プログラムPROGRAM
2010 11

タカシ時間 vol.7
11月6日(土)・7日(日) 両日18:30

『伊丹 2009年初夏−晩秋』
(2009/65分)
 
2005年12月から東京茅場町のギャラリーマキでスタートした新作上映会「季刊タカシ」は、年3、4回のペースで現在も続いています。神戸の「タカシ時間」では、映像作家・崟利子がこれまで作ってきた作品を新たな組み合わせでごらんいただきます。
 
今回上映する『伊丹 2009年初夏−晩秋』は、東京の「季刊タカシ」の10回目を記念して制作された、伊丹シリーズの集大成ともいえる長編です。
 
無名の「風景」に名を与える~映像作家 崟利子についての試論

《会費》1500円

 協力:ギャラリーマキ


日本映画名画鑑賞会
2010年11月7日(日)
上映作品は、当日のお楽しみとさせていただきますが、選りすぐりの傑作・名作を揃えて上映しますので、どうぞご期待ください。
 
(会員の皆様からの上映作品タイトルの問い合わせを、上映1週間前より電話・e-mailで受け付けます。会員番号をご確認の上、お問い合せください)

《料金》
一律500円


GEIDAI-ANIMATION 01 + in KOBE
11月13日(土)・14日(日)
2008年4月、東京藝術大学大学院映像研究科に新しく設置されたアニメーション専攻。その第一期生の修了制作作品を一挙上映します。
上映作品は素材、手法、ジャンルもそれぞれ異なり、実に多彩。鉛筆、油彩、水彩、クレヨン、粘土、人形、実写、CGなどさまざまな素材、画材を使用し、企画を何度も練り直し、それぞれが独自のアプローチで作品を作り上げています。
作者ひとりひとりが独自の世界を追及したアニメーション創造の軌跡の中に、日本のアニメーションの将来を感じることができるでしょう。
[紹介サイト]

13日(土)上映後18:20〜トーク
大見 明子
(『収集家の散歩』)、北村 愛子(『服を着るまで』)
 
《料金》無料(要・当日の上映会チケット)

「四ッ谷いろは」
(2010/6分32秒)
監督:安西 奈々
声:神田 山陽
アシスタント:中村 由尚、羽根田 充弘
「ちょいとでました四ッ谷でござい」って、街である「四ッ谷」さんが、ただ動きたくない理由を季節のせいにして狸寝入りをしているお嬢さんを、街へと連れ出した!
そしてお嬢さんは、不思議な世界に少しずつ入り込んでいく。
「賢者の贈り物」
(2010/12分48秒)
監督:石井 寿和
音楽:余田 有希子 ナレーション:清川 元夢
声:山村 さやか、阿部 安朗
O・ヘンリーの同名小説の映像化。マジシャンのジムとその妻デラのクリスマスの物語。
自慢の長い髪を売ってジムの懐中時計に合うチェーンを買うデラ。夜、変わり果てたデラの姿に言葉をなくすジム。泣き出したデラにジムがプレゼントを渡すと……
 
「収集家の散歩」
(2010/6分13秒)
監督:大見 明子
サウンドデザイン:Taro Peter Little
ある日のある収集家の散歩。自分のマンションを出て、ぶらっと近くの公園を散歩する。公園に行くと、歩きながら何気なく見たものが、次々にに頭の中に集められていく。
日常の中で私たちが目にしたものは、どのように記憶の中に集められていくのだろう。
 
「服を着るまで」
(2010/9分17秒)
監督:北村 愛子
音楽:松岡 美弥子
効果:宮澤 詩織
声:銀木 沙織
私たちは、朝起きて、服を着た瞬間から社会システムの中で生きていくのである。それが正しい世界なのかどうかはわからない。そこから逃れようとしても、いつかは戻らなければならない。
 
