プログラムPROGRAM

年別アーカイブ: 2012


鉄道映画の魅力
2012年1月7日(土)〜9日(月・祝)

リュミエール兄弟の『列車の到着』(1895)から出発した映画は、鉄道を描くことで発展してきたともいえるでしょう。今回は鉄道を主役にしたサイレント期の日本映画と、1930年代の記録映画2本を上映します。
Aプログラム「特急三百哩」
(1928 / 92分[16fps] 82分[18fps]/ サイレント / 35mm)日活京都(大将軍)
監督:三枝源次郎 原作・脚本:木村千疋男
撮影:気賀靖吾
出演:島耕二、山本嘉一、瀧花久子
   三桝豊、三田實、吉井康
 若き機関士と曲芸団の乙女との恋愛と結婚を軸に、それを邪魔する男との葛藤を描いた作品で、舞台は門司機関区だが、撮影は梅小路など京都周辺で行われている。鉄道研究者によると8620、C51、C53(スリーシリンダ)、9600、8900、 2120、8550、1070など昭和初期に活躍したさまざまな蒸気機関車の動く映像がたいへん貴重で、鉄道ファン必見の映画である。
 主演者は後に監督になる島耕二と、若き日の滝花久子。伴奏音楽は弁士自身が和洋合奏を主にした選曲を行 うことになっている。
 なお、プラネット映画資料図書館所蔵の当フィルムは、2001年から映画保存協会が復元を模索し、大阪芸術大学の太田米男教授らの尽力で復元され、ようやく2004年の京都映画祭で上映が実現したものです。
 
復元については、映画保存協会の[復元報告]特急三百哩 よみがえった幻の鉄道映画 をご参照ください。
 
 
Bプログラム
「夜行郵便」Night Mail
*日本語字幕無し
(イギリス / 1936 / 24分 / 16mm)英国郵政局
製作・監督:ハリー・ワット、バジル・ライト
ナレーター:ジョン・グリアスン、スチュワート・レッグ
ロンドンとスコットランドの間を一晩かけて走る夜行郵便列車を記録した、1930年代「イギリス記録映画派」を代表する傑作。走行しながらの貨物の集荷・吐き出しのシーンが見所。W・H・オーデンがこの映画のために書き下ろした詩が朗読される。
 
「中支那鉄道 建設の記録 」
(1937 / 51分 / 35mm)同盟通信社、鉄道省
1939年設立の華中鉄道(中支鉄道)へは狭軌から標準軌に改良された9600型251両をはじめ多くの蒸気機関車が日本から送られ活躍した。中国大陸における日本軍の兵站業務を円滑化するために、鉄道の敷設に邁進する「建設戦士」たちを追った記録映画。
 
 
 

《料金》
入れ替え制
1プログラムあたり
一般1200円 学生・シニア1000円
会員1000円 会員学生・シニア900円

《割引》2プログラム目は200円引き


東日本大震災復興支援上映プロジェクト
Cinema with Us ともにある in 神戸
PART-1 2012年1月14日(土)・15日(日) 神戸映画資料館
PART-2 2012年1月21日(土)〜27日(金) 神戸アートビレッジセンター
 
Aプログラム
「すぐそばにいたTOMODACHI」
(日本/2011/日本語/95分)
監督:セシリア亜美北島
3.11。在日ビルマ人95人が被災地に行きボランティアを行った。様々な事情を抱えながら日本にいるTOMODACHI の行動と思いを映す。
 
Bプログラム2本立て
「二つの悲劇─東日本大震災とスローフード運動」
(日本/2011/日本語/24分)
監督:掛川正幸
惨状を自分の目で見て、さらに自分にできることを考えた。その結果生まれたのが、この作品だ。
 
 
 
「雪海」
(日本/2011/日本語/60分)
監督:大竹暁
塩竈市出身のスキー・モーグル五輪選手・畑中みゆき。略奪や暴動、決して報じられることのない被災地の現実。震災後、畑中とともに避難所を回り、島で暮らす漁師たちと出会い、海に生きることの意味を知る…。
 
 
Cプログラム3本立て
「私たちにできたことできなかったこと」
(日本/2011/日本語/30分)
監督:岡崎孝
大震災発生以降、山形市内でみられた様々な事象を、人物ではなく、張り紙や看板などを通して解き明かす。
*監督来館。Cプログラム上映終了後、質疑応答あり。 
 
