プログラムPROGRAM
2009 9

[貸館]SANAフィルムフェスタ「マスメディアが伝えないイラクがここにある」
2009年9月5日(土)13:30〜15:30
 「SANA(光)衛星テレビ」は、世界から募金が集められ、イラクの市民メディアとして2007年4月に誕生しました。自由平等で平和なイラクの再建をめざす「イラク自由会議」が番組制作・運営を行い、民衆の文化、労働、教育、女性、子どもなどをテーマにニュース映像やドキュメンタリー番組などを放送しています。
 「イラク平和テレビ局inJAPAN」は、その番組を日本で観られるように翻訳・吹き替えしインターネット配信をしていますが、より多くの方々ご覧いただく機会として「SANAフィルムフェスタ」を開催しています。
 マスメディアが伝えないイラクを知り、戦争のない社会をつくるためのオリジナルな映像を発信し、交流する場です。
特集「イラク占領下の病院にて」
 ① 特別上映「イブン・アル・カッフ病院の占領被害者たち」
 イラクにあるイブン・アル・カッフ脊椎(せきつい)損傷者病院は、脊椎を負傷した患者を専門に治療しリハビリテーションをおこなう病院。この病院にはイラク全土から1500人もの患者が集まってきている。手足が完全に麻痺しているような重傷の患者もいる。
サナテレビはこの病院の医師、看護士、そして患者自身にインタビューを行った。その中で、2003年からのアメリカによる占領の下で入院患者が増加してきたことが明らかになる。米軍に銃撃を受けて脊椎を損傷した患者が多数いる。イスラム政治勢力の攻撃で負傷した人も。イブン・アル・カッフ病院は、米軍による占領の下での混乱の中で略奪に合い、患者のカルテの全てを失うといった被害にもあっている。
様々な困難の中で、イブン・アル・カッフ病院では賢明な治療とリハビリを行っている。イラク国内で有数の実績を持つリハビリ訓練の中で、2008年に開催された北京障害者オリンピックで銅メダルを2個獲得。
米軍による占領によって傷つけられた人々の苦しみと、それを克服しようとする病院・患者の共同の取り組みが見る人の心を打つ。
 ② バグダッド-サドルシティ-米軍による空爆被害
 ③ その他、最新映像より
  
主催:イラク平和テレビ局 in Japan・兵庫
  (連絡先)黒川 078-784-2430  安東 090-3828-9579
   

《料金》大人800円 学生・60歳以上500円


特別篇
日本映画名画鑑賞会
+映画講座 「山中貞雄 論」藤井仁子
(映画評論家)
2009年9月6日(日)
13:30〜上映 15:15〜映画講座

  
あまりにも多くの映画を撮ったために明確な作家像を結びにくい作家の代表がマキノ雅弘だとすれば、マキノの手引きで映画界入りを果たした1歳年下の山中貞雄は、あまりにも少ない映画しか残されていないために語ることが困難な作家の代表だろう。
優に20本を超える監督作品のうち今日まとまったかたちで見られるものがたったの3本しかないという事実は、どのような釈明によっても許されることのない日本映画史の恥である。その無念さが、山中貞雄その人が30歳にも満たない若さで戦病死しなければならなかったというもう一つの無念さと重なるとき、山中を語ることの困難もまた二重化されることになる。山中の映画を満たすあらゆる細部が、まるでガス・ヴァン・サントの『エレファント』か何かのように、間近に迫った山中自身の死の予感で震えているという錯覚をどうにも禁じえなくなるのだ(実際、「遺作」である『人情紙風船』をそのようにではなく見ることが誰にできよう?)。
この二重の困難に対するしかるべき戦略なしに山中貞雄の生誕100年を真に記念することはできないのだが、そのためにまずは山中作品に絶えずつきまとう死の影を山中自身の個人的な悲劇から解放したいと思う。観客の視線を撥ねつけるかのような不吉な背中のイメージと、人物が傍らの物を懸命に模倣する特権的な瞬間とがとりあえずの手がかりとなる。
  藤井仁子
 
