プログラムPROGRAM

年別アーカイブ: 2008

ラジニカーントの最高傑作 『バーシャ!』『パダヤッパ』
2008年9月5日(金)~7日(日)
「バーシャ! 踊る夕陽のビッグボス」
(インド/1994/152分/35mm)
監督:スレーシュ・クリシュナ
音楽:デーヴァ
出演:ラジニカーント(Rajinikanth)、ナグマ、ラグヴァラン、ジャナカラージュ
『ムトゥ踊るマハラジャ』のラジニカーントが94年に主演した最高傑作との呼び声高いマサラムービー。武闘派組織のボス、バーシャ。足を洗ったバーシャは一族を引き連れ引退し、静かな日々を送っていたが・・。ラジニカーントの七変化とミュージカルシーンに「ラジニ旋風」が巻き起こる。
「パダヤッパ いつでも俺はマジだぜ!」
(インド/1999/180分/35mm)
監督・脚本:K. S.ラヴィクマール
撮影:S.ムールティ、プラカシュ
音楽:A. R.ラフマーン
出演:ラジニカーント、ランミャー・クリシュナン、サウンダリヤー、シワージ・ガネーサン
『ムトゥ』のチーム(監督・音楽・主演)が再結集して作った絢爛豪華なミュージカル。パダヤッパ(ラジニカーント)に振られ、プライドを傷つけられたお嬢様が復讐に向かう。ラジニカーントはもちろん、この悪女、ニーランバル(ランミャー・クリシュナン)が魅力的な大作。

《料金》入れ替え
1本あたり
一般1500円
会員1200円 学生会員・シニア会員1000円

《割引》
2本目は200円引き


新作ドキュメンタリー『映画は生きものの記録である』
2008年9月11日(木)~16日(火)
土本典昭監督の名言「映画は生きものの記録である」を題名にしたドキュメンタリーで、元小川プロで現在はメールマガジンneoneoを主宰する伏屋博雄がプロデュース。土本の生涯のテーマとなった水俣や、土本の仕事部屋に取材し、長期インタビューした内容。過去の作品の場面も挿入され、土本作品を見たことがない人にも理解しやすい構成になっている。本来は追悼上映のつもりではなかったが、追悼になってしまったのが残念。
「映画は生きものの記録である」
(2006 /94分/DV)
製作:ビジュアルトラックス
監督:藤原敏史
出演:土本典昭
撮影:加藤孝信
監督補:今田哲史
インタビュー:石坂健治
音響監督:久保田幸雄
日本が世界に誇るドキュメンタリー映画の巨匠、土本典昭。本作はその映画と、見守り続けてきた「水俣」への思いを余すことなく伝える。
土本は語りかける。自宅で、編集機の前で、そして水俣で。初期作品『ある機関助士』や『ドキュメント路上』への言及。『水俣 患者さんとその世界』、『不知火海』といった名シーン。久しぶりに水俣の人々と再会を果たす土本。わたしたちはこの旅で、伝え続けることの大切さを知る、ひとりの人間と出会うことになる。

《料金》
一般1200円
会員1000円 学生会員・シニア会員900円

[土本典昭 関連作品] 「パルチザン前史」(1969/120分/16mm)


小川紳介監督全作品上映その9
2008年9月12日(金)~15日(月・祝)
ドキュメンタリー映画作家として世界的に著名な小川紳介監督の全作品を順次上映するこのシリーズ。
今回は三里塚から山形県牧野に移住した後の小川プロの活動の成果を見る。
そして、去る6月24日、惜しくも亡くなられた土本典昭監督を偲んで『パルチザン前史』を上映する。
「牧野物語・養蚕編」
(1977/112分/16mm)
製作:小川プロダクション
監督:小川紳介
撮影:原正
録音:瓜生敏彦
編集:福田克彦
蚕とともにその半生を歩んできた木村サトさんの指導の下、小川とそのスタッフは実際に蚕の飼育を営み、サトさんの生きた時間をスタッフと共有する。この過程を8ミリ・フィルムで記録、田村正毅が8ミリから16ミリにブローアップした。
「牧野物語 峠」
(1977/43分/16mm)
製作:小川プロダクション
監督:小川紳介
撮影:奥村祐治
録音:瓜生敏彦
出演:真壁仁
山形の詩人で東北の風土に根ざした著作で知られる真壁仁の詩碑が蔵王に建った。刻まれた詩は「峠」。長廻しのインタビューで詩人の昭和史が語られてゆく。小川の真壁への熱い眼差しが感じられる作品。
「パルチザン前史」
(1969/120分/16mm)
製作:小川プロダクション
監督:土本典昭、堤稚雄
撮影:大津幸四郎、一之瀬正史
録音:久保田幸雄
編集:土本典昭、松本武顕
現在は神戸で長征社を主宰する市山隆次が「関西小川プロダクション」を中心に製作し、土本典昭が監督した日本映画史上の名作。土本典昭監督が京大助手の滝田修と出会い、その活動を中心に京大、同志社、大阪市大の大学斗争を描く。この程逝去された土本監督を偲んで特別上映。