「指を盗んだ女」
(2010/4分15秒)
監督:銀木 沙織
サウンドデザイン:宮岡 和寛
ある日、母親の手を離した子供が指を奪われる。母の愛情が別の側面を見せるとき、 子供の指は幼虫になって手のひらを離れて行く。2人の関係は誰にも知られる事なく、家は2人を隠す様に佇んでいる。指を奪われた子供はどのように成長するのだろうか。
 
「つままれるコマ」
(2010/6分40秒)
監督:田中 美妃
音楽・音響監督:長島 みのり
効果:三浦 美穂
人生を親につままれて成長してゆく僕。親の行動に左右された受動的な僕の生き方。
お父さんがサイコロを動かし、お母さんが僕をつまみ上げ、僕は進んでゆく。
その家族の仕組みはいつまで続けられる事ができるのか。僕はついに切り離す事を決断する、、、。
 
「強迫的な秩序についてのカエル」
(2010/4分05秒)
監督:永迫 志乃
音楽:磯崎 祥吾
効果:堤 裕吏衣
仲間のカエル達を整列させることに執着する一匹のカエルの話。
社会を構成する要素のひとつである「整列する、させられる」という関係性に注目し、その中で予定外の出来事が起きた場合の混乱、収束を描いた。
 
「CLIMBER」
(2010/5分49秒)
監督:野中 晶史
音楽:村上 史郎
効果:高橋 享平
長く長く続く岩の柱があった。クライマーがその柱をひたすら登っていく。
彼ら1人1人が積み重ねの象徴である。
彼らは何らかのゴールを目指して上へ登るわけではない。登り続ける事自体が目的でありその行為にゴールは無い。
 
「PapA」
(2010/3分45秒)
監督:松井 久美
音楽:村上 大輔
演奏:杉原 加恵
光と物体が存在すれば、そこに必ず影が出来る。
先に影を見つけたとしたら、光を遮っている物体が存在していることが証明出来る。
もしもその影が消えてなくなったとしたら…物体も消滅したと考えるべきで、それが現実なのである・・・。
 
「Googuri Googuri (グーグリィ グーグリィ)」
(2010/8分22秒)
監督:三角 芳子
音楽:横山 夏子
声:通畠 寿里、古川 タク
女の子の想像の話。
「ぐーぐりぃ ぐーぐりぃ」はおじいちゃんと女の子の間だけでわかる秘密の言葉 。おじいちゃんは時に山のようであり、樹や海のように思えたり、そこから女の子の想像は鳥のように無限の想像の世界を自由にはばたいてゆくのです。
 
「わからないブタ」
(2010/10分00秒)
監督:和田 淳
カラーデザイン:尼子 実沙
サウンドデザイン:高橋 享平
家の前にとても大きなブタがいる。その家には人間が住んでいる。みんなブタのことを知っているし、ブタもみんなのことに気づいているが、それぞれどれくらいにどんなふうに知っているかは判らない。 お母さんもお父さんのことが判らない。
   
協力:東京藝術大学
 

《料金》一般1200円 学生・シニア1000円
会員1000円 学生会員・シニア会員900円


アニメーション発掘
2010年11月13日(土)・14日(日)
 
東京藝術大学大学院のアニメーション専攻第一期生の作品上映に併せ、最近復元された大藤信郎と政岡憲三の2作品を含む日本の1920〜30年代のアニメーションを一挙上映。13日には10月の人形アニメーション上映の続きとして持永只仁の日米合作アニメを上映。14日には珍しい作品を参考覆面上映。
  