山中貞雄 生誕100年記念。おまけ作品のほか、講座に合わせて山中貞雄作品を上映しますので、どうぞご期待ください。
 
おまけ上映
「海鳴り街道」
(1936/断片約1分/染色版/35mm/)監督:山中貞雄  
 
 

藤井仁子(ふじい・じんし/映画評論家)
1973年生まれ。映画評論家。早稲田大学文学学術院専任講師。映画批評サイト『テアトル・オブリーク』主宰。編著に『入門・現代ハリウッド映画講義』(人文書院)、共著に『成瀬巳喜男の世界へ』(筑摩書房)など。単著『スピルバーグ 孤児の歴史学』と『日本文化映画批判』(ともに仮題)をインスクリプトと日本経済評論社から刊行準備中。

(会員の皆様からの上映作品タイトルの問い合わせを、上映1週間前より電話・e-mailで受け付けます。会員番号をご確認の上、お問い合せください)
 

《料金》
映画鑑賞
一律:500円

映画鑑賞+講座
一般:1200円 学生・シニア:1000円
会員一般:1000円 会員学生・シニア:900円


60年代・独立プロ伝説 西原儀一と香取環 前編
2009年9月11日(金)〜13日(日)
後編 10月2日(金)〜4日(日)

「西原儀一監督作品ポスター展」開催(東舎利樹コレクション):上映室にて

 2002年10月東京・BOX東中野で盛り上がった西原儀一監督特集上映からすでに7年が経った。その著書「やくざ監督東京進出」(ワイズ出版)の出版記念上映は、東京のあと大阪でも企画されたが実現しなかったので、今回が関西初上映となる。
 西原儀一は宝塚映画、歌舞伎座映画、松竹京都、毎日放送映画部、NHK大阪放送局と関西で活躍の後、葵映画に転じて60年代ピンク映画の躍動期に活躍した根っからの活動屋である。香取環は、日活から大蔵映画(今は幻の映画『肉体の市場』に主演)などを経て葵映画の専属となり、映画史上の輝ける存在だった。
 大阪で出版された「ピンク映画水滸伝」(青心社)の著者でありルポライターの鈴木義昭氏が近年、西原儀一監督や香取環を訪ね、その記録が「映画秘宝」などに掲載されるなど、再評価の気運が高まっている。
 鈴木義昭氏のお話の他、監督作品のポスター展も同時開催するのでお見逃しなきよう。なお、監督名の千葉隆志は、西原儀一の別名である。
「情事に賭けろ」
(葵映画/1965/60分/16mm/トリミング短縮版)
監督:千葉隆志 脚本:中原朗 撮影:池田清二
出演:火鳥こずえ、林田光司、新高恵子、巻映二、春丘志津、美咲容子、川部修詩、千葉竜
 
高見沢興業の社長は薬(ヤク)の販売を牛耳るボス。足が不自由で車椅子生活を余儀なくされた愛娘を、信頼する子分の松平が世話する内に若い二人の間に愛情が芽生える。社長を亡きものとして薬の販売ルートを奪取しようとする悪い子分の陰謀で娘が連れ去れるが……。クライマックスの拳銃と荒波とのカットバックなど活動屋・西原儀一ならではの醍醐味である。
 
 
「チコという女 可愛い肌」
(葵映画/1965/63分/16mm/トリミング短縮版)
監督:西原儀一 脚本:中原朗 撮影:池田清二
出演:工藤那美、可能かづ子、千葉竜、椙山拳一郎、清水世津、谷村明子、藤洋子、美波千鶴
 
タクシー運転手が一人の女を乗せるが行き先を言わない。「チコ」と名乗る女は行くあてがなく、困った運転手は友人の松原に預ける。松原は出世のため社長の娘との結婚を実現しようとするが、同居しているチコが邪魔になり……。
著書の発言「これはものすごい評判良かった。ものすごい儲かった。主役になった子がかわいい子だった。工藤那美が。」
 
 
「あまい唇」
(葵映画/1966/83分/16mm/トリミング版)
監督:千葉隆志 脚本:中原朗 原作:後藤充弘 撮影:池田清二
出演:香取環、志摩みはる、谷口朱里、森幸太郎、椙山拳一郎、大路良子、波瀬圭子
 
