プログラムPROGRAM

年別アーカイブ: 2018

続・新東宝ピンク映画 ラスト・フィルム・ショー in 神戸 vol.3
“A History of Pink~昭和から平成へ~”

2018年9月1日(土)・2日(日)

“A History of Pink~昭和から平成へ~”と題し、昭和40年代から平成にかけて製作された作品群、とくに今年のベルリン映画祭で特集が組まれた国映の朝倉大介プロデュース作品を軸にシリーズでお届けする。

今回は高橋伴明監督の傑作『歓びの喘ぎ 処女を襲う』と、新東宝映画創立30周年を記念し製作された瀬々敬久脚本、ベテラン深町章監督『ニッポンの猥褻』の2作品。

 

「歓びの喘ぎ 処女を襲う」
(1981/62分/35mm)新東宝映画
監督・脚本:高橋伴明 撮影:長田勇市
照明:礒貝一 音楽:しつきよしかず
出演:下元史朗、山地美貴、今泉洋、忍海よしこ、水月円

都会の生活に絶望した佐伯は父の死を知って故郷の漁村に帰郷する。しかしそこに待っていた現実は…。工場排水による公害被害、近親相姦といったショッキングな題材を見事に描き切った若き高橋伴明監督の傑作。「兄貴の嫁さん」にも出演した山地美貴の演技が涙を誘う。

 

「ニッポンの猥褻」
(1993/57分/35mm)新東宝映画
監督:深町章 脚本:瀬々敬久 撮影:稲吉雅志
照明:渡波洋行 編集:酒井正次
出演:久保新二、橋本杏子、石川恵美、平賀勘一、アイリーン、岸加奈子、林由美香、清水大敬

87才の自称「性学者」の生涯と明治から大正、昭和へと変遷していく時代を描きつつ日本における「ワイセツ」とは何かを問う! ユーモアと本気が混交する新東宝映画創立30周年記念の意欲作。現在監督として大活躍の瀬々敬久の脚本をピンク界の大御所深町章監督&久保新二主演で映画化。

 

協力:ぴんくりんく

《料金》入れ替え制1本あたり
一般1200円 学生1000円 会員900円
《割引》当日2本目は200円引き
《プレゼント》1日2作品以上のご鑑賞者に、ピンクリンク編集部による冊子「ピンク全新作 2002-2003」、またはピンク映画月刊誌「ZOOM-UP」80年3月号(再入荷)、または新東宝ピンク映画ポスターをプレゼント。いずれも無くなり次第終了。[提供:ぴんくりんく]


[貸館]故川本年邦氏遺贈資料特集
-幻灯と映画:知られざる非劇場映写文化-

2018年9月8日(土)

 
東京都出身の川本年邦さんは、陸軍少年航空兵として立川基地で敗戦を迎え、復員後は家業の大工として働くかたわら、地元の子どもたちのために「子どもセンター」を実家の一隅で開催し、お風呂の開放や、読書・勉強会、幻灯と映画の映写などのさまざまなレクリエーション活動などを行ってきました。1998年に川本さんは福島県浪江町に移住し、山中での自給自足の生活を始めますが、2011年3月11日の東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所事故により、自宅付近が放射線量の高い計画的避難区域に指定されたため、避難生活を余儀なくされた川本さんは、同じく避難生活を送る子どもたちや高齢者のために、避難所や仮設住宅の集会所などで、長年愛用してきた幻灯機と幻灯フィルムによる映写活動を続けました。
川本年邦さんは2016年春に逝去され、占領期以来長年にわたって活用されてきた幻灯機と幻灯及び映画のフィルムは、ご遺族から神戸映画資料館に寄贈されました。今回は遺贈資料のうち、映写可能なフィルムを上映し、知られざる昭和期の非劇場スクリーン映写文化の貴重な資料をご紹介します。

 

映画上映 13:30〜
『まんが太郎』(東映教育映画部、1958年)
監督:津田不二夫
川本年邦氏の遺品に唯一含まれていた16mm映画フィルム。マンガが大好きな小学生の太郎君が、マンガ読みたさに非行に走りかけるが、先生と友達の助けによって読書好きの少年として更生するという物語。少年少女マンガ雑誌が月刊から週刊へと本格的に移行しようとするマンガ文化の爆発的な発展期に、「教育」側の視点から見たマンガと読者の関係が映し出される点でも興味深い。
 

幻灯上映 14:00〜
『カナリヤ』(1947年頃)
製作:光画図書研究所 作:中山侑 繪:石田一良
植民地台湾で活動した文学者の中山侑が、戦後に内地に引揚げた直後に台本を執筆したと思しき知られざる幻灯作品。フィルム及び説明台本に製作年の記載はないが、製作元の光画図書研究所(現在の東京光音)は1947年に設立、翌48年5月に社名を「東京光音研究所」と改めているため、おそらく1947年から48年春までの間に製作されたものと考えられる。

『デブ君とヒョロ長君の防犯』(1949年以前)
製作:警視庁防犯課 原作:野辺愛之助 作画:村田亨
警視庁防犯課の製作による、家庭での防犯の心がけを呼びかける社会教育幻灯。フィルム及び説明台本に製作年の記載はないが、「L.」で始まる占領当局の検閲記号が付されているため、検閲が実施されていた1949年以前に発売された幻灯と考えられる。作画者の村田亨は戦前から教育紙芝居運動にも携わっていた人物だが、本作では異様にデフォルメされたデブ君ヒョロ長君のキャラクターが強烈である。

