プログラムPROGRAM

年別アーカイブ: 2015

新収蔵ポーランド映画特集2
2015年9月5日(土)・6日(日)
ポーランド映画の輸入配給、演劇研究家として知られるYAKOの山田正明氏が遺したフィルムや映画文献、オリジナル・ポスター、ビデオテープなどが神戸映画資料館に寄贈され2013年に6作品を上映したが、今回はその第2弾。

 
zycie01「家族生活」Zycie Rodzinne
(1970/72分 92分/35mm)
製作:映画製作集団トール
監督・脚本:クシシュトフ・ザヌーシ
撮影:ヴィトルト・ソボチンスキ
出演:マヤ・コモロヅスカ、ダニエル・オルブリフスキ、ヤン・クレチマル、ハリーナ・ミコワイスカ
ヌーヴェル・ヴァーグの後継世代〈モラルの不安派〉の代表的監督ザヌーシの長編第2作。若い技師ヴィッテは父が倒れたとの報を受け、友人を伴って故郷へ帰る。風変わりな妹と妻の妹と暮らす父は病気ではなかったが、孤独な父の心情を思い去るのをためらうのだった…。救いようのない家庭崩壊と人間不信を描いた作品で、シカゴ国際映画祭で審査員特別賞を受賞。

 

「偶然」Przypadk
(1981/119分/35mm)
製作:映画製作集団トール
監督・脚本:クシシュトフ・キェシロフスキ
撮影:クシシュトフ・パウルスキ
出演:ボグズワフ・リンダ、タデウシ・ウオムニツキ、ズビグニエフ・ザパシェビッチ
「トリコロール」3部作などで知られるキェシロフスキ監督の初期代表作。 ポーランドにとって激動の1980年が始まろうとしていた時代を背景に、ある医学生が辿り得る三通りの人生を描き出す。検閲による上映禁止処分を受け、完成から6年後の1987年に公開された。

 

austeria01「宿屋」Austeria
(1982/109分/35mm)
製作:映画製作集団カードル
監督:イェジー・カヴァレロヴィチ
原作:ユリアン・ストゥリコフスキ
撮影:ジグムント・サモシュク
出演:フランチェシカ・ピイエツカ、ヴォイチェフ・プショニアック、ヤン・シュルミエイ
『尼僧ヨアンナ』で知られる〈ポーランド派〉の巨匠カヴァレロヴィチが描くポーランド系ユダヤ人の記憶。1914年、第一次大戦勃発直後の東ガリチア地方の小さな街が舞台。ユダヤ人たちがコサックの虐殺から逃れオーストリアに向かう途中、ユダヤ人タグが営む宿屋に立ち寄るが…。

 

プラネット・シネマテーク
《会費》収蔵協力費として
入れ替え制1本あたり
会員900円 会員学生・シニア800円
《割引》2本目は200円引き
*非会員のかたは、1日会員(登録料100円)のご登録をお願いします。


[貸館]内藤×竹中映画まつり
2015年9月12日(土)15:00〜
京都を中心に映画やテレビのみならず、自主制作映画でも活躍する俳優、内藤和也。
関西で数々の自主映画を制作、発表している映像作家、竹中哲也。
2人の10年間のコンビ作4本を一挙上映!

kishibe「岸辺の情景」(2008/DV/51分)
監督:竹中哲也
出演:山田山未舟、内藤和也、大槻雄一郎
初のタッグ作。東京に憧れる女優志望の妹と、性格が正反対の兄2比とが織り成す悲喜こもごもの日常を描く、ホームドラマの佳作。

 

 

「Midori」(2010/DV/39分)
監督:竹中哲也
共同脚本:浦山陽子
出演:内藤和也、鈴木奈那子
事件の張り込みにやってきた、ベテラン掲示と新米の女性刑事。やがてお互いの家族について、張り込み中なのに議論が始まる。

 

 

takasago「高砂メモリーズ」(2012/HV/80分)
監督:竹中哲也
出演:熊橋穣、大恵彩乃、内藤和也、中谷章子
高砂市の万灯祭に参加する高校生たちの夏休みを描いた青春映画。高砂市のノスタルジックな風景の中で繰り広げられる、恋と友情の群像劇。

 

 

「さよならダディ」(2015/HV/47分)
監督:竹中哲也
出演:内藤和也、山本弥侑、中谷章子、八幡泰久
七年ぶりに再会した父娘。そこへ父の愛人や、娘のボーイフレンドが乱入してきて親子の関係はギクシャクし始める。悲喜劇タッチのホームドラマ。

 

→予告篇

内藤さんは東映の役者さん。でもポリシーは「役者にプロもアマもない、ただ芝居が斬り結ぶ瞬間があるだけ」とのこと。
竹中監督の作風は激しく煽るのではなく「見つめ続ける」視線が特徴。
2人が写し出す「斬り結び」のリアルさにいつもどきどきさせられる。
──横田丈実(映画監督)