Aプログラム
「春の唄」
(1931/4分/35mm)大藤信郎
国立近代美術館フィルムセンターで今年開かれた大藤信郎作品の特集上映のために9ミリ半染色フィルムから35mm染色版に拡大複写されたもの。童謡「春の唄」にシンクロするレコード・トーキー作品だが、今回はサイレント上映。
「ターチャンの海底旅行」
(1935/7分/35mm)政岡憲三
ターちゃんとミーちゃんが豆潜水艦で海中散歩して遭遇する危機や冒険を描く政岡アニメの新発掘作品。映画保存協会が「映画の里親制度」により、今年の「第5回映画の復元と保存に関するワークショップ」の課題として復元したもの。9ミリ半から35ミリに拡大。本来はトーキーだが、音声現存せずサイレント上映。
[関連サイト] 映画保存協会・第六回映画の里親
「茶釜音頭」
(1934/10分/35mm)政岡憲三 
山寺の和尚と小僧、狸の茶釜一家がくりひろげるドタバタ。音声付き可燃性35ミリフィルムとサイレント版16ミリの2本のプリントから長尺版35ミリへ復元された。
『茶釜音頭』と同様に国立近代美術館フィルムセンターで2004年に開催された「日本アニメーション映画史」のために作成した以下の35ミリプリントを一挙上映。
「茶目子の一日」(1931/5分)西倉喜代治 
「ノンキなトウサン竜宮参り(夢の浦島)」(1925/10分)木村白山
「太郎さんの冒険撮影」(1929/5分)相原隆昌、山本早苗 
「西遊記・孫悟空物語」(1925/5分)大藤信郎 
「村祭」(1930/2分)大藤信郎 
「海国太郎・新日本島万歳」(1938/8分)鈴木宏昌 
「あめやたぬき」(1931/4分)宮下万蔵
「兎と亀」(1924/6分)山本早苗 
「五匹の力(森の五匹の動物たち)」(193710分)鈴木宏昌 
 
 
Bプログラム
「ウィリー・マックビーンの冒険」
(日米合作/1963/92分/16mm/日本語字幕無し)
演出:持永只仁、浅野竜麿 
人形アニメーター:持永只仁、中村武雄、岡本忠成、田畑博司、及川功一
大天才ラスプーチン・フォン・ロットン教授は歴史を変えるため自身で発明したタイム・マシンで出発する。この企てを知った教授の飼っていた猿のパブロはタイム・マシンの設計図を盗み出し、ウィリー少年と協力、タイム・マシンを組み立て教授の跡を追ってタイム・トラベルの旅に出る。西部アリゾナ、スペイン、イギリス、古代エジプト、そして未来宇宙へ。
Cプログラム
[参考覆面上映]お楽しみ外国アニメーション
(16mm/日本語字幕無し)
  
  

《料金》入れ替え制
1プログラムあたり
一般1200円 学生・シニア1000円
会員1000円 学生会員・シニア会員900円

《割引》
2プロ目は200円引き
当日、[GEIDAI-ANIMATION 01 in KOBE]をご覧の方は200円引き


GEIDAI-CINEMA #4 in KOBE
11月20日(土)〜23日(火・祝)
2005年に設立された東京藝術大学大学院映像研究科映画専攻。その4期生の修了作品5本を上映します。
先輩にあたる1期生から3期生には、加藤直輝監督(1期生/『アブラクサスの祭』今秋公開)、池田千尋監督(1期生/『東南角部屋二階の女』)、濱口竜介監督(2期生/『PASSION』)、瀬田なつき監督(2期生/『彼方からの手紙』)、真利子哲也監督(3期生/『イエローキッド』)らがおり、すでに映画界で頭角を現しています。
新たに誕生した日本映画の才能をご覧下さい。

20日(土)16:10〜トーク
第4期生監督:大橋礼子、栗本慎介、後閑広、長谷部大輔、ヤング ポール

ゲスト:黒沢清(映画監督)
 
《料金》無料(要・当日の上映会チケット)
 
[関連イベント] 11月19日(金)18:00〜〈黒沢清、「映画」を語る〉
       会場:神戸市外国語大学小ホール(学生会館2F)
       主催:神戸市外国語大学黒沢清監督講演会実行委員会