20才の誕生日を迎えたばかりの女性・松本は画家の岡田にぞっこん。激しいアタックから逃げ出して岡田は軽井沢へ脱出。原稿を貰いに来た男に誘われて地元のクラブへ。そこで働く子供っぽい女に岡田が惚れ込む。やがて東京から追いかけてきた女が鉢合わせ……。
著書の発言「原案は谷崎潤一郎の『痴人の愛』です。軽井沢へロケに行った。ものすごくお天気続きで、雑草が乾ききってるわけです。(中略)照明の岸本万平さんが。わし、見てたんですよ。いつもパイプくわえてる。それをポンポンと落とすでしょう。火が残ってる。それがポーッと広がったんですよ。「いやー、よく燃えるなあ」と言ったんで、「危ない」って、キャメラの黒幕を被せたら、バーンと広がった。消えるどころか広がっちゃった。何万坪か焼けたんですよ。」
 
 
「美しき悪女」
(葵映画/1966/72分/16mm/トリミング版)
監督・脚本:西原儀一 撮影:池田清二
出演:香取環、清水世津、鶴岡八郎、椙山拳一郎、中原道子、天野照子、平山雄三
 
開巻いきなりムチ、鬼面、女のフラッシュバック。真面目なサラリーマンの村山は25才で童貞。上司の誘いでバーに連れて行かれ、ニューフェースの女を紹介される。上司に「相手は玄人、本気になるなよ」と諭されるが、バー通いが続き深みにはまって行く。その女の背後にSM男のヒモがいることも知らず……。
 
  

《料金》入れ替え制
1本あたり
一般:1000円 学生・シニア:900円
会員一般:900円 会員学生・シニア:700円

《割引》
2本目は200円引き

[関連イベント] トークイベント「独立プロと西原儀一’60年代の夢」
ゲスト:鈴木義昭(ルポライター)
(前編のイベントは9/12土のみです)


第1回神戸ドキュメンタリー映画祭
《社会福祉への眼差し》柳澤壽男監督特集上映

2009年9月19日(土)〜23日(水・祝)、26日(土)・27日(日) 
 
「地域福祉」をテーマにした作品にこだわり続けた柳澤壽男監督作品を特集上映します。
自主製作の五作品『夜明け前の子どもたち』、『ぼくのなかの夜と朝』、『甘えることは許されない』、『そっちやない、こっちや コミュニティケアへの道』、『風とゆききし』を連続して見られる貴重な機会です。
一作ごとの映画作りが生み出す関係性やその動きに呼応して変化していくドキュメンタリー作家、柳澤壽男の世界を感じることができるでしょう。
 
 
厚い雲を切り開く
  柳澤監督は膨大な作品群を持ちながら、それを話すことをよしともせず、50歳を前にすっかり人生をかえてしまった人でした。私は最後の二作『そっちやない、こっちや』と『風とゆききし』に助手としてつかせてもらいました。一作一作、悩み、あらたな文体を思考し、映画の現場の人々とラッシュを共に見て話し込む監督でした。その狭間から、作品が隆起してきました。柳澤作品は、人の限りない哀しみが映りこみながら、厚い雲を切り裂いて降りてくる陽光のように、人間存在そのもののよろこびが湧きあがってくるようです。
   小林茂(映画監督)
人間の可変性を信じて
  柳澤壽男の晩年の長篇五本を見ると、映画の孕む感情の変容が強い力で迫ってくる。写っているのは障害者や難病患者の日々の姿だが、画面には動きがあふれつづけ、その積み重ねのなか、感情が析出する。そのあり方が、五本において、ゆっくりと確実に変動してゆくのである。柳澤壽男が人間の可変性を信じていることは五本を通して変わらず、だから、画面に彼ら彼女らの動きが充満する。そこから感情が出てくるのは当然として、明らかに一本一本異なっており、その微妙な違いが面白い。柳澤壽男自身、そのようにして撮りつづけ、おそらく三本目の『甘えることは許されない』を転換点に、さらに豊かな映画世界へ向かったと思われる。
   山根貞男(映画評論家)
柳澤壽男の映画 一歩先を歩みつづける<直前の過去>
  見終わったあと、登場人物の〈それから〉が気になってしかたない。これが、柳澤壽男作品の特徴だろう。あのひとたちは、エンドマークのあと、どうなっていったのだろうか。人物たちのそれからに思いを馳せたくなるのは、福祉ドキュメンタリーと呼ばれる五作品ばかりではなく、たとえば『富士山頂観測所』(1948)の気象部員にしても、東京電力のPR映画『野を越え山を越え』(1955)に出てくる水力発電所の家族にしても同様だ。フィクションとドキュメンタリーのちがいを問わず、登場人物の事後が気になる映画はあるが、柳澤作品ではことに気になる。まるで映画は、被写体の未来を想像するための助走にすぎないかのようだ。特徴のもうひとつは、映されている映像が〈現在ただいま〉ではなく、〈直前の過去〉に見えるということだ。おそらく、ふたつはひとつにつながっている。
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   鈴木一誌(グラフィックデザイナー)
 
