プログラムPROGRAM

サイレント映画鑑賞会 ハリー・ラングドンとその周辺

「ハリーの結婚」

「ハリーの結婚」

2015年1月24日(土)14:00〜
1920年代。第一次大戦後のバブル景気に湧くアメリカ。“狂熱の’20s”は、サイレント・コメディ映画の爛熟期でもあった。喜劇人たちは、視覚ギャグをとことんまで追求した。その結果、「そこまでやる!?」的過激アクションや、アニメーション的ハチャメチャぶりは沸点に達し、まさに爆発寸前!な状況だった。
そんなクレイジーな喜劇群へのアンチテーゼとして登場したのが、第9講コメディ学入門でとりあげるハリー・ラングドンである。彼の登場を境にして、サイレント・コメディはよりスローペースなシチュエーション喜劇へとシフトしていった。過激なスラップスティックから、ローレル&ハーディに代表されるトーキー喜劇へ。その橋渡しをしたのがハリー・ラングドンだったのだ。
ハリーの貴重な短編と、同時代の多彩なコメディアンたちの作品をまとめて観ることで、20年代アメリカ無声喜劇の変遷を感じとっていただきたい。(いいをじゅんこ)

「ラリーのウィークエンド・ドライバー」The Cloudhopper
(アメリカ/1925/8分/サウンド版/16mm)
監督:ラリー・シモン、スティーブン・ロバーツ、ノーマン・タウログ
主演:ラリー・シモン、ドロシー・ドワン
普通の青年ラリー。発明家の大事な書類が盗まれ、その娘に気のあるラリーが犯人を追いかける。自動車、バイク、列車そして飛行機を駆使した後半の追っかけシークエンスが圧巻。特撮もおもしろい。

「製材所のシモン」The Sawmill
(アメリカ/1922/26分[16コマ]/無声/16mm)
監督:ラリー・シモン、ノーマン・タウログ
主演:ラリー・シモン、オリヴァー・ハーディ
製材所で繰り広げられる恋のさやあて。文字通り命がけのスタントアクションがすごい。サイレント映画史上もっとも制作費のかかった短編と言われている。当時のラリー・シモンの人気ぶりがうかがえる。ローレル&ハーディのコンビを組む前のオリヴァー・ハーディがライバル役で出演。

「無理矢理ロッキー破り」Play Safe
(アメリカ/1927/8分[短縮版/16コマ]/無声/16mm)
監督:ジョセフ・ヘナベリー
主演:モンティ・バンクス、ヴァージニア・リー・コービン
悪漢たちに襲われた乙女が列車の貨車に逃げ込む。乙女の恋人モンティが猛スピードで走る列車を追いかける。本来は50分の長編作品。疾走する列車と自動車にはさまれるスタントアクションは、20年代喜劇の過激さを象徴する場面としてしばしば引用される。

「ターピンの向こう見ず野郎」The Dare-Devil
(アメリカ/1923/10分[18コマ]/無声/16mm)
監督:デル・ロード
主演:ベン・ターピン、ハリー・グリボン
20年代にマック・セネットがハリー・ラングドンとともに見出したスターのひとり、やぶにらみのベン・ターピン。本作は西部劇の撮影現場が舞台。スタントマンのターピンはことごとく偶然に恵まれてアクションを完璧にこなす。ヒロインに乞われ急きょ映画の主人公に抜擢されるも、ターピンには荷が重すぎて失敗ばかり。

「ハリーの結婚」His Marriage Wow
(アメリカ/1925/17分[16コマ]/無声/16mm)
監督:ハリー・エドワーズ
主演:ハリー・ラングドン、ナタリー・キングストン、ヴァーノン・デント
花婿ハリーは朝寝坊して結婚式に遅刻。教会に着くと謎の男に「花嫁は君の保険金目当てだ」と警告され戦々兢々。新婚生活もビクビクしどうし。ついに毒を盛られたと勘違いしたハリーを謎の男が逃そうとするが…。ハリーの終生の友だったヴァーノン・デントが「謎の男」役を好演。

作品解説:いいをじゅんこ

《料金》
一般1000円 学生・シニア900円
会員900円 会員学生・シニア800円

《割引》[第9講コメディ学入門] 参加者は200円引き

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※内容は予告無く変更する場合があります。

※作品によっては、経年退化で色褪せしている場合がございます。予めご理解ご了承の上、ご鑑賞くださいますようお願い申し上げます。