コメント
  目の前に2010年の過酷な現実があり、背後からは鉄壁の映画史が責めたて、上には観客というもやもやした圧力、足元には自分自身という底なしの黒い穴……そんな息詰まる緊張の中で、どこに属することも拒否した驚くべき不機嫌な映画が5本、いっせいに誕生した。しかも、この5本は決して孤独ではない。各々が各々に対して開かれ、連帯を求めて盛んに触手を伸ばしあっている。何かものすごいことが始まる前触れのようだ。
   黒沢清(映画監督) [各作品に対するコメントは↓]
 
[紹介サイト] 筒井武文(映画監督)による解説あり
「海への扉」
(2010/70分/HD[上映DVCAM])
監督・脚本:大橋礼子 制作:名倉愛
撮影監督:安部雅行 録音・整音:宮城則仁
美術:松尾博美 編集:後河大貴
助監督:川口力 楽曲提供:toe
音楽:王健治、青木瑠生
出演:兼子舜、富田理生、大浦龍宇一、
洞口依子、ガダルカナル・タカ、千浦僚
新聞配達員のケンは、もぐりとして大学に通っている。ケンが考古学研究室の前で骨片を盗むのを、ハルは見ていた。「こんなに人に近付いたのは初めてだ」真夜中の路上で抱き合う二人。共に暮らし始めた矢先、再び盗みを働いたケンは捕えられる。准教授の敷島は、盗みを咎めずに、研究へとケンを引き入れるのだった。ある夜、ハルの元に敷島がやってきて告げる。彼女が、死者によく似ているのだと。恋人たちの孤独な旅は、加速していく。

黒沢清監督によるコメント(11月20日のトークより)
堂々とした青春映画です。本当にしっかり作っています。物を投げたり走ったりという細かいアクションを確実に撮影し、巧みに編集された映画のお手本のような作品です。
また、主役の若い二人もいいのですが、洞口依子さんやガダルカナル・タカさんなどベテラン陣の演技がまた素晴らしいです。普通の商業映画を見ているような手ごたえを感じます。

 
「cage」
(2010/61分/HD[上映DVCAM])
監督:栗本慎介 制作:小川大樹
撮影監督:白浜哲 助監督:市原悠
録音・MA:鳥越惣太 美術:川西那奈
編集:若林龍 脚本:栗本慎介、島村隆
音楽:theygroup
出演:中丸新将、大谷英子、内田雅樹、
玉城タイシ、比嘉玲子
地方公務員・戸籍課の元宮は趣味のバードウォチングで山を訪れた際、男が黒い袋を埋めているのを目撃してしまう。後日、役所で婚姻届を提出しにきた女がその男の車に乗ったことから、次第に事件への妄想を膨らませ、元宮は女の生活を監視し始める。

黒沢清監督によるコメント(11月20日のトークより)
見れば見るほどよくなってくる作品です。いくつかのカットは本当に素晴らしいです。すれ違いざまにスピンして追っかけてくるカーアクションとか、車からの見た目で山を撮っているカット、冒頭の不穏な雰囲気など印象的なカットがいたるところにあります。
本格的なサスペンス映画になっていて、ヒッチコックと青山真治があわさった映画です。

 
 
「テト」
(2010/104分/HD[上映DVCAM])
監督・脚本:後閑広 製作:柄本かのこ
助監督:森内康博 撮影:白浜哲
照明:菊池のどか 美術:濱瀬乃理子
装飾・CG:有吉信寛 録音・MA:中島智也
編集:真下雅敏 音楽:CARRE
出演:阿部翔平、安藤サクラ、
裵・ジョンミョン、モロ師岡、史朗、
安達俊信、松岡大、渡辺幸作、山崎雄太
諜報員訓練生のテト。総合格闘技ジムで鬱憤を晴らす日々を送る女子高生のハト子。ハト子はテトを見た日に猫の自殺を目撃し、戦う意思に目覚める。一方でテトは上官からの最終試験としてある集団への潜入を命じられる。そこはある孤児院出身者で構成された劇団。夜毎、民話の「狐目の寅吉」という伝説の無法者をモデルにした舞台のリハーサルが繰り返される。舞台劇と時代劇が交錯していく中で、テトと座長も奇妙な相似形を形成し始める…。