《料金》入れ替え
1本あたり
一般1500円
会員1200円 学生会員・シニア会員1100円
《割引》
2本目より200円引き

[土本典昭 関連作品] 「映画は生きものの記録である」(2006 /94分/DV)


金井勝 回顧展各回入れ替え(一部、3本立て、或いは、2本立て上映あり)
2008年9月20日(土)・21日(日)
アンダーグラウンド映画花盛りの60年代末に「無人列島」で映画ファンに鮮烈な衝撃を与えた金井勝。映画に対する既成の概念を覆し、それまでになかった新たな映画の地平を切り拓いた。「映画評論」誌でも絶賛され、ニヨンの国際映画祭グランプリ受賞で一躍世界に躍り出た。以来、新作が発表される都度、その天才的映画作家ぶりに驚かされる。その全貌が明らかになるとともに、若い映画作家にとっては有意義な学習となる絶好の機会である。シネ・ヌーヴォと共同開催! 20日(土)には、金井勝監督が来館!

『夢走る』
(1987/17分/16mm)
監督:金井勝
撮影:細井靖明、永井弘義
美術:高根浩明
音楽:森順治、高橋修二
出演:城之内元晴、高橋孝英、高橋葉子
メルボルン映画祭 最優秀短篇劇映画賞(1988)
時代劇の実験映画。ご隠居の恋文を持って東海道をひた走る若き飛脚・五郎兵衛。その五郎兵衛も恋に落ちて、この老若・恋の勝負の結末はいかに・・!?
『一本勝負の螽蟖(キリギリス)』
(1988/11分/16mm)
作:金井勝
撮影:細井靖明、永井弘義
美術:高根浩明
出演:金井勝
400フィート巻きのフィルムを詰めたカメラが家の中をワンショットで巡り、勝丸の日常と妄想とを白日の下に曝け出す個人映画!
『ジョーの詩が聴える』
(1989/22分/16mm)
作:金井勝
撮影:細井靖明 永井弘義
美術:高根浩明
出演:城之内元晴、亘真紀、金井勝
『夢走る』でご隠居の役を演じた城之内元晴は既に鬼籍の人。その彼の作品『新宿ステーション』の詩が庭を這うラストシーンは圧巻!

歌・句・詩シネマ『時が乱吹く』
(1991/62分/16mm)
短歌篇『夢走る』、俳句篇『一本勝負の螽蟖』、詩篇『ジョーの詩が聴える』に幕間2景を挟んで完成させた、映像詩人・城之内元晴への追悼作品。 しかし、ただの追悼映画ではござんせんぞ !

『聖なる劇場』
(1998/29分/ビデオ)
作:金井勝
出演:大阪徳、佐藤重臣、城之内元晴、大和屋竺
舞台づくりと、小鳥や魚、昆虫など、脇役たちのパフォーマンスの瞬間を掴まえるのに長い歳月をかけた作品(この部分はまだまだ進化する)。やがて、黄泉の国の住人たちがそこに舞い降りてきて、「我を見よや!」と競演を繰り広げるのだ!
『スーパードキュメンタリー 前衛仙術』
(2003/33分/ビデオ)
演出・撮影・音楽・編集:金井勝
特殊撮影:吉本直聞
出演:金井勝丸、智女、雉鳩一家、ナオキ、小野塚直美
第50回オーバーハウゼン国際短篇映画祭 国際批評家連盟賞(2004)
映像作家・金井勝が自分の中に棲む〈別人〉勝丸をドキュメント。前衛仙術なるものを編出した勝丸は次々と奇跡を起こすが、それは決して絵空事ではないミラクル。他に類例のない怪作にして快作!

『無人列島』
(1969/55分/35mm)
監督:金井勝
脚本:金井勝、山崎佑次、宮田 雪
撮影:鈴木正美、佐沢靖朗
美術:山崎佑次
出演:串田和美、河西都子、ゼロ次元
スイス・ニヨン国際ドキュメンタリー映画祭 グランプリ(1970)
少年時代からの体験と妄想に、日本の(将来を含めた)戦後史を加えて、瘤だらけの縄のように編上げた作品。 これは悪夢か、現実か?真昼の闇を主人公・日出国が突っ走る!