 
「まけないタオル 復興コンサート」
(日本/2011/日本語/17分)
監督:岡達也
山形県最上町に避難している被災者とともに開かれたコンサートの記録。
 
 
 
「けの汁」
(日本/2011/日本語/33分)
監督:千村利光
失われつつある日本の地方の文化の魅力を津軽の郷土料理「けの汁」に託して描く。東北へのエールとして「あおもり映画祭」から寄せられた作品。
 
 
Dプログラム
「僕のカメラと津波」
(インド/2011/英語、タミル語、ベンガル語/日本語字幕あり/90分)
監督、撮影、編集:R・Vラマニ
『あなたはどこ?』(YIDFF 2003)で山形を訪れたインドの映像作家が、2004年のスマトラ沖地震による大津波であやうく命をおとしそうになる。溺れかけなりながらも握りしめていたカメラは大破したが、買ってからの4年間で撮りためた映像には機械によって記録された時間の記憶が残っていた。
 

《料金》
一般800円 学生500円

主催:特定非営利活動法人 山形国際ドキュメンタリー映画祭
共催:神戸映画資料館、神戸アートビレッジセンター
助成:芸術文化振興基金、企業メセナ協議会 GB Fund


「久高オデッセイ ─生章─」
2012年1月20日(金)〜24日(火)11:00〜

 
 
    神の島、
 
    祈りの島、
 
    沖縄県「久高島」
 
 
 
「久高オデッセイ ─生章─」
(2011年/76分)沖縄映像文化研究所 
監督:大重潤一郎
 
 『黒神』『光りの島』『小川プロ訪問記』などの映画で知られ、阪神・淡路大震災を神戸で体験した大重潤一郎が、沖縄県本島東南部に位置し神の島と言われる久高島の祭事や神事を中心とした日常を描いたドキュメンタリー。
 琉球開闢(かいびゃく)の地とされ神聖視される久高島では数多くの祭事が執り行なわ れる。ノロ(祝女のこと)が行う祭事や、97歳の祝い事「カジマヤー」といった普段見ることのできない貴重な光景をはじめ、島の日常、子どもたちの遠足や学校行事、イラブー(海ヘビ)漁とその加工の様子などありふれているようでどこか厳かな雰囲気を感じる生活模様が収められている。そして、場面をつなぐ久高島の自然、海・林・畑が見るものを魅了する。
 2006年の前作『久高オデ ッセイ(第一部)』の続編と位置づけらる作品で、脳出血に倒れ電動車椅子に乗って島々を回りながらカメラを回し続けた大重監督による執念の最近作。今年9月に沖縄の桜坂劇場で2週間ロードショウの成功に続く待望の神戸公開である。
 

《料金》
一般1200円 学生・シニア1000円
会員1000円 学生会員・シニア会員900円


外国映画名画鑑賞会
2012年2月11日(土・祝)・12日(日)
上映作品は、当日のお楽しみとさせていただきますが、選りすぐりの傑作・名作を揃えて上映しますので、どうぞご期待ください。
今回は、1970年代のアメリカ映画2作品を16mmプリント、日本語字幕投影で上映します。
 
(会員の皆様からの上映作品タイトルの問い合わせを、電話・e-mailで受け付けます。会員番号をご確認の上、お問い合せください)
  

《料金》入れ替え制
1本あたり 
会員900円 学生会員・シニア会員700円
*非会員のかたは、1日会員(登録料100円)のご登録でご覧いただけます。
《割引》
2本目は200円引き


関西初上陸「死ね!死ね!シネマ」
2012年2月10日(金)〜14日(火)

       映画は確実にそして無残に人間を破壊します。 
      映画やめますか? それとも、人間やめますか?

