プログラムPROGRAM
2013 8

津軽三味線 高橋祐次郎
「祭爆 SAIBAKU」〜までぃに三味線奏でるべ〜

2013年8月2日(金)〜6日(火)

急遽決定 監督トーク 8月4日(日)11:00の回上映終了後
冨沢 満
1964年NHK函館放送局赴任。その後、NHKのドキュメンタリー畑を歩き続ける。主な作品に教養特集「五稜郭」「ある人生 605号室のカルテ」「人間列島 春昴丸の人々」「特集 天王寺界隈」「NHK特集 井伏鱒二の世界」「NHK特集 トンボに なりたかった少年」「ぐるっと 海道3万キロ~涙で書いたラブレター~」「NHKスペシャル 空海の風景」「地球に好奇心 アンデスに響く黒人音楽」など多数。著書に「僕のNHK物語~あるTVドキュメンタリストの追憶」がある。

「祭爆 SAIBAKU」
(2013/91分/HD)
企画:蘇秋月 監督:冨沢満
撮影:中野英世
録音:芝丕東、矢島隆太
プロデューサー:平林猛
製作:株式会社ボス
男、命を三筋の糸にかけて……
すべての人へ贈る、
感動のドキュメント

  
この映画は、その民謡の達人の厳しくも豊かな人生を追った人間記録です。
昭和9年生まれの祐次郎は多くの秋田民謡、郷土芸能「ささら舞」や村芝居などに触発され、その芸を目覚めさせました。
やがて昭和30年、出稼ぎで一旗揚げようと大工道具と三味線を持って高度経済成長入り口の東京へ。結局、彼は大工道具を捨て、民謡酒場の下足番になります。 そこで目を凝らし、プロの芸人たちの芸を盗み続けました。
やがて日本はもちろん世界70ヵ国に花開く祐次郎の津軽三味線の音と楽しい話術が人々を魅了することになりました。
撮影開始の2011年から彼が亡くなる2012年9月までの、この2年間の記録は、祐次郎の元気な日々、その奏でる見事な音曲の世界、稽古場を中心に次の時代へ伝える命と技と芸の燃焼を追ったものです。
そして、弟子たちと交わす愛情こもった言葉や表情を豊かに伝え、また、「祐次郎先生」「祐次郎師匠」「祐ちゃん」とさまざまな言葉で彼に親しんだ多くの人々の証言が、彼の魅力を多面的に語ってくれています。

若き日の高橋裕次郎(左から2人目)
民謡歌手を志して入店した民謡酒場「らんまん」で
昭和30年代前半撮影、東京・浅草

[公式サイト]
 

高橋祐次郎とは
昭和9年、秋田県仙北郡角館町(現:仙北市角館町)生まれ。子どもの頃から民謡の中で育つ。昭和30年、大工道具と三味線を携えて上京。浅草の国際劇場で三橋美智也のショーに感激し、民謡の世界に入る。民謡酒場で修行し、32年、日本民謡協会に入会。33年、浅草松竹演芸場にて初代浜田喜一一行に参加、初舞台。39年、民俗芸能団の一行でハワイにて6ヵ月公演。その後、民祐会を創立、アジア民俗芸能祭、海外公演などを行う。62年、津軽三味線合奏団を結成し、高橋祐次郎&KAZEとして、国内各地、海外にて公演。 また、TV、ラジオ、レコード他で活躍。平成24年9月永眠。享年78才。

《料金》
一般1500円 学生・シニア1300円
会員一般1300円 学生会員・シニア会員1000円


「加藤泰、映画を語る」増補文庫版 刊行記念
加藤泰を見る、語る
2013年8月10日(土)・11日(日)
ちくま文庫版『加藤泰、映画を語る』
出版記念上映会へ向けて