『GOOD-BYE』
(1971/52分/16mm)
脚本・監督:金井勝
共同脚本:むささび童子
撮影:亘真幸、金井勝、山崎佑次、富塚良一
美術:山崎佑次
出演:むささび童子、松井康子、金井勝
日本人の血の流れを求めて戒厳令下の韓国ロケ決行! そこに生じた鮮烈なドラマが、緊張感の中におかしさを滲み出させて、あなたの脳天を撃つ―― !

『王国』
(1973/80分/16mm)
監督:金井勝
脚本:金井勝、むささび童子
撮影:亘真幸、吉田耕司
出演:むささび童子、大和屋竺、城之内元晴
全てをからめとってしまう〈時間の神〉に超然と立ち向かう若き詩人・五九勝丸。その冒険の旅は八王子から遥かなるガラパゴスへと進み、更にその中天へと駆け昇るのだ!とてつもなくキッチュな新しい神話。

《料金》各回入れ替え
1回券
一般・学生・シニア(非 会 員)1300円
会員1000円 学生会員・シニア会員900円

 
3回券(計3プログラム)
会員2700円 学生会員・シニア会員2400円
 
通し券(全6プログラム)
会員3600円 学生会員・シニア会員3200円


西岡常一生誕100年記念上映 映像記録「西岡常一 社寺建築講座」 各回入れ替え
2008年9月27日(土)・28日(日)
「西岡常一 社寺建築講座」
(1994/DVD上映)
 第1巻「宮大工の技法と精神」(65分)
 第2巻「木を知る」(52分)
 第3巻「道具と技術」(75分)
 第4巻「木を組む」(68分)
監督:山崎佑次
法隆寺昭和の大修理の最初から携わり、金堂・五重塔が完成するまで棟梁として修理に従事し、薬師寺金堂を復興した宮大工として有名な西岡常一(1908-1994)。今年は西岡の生誕100年にあたり、彼の遺言状と言われている4部作を特別一挙上映。監督は神戸出身で「反国家宣言」でも知られる山崎佑次。大工を志す人たちは必見の作品と言われている。

《料金》各回入れ替え
1回券
一般・学生・シニア1200円
会員1000円 学生会員・シニア会員900円

 
通し券(全4作品)
会員3000円 学生会員・シニア会員2600円


華麗なるバレエ映画集 無料定員38名会員予約可
 
正会員および支える会サポーター会員は、優先的に、上映日の一週間前より入場整理券の電話・メール予約が可能です。
 
2008年10月3日(金)「そして私はベニスに生まれた」Je Suis Ne A Venise
(フランス/1975/104分/35ミリ)
監督・脚本・振付:モーリス・ベジャール(Maurice Béjart)
撮影:ジャック・ゲラン
音楽:フェルナン・シレン・エセ、ローラン・ロマネッリ
出演:ジョルジュ・ドン(Jorge Donn)、バルバラ、フィリップ・リゾン
現代のベニスを放浪するヒッピーの青年フィリップが、20世紀バレエ団の女性ソリスト、ショナ・ミルクと出会い、バレエに目覚めてゆく姿と、太陽神と月の女神との間に生まれたアンジェロが、中世の宮廷に迷い込み、父である太陽神を殺害しようとする姿とを巧みに交錯させて、幻想的に描いてゆく。
 
 
2008年10月10日(金)「アダージェット モーリス・ベジャールの時間」Adagietto Le Temps d’un Ballet
(フランス/1981/93分/16ミリ)
監督:フランソワ・レシェンバック(Francois Reichenbach)
出演:モーリス・ベジャール(Maurice Bejart)、ジョルジュ・ドン(Jorge Donn)、森下洋子
現代バレ工界最高の振付家モーリス・ベジャールと彼の主宰するベルギー国立20世紀バレエ団の生の姿を捉えたドキュメンタリー映画。1981年の二つのスペクタクル、「ラ・ミュエット」「エロス・タナトス」を軸に、練習風景や、ベジャールやジョルジュ・ドンへのインタビューが盛り込まれている。
2008年10月17日(金)「バラの刻印」She Dances Alone
(アメリカ・オーストリア/1981/88分/35ミリ)
監督:ロバート・ドーンヘルム
脚本:ポール・デイヴィス
撮影:カール・コフラー
音楽: グスターヴォ・サンタオラヤ
出演:キラ・ニジンスキー、パトリック・デュポン、バッド・コート
20世紀を代表するロシア人ダンサー、ヴァスラフ・ニジンスキーの生涯を、彼の実娘キラの視線を通して虚実を折り混ぜて描くダンス映画。ニジンスキーの生涯を映画化しようとする映画監督の姿を軸に、パトリック・デュポンがニジンスキーに扮するバレエシーンなどが挿入される。