「夜明け前の子どもたち」
(1968/120分/白黒/16mm[原版35mm])
監督:柳澤壽男
企画:財団法人大木会 心身障害者福祉問題総合研究所
製作:国際短篇映画社
脚本:秋浜悟史 撮影:瀬川順一 音楽構成:大野松雄、小杉武久
音楽:三木稔 録音:片山幹男 照明:久米成男 
編集:高橋春子、加納宗子 解説:植田譲
1963年に開設された滋賀県野洲町の重症心身障害児療育施設「びわこ学園」。手探りの養育が始まったばかりの学園には、元気で無邪気な子どもたちと、彼らを支えるために苦悩し格闘する職員たちの姿があった。 医療と教育の両面から子どもたちに働きかけようという「びわこ学園」の試みの記録で、障害者の記録映画に取り組んだ柳澤監督の原点ともいえる作品。亀井文夫監督『戦ふ兵隊』や羽田澄子監督『薄墨の桜』などの名カメラマン瀬川順一による被写体の生き生きとした描写とともに、それまでのPR映画には見られない柳澤演出の初々しさが感じられる。
 
「ぼくのなかの夜と朝」
(1971年/100分/カラー/16mm)
製作:社団法人西多賀ベッドスクール後援会 製作:今野正己、浮田洋一
監督:柳澤壽男 脚本構成:大沼鉄郎 撮影:石井尋成、秋山洋、長田勇
編集:高橋春子 音楽:松村禎三 録音:大橋鉄矢 
解説:伊藤惣一 監修:近藤文雄 
仙台市にある国立療養所西多賀病院(現・独立行政法人国立病院機構西多賀病院)は1947年に結核療養所として開設され、進行性筋萎縮症(筋ジストロフィー)の治療を全国に先駆けて取り組んできたことでも知られる。この映画は1969年の秋から1970年の春にかけ、西多賀病院のベッドスクールで生活する130人の筋ジストロフィーに冒された子供たちを記録したものである。病弱児童による詩を字幕で挿入しながら、不治の病に冒された子供たちの生きる意味や学ぶ意味を映画を通して考える。
 
 
「甘えることは許されない」
(1975/105分/カラー/16mm)
製作・監督:柳澤壽男 脚本:厚木たか 
撮影:坂本力康 音楽・録音:菊地進平
ナレーター:久米明 編集:青木千恵 監修:近藤文雄
1966年に開園した仙台市の重度身体障害者収容授産施設・西多賀ワークキャンパス。ワークキャンパスとは「働きながら学ぶ園」の意味を持ち、障害者が就労を柱にしつつ充実した生活の場を築くところで、この映画は1973年10月から1975 年5月にかけて撮影された。柳澤やスタッフは車椅子や松葉杖を頼りに働く人たちとともに、ひたすらに「働くとは一体どういうことか」を考えながら記録した。働くことに生き甲斐を見いだす障害者たちの姿を通し、私たちはもっと深く障害を受けている人の身になって物事を考えるように力を尽くさなければならないと実感する。
 