山根貞男 

加藤泰の講演集『加藤泰、映画を語る』が、ちくま文庫になった。元の単行本は1994年に筑摩書房から出版されたが、絶版になって久しい。近年、加藤泰作品の上映の機会が増えているなか、文庫版による復活は多くのファンへの贈り物になると思われる。しかも、新たに見つかった講演とエッセイを加えた増補版であり、愛娘加藤文の書き下ろしエッセイも収録されている。
この『加藤泰、映画を語る』は安井喜雄とわたし(山根)の編集による。そこで、当然のことながら、安井喜雄が館長の神戸映画資料館で加藤泰作品の上映会を催し、わたしが当館における加藤泰講座の特別版トークをおこなうことになった。
上映作品は『清水港は鬼より怖い』(1952)と『男の顔は履歴書』(1966)。この初期作品と中期作品を合わせて見れば、およそ同じ監督の撮った映画とは思えないことに、だれもが驚嘆するにちがいない。あらためて加藤泰恐るべし。

山根貞男映画講座「特別篇・加藤泰の世界」
8月10日(土)16:30〜
(終了予定18:00)


「清水港は鬼より怖い」
(1952/ 80 70分/16mm)
製作:宝プロ
監督:加藤泰 脚本:木下藤吉、友田晶二郎
撮影:近藤憲昭 音楽:高橋半 美術:鈴木孝俊
出演:大泉滉、沢村国太郎、原健作、尾上菊太郎、加東大介、朝雲照代
日本映画史には次郎長もの映画は無数にあるが、これほどデタラメな映画はめったにないだろう。江戸の老舗の若旦那が侠客に憧れて次郎長の子分になる。たったそれだけの話だが、漫才ミュージカルとでもいうべき奇天烈な時空をくりひろげてゆく。これがデビュー作『剣難女難』前後篇につづく第2作と、だれが信じられよう。(神戸映画資料館収蔵フィルムより欠落の少ない長尺16ミリ版で上映。当初80分と記していましたが、実際は約70分のプリントです。何卒ご了承ください。)
 

©1966松竹

「男の顔は履歴書」
(1966/89分/35mm)
製作:松竹
監督:加藤泰 脚本:星川清司、加藤泰
撮影:高羽哲夫 音楽:鏑木創
美術:梅田千代夫
出演:安藤昇、真理明美、伊丹一三、中谷一郎、内田良平、中原早苗、嵐寛寿郎
加藤泰が初めて松竹で撮った映画で、しかも本格的な現代劇。第2次大戦に敗れた直後の日本では、闇市に建ったマーケットが庶民の暮らしを支えてきた。そこの支配をめぐるいわゆる「マーケット戦争」が、戦中派の医師を主人公に、壮烈なアクション映画として描かれる。主役があの安藤昇なので、やくざ映画と誤解されることもあるが、戦中から戦後へかけての激動の底辺に封じ込められたマグマの噴出に焦点が合わされている。加藤泰はこのあと安藤昇と組んで『阿片台地 地獄部隊突撃せよ』(1966)『懲役十八年』(1967)を連作するが、その戦中派3部作の第1作である。
 

《料金》入れ替え制
[映画]1本あたり
一般1200円 学生・シニア1000円
会員1000円 会員学生・シニア900円

《割引》
当日、2本目あるいは講座参加者は200円引き
 
[講座]
一般1200円 会員1000円
*講座参加ご予約受付中 
info@kobe-eiga.net 宛に、お名前、連絡先(電話)、参加希望日を書いてお送りください。
追って予約受付確認のメールを差し上げます。


ロシア・ソヴィエト映画 連続上映
第1回 1960年代新しいソ連映画

2013年8月15日(木)〜18日(日)
1950年代の「雪解け」の後、60年代に現れたソヴィエト映画の「新しい波」。連続上映の第1回は、タルコフスキー、パラジャーノフ、ダネリヤら新しい監督の誕生、そして彼らに先行する世代で、コージェンツェフの文芸作品、映画大学で後進を育成したロンム後期の代表作を見ていきます。
 