 
「死ね!死ね!シネマ」DIE, DIRECTORS, DIE!
(2011/72分/DV)
製作・監督・脚本:篠崎誠
助監督:宮崎圭祐、杵築啓祐、原健一
音楽:長嶌寛幸 撮影:秋山由樹、染谷有輝、植村将之 
録音:飯野洋平、久保紫苑
製作・配給:コムテッグ 製作協力:映画美学校
出演:森京子、鈴木あけみ、藤井義浩、工藤トシキ、福井瑠香、金子裕昌
 
[イントロダクション]
映画美学校の実習として作られた短編を発端に、篠崎誠のあくなき映画作りの追求により度重なる追加撮影を経て、“究極の映画”が誕生した。
140名以上ものエキストラを動員して惨劇が撮影されたロケ現場であるオーディトリウム渋谷での初公開から、全国に拡散中!
今まさに、地獄の門が開かれる!
予告篇
*プチョン国際ファンタスティック映画祭正式招待
*ゆうばり国際ファンタスティック映画祭(36分)版より追加撮影
 
[あらすじ]
東京・渋谷に移転したばかりの映画美学校で惨劇が起きる。卒業制作の試写会で学生の映画を酷評した講師シマザキが、逆に観客から野次られて発狂。42人を虐殺する。それから4年後、事件当時、女子高生だったなつきは、廃墟となった映画美学校で究極のホラー映画を撮ろうとし、周囲を地獄に巻き込むことになる……。
 
[併映]「殺しのはらわた」
(2006/30分/DV)
監督・脚本・編集:篠崎誠
撮影:木暮洋輔 照明:高井大樹 録音:臼井勝 音楽:長嶌寛幸
製作:コムテッグ、映画美学校
出演:嶋田久作、唐橋充、藤田陽子、黒沢清、万田邦敏、高橋洋、井川耕一郎、長宗我部陽子
殺し屋どもの頂上決戦!

監督 篠崎 誠
1963年東京生まれ。96年公開の『おかえり』で商業映画監督デビュー。ベルリン映画祭最優秀新人監督賞など、海外で11冠を受賞。その後の劇場公開作品として、『忘れられぬ人々』(00)、『犬と歩けば チロリとタムラ』(03)、『0093女王陛下の草刈正雄』(07)、『東京島』(10)、『怪談新耳袋 怪奇』(10)がある。黒沢清監督との共著として「恐怖の映画史」(青土社刊)があり、ホラー映画について造詣が深い。立教大学原題心理学部映像身体学科教授、映画美学校講師。

《料金》2本立て
一般1500円 学生・シニア1300円
会員1300円 学生会員・シニア会員1200円


映画で知る朝鮮①『安重根 伊藤博文を撃つ』
2012年2月17日(金)〜20日(月)11:00〜
         25日(土)13:30〜

テロリストか英雄か?
朝鮮のみる安重根とは・・・

 
 
  「安重根 伊藤博文を撃つ」
  (1979/北朝鮮/120分/DVCAM)
  監督:オム・キルソン
  脚色:白頭山創作団
  撮影:チョン・イッカン
  出演:リ・インムン、ロ・ポクシル、
     チョ・ミョンソン
 
 
伊藤博文を暗殺した愛国青年・安重根(アン・ジュングン)の壮烈な生きざまを壮大なスケールで描いた歴史大作!!
 
 ハルピンで伊藤博文を射殺した安重根。映画は彼が何を考え、なぜ伊藤博文を射殺するにいたったのかを彼の壮絶な生き様を描くなかで解き明かしていく。当時日本では彼を、忠臣伊藤博文を殺害した「不逞鮮人」と呼んだが、朝鮮民族は彼を「民族の英雄」として称えた。まさに極と極の捉え方である。
 
 現代朝鮮では彼を愛国者、英雄として評価する一方で、テロで問題は解決できないという正当論をもって評価している。行為は愛国的な行為ではあるが、全民族的な独立闘争を考えずにテロの方法を取ったのは間違いだったと言うのだ。映画は朝鮮独立闘争の指導者であり、建国の父である故金日成主席が初期革命活動期に創作した同盟の革命劇を脚色したもので、具体的に事実に基づいて製作された。
 
 映画は日本の大陸侵略の背景を壮大なスケールで描き、伊藤博文に当時の日本の朝鮮侵略の姿を、そしてそれに抗する朝鮮民族の独立闘争を安重根とその仲間に象徴させて事実を具体的に描いている。
 
