プログラムPROGRAM

忘れられた映画の再発見 収蔵作品より
2011年4月9日(土)・10日(日)
第3回恵比寿映像祭(2月18日〜27日)で【忘れられた映画の再発見 神戸映画資料館セレクション】として当館の収蔵作品(所蔵:プラネット映画資料図書館)が上映されましたが、同じプログラムを凱旋上映いたします。さらに近年、国立近代美術館フィルムセンターに素材提供して復元した新大都映画2作品と大正期の珍しいフィルムをまとめて上映いたします。

Aプログラム
「ターチャンの海底旅行」
(1935/7分/サイレント/35mm)監督:政岡憲三
『くもとちゅうりっぷ』などの作品で知られるアニメ映画の巨星、政岡憲三の新発掘フィルム。ターちゃんとミーちゃんが豆潜水艦で海中散歩して遭遇する危機や冒険を描いた作品で、映画保存協会が「映画の里親制度」により2010年の「第5回映画の復元と保存に関するワークショップ」の課題として9.5ミリから35ミリにブローアップしたもの。本来はトーキーだが、音声現存せずサイレント上映。

 

「ノンキなトウサン竜宮参り(夢の浦島)」
(1925/10分/35mm)監督:木村白山
なまけ者のノンキなトウサンが、夢で海中のカフェー竜宮館で遊び、みやげに貰った玉手箱から出てきた鬼におどろかされ働き者になるというアニメーション。本来はサイレントだが、1942年に牧野周一の解説を入れたトーキー版。木村白山は看板描きからアニメに転身し「白山漫画」として知られた作家だが生没年、本名、出身地など不明で謎の多い作家。

「美の誕生」
(1948/9分/35mm)監督:岡崎宏三
川島雄三、豊田四郎、小林正樹ら多くの名監督と様々な作品を手掛け、80歳を越えても現役カメラマンとして活躍、2005年に86歳で没した撮影監督・岡崎宏三が監督・撮影したデンマーク体操の紹介映画で、女学生たちが音楽に合わせてリズミカルに体操する美を描く映像詩。そのカメラワークや編集などサイレント時代から培った岡崎の技が見どころ。

「煉獄に咲く花」
(1953/38分/35mm)監督:石山稔
ある売春婦の手記を映画化したもので、水害で家族を失い東京に出てきて路頭に迷っていたところ、声をかけてきた親切そうな女に騙されて娼婦に転落した女と、貧しい漁村から病身の母の治療費をかせぐために東京に出て娼婦になった女を主人公に、人身売買の悲惨な実体を批判する映画。「衆議院参議院婦人議員推薦」と字幕が出る。

 

 

「海魔陸を行く」
(1950/53分/35mm)監督:伊賀山正徳
漁師が蛸壺で捕まえた蛸が、行商中の魚屋の荷車から脱げ出し、線路で列車に轢かれそうになったり、野原の火災に巻き込まれたり、野山の各種動物に襲われるなど、さまざまな危機を乗り越えて故郷の海を目指すという風変わり極まりない映画。解説は徳川夢声が担当。残念ながらタイトルや若干のシーンが欠落している。

 

Bプログラム
「チャップリンとクーガン[仮題] 」
(1920年代/11分[16fps/部分]/染色/サイレント/35mm)監督不詳
チャップリンらしきキャラクターや「キッド」の子役ジャッキー・クーガンを思わせるキャラクターが登場し、日本の映画撮影を見学する内容のアニメーション。フィルム入手時には3巻あったが、内1巻は完全に溶けて画像が消滅していたので、残り2巻を不燃化したもの。文献の記録に見あたらない不思議な作品。

 

 

「元祖 大曲藝連鎖 東京江川巡業部」
(大正時代/1分[16fps/断片]/サイレント/35mm)監督不詳
幕末の軽業師・江川作蔵が南洋に渡って修得したと言われる玉乗りは、明治初年から関東大地震まで浅草六区で興行し大評判だった。この「江川の玉乗り」を撮影した映画も多数記録されているが動く映像は存在しないと思われていたので、断片ではあるが歴史資料的価値は高いはずである。

 

「怪談 皿屋敷[仮題] 」
(1923年以前/11分[16fps/断片]/染色/サイレント/35mm)監督不詳
フィルムセンターの調査によるとおそらく日本映画のなかで現存する最古の「皿屋敷もの」。断片なので作品名を特定できないが古い形式の映画の一例として興味深い。二重露光や逆回転撮影など後の特撮がすでに使用されており、当時の撮影技術を知る上でも貴重なフィルムである。

 

「剣劇女優とストリッパー 」
(1953/26分/35mm)
新大都映画 監督:平澤譲二 撮影:富澤恒夫 美術:古川健一 音楽:志村道三
出演:大都あけみ、奥山紗代、三島百合子、空飛小助、キャロル都
当時人気のあった女剣劇とストリップを組み合わせた客受け狙いの際物映画。田舎の芝居小屋で歌舞伎芝居が不入りだったが、東京から呼び寄せたストリップと歌舞伎の二本立て興行をしたところ大成功。映画スターに出世した女座長の回想として描く。無声映画の弁士として知られる加藤柳美が画面を説明。

「アナタハン島の眞相はこれだ!! 」
(1953/53分/35mm)
新大都映画 監督:吉田とし子 撮影:亀谷明正 美術:大溝一彦 音楽:加藤光雄
出演:比嘉和子、髙野眞、小泉郁之介、諏訪孝介、加藤勇、佐伯徹、熊木浩介、里木三郎、大塚周夫
太平洋の孤島で1人の女性と32人の男達が共同生活していくうちに、男たちがその女性を巡って争うようになり、男性達の間で公然と殺し合いが行われるようになったという「アナタハンの女王事件」の映画化。当事者である比嘉和子本人が主演するという話題性を狙った際物映画で、ジョセフ・フォン・スタンバーグ監督が『アナタハン』を作るにあたって参考にしたとされる。初期の女性監督作品でもある。

《料金》入れ替え制
1プログラムあたり
一般1200円 学生・シニア1000円
会員1000円 学生会員・シニア会員900円

《割引》
2プログラム目は200円引き

これまでのプログラム|神戸映画資料館

※内容は予告無く変更する場合があります。

※作品によっては、経年退化で色褪せしている場合がございます。予めご理解ご了承の上、ご鑑賞くださいますようお願い申し上げます。