロン」の上映スピードは18コマ(1秒間に進むコマ数)を予定していましたが、試写の結果16コマが適切であると判断しました。それにより上映分数が予定より長くなります。
休憩時間の短縮等の処置でタイムテーブルに大きな変更は無い予定ですが、ご了承ください。
 
主催:神戸映画資料館、アテネ・フランセ文化センター
協力:東京国立近代美術館フィルムセンター、ロシア映画社、国立中央映画博物館、国際交流基金
[関連企画] 3月22日(土)
講演:フリードリヒ・エルムレルとソ連無声映画の黄金時代(1925-1930)
講師:マクシム・パヴロフ(国立中央映画博物館 副館長)
主催:国際交流基金

 

《料金》入れ替え制
1本あたり
一般1200円 学生・シニア1000円
神戸プラネットシネマ倶楽部会員1000円 学生・シニア会員900円
アテネ・フランセ文化センター会員1000円

《割引》
当日に限り2本目は200円引き


ロシア・ソヴィエト映画 連続上映
第7回 アレクセイ・ゲルマン特集

2014年2月7日(金)〜9日(日)
「道中の点検」
ПРОВЕРКА НА ДОРОГАХ
(1971/97分/35mm)
レンフィルム
原作:ユーリー・ゲルマン
脚本:エドゥアルド・ヴォロダルスキー
監督:アレクセイ・ゲルマン
撮影監督:ワディム・ガウズネル
出演:ウラジーミル・ザマンスキー、ローラン・ビーコフ、アナトーリー・ソロニーツィン、オレグ・ボリソフ
父親ユーリーの小説を映画化したゲルマン初の単独監督作品。1942年の冬、ドイツ軍に占領された北西地方で戦っているパルチザン部隊のもとに、独軍に協力していたロシア人が投降してくる。裏切り者のスパイ扱いをされても男は多くを語らず、ただ行動を通して自分が卑怯者でないことを証明してゆく。ゲルマンの演出もまた寡黙で、その緊張感みなぎる画面は、この作品を見事な活劇たらしめている。〈裏切り者〉と〈英雄〉のテーマをリアルかつ曖昧に描くこの映画は、ソ連の英雄神話を深く傷つけ、15年間お蔵入りにされた。
 
 
「戦争のない20日間」
ДВАДЦАТЬ ДНЕЙ БЕЗ ВОЙНЫ
(1976年/102分/35mm)
レンフィルム
原作・脚本:コンスタンチン・シーモノフ
監督:アレクセイ・ゲルマン
撮影監督:ワレリー・フェドーソフ
出演:ユーリー・ニクーリン、リュドミーラ・グルチェンコ
シーモノフの自伝的小説を映画化した、戦争のない戦争映画。1942年から43年にかけての20日間、従軍記者ロパーチンは、休暇をもらって列車で故郷タシケントを訪れる。前線から遠く離れたここにも戦争の影は色濃い。ロパーチンが自分の手記を映画化しているスタジオを訪れ、戦争の現実を無視していると怒鳴る場面に、ゲルマンの考えるリアルな戦争映画が垣間見える。夢のような戦場のフラッシュバック、列車の窓から一瞬切り取られる幻想的風景。銃後の生活をリアルに映し出しながら、この映画には終始メランコリックな雰囲気が漂う。
 
 
「わが友イワン・ラプシン」
МОЙ ДРУГ ИВАН ЛАПШИН
(1982年/98分/35mm)
レンフィルム
原作:ユーリー・ゲルマン
脚本:エドゥアルド・ヴォロダルスキー
監督:アレクセイ・ゲルマン
撮影監督:ワレリー・フェドーソフ
出演:アンドレイ・ボルトネフ、ニーナ・ルスラーノワ、アンドレイ・ミローノフ
ペレストロイカ直前に、ゲルマンが父親の短篇小説を映画化した作品。架空の港町ウンチャンスクを舞台に、ソ連史の空白と言われる1930年代、スターリンによる粛清〈前夜〉の荒涼とした雰囲気が、なにかが壊れゆく予感とともに、ざらざらとしたモノクロ画面と不意に挿入されるカラー画面によって見事に描き出される。『戦争のない20日間』以上に物語の線は細くなり、キャメラワークの自由度は増しているが、ラストの警察による殺人鬼の逮捕シーンなど、奇妙で不条理な犯罪活劇の一面も持つ。
 