 主人公の安重根は祖国に対するあふれる愛と、侵略者である日本帝国主義に対する憎悪を胸に抱きながら東奔西走するが、悲惨で苦い結果にまみれる。前途が塞がった彼は、伊藤博文をはじめとする侵略の首謀者たちと、国を売った反逆者たちをうつことこそ朝鮮を救う唯一の道だと信じ、ハルピンの駅頭で伊藤博文を射殺し、「朝鮮独立万歳!」を叫ぶ。
 
 しかし祖国朝鮮は日本の植民地となり、独立運動は血にまみれながら停滞していく。それを目の当たりにして、安重根は絶句する。「民族を正しく導いてくれる偉人、英雄と出会えることは無いのか!民族の英雄は、はたしていつ現れるのか!!」
それは朝鮮民族の初期反日独立闘争の歴史的総括であり、民族の熱い願望だった。
 処刑された安重根の遺体はまだ発見されていない…
 
[関連企画]
映画で知る朝鮮②『天安艦沈没』
映画で知る朝鮮③『花を売る乙女』

《料金》
一般1500円 学生1300円 シニア1000円
会員1000円 会員学生・シニア900円

【前売券】1000円(神戸映画資料館で取り扱い/2月14日まで)

主催・配給:カナリオ企画


映画で知る朝鮮②『天安艦沈没』
2012年2月18日(土)・19日(日)14:00〜
         21日(火)・24日(金)・25日(土)11:00〜

韓国全土を襲った戦争の恐怖、
いったい何が起きたのか!?
疑惑を追い続ける韓国ドキュメンタリー

 
 
  「天安艦沈没」
  (2010/韓国/78分/DVCAM)
  製作:タミ・ピクチャーズ
  監督:キム・ドギュン
 
 
46人が犠牲になった痛ましい事故。
これは北朝鮮の仕業なのか?

 
 2010年、3月26日。104人の兵士を乗せた韓国海軍哨戒韓「天安艦」がペンリョン島近海で沈没し、46人が死亡した。
 韓国政府は当初未詳の事故と言っていたが、翌日には「北朝鮮の魚雷攻撃のための撃沈」と言葉が変わり、いっせいに反北朝鮮キャンペーンが始まり、人々は戦争の恐怖におののいた。平和と交流、協力のムードが漂っていた朝鮮半島を一気に戦雲が覆った。
 韓国政府の対北敵対政策が嵐のように吹きまくり、「報復」と言う言葉がマス・メディアを席巻し、あらゆる南北関係が遮断され、韓国はいつ戦争が勃発するか判らない軍事的緊張に包まれた。
 しかし韓国の国民の3分の2はこの「北朝鮮攻撃説」に懐疑的であった。「キー・リゾルブ-ハゲワシ米韓合同軍事演習」のさなかに事件が起き、しかも沈没した「天安艦」が対潜水艦追尾訓練を行っていた哨戒艦であったからだ。
 さらに2012年の総選挙や大統領選挙の行方を占う地方選挙を目前にして、与党の大敗が予想されたときだった。「北風起しに利用しようとしたのではないか?」疑惑が人々に広がっていった。
 その後の政府の発表は、こうした国民の疑惑を一層強めた。政府が「証拠」として出した全てが、科学的に覆えされた。結局「北の犯行」を立証するいかなる合理的な解釈も成り立たなかった。
 しかし、未だに事件の真相は明らかにはされてはいない。
「天安艦」はなぜ沈没したのか?
「天安艦」は米軍とどんな訓練をしていたのか?
「天安艦」沈没後、米軍の取った不可思議な行動—
「救助訓練」とはいったい何なのか?
 
 映画『天安艦沈没』はこうした疑惑を明らかにし、真実を解明することが、死亡した兵士らへの真の鎮魂となるという思いを込め、制作されたドキュメンタリー映画である。
 
[関連企画]
映画で知る朝鮮①『安重根 伊藤博文を撃つ』
映画で知る朝鮮③『花を売る乙女』

《料金》
一般1500円 学生1300円 シニア1000円
会員1000円 会員学生・シニア900円

【前売券】1000円(神戸映画資料館で取り扱い/2月14日まで)

主催・配給:カナリオ企画


映画で知る朝鮮③『花を売る乙女』
2012年2月18日(土)・19日(日)・25日(土)16:00〜
北朝鮮を代表する一大革命叙事詩
 
「花を売る乙女」
(1972/北朝鮮/125分/DVCAM)
監督:パク・ハク、チェ・イッキュ
出演:ホン・ヨンヒ、パク・ファソン、キム・リョンニン、リュ・フナム
 