《料金》1500円
お問い合わせ:moviefac-1138●(@に替えてください)docomo.ne.jp(竹中)

ロシア・ソヴィエト映画 連続上映
第14回 戦争映画

2015年9月19日(土)〜21日(月・祝)
第二次世界大戦を扱った数あるソヴィエト映画の中から、ドイツとソ連の戦闘を描いた3作品を上映。

T-34_01「鬼戦車T-34」ЖАВОРОНОК
(1964/89分/35mm)レンフィルム
監督:ニキータ・クリーヒン、レオニード・メナケル
脚本:ミハイル・ドゥージン、セルゲイ・オフロフ
撮影:ニコライ・ジーリン、ヴィクトル・カラセフ
出演:ヴァチェスラフ・グレンコフ、ゲンナジー・ユフチン、ワレリー・ポゴレリツェフ
1942年、ドイツ東部にあるナチス軍の捕虜収容所では、捕虜を操縦士として乗せたソ連の戦車T-34を標的に射撃実験が行われていた。そんなある日、ソ連軍捕虜たちが戦車ごと大脱走を企てる。ソ連領を目指してドイツ中を走り抜ける本物の戦車T-34が主人公とも言える戦争映画。

 

sokoku_01「祖国のために」
ОНИ СРАЖАЛИСЬ ЗА РОДИНУ
(1972/135分/35mm)モスフィルム
脚本・監督:セルゲイ・ボンダルチュク
原作:ミハイル・ショーロホフ
撮影:ワジーム・ユーソフ
美術:フェリックス・ヤスケビッチ
音楽:ヴァチェスラフ・オフチンニコフ
出演:ワシーリー・シュクシン、ヴァチェスラフ・チーホノフ、セルゲイ・ボンダルチュク
戦線を実際に視察して書かれたショーロホフの長編小説の映画化。ナチス・ドイツ軍に圧倒されながらも不屈の意志で反撃を続けるソ連軍兵士たちや、戦闘シーンの臨場感は、ボンダルチュク監督の真骨頂。撮影は、ダネリヤの『モスクワを歩く』や『惑星ソラリス』等のタルコフスキー作品を多数手がけるワジーム・ユーソフ。

 

628_02「炎628」ИДИ И СМОТРИ
(1985/143分/35mm)
モスフィルム、ベラルーシフィルム
脚本・監督:エレム・クリモフ
原作・脚本:アレシ・アダモーヴィチ
撮影:アレクセイ・ロジオーノフ
美術:ヴィクトル・ぺトロフ
音楽:オレーグ・ヤンチェンコ
出演:アリョーシャ・クラフチェンコ、オリガ・ミローノワ、リュボミラス・ラウツァヴィチュス、ウラダス・バグドナス
628_011943年、ドイツ軍の侵攻を受けたベラルーシの村。たまたま銃を手に入れた少年がパルチザン部隊に加わるが、彼の村はそのせいで全員虐殺されてしまう。生の謳歌と残酷な死とが極端なまでに隣り合わせる戦場の無残を描く衝撃の作品。戦時下に実際にあった「ハティニ村虐殺事件」を題材にした小説の映画化で、そのような殺戮を受けた村の数が628にも及ぶという。

 

主催:神戸映画資料館、アテネ・フランセ文化センター
協力:ロシア映画社

《料金》入れ替え制
1本あたり
一般1200円 学生・シニア1000円
神戸プラネットシネマ倶楽部会員1000円 学生・シニア会員900円
アテネ・フランセ文化センター会員1000円
《割引》
当日に限り2本目は200円引き


[貸館]Music Song Dance『PACIFIKMELTINGPOT / In Situ Osaka 2013』
2015年9月22日(火・祝)・23日(水・祝)10:40〜

PMP2013

Music Song Dance『PACIFIKMELTINGPOT / In Situ Osaka 2013』
(2015/「リサーチワーク編」60分、「ワークインプログレス/プレゼンテーション編」60分/HD)
監督:山城知佳子+砂川敦志(水上の人プロダクション)
音楽:オムトン
出演者:レジーヌ・ショピノ, ヨセファ・エナリ, 北澤香, チュペ・ルアルア, ジェンゲン・ナマノ, 那須誠,  ジュリアン=ラメカ・ネェミア, ゼルエ・セリュジェーユ, イレペ・シハゼ, 富田大介, エピアッチェ・ワウィン(アルファベット順)

沖縄を拠点に世界で活躍する山城知佳子と砂川敦志が、2013年に撮影したダンスのドキュメンタリーフィルム。大阪大学での1週間に渡るリサーチワークと、アートエリアB1でのダンス公演の素材をもとに映画化。カナックやサモアン、そして日本人ら太平洋諸国のアーティストや研究者が、フランスの振付家R・ショピノの舵取りにて音と声と体(音楽と歌と踊り)をぶつけ合い、交感の回路を開いてゆく。音楽では打楽器ユニットomu-toneも参加。
上映日(22-23日)の午後はアートシアター・ダンスボックス神戸で『PACIFIKMELTINGPOT 2015』のダンス公演あり(会場は映画資料館から徒歩2分)。
→特設サイト