 
作品解説:井上正昭
 
主催:神戸映画資料館、アテネ・フランセ文化センター
協力:ロシア映画社
[関連企画] 2月8日(土)
連続講座:映画批評 第6回 崩壊する国家と崩壊する映画──アレクセイ・ゲルマン
講師:井上 正昭(翻訳・映画雑文)

 

《料金》入れ替え制
1本あたり
一般1200円 学生・シニア1000円
神戸プラネットシネマ倶楽部会員1000円 学生・シニア会員900円
アテネ・フランセ文化センター会員1000円

《割引》
当日に限り2本目、あるいは講座参加者は200円引き


ロシア・ソヴィエト映画 連続上映
第6回 SF大国3

2013年12月21日(土)〜23日(月・祝)
「惑星ソラリス」 СОЛЯРИС
(1972/165分/35mm)
モスフィルム
監督:アンドレイ・タルコフスキー
原作:スタニスワフ・レム
脚本:アンドレイ・タルコフスキー、フリードリヒ・ガレンシュテイン
撮影:ワジーム・ユーソフ
出演:ナタリア・ボンダルチュク、ドナタス・バニオニス、ユーリー・ヤルヴェト、ウラジスラフ・ドヴォルジェツキー
人間の意識の深層にある恐れを実体化する惑星ソラリスの“海”。その探査のため宇宙基地に派遣された主人公の前に、自殺した妻が現れ彼のトラウマが露わになる。スタニスワフ・レムの長編小説をタルコフスキーが映画化したSF映画の新機軸。
 
 
「ストーカー」 СТАЛКЕР
(1979/160分/35mm)
モスフィルム
監督:アンドレイ・タルコフスキ一
原作・脚本:アルカージー・ストルガツキー、ボリス・ストルガツキー
撮影:アレクサンドル・クニャジンスキー
出演:アレクサンドル・カイダノフスキー、アリーサ・フレインドリフ、アナトリー・ソロニーツィン、ニコライ・グリニコ
ストーカー(密猟者)と呼ばれる案内人に導かれ、禁断の地“ゾーン”に侵入する男たち。“ゾーン”とは一体何なのか、ただの廃墟に見えるこの場所の何が危険なのか。タルコフスキー監督によれば「これはSFというよりは寓話」。原作者のストルガツキー兄弟自ら脚本を手がけている。
 
 
「死者からの手紙」ПИСЬМА МЕРТВОГО ЧЕЛОВЕКА
(1986/88分/35mm)
レンフィルム
監督:コンスタンチン・ロプシャンスキー
脚本:コンスタンチン・ロプシャンスキー、ヴャチェスラフ・ルイバコフ、ボリス・ストルガツキー
撮影:ニコライ・ポコプツェフ
出演:ロラン・プイコフ、イオシフ・ルィクリン、ヴィクトル・ミハイロフ、アレクサンドル・サビーニン、ノーラ・グリャカロワ
ささいなミスにより核戦争が起きた世界。もはや地球は防毒マスクをつけなければ外に出られない死の大地と化したが、核シェルターには健康な人しか入れず、人々は緩慢な死を迎えている。この黙示録的世界をタルコフスキーのアシスタントを務めたロプシャンスキーが監督。この映画が完成して一ヶ月後、チェルノブイリ事故は起きた。
 
 
主催:神戸映画資料館、アテネ・フランセ文化センター
協力:ロシア映画社
 

《料金》入れ替え制
1本あたり
一般1200円 学生・シニア1000円
神戸プラネットシネマ倶楽部会員1000円 学生・シニア会員900円
アテネ・フランセ文化センター会員1000円

《割引》
当日に限り2本目は200円引き


ロシア・ソヴィエト映画 連続上映
第5回 SF大国2

2013年11月9日(土)・10日(日)
「火を噴く惑星」
(1961/83分/35mm)
レニングラード科学普及映画スタジオ
監督:パーヴェル・クルシャンツェフ
原作:アレクサンドル・カザンツェフ
脚本:アレクサンドル・カザンツェフ、パーヴェル・クルシャンツェフ
撮影:アルカージー・クリモフ
出演:ウラジーミル・エメリヤノフ、ゲオルギー・ジジョーノフ、ゲンナジー・ヴェルノフ
1957年のソ連のスプートニク1号の打ち上げ成功により、宇宙への夢が高まった1961年に作られた宇宙冒険SF。現実には金星の環境が未知であった時代だが、国際調査隊が金星に降り立ち、そこで謎の宇宙生物に襲われるという物語を、空想豊かに造形された宇宙船や怪獣とともに描いたカルト作品。
 