《料金》
無料
 
※入場整理券を上映2時間前より配布
※会員は優先的に、上映日の一週間前より「入場整理券」の電話・メール予約が可能。以下、お伝えください。
 ・希望の上映時間(15:30または19:00)
 ・会員番号(正会員または支える会会員証に記載)
 ・会員のお名前

ご予約はこちらまで
 078-754-8039
 info@kobe-eiga.net

なお、入場整理券・予約とも座席確保をお約束するものではございません。


フラハティの代表作一挙上映 会員限定1日会員対応各回入れ替え
2008年10月4日(土)・5日(日)
「極北のナヌーク」Nanook of the North
(アメリカ/1922/58分/サウンド版/16mm/日本語字幕無し)
監督・撮影:ロバート・フラハティ
ドキュメンタリー映画の父、フラハティの傑作。厳しい自然の中で生きるカナダの先住民イヌイットの家族の生活を、尊敬と畏怖を持って描く。
「アラン」Man of Aran
(イギリス/1934/97分/16mm/日本語字幕無し)
監督:ロバート・フラハティ
脚本:ロバート&フランシス・フラハティ、ジョン・ゴールドマン
撮影:ロバート・フラハティ、デイヴィッド・フラハティ、ジョン・テイラー
グリアソンによって英国に招かれたフラハティが撮った監督第3作で、最高傑作とも言われる。厳しい自然の支配下にあるアラン諸島(西アイルランド)に住む3人家族の姿を、四季を通じて映し出す。ドキュメンタリーの定義を無効にするほどに詩的な作品。
「ルイジアナ物語」Louisiana Story
(アメリカ/1948/77分/16mm/日本語字幕無し)
監督:ロバート・フラハティ
脚本:ロバート&フランシス・フラハティ
撮影:リチャード・リーコック
ヴェネチア映画祭国際賞受賞したフラハティ最後の長編作品。ルイジアナ州の湿地帯(バイユー)を舞台に、そこに暮らす少年とともに油田の採掘工事を描く。現在は守るべきものとして認知される“自然”が“驚異”として描かれる。石油会社がスポンサーの産業PR映画でもある。

《料金》
会員限定1日会員対応各回入れ替え
1本あたり
会員900円 学生会員・シニア会員700円
《割引》
2本目より200円引き


ブルガリア・アニメ集 会員限定1日会員対応各回入れ替え
2008年10月11日(土)~13日(月・祝)
日本ではほとんど上映される機会の無いブルガリアのアニメを特集上映。2008年8月に開催された広島国際アニメーションフェスティバルで追悼特集が組まれたドニョ・ドネフ作品を含む全22本!
(47分)
「猫とカナリア」The Cat and Canary(1981/演出:ラドカ・バチヴァロヴァ)
「シマウマの狩り」Hunting Zebras(1978/演出:イワン・ハドジトネフ)
「昔々のお話」An Old Old Story(1986/演出:アントン・トラヤノフ)
「ライオン」The Lion(1975/演出:ドンヨ・ドネフ)
「好奇心」Curiosity(1987/演出:エミリア・コレヴァ)
「歌うカウボーイ」The Singing Cowboys(1984/演出:プロイコ・プロイコフ)
(35分)
「陽気な仲間」Jolly Fellows(1969/演出:ペンチョ・ボグダノフ)
「ランチタイム」Sociology Lesson(演出:ペンチョ・ボグダノフ)
「ゆかいなぼうけん」Animato(演出:ペンチョ・ボグダノフ)
「おとし穴(あなぼこ)」The Hole(1966/演出:ゼンカ・ドイチェヴァ)
「水族館」The Aquarium(1973/演出:ゼンカ・ドイチェヴァ)
(47分)
「松の枝の話」 (1960)演出:トドル・ディノフ
「一輪の花(ひなぎく)」The Daisy  (1965)演出・脚本:トドル・ディノフ
「三馬鹿狩人」Three Fools as Hunters (1972)演出:ドンヨ・ドネフ 
「ばんじ休す」 (1973)演出:ドンヨ・ドネフ
「村は大さわぎ」
「小さな風船」 演出:エミル・アバジェフ
(40分)
夢の星座「黒い鳥」THE BLACK BIRD 演出:ゲオロギー・チャグダーノフ
「冬の物語」 演出:ゲオロギー・チャグダーノフ
「夢の星座」 演出:アナスタス・パブロフ
「ペンギンと白熊」 演出:ボリス・アプリノフ
「ひとりぼっちのサンタ」CHRISTMAS STORY 演出:アレクサンドル・ザハリエフ

《料金》
会員限定1日会員対応各回入れ替え
1プログラムあたり
会員900円 学生会員・シニア会員700円
《割引》
2プログラム目より200円引き


小川紳介監督全作品上映その10 1日会員非対応2本立て
2008年10月18日(土)・19日(日)
 