1部 10:40-「リサーチワーク編」
2部 11:50-「ワークインプログレス/プレゼンテーション編」
2本立て上映。10分間の休憩あり。

水上の人プロダクション
『肉屋の女』(森美術館MAMプロジェクト)等の作品で知られる映像作家 山城知佳子と、劇映画の助監督を経てきた映画監督 砂川敦志による映像製作会社。昨年公開された、琉球伝統芸能(組踊)の継承を描く物語『うんじゅぬ花道』は大きな話題に。

《料金》500円
主催・問合せ先:富田大介・pmp2015kobe@gmail.com

ジャック・ターナーの傑作怪奇ノワール
2015年10月3日(土)・4日(日)
「怖いもの見たさ」とは言うが、「怖いもの聞きたさ」とは言わない。やはり怖いものは見るものなのだろう。パリ市民を恐怖のどん底に陥れたファンタスマゴリから今日のJホラーまで、映像の歴史は怪奇の歴史でもある。今回はハリウッド黄金期の怪奇映画から、ジャック・ターナー監督作品を上映する。
 
catpeople02「キャット・ピープル」Cat People
(アメリカ/1942/73分/16mm)
製作:ヴァル・リュートン
監督:ジャック・ターナー
撮影:ニコラス・ムスラカ
出演:シモーヌ・シモン、ケント・スミス、ジェーン・ランドルフ、トム・コンウェイ

造船設計技師のオリヴァーは、セントラル・パークの動物園で黒豹の写生をしていたイレーナと知り合いやがて結婚するが、猫族の末裔という妄想にとりつかれたイレーナは、自分が興奮すると黒豹に変化するのではないかと苦悩しはじめる…。ジャン・ルノワールの『獣人』などフランスでも活躍したシモーヌ・シモンのアメリカでの代表作。ヴァル・リュートンがプロデュースしジャック・ターナーが監督した怪奇映画の第一作。

 

walkedwithzombie01「私はゾンビと歩いた!」I Walked with a Zombie
(アメリカ/1943/63分/16mm)
製作:ヴァル・リュートン
監督:ジャック・ターナー
脚本:カート・シオドマーク
出演:トム・コンウェイ、フランシス・ディー、ジェームズ・エリソン
 
南国カリブ海の国ハイチの農園に招かれた美人看護婦。彼女はそこでブードゥー族の呪いをかけられ生きた屍となって生と死の間をさまよう農園主を見るが…。30年代に流行したモンスター主役の怪奇映画の裏をかいて低予算で製作した『キャット・ピープル』に続くヴァル・リュートン&ジャック・ターナーのゾンビ映画。

 

参考上映(イギリス/95分/16mm)
 

《料金》入れ替え制1本あたり
一般900円 学生・シニア800円 会員800円 学生・シニア会員700円
《割引》当日に限り2本目は200円引き

特別限定上映
「茜色クラリネット」+トーク
2015年10月18日(日)13:30〜

トーク「札幌発!地域映画の可能性」 中島洋シアターキノ代表)

akaneiro01「茜色クラリネット」
(2014/81分/HD[ブルーレイ上映])
監督:坂本優乃 指導監督:早川渉
プロデューサー:久住邦晴、麻生榮一、中島洋
配給:シアターキノ
 
出演:佐藤楓子、佐藤莉奈、森田有紀、永井洸伎、大橋千絵

 
10代の今だからこそ描ける
「信じるチカラ」「夢見るチカラ」

琴似中学3年の茜は夢の世界で、事故で寝たきりになった同級生藍ちゃんの「助けて!」の声を聞く。その頃、琴似の町の異変を聞かされる。それは子どもの姿のまま、大人になってしまう「大人病」。調べるうちに琴似のゆるキャラ「トニ子」が関わっているらしい・・。
藍ちゃんを助けることができるのか、トニ子の正体とは?大人でも子供でもない中間の「いま」だからこそ伝えれるものはなにか。坂本監督率いる中高生達がプロの大人達のバックアップで誕生させた等身大の成長物語。

 
監督は高校一年生!
中高生×映画・演劇のプロ×琴似の地域コミュニティが、
夢の共同制作!

toniko01札幌で6年間続く中学生の映画制作ワークショップは、近年の作品が高く評価され、映画祭や海外でも上映されるほどになった。その集大成として制作された劇場公開長編が本作「茜色クラリネット」だ。札幌の映画・演劇のプロが共同制作、舞台となった屯田兵開拓の歴史がある琴似地区の人々、企業、市民サポーターが全面的にバックアップ、世界でも例のない夢のプロジェクトが実現した。
監督および演出チームを導く指導監督は、カンヌ国際映画祭正式出品「7/25」や、堺雅人主演「壁男」などで知られる札幌在住の映画監督早川渉。大人キャストには、演出家であり、数多くの映画やTVで俳優として活躍する斎藤歩、また躍進目覚ましい劇団yhsの南参や小林エレキが脇を固め、撮影、照明、録音、衣装等スタッフも札幌のCM界のプロが集まり、本格的な劇場公開映画として結実した。