「殺し屋」
(1956/19分/35mm)
全ロシア国立映画大学
監督・脚本:アンドレイ・タルコフスキー、アレクサンドル・ゴルドン
原作:アーネスト・ヘミングウェイ
出演:ユーリー・ファイト、アレクサンドル・ゴルドン、アンドレイ・タルコフスキー、ヴァシーリー・シュクシン
タルコフスキーが映画大学のロンムの授業で作った習作。クラスの仲間とともに出演もしている。ヘミングウェイの短篇小説の映画化で、米国の田舎町に現れた殺し屋と殺される男をめぐる物語。
 
 
「ローラーとバイオリン」
(1960/46分/35mm)
モスフィルム
監督:アンドレイ・タルコフスキー
脚本:アンドレイ・ミハルコフ=コンチャロフスキー、アンドレイ・タルコフスキー
撮影:ワジーム・ユーソフ
音楽:ヴャチェスラフ・オフチンニコフ
出演:イーゴリ・フォムチェンコ、ウラジーミル・ザマンスキー
バイオリンを学ぶ育ちのいい少年が道路整備のローラーを運転する労働者と仲良くなるが……。小品ながら、タルコフスキー監督の主要モチーフが垣間見える映画大学の卒業制作。
 
 
「一年の九日」
(1961/100分/35mm)
モスフィルム
監督:ミハイル・ロンム
脚本:ダニール・フラブロヴィツキー、ミハイル・ロンム
撮影:ゲルマン・ラヴロフ
音楽:ジョン・テル=タテボシャン
出演:アレクセイ・バターロフ、インノケンティ・スモクトゥノフスキー、タチアナ・ラヴロワ
原子力研究所の事故で被曝した若い研究者の仕事と愛と生死をめぐる物語を、9日間の断片的エピソードを通じて描く。全ロシア映画大学で教鞭をとり、タルコフスキーらを世に送り出したロンム監督の代表作。
 
 
「火の馬」
(1964/97分/35mm)
キエフスタジオ
監督:セルゲイ・パラジャーノフ
原作:ミハイル・コチュビンスキー
脚本:セルゲイ・パラジャーノフ、イワン・チェンディ
撮影:ユーリー・イリエンコ
出演:イワン・ミコライチューク、ラリーサ・カードチニコワ、タチヤーナ・ベスタエワ
ウクライナの辺境・カルパチア地方の民話を映画化。人間と自然、そして超自然的なものが自由なキャメラワークでとらえられていく。パラジャーノフの名を世界に知らしめた初期の代表作。
 
 
「モスクワを歩く」
(1963/73分/35mm)
モスフィルム
監督:ゲオルギー・ダネリヤ
脚本:ゲンナージ・シュパリコフ
撮影:ワジム・ユーソフ
出演:ガリーナ・ポリスキーフ、アレクセイ・ロクテフ、ニキータ・ミハルコフ
1960年代前半の自由な空気のなか、青春を謳歌するモスクワの若者たちを、『不思議惑星キン・ザ・ザ』で知られるダネリヤ監督が描く。当時18歳だったニキータ・ミハルコフが出演。
 
 
「ハムレット」
(1964/150分/35mm)
レンフィルム
監督・脚本:グリゴリー・コージェンツェフ
原作:ウィリアム・シェークスピア
撮影:イオナス・グリツュス
音楽:ドミートリイ・ショスタコーヴィチ
出演:インノケンティ・スモクトゥノフスキー、アナスタシア・ヴェルチンスカヤ、ミハイル・ナズワーノフ
有名な復讐劇を、「われらの同時代人シェイクスピア」の著書があるコージンツェフ監督が映画化した。音楽はショスタコーヴィチが担当。上層部の反対をはね返して作られ、イギリスでも好評を博した。1964年ヴェネチア国際映画祭審査員特別賞。
 
 
「野獣たちのバラード」
(1965/129分/35mm)
※日本語解説版(ナレーション:宇野重吉)
モスフィルム
監督:ミハイル・ロンム
脚本:ミハイル・ロンム、マヤ・トゥロフスカヤ、ユーリー・ハニューチン
撮影:ゲルマン・ラヴロフ
膨大なニュースフィルムや記録映画を駆使して、ナチス・ドイツの残虐性を描いたドキュメンタリー。日常的な環境に潜む「ありふれたファシズム」(映画の原題)が人間の本性に発することを告発し、人間が思考を放棄すれば、あらゆる国でファシズムが起こりうることを示す。
 