 
「エバンス博士の沈黙」
(1973/90分/35mm)
モスフィルム
監督・脚本:ブディミール・メタリニコフ
撮影:ユーリー・ソコル
出演:セルゲイ・ボンダルチュク、ジャンナ・ボロトワ、オリゲルト・クロデルス、イリーナ・スコブツェワ
人間の寿命を延ばす研究をしているエバンス博士が、飛行機事故に遭う。異星人により救出されるた博士をふくむ8人の乗客たち。自分の研究に異星人の科学を役立てようと考える博士だが、宇宙船が軍から攻撃を受け、異星人は救出した地球人たちの記憶を消して地球へ戻す。エバンス博士の記憶を除いて……。
 
 
「ピルクスの審問」
(1979/100分/35mm)
タリンフィルム=プリズマト(ポーランド)
監督:マレク・ペストラク
原作:スタニスワフ・レム
脚本:マレク・ペストラク、ウラジミール・ワルツキー
撮影:ヤヌシ・バウロフスキー
出演:セルゲイ・デスニッキー、ボレスラフ・アバルト、ウラジミール・イワショフ、アレクサンドル・カイダノフスキー
ロボット開発でしのぎを削る民間企業が、アンドロイドの能力を試す目的で宇宙船に人間の飛行士に紛れ込ませる。クルーの誰がアンドロイドなのか、航海中につきとめようとするピルクス船長だが……。スタニスワフ・ レムの短編連作集『宇宙飛行士ピルクス物語』の一編「審問」をアクション性を盛り込み映画化した作品。
 
 
主催:神戸映画資料館、アテネ・フランセ文化センター
協力:ロシア映画社
 

《料金》入れ替え制
1本あたり
一般1200円 学生・シニア1000円
神戸プラネットシネマ倶楽部会員1000円 学生・シニア会員900円
アテネ・フランセ文化センター会員1000円

《割引》
当日に限り2本目は200円引き


ロシア・ソヴィエト映画 連続上映
第4回 SF大国1

2013年10月5日(土)・6日(日)
科学的な空想にもとづくサイエンス・フィクション(SF)というジャンルは、現実を離れたものを描いているにもかかわらず(あるいはそうであるからか)、不思議なほどその時代の様相を映し出す。今回は、1920年代の『アエリータ』に始まるソヴィエトの多様なSF映画を3回に分けて特集する予定です。
 
5日(土)は、サイレント映画『アエリータ』を、神戸を中心に活躍する山川亜紀さんの生伴奏でご覧いただきます。
 
「アエリータ」
(1924/125分[16コマ]/無声/35mm)
メジラプポム・ルーシ
監督:ヤーコフ・プロタザノフ
原作:アレクセイ・トルストイ
撮影:ユーリー・ジェリャプジスキー、エミール・シューネマン
美術:セルゲイ・コズロフスキー
出演:ユーリア・ソーンツェワ、ニコライ・ツェレテリ、ヴァレンチナ・クインジ、ニコライ・バターロフ
ロシア・アヴァンギャルド時代に作られたソ連初のSF映画。火星ロケットを設計する技師が、妻をピストルで撃ってしまい、ロケットで火星へ逃げる。そこでは火星の女王アエリータが大臣と権力闘争を繰り広げていた。ロケットで同行した赤軍兵士は、火星の奴隷たちを煽動し蜂起させる……。
 

伴奏:山川亜紀(コンポーザーピアニスト)
大阪音楽大学音楽学部ピアノ科卒業。各種コンサートにおいて独奏、伴奏、 アンサンブル等、多数出演。その他、教育CD-ROMの音楽制作、編曲、司会、高齢者や障害児の音楽療法にも携わる。 2000年、オリジナル曲1stアルバム「clear wind」を、2009年、2ndアルバム「with Friend」を発表。 大阪音楽大学演奏員。日本ピアノグレード認定協会審査員。長田のピフレホールで定期的に開かれている演奏会「おもしろ音楽博物館」でもおなじみ。