 

[公式サイト]

《料金》
一般:1200円 学生・シニア:1100円
会員一般:1100円 会員学生・シニア:1000円

神戸が舞台の戦前アクション映画
2015年10月 24日(土)サイレント上映 / 25日(日)生演奏付き上映

国際都市とアクション映画は相性が良い。冒険と秘密が似合うからだろう。19世紀末、舶来の新発明キネトスコープが紹介され、日本映画史の第一歩を刻んだ神戸もまた、長く世界に開かれた港町である。今回は神戸が舞台の戦前アクション映画を二本お贈りする。

「大活劇 爭鬪」
(1924 / 101分[16fps] / サイレント / 35mm)
フィルム提供:東京国立近代美術館フィルムセンター
東亜キネマ(等持院)
監督:金森万象
原作・脚本:壽々喜多呂九平
撮影:大塚周一
出演:高木新平、関操、青山万里子、森静子、荒木忍、松葉文子

 
ニューヨークで知り合った南京鼠のサム、寄席芸人李鵬勝、お花の三人は、李が娘・桃鈴を残した町・神戸にやって来る。サムは李の娘探しを手伝うが、彼女には魔の手が迫りつつある…。サム役の高木新平は旧居留地の大阪商船ビルから神戸オリエンタルホテルに吹き替えなしで飛び移る超絶アクションを見せ、「鳥人」の愛称とともに人気を得た。

 
 
 

ougon03「黄金の弾丸」
(1927 / 89分[16fps]欠落あり/ 染色 / サイレント / 35mm)
東亜キネマ(甲陽)
監督:印南弘 原作:ヘルマン・ランドン
脚本:竹井諒 撮影:小野平一郎
出演:宮島健一、一木突破、大岩栄二郎、千種百合子、中村園枝、島田富美郎、月岡正美

ougon02東亜キネマ甲陽撮影所で製作された探偵活劇。阪神間や神戸のハイカラな都市の情景をふんだんに盛り込み、スリル満点のアクション映画に仕上げたのは当時新進気鋭の監督、印南弘。旧居留地跡でのカーチェイス、逃げる悪党と追う騎馬警官、神戸港船上でのラストシーンなど大正末期のモダニズムを感じさせる逸品。残念ながら全7巻のうち5巻目は欠落。
 

演奏:Momee(トイピアノ、キーボード)
弁士と音楽でサイレント映画を修復・再上映するチーム「深海無声團」のメンバー。今回はソロで即興的な演奏を披露します。

 
協力:東京国立近代美術館フィルムセンター

《料金》入れ替え制
サイレント上映 一般1200円 学生・シニア1000円 会員1000円 会員学生・シニア900円
演奏付き上映 一般1400円 学生・シニア1200円 会員1200円 会員学生・シニア1100円
*招待券のご利用不可 *当日に限り2本目は200円割引


Printロカルノ国際映画祭凱旋『ハッピーアワー』公開記念
濱口竜介の軌跡 東京=東北=神戸

 

11月14日(土)・15日(日)
21日(土)〜23日(月・祝)
28日(土)〜30日(月)

 

人間描写と映画表現、このあまりにもかけ離れた二つの作業を、完全に平等に、かつ同時に行おうとする濱口竜介は、果たして映画の救世主なのか、それとも破壊者なのか…今後の映画史が決めてくれるだろう。
黒沢清(映画監督)

 

濱口竜介監督 来館日決定
*都合により、下記の通り監督挨拶の回を変更いたします。何卒ご了承くださいますようお願いいたします。(11月12日更新)
14日(土) 監督挨拶は中止となりました
15日(日)最終回 すべての回の上映終了後、監督挨拶
21日(土)最終回の上映終了後、監督挨拶

第1週

nanikuwanu01「何食わぬ顔」

(2003/98分/8mm[DVCAM上映])
製作・監督・脚本・編集:濱口竜介
撮影:渡辺淳、濱口竜介、東辻賢治郎
録音:井上和士 音楽:David Nude、ROMAN
出演:松井智、濱口竜介、岡本英之、遠藤郁子、石井理絵

友人に言われるままに亡兄の遺作となる8ミリ映画を撮影する野村。彼の煮え切らない態度が周囲を戸惑わせる。

技術的な諸々の難点を除けば(これは大学の映研で撮られた8ミリ映画なのだ)、濱口竜介が既に濱口竜介であることが驚異的だ。的確な演出とショット割り。映画と映画内映画の関係を複雑かつ緻密に構成した脚本。しかもここには、若さと仲間との親密さから来る瑞々しさが溢れている。

 

PASSION01「PASSION」
(2008/115分/HD[Blu-ray上映])
製作:東京藝術大学大学院映像研究科
プロデューサー:藤井智 監督・脚本:濱口竜介
撮影:湯澤祐一 照明:佐々木靖之
録音:草刈悠子 美術:安宅紀史、岩本浩典
編集:山本良子 助監督:野原位
出演:河井青葉、岡本竜汰、占部房子、岡部尚、渋川清彦