 植民地時代、貧しい家庭に生まれた主人公のコップニは、病に臥せている母の薬代を稼ぐため、昼は地主の家で働き、夜は街に出て花を売る。そんな過酷な運命を、半ば諦めのように受け入れるコップニが、朝鮮人民革命軍(抗日パルチザン)に入隊した兄と再会し、その世界観を徐々に変えていく。闘争だけが、自らを不幸な運命から解き放ってくれる手段であると。
 はじめは歌劇として創作されたものが映画化された。同名の歌劇は1973年8月、平壌のマンスデ芸術団の日本公演の際に上演され、その舞台はNHKでも放映された。今でも平壌の劇場では定期的に上演されている。映画版「花を売る乙女」で主人公コップニを演じたホン・ヨンヒの姿は、北朝鮮の1ウォン札の裏面に描かれている。まさに国を代表する映画がこの「花を売る乙女」である。
 
[関連企画]
映画で知る朝鮮①『安重根 伊藤博文を撃つ』
映画で知る朝鮮②『天安艦沈没』

《料金》
一般1500円 学生1300円 シニア1000円
会員1000円 会員学生・シニア900円

【前売券】1000円(神戸映画資料館で取り扱い/2月14日まで)

主催・配給:カナリオ企画


ドキュメンタリー「ダスト ─塵─」
2012年3月3日(土)・4日(日)14:30〜

「ダスト ─塵─」Staub
(ドイツ・スイス/2007/94分/35mm)
監督・脚本:ハルトムート・ビトムスキー 撮影:コルヤ・ラシュケ
録音:ゲルト・メッツ 編集:テオ・ブローミン
共同製作:ヴェルナー・シュヴァイツァー、 ハルトムート・ビトムスキー
製作:ハイノ・デッカート
 
プロジェクターや部屋にたまる埃、鉱山に舞う粉塵、工場で製造される顔料の微粒子、雨に洗い流される樹木に堆積した塵、9.11に起こった世界貿易センタービルの崩壊やミサイルの爆発で巻き起こる凄まじい粉塵の嵐、あるいは宇宙のスターダスト……。世界に充満するさまざまな塵の様相を、技術者や科学者の考察を交えて観察していく。2009年の山形国際ドキュメンタリー映画祭インターナショナル・コンペティションに出品され、「塵」という題材のユニークさと、その映画化の手法が注目された作品。
 

《料金》
一般1500円 学生・シニア1300円
会員1300円 学生会員・シニア会員1200円

《割引》
[レクチャー:第8回 ものかき放談─世界と小説と自由] 参加者は100円引き

後援:山形国際ドキュメンタリー映画祭


[貸館]黒坂圭太のミラクル・アート・アニメーション
2012年3月11日(日)

『緑子/MIDORI-KO』の公開を記念して、黒坂圭太監督のミラクルな短編アニメーション作品を上映します。
各回参考作品の上映と、黒坂圭太監督のトークあり。
Aプログラム13:00〜
『春子の冒険』(16mm/14分/1991)
無機物と交信できる超能力を持つ少女・春子は、ある朝、何者かの呼び声に目覚め、誘われるままに無数の“もののけ”が棲みついた昭和30年代の廃屋アパートに辿り着く….。少女へのほのかな憧れと、都市への郷愁を漂わせたSFホラー&ファンタジー。
 
『個人都市』(16mm/23分/1990)
賞味期限切れのポテトサラダを食べた為に腹をこわした僕が迷い込んだ場所は、摩訶 不思議な迷宮ワールド“個人都市”だった・・・。トイレという密室空間から都市空間へとくり広げられる、都会の孤独感がまきおこすシュールな妄想の倒錯劇。
 
『みみず物語』(16mm/15分/1989)
ウサギとミミズの追いかけっこという、お馴染みの民話のパロディーで始まるが、ほのぼのとした雰囲気から一転、不条理なイメージが連続的に重なり物語は脱線していく。抽象アニメーションを極めた作者が、新たに物語性を打ち出し始めた傑作。
 