ドキュメンタリー映画作家として世界的に著名な小川紳介監督の全作品を順次上映するこのシリーズがついに完結。
2本立て
「京都鬼市場 千年シアター」
(1987/18分/16mm)
製作:小川プロダクション
監督:小川紳介
撮影:牧逸郎
1987年の夏、京都五条千本の空地に出現した「鬼市場」。大駱駝艦の「羅生門」興行と、土壁と草葺きの映画館での「1000年刻みの日時計」長期上映が実現した。上映が終盤に近づいた頃、小川はこの上映を記録しようと思い立ったが、あいにく同時期にドイツの映画監督レギーナ・ウルヴァーが「ハレとケ・小川プロダクションとの出会い」のために小川プロの機材やスタッフ(田村正毅、菊池信之)で撮影をしていたため、関西でスタッフと機材を調達することになった。映像グループ翔の会からミニ・エクレールを借り、牧逸郎カメラマンの参加を得て急遽撮影してまとめ上げた作品。現場録音は小川自身が、カチンコは安井(当館館長)が担当している。
「映画の都 山形国際ドキュメンタリー映画祭’89」
(1991/93分/16mm)
製作:小川プロダクション
企画:山形市
(第一次撮影)監督:飯塚俊男 
撮影:大津幸四郎、加藤孝信
(第二次撮影)監督:飯塚俊男、栗林昌史、小川紳介
撮影:加藤孝信
(仕上げ)構成:小川紳介
1989年に始めた開催された山形国際ドキュメンタリー映画祭の16ミリ記録映画。小川プロの助監督だった飯塚俊男が初監督に挑んだ。撮影はベテランの大津幸四郎で、映画祭の準備段階から開催までボランティアで参加した若者たちの行動を中心に追いかけたが、飯塚が編集したバージョンに小川は納得できず、なかなか完成をみなかった。小川のアイデアで新たなシーンを追加撮影し、天安門事件やベルリンの壁崩壊などの映像も挿入し、受注作品として恥ずかしくない作品として映画祭に納品された。

《料金》
1日会員非対応2本立て
一般1500円 学生・シニア1200円
会員1200円 学生会員・シニア会員1000円

《割引》
「映画の都 ふたたび」の半券提示で200円引き


『映画の都 ふたたび』 神戸初上映 1日会員非対応
2008年10月18日(土)~26日(日)※水曜休映
「映画の都、ふたたび」
(2007/90分/DV)
製作・監督:飯塚俊男
撮影:渡辺智史
編集:飯塚俊男・渡辺智史
音楽:金子俊郎
整音:甲藤勇
製作:アムール
山形国際ドキュメンタリー映画祭は、これまで山形市の運営だったが2007年の第10回映画祭からNPO(非営利の市民団体)に移行した。「映画の都」からすでに19年、前作で描こうとしたボランティアの若者たちはすでにベテランの運営スタッフとなったが、組織変更でこれまでのサポート的な立場から自立しなければならない。民営化に揺れる映画祭の舞台裏をビデオカメラで追った作品で、今度は飯塚の狙いがストレートに伝わってくる。

《料金》
1日会員非対応
一般1200円 学生・シニア1000円
会員1000円 学生会員・シニア会員900円

《割引》
[小川紳介その10]の半券提示で200円引き


アニメーション作家 相原信洋 特集上映 その1 1日会員非対応/各回入れ替え/
2008年10月25日(土)・26日(日)