同級生の結婚を祝福する若者たち。しかしそこで男の浮気が発覚し、カップルは別々の夜を過ごすことになる。

濱口竜介の名を世界に知らしめた記念碑的作品。5人の男女の恋愛感情がもつれ合い、ほんのわずかのきっかけでさえ激しく変化する様が、緻密に構成された脚本と周到でねばり強い演出の下に、繊細に、かつエモーショナルに描かれる。そして緻密さと周到さに支えられ、偶然を超えた次元で、今や伝説となった映画の奇跡が訪れる。

 

THE_DEPTHS01「THE DEPTHS」
(2010/121分/HD[Blu-ray上映])
製作:東京藝術大学大学院映像研究科・韓国国立フィルムアカデミー
プロデューサー:原尭志、シム・ユンボ
監督:濱口竜介 脚本:濱口竜介、大浦光太
撮影監督:ヤン・グニョン 照明:後閑健太
整音:金地宏晃 美術:田中浩二
編集:山崎梓 助監督:菊地健雄
出演:キム・ミンジュン、石田法嗣、パク・ソヒ、米村亮太朗、村上淳

韓国人カメラマン・ペファンは日本滞在中に男娼のリュウをモデルとして見出すも、過酷な運命が二人を待つ。

東京藝術大学と韓国国立映画アカデミーの共同製作。キャストだけでなくスタッフも混成チームという容易ならざる状況を、濱口は作品そのものの危うい魅力へと転化し、韓国/日本、ホモセクシャル/バイセクシャル/ヘテロセクシャル、大人/子供、金持ち/貧乏人、堅気/ヤクザといった境界線の上で登場人物達を漂流させる。
 
*15日(日)の回は英語字幕版での上映

 

第2週

naminooto01「なみのおと」

(2011/142分/HD[Blu-ray上映])
製作:東京藝術大学大学院映像研究科
プロデューサー:藤幡正樹、堀越謙三
監督:濱口竜介、酒井耕
撮影:北川喜雄 整音:黄永昌

2011年7〜8月に撮影された岩手県から福島県沿岸部の、津波被災者6組11人への対話形式インタビューの記録

酒井耕と共同監督で、東日本大震災についてのドキュメンタリー。濱口と酒井は、震災の爪痕を撮影したり、地震発生時の記録映像を引用したりはせずに、被災者の証言を記録することに集中する。その際二人は、ドキュメンタリーでは掟破りともされかねないある方法を用いるが、これは被災者の表情により迫るための真摯な試みだ。

 

kesennuma01「なみのこえ 気仙沼」
(2013/109分/HD[Blu-ray上映])
製作:サイレントヴォイス
プロデューサー:芹沢高志、相澤久美
監督:濱口竜介、酒井耕
実景撮影:佐々木靖之 整音:鈴木昭彦

2012年1月から2013年3月に行われた宮城県気仙沼市に暮らす7組11名への対話形式インタビューの記録。

人口が減り続け復興の未来の見えない気仙沼だが、未来への希望を人々は微かに見ようとしている。濱口と酒井は『なみのおと』の方法論を受け継ぎながらもそこに着目し、震災に直接関わる内容を超えて、被災者の過去をも掘り起こそうとする。喋るのが苦手な人にあえてカメラの前で語らせることで、確かに見えてくるものがある。

 

shinchimachi01「なみのこえ 新地町」
(2013/103分/HD[Blu-ray上映])
製作:サイレントヴォイス
プロデューサー:芹沢高志、相澤久美
監督:濱口竜介、酒井耕
実景撮影:北川喜雄 整音:鈴木昭彦

2012年1月から2013年3月に行われた福島県新地町に暮らす6組10名への対話形式インタビューの記録。

震災後約一年、原発事故後の不安と海の汚染や海産物の風評被害の下にある福島県新地町という、被災地の中でも相当に微妙な状況の下で、濱口と酒井は、『なみのおと』の特異な方法論を先鋭化・徹底化させながら、複雑なものを単純化せず、分かり易くせずに提示し、観客に共有させようと、あるいは共有の困難さを示そうとする。

 

utauhito01「うたうひと」
(2013/120分/HD[Blu-ray上映])
製作:サイレントヴォイス
プロデューサー:芹沢高志、相澤久美
監督:濱口竜介、酒井耕
撮影:飯岡幸子、北川喜雄、佐々木靖之
整音:黄永昌

宮城県に暮らす語り手による東北地方伝承の民話語り。これは同時に彼らを訪ね続けた聞き手の記録でもある。

酒井耕との共同監督作品で被災地に取材しながら、ここで濱口と酒井が取り上げるのは民話(昔話)を語る老人達である。取材やインタビューの経験から触発されたこの作品では、語りは聞き手の反応があってのコミュニケーションであることが浮き彫りにされ、さらには映画とは何かの根源さえも問われることになるだろう。