 
Bプログラム14:30〜
『海の唄』(16mm/30分/1988)
延々と続く太鼓の咆哮が、無彩色のハイコントラストな映像とシンクロして、観る者を束の間の白昼夢へと誘う。作者自身の子供の頃の記憶にある能登半島の海のイメージを、全編風景写真のモノクロコピーをベースにした約3000枚の動画を使って表現した意欲作。
 
『変形作品第5番<レンブラント主題による変形解体と再構成>』
(ビデオ販/28分/1986)
17世紀オランダの画家レンブラントの絵画を、独自の技術を駆使して分解し再構成する『visual remix』作品。黒坂が敬愛する画家の二次元世界に見出した宇宙は、フルスピードで膨張と収縮を繰り返して花弁となり胎児となり、エクシタシーを伴い幾度もビッグバンに達する……。
 
『餅兵衛』(ビデオ/30秒/2005)
怒り心頭で繰り出す頭突きから、男は新たな光明を見い出している?
 
『ワタシノカオ』(ビデオ/3分/2005)
黒坂圭太が描き続けた顔のドローイングが、ぐにゃぐにゃ とメタモルフォーゼしていく。『緑子/MIDORI-KO』の制作期間中に完成したドローイング アニメの怪作。
 

黒坂圭太
1985年『変形作品第2番』がPFF入選。『海の唄』『みみず物語』『個人都市』などの短編映画を次々と発表。手がけた作品は数多くの映画祭や美術館で上映されている。代表作のMTVステーションID『パパが飛んだ朝』(1997)は、アヌシー、オタワの二大アニメ映画祭をはじめ数々の国際賞に輝き、世界中で放映された。一方、Dir en greyのPV『Agitated Screams of Maggots』(2006)は、あまりの背徳的過激さから賛否両論を巻き起こし、テレビやDVDで修正を余儀なくされた。近年では即興アニメとペインティングによるライブ・パフォーマンスもおこなっている。『緑子/MIDORI-KO』(2010)が全国ロードショー公開。武蔵野美術大学 映像学科教授。

[関連企画]黒坂圭太新作アニメーション『緑子/MIDORI-KO』3月3日(土)〜16日(金)神戸アートビレッジセンター
 
主催:ミストラルジャパン info@mistral-japan.co.jp 
 

《料金》入れ替え制
1プロ1000円  2プロ1500円


戦後復興期の白黒映画 
2012年3月17日(土)・18日(日)
「山河を越えて」は名犬、「魔の口紅」はレビュー、「やぐら太鼓」は相撲がモチーフになっており、戦後復興期の風俗や情景を見ることができる。また、人々に力を与えようとした当時の映画作家の想いが伝わってくる。夏川静江、喜多川千鶴、 高杉早苗らが出演する上映機会の少ない戦後の作品3本。
「やぐら太鼓」
(1952/81分/16mm)滝村プロダクション
監督:マキノ雅弘、滝沢英輔 
脚本:小国英雄、松浦健郎
原作:長谷川幸延 撮影:会田吉男 
音楽:服部良一 美術:南一美
録音:酒井栄三 照明:横井総一
出演:二本柳寛、高杉早苗、伊豆肇、杉葉子、渡辺篤、出羽ノ海、千代ノ山、羽黒山、照国

マキノ雅弘と滝沢英輔の共同監督作品で、マキノの特集などでも上映されていない作品。相撲を引退して田舎に引き込んだ主人公が相撲の夢に生きる物語で、出羽ノ海、千代ノ山が特別出演。羽黒山、照國、東富士の土俵入りもある。
 
 
 
 
 
「魔の口紅」
(1949/66分/16mm)映画芸術協会
監督:佐々木康 脚本:鈴木兵吾
原作:斎藤良輔 撮影:石本秀雄
音楽:万城目正
出演:水島道太郎、喜多川千鶴、月形龍之介、浜田百合子
「山の手劇場」を舞台に活動するレビュー劇団で、人気女優が自殺したあと妹がその劇団に入ったが、それから次々と不思議な事件が起き、ついに姉の貞操を奪った悪魔は警察に捕まる。山本嘉次郎、成瀬巳喜男、黒澤明、谷口千吉らによって設立された映画芸術協会の作品で、後にピンク映画監督に転身した本木荘二郎が企画。西条八十作詩・万城目正作曲の主題歌「花の宴」など歌う場面も多い。なお、トップのクレジット部分とラストの一部が欠落しています。ご了承ください。
 