黒沢清監督によるコメント(11月20日のトークより)
やりたい放題と言っていいでしょう。こういう映画を待っていました。スパイ映画です。若い人が映画をつくるならこうあるべきだというようにワンカット、ワンシーンが何でもありで、立て続けにいろんなことが起きる、とっても楽しい映画です。
ゴダールみたいな楽しさです。「ウイークエンド」のころ、五感の才能が全面に開花しています。

 
「浮雲」
(2010/55分/16mm)
監督:長谷部大輔 プロデューサー:江口友起
撮影監督:浅見貴宏 助監督:関力男 音:青木瑠生
美術:難波和之 編集:橋本良平
出演:梶田豊土、松元夢子、野村喜和夫、淡島小鞠、ほたる
愛葉るび、岡部尚、西本竜樹、工藤和馬
クモスケは身ごもった恋人・ふみよを捨て、昔の恋人・清子に会いにいく。妹の光と夫のさちおは突然住みついたクモスケに疑いの目を向けるが、清子の弟の振りをして平然と暮らすクモスケ。ある日、便秘に苦しむ清子はクモスケに便を口から吸い出してほしいと懇願する。さちおは妻が便を吸い出されていることに嫉妬し、光に同じ行為をしてしまう…。奇妙で悲しい人たちとの出会いと別れ。その先には…。

黒沢清監督によるコメント(11月20日のトークより)
ピンク映画の経験が生きていると思います。よくこのタイトルをつけたと思いますし、どうしてこんな映画を撮るのか、よくこんなことを平然とやるなと、いつもびっくりしています。男と女の愛の物語ですが、これはもうとんでもない愛の物語です。
学生映画という枠も超えて、おもいっきり個性的な映画で強いて言えば鈴木清順や田中登ですかね。

 
 
「真夜中の羊」
(2010/73分/HD[上映DVCAM])
監督・脚本:ヤング ポール
製作:李桓美 撮影:和野花
録音:鳥越惣太 美術:金子弘明
編集:後河大貴 音楽:網守将平
出演:岡部尚、宮本りえ、山田キヌヲ、
松浦祐也、吉岡睦雄、本城丸裕、
綾田俊樹、なかみつせいじ
不動産屋に勤務する沢口慎二は、ある時偶然、落下してきた隕石を発見する。その翌日、10年間失踪していた姉・栞が彼の前に現れる。突然の帰郷に戸惑いを隠せない慎二。一方、彼の周囲では不思議なことが起こり始め、栞が歌う不穏なメロディが街へと広がっていく。
栞の不思議な存在感を中心に、慎二の婚約者である麻紀をはじめとして人々は変化して行くが、一体彼女は何者なのか。そして慎二は、奇妙な事態に巻き込まれていく…

黒沢清監督によるコメント(11月20日のトークより)
これは大傑作だと僕は思います。宇宙人が侵略してくるというSFホラーの王道を堂々と、ずばり、「ボディ・スナッチャー」を日本で完璧にやっていますがそれだけではありません。
監督自身の独特の個性も十分に出ていて、不思議な味わいがあります。いたるところにハッと息をのむような瞬間が連続するような映画です。

 
  