 

第3週

shinmitsusa01「親密さ」

(2012年/255分[途中休憩あり]/HD[Blu-ray上映])
製作:ENBUゼミナール
監督・脚本:濱口竜介 撮影:北川喜雄
編集:鈴木宏 整音:黄永昌
助監督:佐々木亮介 制作:工藤渉
劇中歌:岡本英之
出演:平野鈴、佐藤亮、伊藤綾子、田山幹雄

ともに演出家であり、恋人同士でもある令子と良平は互いに傷つけ合いながら舞台劇『親密さ』初演を迎える。

4時間を越える大作だが、ENBUゼミナールの演技コースの修了作品としてスタートした企画である。映画と映画内の舞台劇の関係においてだけでなく、それぞれの中でも、現実と虚構が複雑、微妙に交錯し続け、虚実の彼岸にあるリアリティーの核心が胸を揺さぶる。美し過ぎるラストが、岡本英之の音楽とともに脳裡に焼き付く。

 

eienni01「永遠に君を愛す」
(2009/58分/HD[Blu-ray上映])
製作:竹澤平八郎 監督:濱口竜介
脚本:渡辺裕子 撮影:青木穣 照明:後閑健太
録音:金地宏晃 美術:原尚子 編集:山崎梓
助監督:佐々木亮介 音楽:岡本英之
出演:河井青葉、杉山彦々、岡部尚、菅野莉央、天光眞弓、小田豊

結婚式当日の花嫁、永子は幸福の絶頂…のはずが、永子には婚約者・誠一に言い出せない秘密があった。

秀れた監督でもある渡辺裕子の脚本は、普通に映画にすればこの上なくウェルメイドなスクリューボール・コメデイーとなったはずだ。しかし濱口は普通ではない。生まれ落ちたのは、凍りついた笑いと不思議な解放感が共存する怪作である。ヒッチコックの『スミス夫妻』に匹敵するこの異常事態を、あなたは見ずにいられるのか?

 

bukimi01「不気味なものの肌に触れる」
(2013/54分/HD[Blu-ray上映])
製作:LOAD SHOW、fictive/
監督:濱口竜介
脚本:高橋知由 撮影:佐々木靖之
出演:染谷将太、石田法嗣、渋川清彦、瀬戸夏実、水越朝弓、河井青葉、村上淳

斗吾(トウゴ)の暮らす町に弟・千尋が引っ越して来た。その日以来斗吾の町では不穏なできごとが起こり始める。

わずか55分の内に、自らを異質性に向けて解放し変容し続ける濱口の特異性が凝縮されている。脚本の高橋知由、踊りの指導を担当し出演もしている砂連尾理らとの出会いが濱口に進化/深化をもたらしている。染谷将太と石田法嗣の踊りの官能性と荘厳さ、不可解かつ表面的には不連続な物語にもかかわらず一貫して持続するエモーション、端正さと異様さとが入り交じるショット構成等々、必見。

 

作品解説:木村建哉

 

運のいい映画たち
月並みだけれども自作への思いは、ただただ感謝の言葉に集約される。カメラの前に立ってくれた人たち、カメラの後ろにともにいてくれたスタッフたち、その状況自体を可能にしてくれたすべての人たちにお礼を言いたい。ありがとうございます、私たちが時間を費やした作品は幸運なことに、まだ見る意味を失っていないらしいですよ、と。運のいい映画たち。その字の通り、まだまだどこまでも運ばれて欲しいし、新たに、もしくは何度でも、観客の元まで届くことを願う。

濱口竜介

濱口竜介
1978年、神奈川県生まれ。東京大学文学部卒業後、助監督やテレビ番組のADを経て、東京藝術大学大学院映像研究科に学び、修了制作『PASSION』がサン・セバスチャン国際映画祭や東京フィルメックスに出品され高い評価を得る。東日本大震災後、東北に拠点を置き、被災者へのインタビューから成る『なみのおと』『なみのこえ』、東北地方の民話の記録『うたうひと』(共同監督:酒井耕)を制作。『なみのこえ』が山形国際ドキュメンタリー映画祭のコンペティションに選ばれる。2012年、4時間を越える長編『親密さ』を完成させ、東京・渋谷で「濱口竜介レトロスペクティヴ」開催、2週間のレイトショーで1500人の動員を記録する。2013年春、染谷将太を主演にむかえた新作『不気味なものの肌に触れる』を引っ提げ神戸に移住。関西のミニシアター5館を横断する特集上映「濱口竜介プロスペクティヴ」を開催。自ら企画した「即興演技ワークショップ in Kobe」の参加者を演者にむかえ長編劇映画『ハッピーアワー』を監督。本作は今年のロカルノ国際映画祭で主演の4人が最優秀女優賞を受賞、12月からの劇場公開に期待が集まっている。

 