主催:神戸映画資料館、アテネ・フランセ文化センター
協力:ロシア映画社
 

《料金》
[5日(土)・生伴奏付き]
一般1800円 学生・シニア1500円
神戸プラネットシネマ倶楽部会員1500円 学生・シニア1300円
アテネ・フランセ文化センター会員1500円
*招待券の利用不可
 
[6日(日)]
一般1200円 学生・シニア1000円
神戸プラネットシネマ倶楽部会員1000円 学生・シニア会員900円
アテネ・フランセ文化センター会員1000円


ロシア・ソヴィエト映画 連続上映
第2回 音楽映画集1

2013年9月14日(土)〜16日(月・祝)
「音楽映画集」一週目は、1920年代のソヴィエト・ジャズから、グルジアの民謡、そしてペレストロイカ後のロック・ミュージックと、ポピュラー音楽をテーマにした作品集を。
そして二週目は、クラシック音楽を扱った華麗な大作を中心に集めました。
 
「陽気な連中」
(1934/95分/35mm)
モスクワ・キノコンビナート
監督:グリゴリー・アレクサンドロフ
脚本:ニコライ・エルドマン、ウラジーミル・マッス、グリゴリー・アレクサンドロフ
撮影:ウラジーミル・ニールセン
音楽:イサーク・ドゥナエフスキー
出演:レオニード・ウチョーソフ、リュボーフィ・オルローワ
音楽が好きな田舎の牧童コースチャが、モスクワの音楽学校へ入り、さまざまな偶然のおかげで隠れた才能を発揮する。エイゼンシュテインの陰に隠れていたアレクサンドロフが、その才能を一気に花開かせたハチャメチャ音楽喜劇。ソヴィエト・ジャズの創始者ウチョーソフ自ら主演。
 
 
「若き作曲家の旅」
(1985/104分/35mm)
グルジアフィルム
監督・脚本:ゲオルギー・シェンゲラーヤ
原作:オタール・チヘイゼ
出演:レヴァン・アバシーゼ、ギヤ・ベラーゼ
革命前夜の時代、古いグルジア民謡をすべて採集したいという夢に取りつかれた若い作曲家が、録音機を持ってグルジアの村々を回る。グルジア映画の重鎮シェンゲラーヤの、抑圧された祖国の歴史への思いを秘めた作品でイオセリアーニにも影響を与えた。1986年ベルリン映画祭銀熊賞受賞。
 
 
「ジャズメン」
(1983/88分/35mm)
モスフィルム
監督:カレン・シャフナザーロフ
脚本:アレクサンドル・ボロジャンスキー、カレン・シャフナザーロフ
撮影:ウラジーミル・シェフツィク
音楽:アナトリー・クロール
演奏:ソヴレメンニク
出演:イーゴリ・スクリャール、アレクサンドル・パンクラトフ=チョールヌイ、ニコライ・アヴェリュシキン、ピョートル・シチェルバコフ
1920年代、ソヴィエト・ジャズ草創期。ジャズの虜になったために音楽学校を退学させられた主人公が仲間を見つけ、ソヴィエト最初のジャズバンドを結成するまでを、豊富なジャズ音楽とともに綴る。『陽気な連中』とあわせて見て欲しい。
 
 
「僕の無事を祈ってくれ」
(1988/81分/35mm)
カザフフィルム
監督:ラシド・ヌグマノフ
脚本:アレクサンドル・バラノフ、バフイト・キリバェフ
撮影:ムラト・ヌグマノフ
音楽:ヴィクトル・ツォイ
出演:ヴィクトル・ツォイ、マリナ・スミルノーワ、ピョートル・マモノフ
映画大学の卒業制作として、ヌグマノフ監督が故郷アルマ・アタ(カザフスタン最大の都市)を舞台に、人気ロック・バンドのリーダーでやはりカザフ出身のヴィクトル・ツォイを主役に迎えて撮った長篇第1作。元恋人を麻薬密売グループから救おうと孤独な戦いを挑む主人公は、ペレストロイカ後のソ連に生まれた新しいヒーローとして人気を呼んだ。
 