 
「山河を越えて」
(1952/61分/16mm)文芸プロ
監督・脚本:山口順弘 撮影:広川朝次郎
出演:プリンス号(犬)、夏川静江、青柳光、嵯峨善兵、志摩絵子、石島房太郎
 
スコットランド産コリー種の名犬プリンス号が主役として活躍する映画。山村に疎開してきた少年が子犬を拾ってきて育てたが、家族と東京に帰ることになって、犬を友達に預けて出発したところ、犬は少年の後を追って様々な困難に遭いながら幾百キロ、東京で巡り会う涙の感動作。
    

《料金》入れ替え制
1本あたり
会員900円 学生会員・シニア会員700円
《割引》2本目は200円引き
*非会員のかたは、1日会員(登録料100円)のご登録でご覧いただけます。


ソヴィエト映画会② 革命と映画
2012年3月24日(土)・25日(日)
1991年12月25日、ソヴィエト連邦が解体して今年で20周年。ソヴィエト、ロシア映画の古典や代表作から異色作まで、不定期のシリーズとして上映していきます。
今回は、大監督エイゼンシュテインとプドフキンのそれぞれが、ソヴィエト連邦誕生の発端である十月革命を映画化した作品を上映。
「聖ペテルブルグの最後」 Конец Санкт-Петербурга
(ソ連 / 1927 / 110分[16fps]/ サイレント / 16mm)
監督:フセヴォロド・プドフキン、ミハイル・ドレル
脚本:ナターン・ザルヒ
撮影:アナトーリー・ゴロヴニャ
編集:アレクサンドル・ドヴジェンコ
出演:ヴェラ・バラノフスカヤ 、アレクサンドル・チスチャコフ、セルゲイ・コマロフ
革命前夜のロシア帝国。首都の工場へ働きに出てきた農民が、工場の労働争議に参加する。獄中や第一次世界大戦の戦場で革命家たちと交わる中で目を開かれ、十月革命の山場となる冬宮襲撃では突撃の先頭に立つ…。 若者の平凡な物語を通して、革命ロシアの物語をつむぎ、前作『母』、次の『アジアの嵐(ジンギスカンの後裔)』と合わせて革命三部作と呼ばれる。
 
 
「十月」Oktyabr
(ソ連 / 1928 / 100分[16fps]/ サイレント / 16mm)
監督・脚本:セルゲイ・M・エイゼンシュテイン、グリゴリー・アレクサンドロフ
原作:ジョン・リード
撮影:エドゥアルド・ティッセ
出演:ワシーリー・ニカンドロフ、ウラジミール・ポポフ、ボリス・リワーノフ
 
政府の依頼により、『全線』の製作を中断して十月革命十周年記念として作られた作品。1917年の労働者の武装蜂起から冬宮襲撃までを、再現による群衆シーンで描き出す。“私は、サドヴァヤへとって返した。突然、発砲があり騒ぎが起こった。私はマーケットのアーチの下に潜り込んだ。発砲のため通りからあっと言う間に人が消えた!……それらの日々は歴史となった。その歴史をどれほど懐かしみ触れてみたいと思ったことか。十年を経て、私は映画『十月』の中でそれらを再現した。”(エイゼンシュテイン)
     

《料金》入れ替え制
1本あたり
会員900円 学生会員・シニア会員700円
《割引》2本目は200円引き
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ドキュメンタリー映画「“私”を生きる」
2012年3月30日(金)〜4月10日(火)[水・木休館]

 
 
  いま学校で、
 
  そして日本で
  何が起きているのか?
 