〈草月ホールの時代〉以降、自主制作のアニメーションを牽引し、流麗なドローイングやダイナミックな実験で、アニメーションの常識を超える映像表現を切り開いてきた巨匠・相原信洋の作品群+新作を、6プログラム・3ヶ月にわたり一挙上映する。今回は傑作選、および初期の作品群をたどる。初期の代表作『STONE』(1975)は、スウェーデンの石切り山の風景とドローイングが共にアニメートされた雄大な作品として高く評価され、松本俊夫は「岩に貼りつけられたロールシャッハ風のデカルコマニーが、大自然の風景の中で不気味に動く幻想的なイメージは卓抜である」と称賛した。その他初期作品については、相原信洋による解説を紹介したい。
「私が初めてアニメーション制作に興味をもつようになったのは、子供の頃に観たいわゆるマンガ映画を別にすると、十五、六年前に初めて観たカナダのノーマン・マクラレンや、当時の内外の個人映画作家のアニメーション・実験映画等との出会いによるものです……16ミリで作り始めて二、三年経った頃から、スタン・ブラッケージらの作品との出会いなどもあり、室内での制作と同時に野外に出てアニメーションを作りたくなってきました。『うるし』(73)は、家の近くの山麓に繁っていた漆の木と近くの風景とを、スチール写真約五〇枚に記録し、人工着色プラス動画で表現した作品です。『山かがし』(73)はそれと平行して制作した、町の近くの米軍キャンプと“山かがし”という蛇のイメージ作品で、この頃より身近なものを素材とするようになり、『短距離ランナー』(73)『おしろい羽根』(73)等を制作しました。『逢仙花』(73)は私の祖母の死を、スチール写真、実写、動画によって動かす、というより記録したもので、家の囲りに夏とは限らず花を咲かす「逢仙花」のタイトルにしたものです。また翌年の『妄動』(74)によって、私のアニメーションは大きく変わったと思います。以前からよく悩まされたテーマやストーリーから解放されたように思いますし、一〇〇フィート、約三分の作品ですが、現像上がりを見るとフィルムを切る個所が一ヶ所もなく、これによって私自身、自分の作品の流れを知ったように思います」
(『月刊イメージフォーラム』1981年、第2巻第9号より)
企画:佐野 明子(京都造形芸術大学非常勤講師)
 

相原信洋(アニメーション作家)
あいはらのぶひろ。東京のデザイン学校を卒業後、アニメーション会社でTV・劇場用作品を多数手がける。1965年より自主制作を始め、映像個展およびワークショップを国内各地、ヨーロッパ等で開催。現在も精力的に作品を発表し、世界各国で招待上映される。1995年第5回広島国際アニメーションフェスティバル国際審査員。国際アニメーション協会(ASIFA)会 員。京都造形芸術大学教授。

[傑作選](65分)
『やまかがし』(1971)
『STONE』(1975)
『カルマ』(1977)
『PRIVATE』(1986)
『映像(かげ)』(1987)
『LINE』(1990)
『気動』(1994)
『RAIN』(1996)
『THE THIRD EYE』(1999)
『WIND』(2000)
『MEMORY OF RED』(2004)
『YELLOW SNAKE』(2006/DVD)
※作品は、『YELLOW SNAKE』を除いて、すべて16ミリフィルムでの上映です
[70年代前半作品](72分)
『STOP』(1969)
『TIME TO KILL』(1970)
『サクラ』(1970)
『風触』(1970)
『やまかがし』(1971)
『おしろい羽根』(1972)
『赤いギヤマン』(1972)
『みつばちの季節は去って』(1972)
『うるし』(1973)
『逢仙花』(1973)
『初春狐色』(1973)
『短距離ランナー』(1973)
『妄動』(1974)
『STONE』(1975) ※松本俊夫氏のコメントあり
『STONE No.1』(1975)
※作品はすべて16ミリフィルムでの上映です
 

《料金》
1回券 1日会員非対応/各回入れ替え/
一般1300円 学生・シニア1000円
会員1000円 学生会員・シニア会員900円

 
通し券(全6プログラム) 会員限定/1日会員非対応/各回入れ替え/
会員4500円 学生会員・シニア会員3800円
 
《割引》
1回券を複数枚お求めの場合
2プログラム目より200円引き

[関連上映特集] アニメーション作家 相原信洋特集上映 その2
[関連上映特集] アニメーション作家 相原信洋特集上映 その3
[関連イベント] 相原信洋 ライブペインティング
※作品へのコメントがございます。

(さらに…)