第3回 音楽映画集2
2013年9月20日(金)〜23日(月・祝)
「チャイコフスキー」
(1970/155分/35mm)
モスフィルム
監督:イーゴリ・タランキン
脚本:ブジミール・メタリニコフ、ユーリー・ナギービン、イーゴリ・タランキン
撮影:マルガリータ・ピリヒナ
音楽:ディミトリ・ティオムキン
出演:インノケンティー・スモクトゥノフスキー、アント二ーナ・シュラーノワ、エフゲニー・レオーノフ
ロシアの作曲家チャイコフスキーの生涯を、ソヴィエトの映画、音楽界が総力を結集して描きあげた音楽映画の大作。原案は、『真昼の決闘』『アラモ』などハリウッドで活躍したウクライナ出身の作曲家ディミトリ・ティオムキン。
 
 
「フランツ・リスト」
(1971/153分/35mm)
レンフィルム=マフィルム(ハンガリー)
監督:マルトン・ケチレ
脚本:レオニド・デリ、イムレ・ケシ
撮影:イシュトバン・ヒルデブラント
音楽監督:フェレンツ・ファルカーシ
出演:イムレ・シンコビッチ、アリアドナ・シェンゲラーヤ、クララ・ルーチコ
19世紀ハンガリーが生んだ作曲家でピアニスト、リストの伝記映画。ハンガリーの国立マフィルム撮影所との合作で、主なスタッフはハンガリーの映画人が固めている。高名なピアニスト、ジョルジ・シフラ、スビャトスラフ・リヒテルが演奏を担当しており、音楽ファン必見。
 
 
「ヨハン・シュトラウス」
(1971/100分/35mm)
レンフィルム
監督:ヤン・フリード
脚本:アナトーリー・グレブネフ
撮影:オレーグ・クホワレンコ
音楽:V・チスチャコフ
出演:ギルト・ヤコヴレフ、タチアナ・ベードワ、タチアナ・ピレツ力ヤ
19世紀半ばのペテルスブルグを舞台に、後に“ワルツ王”と呼ばれる若き作曲家シュトラウスの愛を描く。ロシア貴族の優雅な生活と社交界の様子も見所の一つ。演奏はレニングラード国立フィルハーモニー管弦楽団。
 
 
「クロイツェル・ソナタ」
(1987/155分/35mm)
モスフィルム
監督:ミハイル・シヴェイツェル、ソフィア・ミリキナ
原作:レフ・トルストイ
脚本:ミハイル・シヴェイツェル
撮影:ミハイル・アグラノヴィチ
出演:オレグ・ヤンコフスキー、イリーナ・セレズニョーワ、アレクサンドル・トロフィーモフ
トルストイの同名小説の映画化。題名のもとになったベートーベンの名曲にのせて、男と女の愛と性、エゴイズムと嫉妬が引き起こす悲劇を、主人公のモノローグで綴る。主演はタルコフスキーの『ノスタルジア』などで知られるオレグ・ヤンコフスキー。
 
 
主催:神戸映画資料館、アテネ・フランセ文化センター
協力:ロシア映画社
 

《料金》入れ替え制
1本あたり
一般1200円 学生・シニア1000円
神戸プラネットシネマ倶楽部会員1000円 学生・シニア会員900円
アテネ・フランセ文化センター会員1000円

《割引》
当日に限り2本目は200円引き


ロシア・ソヴィエト映画 連続上映
第1回 1960年代新しいソ連映画

2013年8月15日(木)〜18日(日)
1950年代の「雪解け」の後、60年代に現れたソヴィエト映画の「新しい波」。連続上映の第1回は、タルコフスキー、パラジャーノフ、ダネリヤら新しい監督の誕生、そして彼らに先行する世代で、コージェンツェフの文芸作品、映画大学で後進を育成したロンム後期の代表作を見ていきます。
 
「殺し屋」
(1956/19分/35mm)
全ロシア国立映画大学
監督・脚本:アンドレイ・タルコフスキー、アレクサンドル・ゴルドン
原作:アーネスト・ヘミングウェイ
出演:ユーリー・ファイト、アレクサンドル・ゴルドン、アンドレイ・タルコフスキー、ヴァシーリー・シュクシン
タルコフスキーが映画大学のロンムの授業で作った習作。クラスの仲間とともに出演もしている。ヘミングウェイの短篇小説の映画化で、米国の田舎町に現れた殺し屋と殺される男をめぐる物語。
 
