プログラムPROGRAM
2013 7

濱口竜介プロスペクティヴ in 関西
6月29日(土)〜7月8日(月)[水・木休館]
 
神戸・大阪・京都のミニシアター5館で同時開催する「濱口竜介プロスペクティヴ in 関西」。神戸映画資料館では、4時間を超える大作『親密さ』と、東北ドキュメンタリー三部作を上映。関西に拠点を移した濱口竜介の「これから」の「はじまり」にお立ち会いください。

トーク
6月29日(土)『なみのこえ 気仙沼』上映後
 芹沢高志(『なみのこえ』『うたうひと』プロデューサー、デザイン・クリエイティブセンター神戸センター長)
 酒井耕(映画監督/東北三部作共同監督)
 濱口竜介(映画監督)
 
6月30日(日)『親密さ』上映後
 丹生谷貴志(神戸市外国語大学 教授)
 濱口竜介(映画監督)
 
7月7日(日)『なみのこえ 気仙沼』上映後
 酒井耕(映画監督/東北三部作共同監督)
 濱口竜介(映画監督)

 
「親密さ」
(2012/255分[途中休憩あり]/HD[ブルーレイ上映])
製作:ENBUゼミナール
監督・脚本:濱口竜介
撮影:北川喜雄 編集:鈴木宏
整音:黄永昌 助監督:佐々木亮介
制作:工藤渉 劇中歌:岡本英之
出演:平野鈴、佐藤亮、伊藤綾子、田山幹雄 ほか
ともに演出家であり、恋人同士でもある令子と良平は互いに傷つけ合いながら舞台劇『親密さ』初演を迎える。
4時間を越える大作だが、ENBゼミナールの演技コースの修了作品としてスタートした企画である。映画と映画内の舞台劇の関係においてだけでなく、それぞれの中でも、現実と虚構が複雑、微妙に交錯し続け、虚実の彼岸にあるリアリティーの核心が胸を揺さぶる。美し過ぎるラストが、岡本英之の音楽とともに脳裡に焼き付く。
 
「なみのおと」
(2011/142分/HD[ブルーレイ上映])
製作:東京藝術大学大学院映像研究科
プロデューサー:藤幡正樹、堀越謙三
監督:濱口竜介、酒井耕
撮影:北川喜雄 整音:黄永昌
2011年7〜8月に撮影された岩手県から福島県沿岸部の、津波被災者6組11人への対話形式インタビューの記録
酒井耕と共同監督で、東日本大震災についてのドキュメンタリー。濱口と酒井は、震災の爪痕を撮影したり、地震発生時の記録映像を引用したりはせずに、被災者の証言を記録することに集中する。その際二人は、ドキュメンタリーでは掟破りともされかねないある方法を用いるが、これは被災者の表情により迫るための真摯な試みだ。
 
「なみのこえ 新地町」
(2013/103分/HD[ブルーレイ上映])
製作:サイレントヴォイス
プロデューサー:芹沢高志、相澤久美
監督:濱口竜介、酒井耕
実景撮影:佐々木靖之 整音:鈴木昭彦
2012年1月から2013年3月に行われた福島県新地町に暮らす6組10名への対話形式インタビューの記録。
震災後約一年、原発事故後の不安と海の汚染や海産物の風評被害の下にある福島県新地町という、被災地の中でも相当に微妙な状況の下で、濱口と酒井は、『なみのおと』の特異な方法論を先鋭化・徹底化させながら、複雑なものを単純化せず、分かり易くせずに提示し、観客に共有させようと、あるいは共有の困難さを示そうとする。
 
「なみのこえ 気仙沼」
(2013/103分/HD[ブルーレイ上映])
製作:サイレントヴォイス
プロデューサー:芹沢高志、相澤久美
監督:濱口竜介、酒井耕
実景撮影:佐々木靖之 整音:鈴木昭彦
2012年1月から2013年3月に行われた宮城県気仙沼市に暮らす7組11名への対話形式インタビューの記録。
人口が減り続け復興の未来の見えない気仙沼だが、未来への希望を人々は微かに見ようとしている。濱口と酒井は『なみのおと』の方法論を受け継ぎながらもそこに着目し、震災に直接関わる内容を超えて、被災者の過去をも掘り起こそうとする。喋るのが苦手な人にあえてカメラの前で語らせることで、確かに見えてくるものがある。
 
「うたうひと」
(2013/120分/HD[ブルーレイ上映])
製作:サイレントヴォイス
プロデューサー:芹沢高志、相澤久美
監督:濱口竜介、酒井耕
撮影:飯岡幸子、北川喜雄、佐々木靖之
整音:黄永昌
宮城県に暮らす語り手による東北地方伝承の民話語り。これは同時に彼らを訪ね続けた聞き手の記録でもある。
酒井耕との共同監督作品で被災地に取材しながら、ここで濱口と酒井が取り上げるのは民話(昔話)を語る老人達である。取材やインタビューの経験から触発されたこの作品では、語りは聞き手の反応があってのコミュニケーションであることが浮き彫りにされ、さらには映画とは何かの根源さえも問われることになるだろう。
*作品解説:木村建哉(映画研究者)
公式サイト
ウェブ・スペシャル 寄稿
 「〈言葉〉を撮るドキュメンタリー──濱口竜介・酒井耕の東北三部作について」
 井上正昭(翻訳・映画雑文)