 
「そっちやない、こっちや
 コミュニティケアへの道」

(1982/113分/カラー/16mm)
企画:伊藤方文 
製作:記録映画 コミュニティー・ケアへの道 製作委員会
構成監督:柳澤壽男 題字:沙羅千春 撮影:塩瀬申幸 
スチール:小林茂 録音:小林賢 解説:伊藤惣一 
作詩:森永都子 作曲:冬木透
愛知県知多市の療育グループの記録で、障害者にとってのコミュニティ・ケア=地域福祉とは何かを考える。知的な発達に障害のある方の家族の会「知多市手をつなぐ親の会」などの協力の下、成人となった知的障害者とその親たちの交流、指導員たちと一緒に考え設計した「家」づくりの困難、借り受けた宿舎を改造し共同作業所「ポパイノイエ」と名付けるコミュニティを完成させる様子などを丹念に記録する。「撮りながら考え、考えながら撮る」原則を貫いて人々を感動させるドキュメンタリーを2年の歳月をかけて完成した。山路ふみ子文化財団福祉映画賞受賞。 
 
 
「風とゆききし」
(1989年/154分/カラー/16mm)
製作:財団法人 盛岡市民福祉バンク 製作・監督:柳澤壽男
撮影:瀬川順一、瀬川浩、柳田義和 
助監督・スチール:小林茂 
音響:村上文朗、長島久雄 音楽プロデューサー:斉藤晃 
音楽ディレクター:八木良弘 作曲:木村政巳 
録音:奥井義哉 解説:伊藤惣一
盛岡市民福祉バンクは1975年にリサイクルと在宅福祉をドッキングさせた障害者福祉運動を開始し、1979年に財団法人化、1981年に盛岡市浅岸に付属農場いきいき牧場を開設して農耕型の福祉活動を始める。この牧場を中心に4年がかりで撮影した柳澤監督最後のドキュメンタリー映画。身障者がより自由に生き生きと生きるにはどうすればいいのか、福祉バンクの職員、所員、ボランティア、そして障害者の日常からさまざまな問題点が浮かび上がってくる。日本映画ペンクラブ推薦優秀作品。
 
参考上映
「どこかで春が」
(1959年/65分/白黒/16mm)
製作:新映画ぷろだくしょん、合資会社奥商会
監督:柳澤壽男 製作:米山彊 原作:片岡司郎 脚本:厚木たか 
撮影:瀬川浩 照明:堀源吉 演出助手:間宮則夫、小島義史、馬場勇 
音楽:草川啓 効果:大野松雄 解説:宇野重吉 
出演:今村正一、市口淑子、真砂純忠、新居忠、東野久雄、小林一三
大阪近郊の小都市(映像では布施)にある中学校(映像では河内中学校)の演劇部は北海道冷害地救援のための生活劇の練習に励んでいた。中には新聞配達をしたり、自宅で封筒貼りなどのアルバイトをしながら通学する貧しい家庭の子供たちも多く、次第に欠席が多くなっていった。演劇部は演劇だけでなく幻灯会活動を始め、アリババ、彦市とんちばなし、原水爆などのスライドを街頭で上映し街を明るくするために頑張っていた。演劇部が優等生づらして気にくわないと暴力を振るう小泉君と、家庭が貧しくても頑張る演劇部のケイコさんの友情物語を軸に、貧乏に負けず生き抜く子供たちの生き様を描く児童向き劇映画。昭和30年代の布施の風景や大阪弁の会話が懐かしい。
 
参考無料上映
「神戸っ子」
(1960年/54分/カラー/16mm)
監督・脚本:柳澤寿男
製作:三井芸術プロダクション
作品提供:株式会社神戸製鋼所
車好きな卒業間近の神戸大学生、妹が洋裁店をしながら中学生の弟を養っている三人暮らしの一家。手作りのエンジンの話を中心に据え、特殊鋼をPRした劇映画。柳澤夫人の磯田充子さんが女優時代に京知子の芸名で出演している。
 
NEW 参考無料上映
「車大工」
(1976年/38分/カラー/16mm)
企画:京都府 製作:小坂プロ
監督:柳澤壽男 脚本:杉本浩平 撮影:山根和佳
作品提供:京都府
 