 
「ローラーとバイオリン」
(1960/46分/35mm)
モスフィルム
監督:アンドレイ・タルコフスキー
脚本:アンドレイ・ミハルコフ=コンチャロフスキー、アンドレイ・タルコフスキー
撮影:ワジーム・ユーソフ
音楽:ヴャチェスラフ・オフチンニコフ
出演:イーゴリ・フォムチェンコ、ウラジーミル・ザマンスキー
バイオリンを学ぶ育ちのいい少年が道路整備のローラーを運転する労働者と仲良くなるが……。小品ながら、タルコフスキー監督の主要モチーフが垣間見える映画大学の卒業制作。
 
 
「一年の九日」
(1961/100分/35mm)
モスフィルム
監督:ミハイル・ロンム
脚本:ダニール・フラブロヴィツキー、ミハイル・ロンム
撮影:ゲルマン・ラヴロフ
音楽:ジョン・テル=タテボシャン
出演:アレクセイ・バターロフ、インノケンティ・スモクトゥノフスキー、タチアナ・ラヴロワ
原子力研究所の事故で被曝した若い研究者の仕事と愛と生死をめぐる物語を、9日間の断片的エピソードを通じて描く。全ロシア映画大学で教鞭をとり、タルコフスキーらを世に送り出したロンム監督の代表作。
 
 
「火の馬」
(1964/97分/35mm)
キエフスタジオ
監督:セルゲイ・パラジャーノフ
原作:ミハイル・コチュビンスキー
脚本:セルゲイ・パラジャーノフ、イワン・チェンディ
撮影:ユーリー・イリエンコ
出演:イワン・ミコライチューク、ラリーサ・カードチニコワ、タチヤーナ・ベスタエワ
ウクライナの辺境・カルパチア地方の民話を映画化。人間と自然、そして超自然的なものが自由なキャメラワークでとらえられていく。パラジャーノフの名を世界に知らしめた初期の代表作。
 
 
「モスクワを歩く」
(1963/73分/35mm)
モスフィルム
監督:ゲオルギー・ダネリヤ
脚本:ゲンナージ・シュパリコフ
撮影:ワジム・ユーソフ
出演:ガリーナ・ポリスキーフ、アレクセイ・ロクテフ、ニキータ・ミハルコフ
1960年代前半の自由な空気のなか、青春を謳歌するモスクワの若者たちを、『不思議惑星キン・ザ・ザ』で知られるダネリヤ監督が描く。当時18歳だったニキータ・ミハルコフが出演。
 
 
「ハムレット」
(1964/150分/35mm)
レンフィルム
監督・脚本:グリゴリー・コージェンツェフ
原作:ウィリアム・シェークスピア
撮影:イオナス・グリツュス
音楽:ドミートリイ・ショスタコーヴィチ
出演:インノケンティ・スモクトゥノフスキー、アナスタシア・ヴェルチンスカヤ、ミハイル・ナズワーノフ
有名な復讐劇を、「われらの同時代人シェイクスピア」の著書があるコージンツェフ監督が映画化した。音楽はショスタコーヴィチが担当。上層部の反対をはね返して作られ、イギリスでも好評を博した。1964年ヴェネチア国際映画祭審査員特別賞。
 
 
「野獣たちのバラード」
(1965/129分/35mm)
※日本語解説版(ナレーション:宇野重吉)
モスフィルム
監督:ミハイル・ロンム
脚本:ミハイル・ロンム、マヤ・トゥロフスカヤ、ユーリー・ハニューチン
撮影:ゲルマン・ラヴロフ
膨大なニュースフィルムや記録映画を駆使して、ナチス・ドイツの残虐性を描いたドキュメンタリー。日常的な環境に潜む「ありふれたファシズム」(映画の原題)が人間の本性に発することを告発し、人間が思考を放棄すれば、あらゆる国でファシズムが起こりうることを示す。
 
 
主催:神戸映画資料館、アテネ・フランセ文化センター
協力:ロシア映画社
 

《料金》入れ替え制
1本あたり(「殺し屋」と「ローラーとバイオリン」は2本組)
一般1200円 学生・シニア1000円
神戸プラネットシネマ倶楽部会員1000円 学生・シニア会員900円
アテネ・フランセ文化センター会員1000円

《割引》
当日に限り2本目は200円引き


これまでのプログラム|神戸映画資料館

※内容は予告無く変更する場合があります。

※作品によっては、経年退化で色褪せしている場合がございます。予めご理解ご了承の上、ご鑑賞くださいますようお願い申し上げます。