《料金》
3回券 3000円  1回券 一般:1300円 学生・会員:1100円
*3回券は複数人で使用可 *3回券は『親密さ』には使用できません
「親密さ」 前売[日付指定]1800円 当日 一般:2000円 学生・会員:1800円
*「親密さ」前売券について
10月19日より、神戸プラネットシネマ倶楽部会員およびサポーター会員限定で先行予約を受付(精算は鑑賞当日)。メールに会員番号・氏名・鑑賞日を記入しお申し込みください。10月26日より一般発売開始。神戸映画資料館および元町映画館にてお買い求めください。

『ハッピーアワー』神戸先行公開
12月5日(土)〜 元町映画館 078-366-2636

HH1


ロシア・ソヴィエト映画 連続上映
第15回 中央アジアの少年たち

2015年12月12日(土)・13日(日)
旧ソ連のカザフスタン、キルギスで作られた映画の中から、少年を主人公にする3作品を紹介する。

「灰色の狼」ЛЮТЫЙ
(1973/96分/35mm)カザフフィルム
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監督:トロムーシュ・オケーエフ
原作:ムフタル・アウェーゾフ
脚本:アンドレイ・ミハルコフ=コンチャロフスキー、エドゥアルド・トロピーニン
撮影:カドィルジャン・クィドィラリエフ
出演:カムバル・ワリエフ、シュイメンクル・チョクモロフ、アリムジャン・ジヤンゴロゾワ
両親と死に別れ伯父のもとで暮らす遊牧民の少年。伯父が仕留め損ねた狼の子を反対を押し切って育て始めるが、狼の子は逃げ出して野生に戻り少年も家を出る。そして狼の子と再会するが……。カザフを代表する作家アウエーゾフの短編小説を、コンチャロフスキーらが脚色し、キルギス出身の監督が映画化した作品。

 

「白い汽船」Белый пароход
(1976/100分/35mm)キルギスフィルム

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監督:ボロトベク・シャムシエフ
原作・脚本:チンギス・アイトマートフ
撮影:マナスベク・ムサーエフ
出演:ヌルガズィ・スィディガリエフ、サビーラ・クムシャリエヴァ
両親と別れ、森で暮らす7歳の少年。その孤独を癒やすのは、親代わりの老人が語る民間伝承の物語だけだった。しかし、大人たちの「現実」が、少年の夢の世界を押しつぶしていく。1970年代に“キルギスの奇跡”と呼ばれたキルギス映画の代表作。

 

「白い鳩」ЧУЖАЯ БЕЛАЯ И РЯБОЙ
(1986/99分/35mm)カザフフィルム
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脚本・監督:セルゲイ・ソロビヨフ
原作:ポリス・リャホフスキー
撮影:ユーリー・クリメンコ
出演:スラーワ・イリュシチェンコ、リュボミラス・ラウツァヴィチュス、リュドミーラ・サヴェーリエワ
モスフィルムの監督ソロビヨフがカザフの撮影所で制作。カザフの町を舞台に、戦後の過酷な日々を生き抜いた少年の成長を描く。撮影は『スラム砦の伝説』や『神々のたそがれ』のユーリー・クリメンコ。ヴェネチア国際映画祭特別賞受賞作品。

 

主催:神戸映画資料館、アテネ・フランセ文化センター
協力:ロシア映画社

《料金》入れ替え制
1本あたり
一般1200円 学生・シニア1000円
神戸プラネットシネマ倶楽部会員1000円 学生・シニア会員900円
アテネ・フランセ文化センター会員1000円
《割引》
当日2本目からは200円引き


OW2015アンドレ・バザン『オーソン・ウェルズ』刊行記念
生誕100年オーソン・ウェルズ再考
2015年12月26日(土)・27日(日)

ウェルズとバザン、ふたたび
1948年のヴェネツィア映画祭。オリヴィエの『ハムレット』が金獅子賞を穫り、かたやウェルズ『マクベス』は散々な不評に見舞われる。そんな事態に義憤を覚えた者たちによって「呪われた映画祭」が開催され、『カイエ・デュ・シネマ』創刊へとつながり、やがてそこからヌーヴェル・ヴァーグが生まれることになる。その中心にいたのが批評家アンドレ・バザンだった。最初の著書『オーソン・ウェルズ』が刊行されたのは1950年、バザン31歳。その8年後に亡くなる彼よりも四半世紀ほど長く生きたウェルズの生誕100年・歿後30年である2015年を締めくくるにあたって、『市民ケーン』以降の40年代ウェルズ作品を振り返る。バザンが論じた「リアリズム」は本当にウェルズ作品に通じているのか、その後の道行きも含みつつ、ウェルズの「作家性」をめぐる議論も展開されるはずだろう。ウェルズ再見――バザンの批評とともに/に抗して。(éditions azert)