 
ウェブ・スペシャル 映画時評[一年の十二本]
 第十二回 たどり着くことから解き放たれてすべては「はじまり」となる──『親密さ』
 藤井仁子(映画評論家)

 

《料金》入れ替え制
[親密さ]
一般2000円 会員1800円
 
[その他作品]
一般1300円 会員1200円
3回券3300円
(前売・当日あり/数に限りがあります/他会場と共通/複数人での利用可/『親密さ』にはご利用いただけません)
 
*招待券のご利用不可
*上映館により、各種料金の設定が異なりますのでご注意ください。

企画:fictive 後援:LOAD SHOW


ドキュメンタリー「異国に生きる 日本の中のビルマ人」
2013年7月12日(金)〜16日(火)
誰のために、何のために、
遠い“異国”で生きるのか
自分には何がいちばん大切なのか――
東京で暮らすビルマ人青年の14年間の記録

 
「異国に生きる 日本の中のビルマ人」
(2012/100分/HD[ブルーレイ上映])
監督・製作:土井敏邦
撮影・編集:土井敏邦、横井朋広
整音:藤口諒太
写真撮影・デザイン:野田 雅也
配給:浦安ドキュメンタリーオフィス  
 
1991年、ビルマ(ミャンマー)軍事政権の弾圧を逃れ、家族を祖国に残したまま、政治難民として日本に渡ったビルマ人青年チョウチョウソー(チョウ)。生活のためにレストランで働きながら、祖国で封じられた民主化運動を続ける日々。数年後、妻ヌエヌエチョウとの再会が叶うと、日本でビルマ料理店をオープンし、2人での亡命生活が始まる。第三国タイでやっと実現した14年ぶりの老父との再会。しかしその後の父の死の報にも帰国は実現しなかった。
日本での滞在はすでに20年以上になり、暮らしも安定した。しかし、そこはチョウにとって将来の保障もなく、祖国に貢献する役割も担えない“異国”であり、“自分の居場所”ではない。「家族に会いたい」「祖国で暮らしたい」という願いと、“祖国の民主化運動”のためにその望郷の想いを捨てなければならないという思い。その狭間で揺れ、迷ってきたチョウは、今の祖国の「民主化」をどう捉え、その中でどう生きようとするのか…。
『沈黙を破る』(2009)、『”私”を生きる』(2010)
で注目を浴びた土井敏邦監督の最新作!

2009年度キネマ旬報文化映画ベスト・テン第1位に輝いた『沈黙を破る』、2012年度ベスト・テンで第2位を獲得した『“私”を生きる』の土井敏邦監督が、在日ビルマ青年を14年もの歳月をかけて追い続けた注目の最新作。
主人公チョウが愛する“国”とは “国家”なのか、“故郷”なのか、それとも“大切な人”なのか。彼の生き方を通して、「愛国心」の真の意味を震災後の日本社会に静かに問いかける。
 
[公式サイト]
 

トーク付き上映 7月14日(日)13:00の回上映終了後
  中尾恵子(日本ビルマ救援センター代表)
    ×
   箱田徹
(ビルマ情報ネットワーク・ディレクター)
 
中尾恵子(なかおけいこ)
日本ビルマ救援センター代表
日本ビルマ救援センターは20年以上にわたり、関西を拠点にタイ・ビルマ国境と日本国内のビルマ難民支援を行うNGO。中尾氏は90年代後半から活動に参加。優しく誠実な人柄からビルマ人の信頼も厚い。
 
箱田徹(はこだてつ)
ビルマ情報ネットワーク・ディレクター、立命館大学専門研究員
ビルマ情報ネットワークは、ビルマの抱える様々な問題をインターネットを使って日本語で紹介する情報系NGOで、箱田氏は大学時代から創設メンバーとして15年あまり活動を行う。東京ではアドヴォカシーに力を入れる。

ビルマ(ミャンマー)料理 7月13日(土)・14日(日)11:30ごろ〜
シネマカフェ・チェリー(神戸映画資料館内)
 
新長田のミャンマー料理店TeTe(テテ)さんのメニューを、2日間限定でご提供します。
通常よりミニサイズでお出ししますので、気軽にお楽しみください。
  ミャンマーカレー300円 モヒンガー(麺類)250円 サモサ(1ッ) 180円

《料金》
一般1500円 学生1300円 シニア・高校生以下1000円
会員一般1000円 学生会員・シニア会員900円


これまでのプログラム|神戸映画資料館

※内容は予告無く変更する場合があります。

※作品によっては、経年退化で色褪せしている場合がございます。予めご理解ご了承の上、ご鑑賞くださいますようお願い申し上げます。