NEW 参考無料上映
「古典雅楽器 雲の上の音がたちのぼる」
(1977年/51分/カラー/16mm)
企画:京都府 製作:小坂プロ
監督:柳澤壽男 脚本:杉本浩平 撮影:塩瀬申幸
作品提供:京都府
  

柳澤壽男(1916〜1999)
 
1916年群馬県生まれ。松竹京都下加茂撮影所の助監督から出発。劇映画『安来ばやし』(40年)を監督するが、『小林一茶』(41年/亀井文夫)に感銘を受け、記録映画を志す。戦後の混乱から高度成長に至る時期、日本映画社、岩波映画など多くの短編映画各社を渡り歩いて記録映画やPR映画を多数手掛けた。『富士山頂観測所』(48年)や『海に生きる』(49年)などで高い評価を得るが、PR映画全盛の時代に作家が望むような仕事は困難となり企業の宣伝に加担する仕事に見切りを付けることにした。自主製作を決意し、68年の『夜明け前の子どもたち』から89年の『風とゆききし』まで、計5本の長編ドキュメンタリー映画に取り組んだ。障害者の生活とその苦悩を通 して人間が自由に生きることとは何かを問う作品群は、山形国際ドキュメンタリー映画祭や各地の福祉映画祭などで高い評価を得るなど、今も観客に感動を与える命の長い映画となっている。晩年は看護婦をテーマとした新作『ナースキャップ』に取り組んでいたが、実現しないまま1999年6月16日83歳にて急逝。

 
   

《料金》入れ替え制
1回券
一般:1300円 学生・シニア・障がい者:1000円
会員一般:1000円 会員学生・シニア・障がい者:900円

3回券
2800円(非会員共通) 2600円(会員共通)

前売り 1回券(共通):1000円

〈前売りチケットの取り扱い〉
神戸映画資料館、プラネット・プラス・ワン、
全国のチケットぴあ(Pコード461-146)ほかで発売中

主催:神戸プラネット(神戸映画資料館)
後援:長田区役所 助成:アサヒビール芸術文化財団
協力:新長田まちづくり株式会社、株式会社神戸製鋼所、京都府


新作ドキュメンタリー「チョコラ!」
9月19日(土)〜23日(水・祝)、 26日(土)、27日(日)
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「チョコラ!」
(2008/ 94分/HD[DVCAM上映])
製作:カサマフィルム 配給:東風
監督:小林茂 撮影:吉田泰三 整音:久保田幸雄 編集:秦岳志 
特別協力:佐藤真 製作協力:「小林茂の仕事」Oタスケ隊
アソシエイト・プロデューサー:秦岳志 プロデューサー:矢田部吉彦 音楽:サカキマンゴー
[公式サイト]
東アフリカを代表する国、ケニア共和国。首都ナイロビから北東に車で約1時間行った所に、人口10万の地方都市ティカはある。映画は、この町のストリートで暮らす子どもたち(スワヒリ語で「拾う」を意味する「チョコラ」と呼ばれる)の厳しい生活環境やその背景、NGOや親との関係をユーモアを交えながら丁寧に提示していく事で、思春期を迎えた子どもたちの儚くも力強く生きていく姿を描き出します。
 
子どもたちの気持ちに
ぴったりと寄り添うカメラ

柳澤壽男監督の助監督として映画制作を学んだ本作の監督・小林茂。阿賀野川流域に住む市井の人々の生活を描いた佐藤真監督の「阿賀に生きる」ではカメラマンをつとめ、その被写体とカメラの信頼関係を起点とした映画作りの手法は「チョコラ!」にもそのまま受け継がれている。撮影は「こどものそら」以来小林監督の助監督として活動を常に共にしてきた吉田泰三。学童保育の指導員出身の彼ならではの、子どもたちへの思いやりあふれる視線が見事なまでに映像に結実。時間や空間を越えた、子どもたちの珠玉の時間を描き出すことに成功している。
 

《料金》
一般:1300円 学生・シニア:1000円
会員一般:1000円 会員学生・シニア:900円


これまでのプログラム|神戸映画資料館

※内容は予告無く変更する場合があります。

※作品によっては、経年退化で色褪せしている場合がございます。予めご理解ご了承の上、ご鑑賞くださいますようお願い申し上げます。