小川紳介監督全作品上映 番外篇 1日会員非対応/各回入れ替え/(一部、2本立て)
2008年10月31日(金)~11月2日(日)
2本立て/
「小川プロ訪問記」
(2001年/62分/DVcam)
製作・演出:大重潤一郎
撮影:堀田泰寛
出演:小川紳介、大島渚
日本デザイン会議の会場で上映するために大重潤一郎が大島渚を牧野に招き、牧野に居住する小川紳介との会話を記録したもの。その場限りの上映のため磁気録音プリント1本しか存在せず、そのプリントを小川がベルリンに持参したままになって長らく日本では見ることができなかった幻の作品。山形の映画祭で上映するためにベルリンから里帰りしたプリントと大重が保存していた残カットを補足して長尺版を作成、山形に続きベルリンでも再上映された。本来は16ミリ上映が望ましいが、当館保存フィルムは褪色激しく今回は色彩的に優れたDVカムで上映する。
「帰郷―小川紳介と過ごした日々」
(2005/41分/DV)
監督:大澤未来、岡本和樹
撮影:岡本和樹
録音:田中絵里
出演:飯塚俊男、木村迪夫、木村シゲ子、漆山輝彦、花屋義男、木村正喜、木村ミツ、木村義廣
山形県上山市にある小さな部落、牧野村。かつてこの村に、映画制作集団小川プロダクションが約20年にわたり住み着き、稲を育て、共同生活をしながら映画を制作した。長年、助監督として小川プロを支えた飯塚俊男さんにとって、小川プロでの生活、監督小川紳介と過ごした日々は何であったのか。村人にとって、小川プロは何であったのか。一人一人の心に残る小川プロの幻影。思い出を語る人々の姿から、現在の人々の生を記録する。
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「満山紅柿 上山 ― 柿と人とのゆきかい」
(2001/90分/16mm)
製作:上山名産紅干柿の記録映画を作る会
(第一期撮影)製作:小川プロダクション
 監督:小川紳介
 撮影:田村正毅
(第二期撮影)監督:彭小蓮
 撮影:林良忠
(仕上げ)構成・編集:彭小蓮
『1000年刻みの日時計』に入れることができなかった「牧野物語・紅柿編」として撮影したフィルムを、作品として完成したいとの地元の声に応え、小川夫人である白石洋子が立ち上がった。小川の信奉者でもある中国の女性監督・彭小蓮と、その相棒の林良忠カメラマンを台湾から招いて追加撮影・編集・録音して完成したもの。幸いに小川は詳細な構成メモを残していたので、彭はその構成メモに従い忠実に仕上げた。山形の映画祭で上映した後、ベルリン国際映画祭をはじめ各国の映画祭で上映され好評だった。山形方言が聞き取りにくいので日本語字幕が付いている。「食」の映画としても見応え十分である。

《料金》
1日会員非対応/各回入れ替え/(一部、2本立て)
1プログラムあたり
一般1500円 学生・シニア1200円
会員1200円 学生会員・シニア会員1000円

《割引》
2プログラム目で200円引き

 
 

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文化大革命と映画
2008年11月7日(金)~9日(日)
 
1966年から1976年までの10年、中国で吹き荒れたプロレタリア社会文化運動、文化大革命(文革)。その文革、そしてマオイズム(毛沢東主義)とは何だったのか。日本人スタッフによって文革初期を記録した『夜明けの国』、そして現代ドキュメンタリーの最前線に立つ中国人監督による『鳳鳴(フォンミン)』と『私の紅衛兵時代』を一挙上映。
「夜明けの国」
(1967/110分/DVD)
製作:岩波映画製作所
監督:時枝俊江
ちょうど文革が始まった月に中国に入国した岩波映画の撮影隊により製作された記録映画。文革の象徴的存在である紅衛兵と呼ばれる学生たちの姿をとらえているほか、戦前、たくさんの日本人が住んでいた旧満州のロケーション撮影など映像記録としても貴重な作品である。
「鳳鳴(フォンミン)―中国の記憶」
(中国/2007/183分/DVcam)
監督:王兵(ワン・ビン)
1950年代以降の中国で起きた反右派闘争や文化大革命の粛正運動で数々の迫害を受けた老女の壮絶な物語が、固定カメラの映像と音声を通して圧倒的な波動で押し寄せてくる。記者だった夫との情愛と別れがまるで目の前で繰り広げられるようだ。『鉄西区』で注目された王兵監督の最新作。2007年山形国際ドキュメンタリー映画祭ロバート&フランシス・フラハティ賞(大賞)。
後援:山形国際ドキュメンタリー映画祭
 
 
「私の紅衛兵時代」
(中国/1993/134分/DVcam)
監督:呉文光(ウー・ウェンガン)
文化大革命に青春時代を送り、今は学者や映画監督(『青い凧』の田壮壮)になっている元紅衛兵たちが、詳細に20数年前のその経験を語る。インディペンデント映画ならではの淡々とした本音。1993年山形国際ドキュメンタリー映画祭小川紳介賞。