協力:東京藝術大学
 

《料金》入れ替え制
1本あたり
一般1200円 学生・シニア1000円
会員1000円 学生会員・シニア会員900円

《割引》
2本目は200円引き


濱口竜介作品集
11月20日(土)〜23日(火・祝)
昨年12月、神戸映画資料館で関西初上映した『PASSION』。濱口竜介監督の東京藝術大学大学院の修了作品で、その新人離れした演出術は驚きをもって迎えられた。
今回は、濱口監督の初期作品から、最新作『永遠に君を愛す』(2009)を一挙上映する。
Aプログラム2本立て
「何食わぬ顔」
(2002-03/43分/8ミリ→DV)
監督・脚本:濱口竜介 撮影:濱口竜介、渡辺淳
出演:松井智、岡本英之
浪人生の松井は、予備校の夏期講習の為に東京へ出て来た。同じ予備校に通う里恵もたまたま日程が一緒だ。松井にはほかに本当の目的があった。一足先に東京へ出てしまった同級生の育子に会うこと。育子に会う約束を取りつけるも、彼女には他の男たち(岡本、濱口)との先約があった。一方、里恵も松井をデートに誘うが…。どこまでもすれ違い続ける5人の心。彼らの日常的非日常。
「みんなの顔がとても好きでした(自分除く)」(監督談)
「はじまり」
(2005/13分/DV)
監督・脚本:濱口竜介
撮影:松本浩志
出演:梅田つかさ、花澤拓巳
今夜、世界は俺のものだ!
受験を間近に控えた中学3年生の友子は、年末に余裕のサッカー観戦。友達とも別れ、帰るいつもの田舎道。誰もいない帰り道で一人、詩のような言葉を唱えながら歩いていた時、偶然同じクラスの洋太にばったり出会った。
ENBUゼミナール卒業制作。
 
 
Bプログラム2本立て
「Friend of the Night」
(2005/44分/DV)
監督・脚本・撮影:濱口竜介
出演:岡本英之、鈴木里美
若手のシナリオライター・衛(まもる)は今まで手を付けたことのない「ホラー」という発注にうまく応えられないでいる。友人の結婚式で、同級生の奈美に出会った衛はその夜、彼女にとって「何が一番恐いか」を聞き出そうとする。最初ははぐらかしていた奈美だが、やがて「A」というかつての友達のことを語り始める。笑いとともに始まった「ある夜の友人」の話が、やがて衛と奈美の関係までも微妙に震わせていく。
「元々、主演の岡本英之が所属していたバンド“The Chronicles”主催の〈音楽×映画〉イベントの為に作られたもの。〈ラブホラー〉という発注だったが、できあがったものはラブともホラーとも言いがたい不思議な作品になりました」(監督談)
「記憶の香り」
(2006/27分/16ミリ)
監督:濱口竜介
脚本:小林美香 撮影:佐々木靖之
出演:藤川俊生、河井青葉
繰り返しの日常の中で出会った女の子によって運命を狂わされていく一人の男。
東京藝大2期の同期・小林美香の脚本に魅入られたように、あれよあれよとできあがった魔性の短編。河井青葉との初仕事でもある。「“他の人の脚本”や“映画音楽”など初めて尽くしでした。絶対に二度見て欲しい作品」(監督談)
 
 
Cプログラム
「PASSION」
(2008/115分/HDCAM[上映DVCAM])
監督・脚本:濱口竜介 製作:藤井智 撮影:湯澤祐一 照明:佐々木靖之 
美術:安宅紀史、岩本浩典 録音:草刈悠子
編集:山本良子 助監督:野原位
制作担当:渡辺裕子
出演:河井青葉、岡本竜汰、占部房子、
岡部尚、渋川清彦
 [紹介サイト]
 [日本映画の新しい地平02「PASSION」] コメント有り
 
結婚を間近に控えた一組のカップル。仲間の祝うパーティーの席上で、期せずして男の過去の浮気が発覚する。男と女は別れ、それぞれの夜を過ごす。等身大の20代男女が、夜の横浜を舞台に繰り広げる軽佻浮薄な恋模様、にも形而上学的な愛に関する考察、にも見える。彼らの辿り着いた結論に対して起こるのは感動か、嘲笑か。東京藝術大学大学院の修了作品。その新人離れした演出術で驚きを与えた。
 