  “教育現場での言論と思想の統制” に抗う
  3人の教師たちの姿をみつめる
 
 
 
 
 
 

   4月1日(日)13時40分の回終了後 トークイベント 土肥信雄さん(出演者)
        (参加無料/要当日鑑賞チケット/13:40の回鑑賞者が優先)

 
「“私”を生きる」(2010/138分/DV)
監督・撮影・編集:土井 敏邦  編集協力:(株)らくだスタジオ・森内 康弘
製作:「”私”を生きる」制作実行委員会  配給・宣伝:浦安ドキュメンタリーオフィス、スリーピン
 
山形国際ドキュメンタリー映画祭2011 出品
  
[公式サイト]
 
近年、教育現場では教師たちの言論が厳しく統制され、卒業式・入学式では 「日の丸・君が代」が強制されているが、それらの「教育統制」の巨大な流れに毅然と抗い、“教育現場での自由と民主主義”を守るため、弾圧と闘いながら “私”を貫く教師たちがいる。
 「自分に嘘をつきたくない。生徒に嘘をつきたくない」
  ―― 根津 公子(元中学校教員・家庭科)
 
 「炭鉱の危険を知らせるカナリヤの役割を担いたい」
  ―― 佐藤美和子(小学校教員・音楽専科)
 
 「今言わなければ後悔する。その後悔だけはしたくない」
  ―― 土肥 信雄(元三鷹高校校長)
2011年11月の大阪市長選で橋下徹前知事が当選するなか、11月28日には 出演者のひとり、根津公子さんの君が代不起立による停職処分取消訴訟の最高 裁弁論が行なわれ、その最高裁判決が2012年1月16日に、そして1月30日 には同じく出演者の土肥信雄元都立三鷹高校校長の非常勤教員採用拒否訴訟の 地裁判決が予定されており、その動向が注目されている。彼らの真摯な思いは、 果たして行政を、教育を動かすことができるのか。3人の今後に目が離せない。

  これは「教育」問題や「日の丸・君が代」問題を論じるドキュメンタリーではない。
  日本社会の“右傾化” “戦前への回帰” に抵抗し、“自分が自分であり続ける” ために
  凛として闘う、3人の教師たちの “生き様”の記録である。
                                    土井敏邦

《料金》
当日
一般1500円 学生・シニア1000円 高校生以下800円
会員1000円 学生会員・シニア会員900円


ドイツ映画の名作
2012年4月21日(土)・22日(日)
「死の銀嶺」 Die weiße Hölle vom Piz Palü
(ドイツ / 1929 / 87分[16fps]/ サイレント / 16mm)
監督:G・W・パブスト、アーノルド・ファンク
撮影:ハンス・シュネーベルガー
音楽:ジュゼッペ・ベッチェ 
出演:グスタフ・ディーズル、レニ・リーフェンシュタール、エルンスト・ペーターセン、エルンスト・ウデット
『聖山』『マッターホン』『新しき土』のアーノルド・ファンクが『喜びなき街』『パンドラの箱』のG・W・パブストと共同監督し、『意志の勝利』『民族の祭典』の女性監督レニ・リーフェンシュタールが女優時代に主演した無声映画。スイスのピッツ・パリュウ(主峰3905m)の山頂を目指す博士と愛妻が雪崩に逢い谷間に墜落、博士は愛妻を失う。十年の歳月が流れ、新たな男女カップルが山小屋に現れ博士と3人で登頂しようとするが大雪崩で遭難。カップルを救うため博士は犠牲となってしまった。若き日のレニ・リーフェンシュタールの美しさが見どころ。
 
 
「ガソリン・ボーイ三人組」
Die Drei von der Tankstelle
(ドイツ / 1930 / 90分 / 16mm)
監督:ヴィルヘルム・ティーレ
製作:エリッヒ・ポマー 
撮影:フランツ・プラナー
音楽:ウェルナー・リヒャルト・ハイマン
出演:リリアン・ハーヴェイ、ヴィリー・フリッチ、フリッツ・カンパース、オルガ・チェホーワ
『会議は踊る』で一躍有名になったリリアン・ハーヴェイ、ヴィリ・フリッチュが出演する音楽映画。『嘆きの天使』『狂乱のモンテカルロ』『会議は踊る』『三文オペラ』『ワルツ合戦』などと共にウーファのシネオペレッタとして知られ、主題歌「友達は良いもの」がヒット。ガソリン・スタンドを買った青年三人組は、いつも給油に来る愛らしい娘に惚れてしまうが、最もハンサムな青年と結ばれるという話を歌や踊りを交えて楽しく描く。
     

《料金》入れ替え制
1本あたり
会員900円 学生会員・シニア会員700円
《割引》2本目は200円引き
*非会員のかたは、1日会員(登録料100円)のご登録でご覧いただけます。


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