出版案内
『オーソン・ウェルズ』
アンドレ・バザン=著
堀潤之=訳
インスクリプト、2015年12月5日刊行、1700円+税
1950年フランス、毀誉褒貶の只中からウェルズを救い出すべく、若き批評家がついに筆を執る。ウェルズ作品の革新性を主題の深さから画面の深さへと論じ抜く、「作家主義」批評の先駆け。コクトーによる序文、サルトルやサドゥールらの『市民ケーン』評も収録し、ヌーヴェル・ヴァーグ前夜のウェルズ論争を再現する。
「『市民ケーン』は私たちにとって従うべき手本ではない。」――ジャン=ポール・サルトル
「オーソン・ウェルズのシークェンス・ショットは、映画言語の進化の決定的な一段階である。」――アンドレ・バザン

12月26日(土)16:50〜(終了予定18:20) 参加無料(要当日の映画チケット半券)
トーク 堀潤之(映画研究、表象文化論) × 藤井仁子(映画研究・評論)

 

Ambersons01「偉大なるアンバーソン家の人々」
The Magnificent Ambersons
(1942/88分/ブルーレイ上映)
マーキュリー・プロダクション作品
監督・脚本・製作:オーソン・ウェルズ
撮影:スタンリー・コルテズ 編集:ロバート・ワイズ
音楽:バーナード・ハーマン
出演:ティム・ホルト(ジョージ・アンバーソン・ミナファー)、アン・バクスター(ルーシー・モーガン)、アグネス・ムーアヘッド(ファニー・ミナファー)、ジョゼフ・コットン(ユージーン・モーガン)、ドロレス・コステロ(イザベル・アンバーソン・ミナファー)
 
アンバーソン家が権勢を誇っているアメリカ中西部の町に、自動車産業で財を成した男やもめのユージーン・モーガンが、一人娘ルーシーとともに20年ぶりに帰郷する。アンバーソン家の嫡子ジョージは、美しいルーシーに好意を抱くが、溺愛する母親イザベルとユージーンがかつての恋を再燃させることに強く反撥し、ルーシーとの恋を諦め、母親とともにヨーロッパに移るのだが……。全篇にわたって奥行きの深い画面とワンシーン・ワンショットが組織的に用いられ、「重苦しい魅力」(バザン)に充ちた作品である。

 

Shanghaikarakita02「上海から来た女」The Lady From Shanghai
(1947/87分/ブルーレイ上映)
コロムビア作品
監督・脚本・製作:オーソン・ウェルズ
撮影:チャールズ・ロートン・ジュニア
音楽:ハインツ・レームヘルド
出演:オーソン・ウェルズ(マイケル・オハラ)、リタ・ヘイワース(エルサ・バニスター)、エヴァレット・スローン(アーサー・バニスター)、グレン・アンダース(ジョージ・グリスビー)、テッド・デ・コルシア(シドニー・ブルーム)
 
アイルランド人水夫のマイケル・オハラは、ある夜、公園で美しいブロンド女性のエルサに出会う。悪徳弁護士バニスターの妻であるにもかかわらず彼女に惹かれたオハラは、バニスターに船員として雇われ、彼の手下のグリスビーが持ちかける陰謀に巻き込まれ、しまいには犯していない殺人の罪によって、法廷で裁かれる身となる。いったい黒幕は誰なのか? ラストの名高い鏡の迷路におけるバロック的な演出は、不条理劇のごとく目まぐるしく変転するプロットを象徴しているかのようだ。本作は、ゴダールが偏愛したウェルズ作品でもある。

 

Macbeth01「マクベス」Macbeth
(1948/107分/ブルーレイ上映)
マーキュリー・プロダクション作品
監督・脚本:オーソン・ウェルズ
撮影:ジョン・L・ラッセル 音楽:ジャック・イベール
出演:オーソン・ウェルズ(マクベス)、ジャネット・ノーラン(マクベス夫人)、ダン・オハリヒー(マクダフ)、ロディ・マクドウォール(マルコム)、エドガー・バリアー(バンクォー)、アースキン・サンフォード(ダンカン)
 
言わずと知れたシェイクスピアの四大悲劇のひとつの映画化。魔女の予言にそそのかされ、夫人の叱咤のもと、ダンカン王を殺害して王位に就いたスコットランドの将軍マクベスが、不安に苛まれるあまり、仲間の将軍バンクォーを暗殺し、マクダフの妻子をも殺害した挙げ句、王子マルカム率いる軍勢に討ち取られるという物語は原作と同じである。だが、不格好で異様なセットや衣裳、台詞の奇妙なスコットランド訛りは、「野蛮で無造作な力」(コクトー)を漲らせ、「天国と地獄の間で引き裂かれたマクベス」(バザン)という新たな解釈を提示している。

 

作品紹介:堀潤之
協力:シネマヴェーラ渋谷、éditions azert

《料金》入れ替え制
一般:1200円 学生・シニア:1100円
会員一般:1100円 会員学生・シニア:1000円

《割引》当日2本目からは200円引き


これまでのプログラム|神戸映画資料館

※内容は予告無く変更する場合があります。

※作品によっては、経年退化で色褪せしている場合がございます。予めご理解ご了承の上、ご鑑賞くださいますようお願い申し上げます。