 
Dプログラム
「永遠に君を愛す」
(2009/58分/HD[上映DVCAM])
監督:濱口竜介
脚本:渡辺裕子 撮影:青木穣
出演:河井青葉、杉山彦々、岡部尚、
菅野莉央、天光眞弓、小田豊
永子と誠一は、結婚式当日を迎えたカップル。しかし永子の表情はどこか浮かない。彼女は別れた恋人・寿志との間に起こったことを誠一に言えずにいた。一方の寿志も、招待状を受け取ったものの結婚式に向かうか決断できないでいる。結婚式はカップルにとっては普段と異なる特別な一日。それはまた花嫁の元恋人にとっても同じだ。それぞれの思いが交錯する、晴れ舞台直前の数時間。そのなかで明らかになってしまう“秘密”……。『PASSION』を経た濱口監督が、脚本には東京藝大1期の渡辺裕子を迎え、さらなる挑戦として撮り上げた最新作。
濱口組常連となった岡本英之が本業(ミュージシャン)で出演し、それまでにない軽やかさを映画に与えているのも見逃せない。

濱口竜介
1978年神奈川県出身。1998年東京大学文科三類に入学。同年から自主映画製作を始める。
2003 年に同大学文学部を卒業後、映画・ドラマの助監督、経済番組のアシスタント・ディレクター/ディレクターを経て2006年に東京藝術大学大学院映像研究科に入学。
4本の映画を製作し、2008年修了。

 
  
協力:東京藝術大学
 

《料金》
一般1200円 学生・シニア1000円
会員1000円 学生会員・シニア会員900円

《割引》
当日、[GEIDAI-CINEMA #4 in KOBE]をご覧の方は200円引き


[貸館]新作 Midori 上映会
2010年11月27日(土)16:00 / 18:30

ある張り込みの一日を描く竹中哲也の最新作。
出演はテレビや映画で活躍中の内藤和也と 演劇集団よろずやの鈴木那奈子。
ある事件の張り込みにやって来た中年の刑事と新人の若い女性刑事の一日をオフビートな笑いと幻想的な映像で描く人間ドラマ。
監督はPFFにて2001年『岸辺のフイルム』で準入選の竹中哲也が担当。同時上映は2008年制作の『岸辺の情景』
「Midori」(パートカラー/39分/DV/2010年制作)
「岸辺の情景」(カラー/51分/DV/2008年制作)
主催・お問い合せ:竹中哲也
         moviefac-1138◎docomo.ne.jp(◎を@に替えて送信してください)
 

料金 1000円


[貸館]SANAフィルムフェスタ「マスメディアが伝えないイラクがここにある」
2010年11月28日(日)14:00〜
 「SANA(光)衛星テレビ」は、世界から募金が集められ、イラクの市民メディアとして2007年4月に誕生しました。自由平等で平和なイラクの再建をめざす「イラク自由会議」が番組制作・運営を行い、民衆の文化、労働、教育、女性、子どもなどをテーマにニュース映像やドキュメンタリー番組などを放送しています。
 「イラク平和テレビ局inJAPAN」は、その番組を日本で観られるように翻訳・吹き替えしインターネット配信をしていますが、より多くの方々ご覧いただく機会として「SANAフィルムフェスタ」を開催しています。
 マスメディアが伝えないイラクを知り、戦争のない社会をつくるためのオリジナルな映像を発信し、交流する場です。
 
 
主催:イラク平和テレビ局 in Japan・兵庫
  (連絡先)黒川 078-784-2430  安東 090-3828-9579
   

《料金》大人1000円 シルバー/学生/障がい者500円


これまでのプログラム|神戸映画資料館

※内容は予告無く変更する場合があります。

※作品によっては、経年退化で色褪せしている場合がございます。予めご理解ご了承の上、ご鑑賞くださいますようお願い申し上げます。