《料金》各回入れ替え
1本あたり
一般1500円 学生・シニア1200円
会員1200円 学生会員・シニア会員1000円

《割引》
2本目より200円引き


牛肉偽装告発の行方『ハダカの城~西宮冷蔵・水谷洋一~』
2008年11月13日(木)~21日(金)※水曜休映
「ハダカの城~西宮冷蔵・水谷洋一~」
(2007/108分/DV)
製作:『鳥類』/ Sei SHIBATA
監督・撮影・編集:柴田誠
録音・整音:岸本祐典、浅井佑介
音楽:米田みちのぶ
題字:ジュンコ
配給・宣伝:Nui企画、楠瀬かおり
出演:水谷洋一、水谷甲太郎 他
2003年、冬。大阪、梅田。曾根崎陸橋。ひとりの男が佇んでいた。男の名は、水谷洋一。
2002年1月23日。国の”国産牛肉買い取り制度”を悪用した、『雪印食品・牛肉偽装詐欺事件』の告発を行った、倉庫会社【西宮冷蔵】社長である。告発から3ヶ月後、「雪印食品」は解体。しかし、その後、西宮冷蔵も、偽装詰め替え作業時に「在庫証明書が改ざんされていた」と、国土交通省より営業停止処分をうける。続けて、相次ぐ取引先の撤退、2003年5月25日には、電気代滞納により倉庫送電が停止される。
2003年10月。大阪、梅田 曾根崎陸橋。寒風に揺れる『まけへんで!! 西宮冷蔵』の幟。水谷社長は、「西宮冷蔵」再建を目指し、告発の経緯を綴った書籍販売の露店を開いていた。わずかな生活費を稼ぐのと、再建支援のカンパを募ってだが、自らの信念の火が消えていないことを証明するためだった。
この作品は、その陸橋での活動から再建、営業再開から1年目までの記録である。

《料金》
一般1200円 学生・シニア1000円
会員1000円 学生会員・シニア会員900円

[関連イベント] 15日(土)水谷洋一 社長&柴田誠 監督 トークイベント


アニメーション作家 相原信洋特集上映 その2
2008年11月22日(土)・23日(日)

アニメーション作家・相原信洋の初期から最新作までの作品群を上映するシリーズ第2弾。今回は70年代半ばから90年代半ばまでの作品を一望する。23日には相原信洋が来館し、ライブペインティングイベントを開催!
「未だにアニメーションをマンガ本と同じに思っている人も大勢いますが、アニメーションの作り手が、目に見るもの全てが素材でるという考えをもって、そうした偏った見方を壊していかなければいけない」と呼びかける相原は、約20年間アニメスタジオでTVシリーズに携わってスキルを磨きつつ、ときには海外に渡ってストリートパフォーマンスを行い、ワークショップや教育機関で後進を育成するなど多彩な活動のなかで、アニメーションの既成観念を破る映像表現を追求し、室内・野外を問わずに制作した。
野外でアニメーションをつくる試みには、絵を空中に放り投げてコマ撮りした『光』や、スウェーデンの田園で空の雲とドローイングの雲を同一フレーム内におさめた『UNDER THE SUN』、防空壕と雑草に蛍光色ポスターカラーで着色していくプロセスを撮影した『シェルター』などがある。ドローイング作品には、自己の心象風景を映像化した『カルマ』シリーズ(『水輪(カルマ2)』『気道』他)などがあり、有形無形のイメージが繊細な筆致で描かれ、フレームの外に奔流していく開放感と、緻密な時間・空間の構成による緊張感があいまって、見る者の身体に響きわたっていく。これらの作品は全国各地のライブハウスや、古川タク氏との上映会、海外での個展などで発表された。
企画:佐野 明子(京都造形芸術大学非常勤講師)
 

相原信洋(アニメーション作家)
あいはらのぶひろ。東京のデザイン学校を卒業後、アニメーション会社でTV・劇場用作品を多数手がける。1965年より自主制作を始め、映像個展およびワークショップを国内各地、ヨーロッパ等で開催。現在も精力的に作品を発表し、世界各国で招待上映される。1995年第5回広島国際アニメーションフェスティバル国際審査員。国際アニメーション協会(ASIFA)会 員。京都造形芸術大学教授。

[70年代~80年代作品](63分)
『新はげ山の一夜』(1976)
『雲の糸』(1976)
『LIGHT』(1976)
『青マッチ』(1976)
『リンゴと少女』(1976)
『カルマ』(1977)
『光』(1978)
『BURNIN』(1980)
『シェルター』(1980)
『マイ・シェルター』(1982)
『BALVA』(1983)
※作品はすべて16ミリフィルムでの上映です
[80年代~90年代作品](73分)
『S=13』(1984/9分)
『逢魔が時』(1985)
『PRIVATE』(1986)
『映像(かげ)』(1987)
『とんぼ』(1988)
『GAVORA』(1989)
『LINE』(1990)
『MASK』(1991)
『鴉』(1992/)
『気動』(1994)
『耳鳴り』(1995)
『YELLOW FISH』(1998)
※作品はすべて16ミリフィルムでの上映です
 

《料金》各回入れ替え/
 1回券 
一般1300円 学生・シニア1000円
会員1000円 学生会員・シニア会員900円

 
 通し券(全6プログラム) 
会員4500円 学生会員・シニア会員3800円

 
《割引》
1回券を複数枚お求めの場合
2プログラム目より200円引き

[関連上映特集] アニメーション作家 相原信洋特集上映 その1
[関連上映特集] アニメーション作家 相原信洋特集上映 その3
[関連イベント] 相原信洋 ライブペインティング
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