 
主催:神戸映画資料館、アテネ・フランセ文化センター
協力:ロシア映画社
 

《料金》入れ替え制
1本あたり(「殺し屋」と「ローラーとバイオリン」は2本組)
一般1200円 学生・シニア1000円
神戸プラネットシネマ倶楽部会員1000円 学生・シニア会員900円
アテネ・フランセ文化センター会員1000円

《割引》
当日に限り2本目は200円引き


辛基秀映画の足跡
2013年8月31日(土)・9月1日(日)
この夏の光復節・解放記念日、韓国映像資料院で『解放の日まで 在日朝鮮人の足跡』が初上映される。この上映を受け、辛基秀映画の足跡をたどる。
Aプログラム
「江戸時代の朝鮮通信使」
(1979/48分/16mm)
プロデューサー:辛基秀
シナリオ:滝沢林三、辛基秀
監督:滝沢林三 撮影:髙岩仁
撮影助手:清水良雄 音楽:高橋悠治
演奏:ヴァン・ドリアン 語り手:西村晃
タイトル:富永浩一
現像:東映化学工業 録音:大平スタジオ
ネガ編集:創映社 製作協力:東京シネアート
企画・製作:映像文化協会
江戸時代の絢爛豪華な朝鮮通信使の歴史的意義と、その華やかな文化交流の事実に、映画史上初めてスポットを当てた記念碑的作品。辛基秀が私費を投じて収集した朝鮮通信使資料の他、全国に点在する絵巻や屏風絵などを総動員して日朝の平和友好の歴史を描く。毎日映画コンクール2位、キネマ旬報文化映画ベストテン4位、日本映画ペンクラブ推薦、文部省選定。監督は『メーデー裁判』『イルム・なまえ 朴秋子さんの本名宣言』の滝沢林三。
 
「タチソ(高槻地下倉庫)作戦 成合地下トンネル」
(1984/34分/16mm)
製作:映像文化協会 監督:辛基秀 撮影:髙岩仁
戦時中、高槻市成合の山間部に掘削された高槻地下倉庫(軍の暗号でタチソ)の建設にあたって多くの朝鮮人労働者が危険な仕事に従事した。その実態を資料に基づき描いた作品。上映の機会が少なく必見。
 
Bプログラム  
「解放の日まで  在日朝鮮人の足跡」
1980 1986/ 210 195分/16mm)
原案・構成:辛基秀
撮影:髙岩仁 編集:辛島一
録音:佐々木昌彦 音楽:関口孝
ナレータ−:伊藤惣一 指導:朴慶植
企画・制作:青丘文化ホール(代表・辛基秀)
製作会社:労働映画社
新潟県中津川水力発電所工事場における朝鮮人労働者虐殺事件、岸和田紡績工場における朝鮮人・日本人紡績女工の共同闘争、愛知県三信鉄道工事場争議、九州筑豊麻生炭坑の労働争議など、日本の植民地から解放に至る解放運動の一翼を担った多くの人々を捜し出し、その貴重な証言を集めた。辛基秀が生涯をかけて集めた映像資料を駆使して戦前の在日朝鮮人の足跡を描いた大作。
 
 

辛基秀(シン・ギス)
1931年、京都市生まれ。神戸大学経営学部卒業。同大学院中退。1974年、映像文化協会代表。1984年、青丘文化ホール主宰。2002年10月5日没。

協力:辛理華
 

《料金》入れ替え制
1プログラムあたり
一般1300円 シニア1000円 学生700円
会員1200円 会員シニア900円 会員学生600円

《割引》
10名以上団体割引あり
当日、2プログラム目は200円引き


これまでのプログラム|神戸映画資料館

※内容は予告無く変更する場合があります。

※作品によっては、経年退化で色褪せしている場合がございます。予めご理解ご了承の上、ご鑑賞くださいますようお願い申し上げます。