『胡桃割り人形』(1949年以前)
製作:小西六写真工業株式会社 原作:ホフマン 作画:清水崑
小西六写真工業株式会社(現コニカミノルタ)は、自社製のさくらカラーフィルムを使用した幻灯シリーズ「コニグラフ」を販売していたが、本作はその初期の作品で、「L.」で始まる検閲番号が付されているため、1949年以前の占領期に発売されたものと考えられる。ホフマンの原作を、漫画家清水崑の作画により幻灯化しており、バレエの華やかなイメージとはまた異なる、きわめて個性的な絵柄が印象的である。

その他、参考上映あり

幻灯口演:鷲谷 花

 
レクチャー 14:40〜(終了予定15:00)
「川本年邦氏の幻灯上映活動と寄贈資料について」(仮)
鷲谷 花
(大阪国際児童文学振興財団特別専門員)

 

《参加費》無料

主催:JSPS科研費共同研究18K02022「近現代日本の社会運動組織による「スクリーンのメディア」活用の歴史・地域的展開」(研究代表者:鷲谷花)


第26回 くにづか月イチ上映会
2018年9月9日(日) 13:30〜
 

《料金》 無料
アスタくにづか3番館1階の「コミュニティハウス」で整理券を進呈

主催:くにづかリボーンプロジェクト、アスタくにづか神戸市保留床テナント会


[貸館]尻プロ&顔アニメの世界
2018年9月16日(日)13:30開場 14:00スタート

14:00~ 第一部・面白顔漫画映画&ライブ
上映作品:「おしり寿司」「河童肉饅頭」(完全版)ほか
ライブ:野崎ハウス

15:00~ 第二部・「情熱のARASH!」上映会
「情熱のARASH!(あらし)」
2008年 尻プロダクション作品(60分)
出演:関根しりもち/松江サキ/上杉真紀/夢夢子/痛快家フラワー/野田真悟/神戸顕一ほか
監督/脚本:清本一毅
音楽:池田タカシ
主題歌:ハナリキョウコとスナイパーズ

粗筋‥神戸市兵庫区稲荷市場でヘアサロンに勤めるフェイク黒人三人娘は、スタアを夢見て自主映画やクイズ番組を制作して芸能プロダクションに売り込みをかけるが間違ってエロフィルムの女優にされそうになったり実家から親が連れに来たりと毎日が戦いのようだ。一方、三人の友人で古着屋を経営する西城は、彼女にふられた腹いせに自殺を考える。止める三人娘に西城が提案したのは屁を集めてのガス自殺だった。尻プロ発のブラックスプロイテーションムービー。
 

《入場料》 前売:1200円 当日1500円

問い合わせ(予約):顔画工房 kaogakb@yahoo.co.jp

主催:尻プロダクション(関根)



神戸スティールパンカーニバル2018連携企画
『スティールパンの惑星』アンコール上映
2018年9月15日(土)〜17日(月・祝)

 

世界には
まだ私たちの知らないパラダイスがある
そしてそこには音楽がある

 
一見摩訶不思議な楽器、スティール・ドラムの誕生、この楽器がトリニダードの社会で今も持ち続ける地位、毎年開催される大会の熾烈な競争、その大会に無謀にも参加する若い日本人女性の存在等々、一部再現ドラマを含むちょっと変わり種のドキュメンタリーですが、とても興味深い作品です。
ピーター・バラカン(ブロードキャスター)

 

 

「スティールパンの惑星」
PAN! OUR MUSIC ODYSSEY
(トリニダード・トバコ/2015/80分/ブルーレイ上映)
監督:ジェローム・ギオ&ティエリー・テストン
脚本:キム・ジョンソン
プロデューサー:ジャン・ミッシェル・ジベ
音楽ディレクター:ティエリー・プラネル
録音プロデューサー:渡辺洋一
キャスト:レイ・ホルマン、アンディ・ナレル、レン“ブグジー”シャープ、レナルド“レッド”フレドリック、エヴァ・ゴールドスティーン、二ノ宮千紘、ジョバンニ・クレアモント

カーニバルの熱狂と興奮
カリブ海最南端のちっぽけな島
トリニダード・トバゴで生まれた世界で一番新しい楽器 スティールパン
その創世と今を、時空を超えて描く ドキュメントドラマ

ドラム缶を盗んでゲットーまでの坂道を駆け戻った音楽が好きすぎる少年たちの冒険からすべてははじまった
1940年代、イギリスの植民地、アメリカの軍事基地だった島
スティールパンは貧困と抑圧のなかから生まれた
アフリカのドラムは禁止されていた
それでも音のでるものならなんでも、叩いて叩きまくる
そのリズムへの情熱が まったく新しい楽器を作りだした

暴力と抗争の時代を生きたレジェンドたちの
貴重なインタビューが
なぜこの楽器が生まれなければならなかったかを語る

そして今、スティールパンはピース&ラブのシンボルになった世界一を決める大会、パノラマで150を超えるバンドが競いあう
120人編成のオーケストラがひとつになる夜
そしてたった一曲のために世界中からプレイヤーたちが集まってくる
8分間のなかに永遠を探すために
アメリカ、フランス、日本、そしてトリニダードから。
スティールパンに魅せられはじめてパノラマに参加するプレイヤーたちを追いかけるドキュメントのなかで
現在と過去が交錯する

誰もレゲエミュージックを知らなかった時にやってきた映画
ハーダー・ゼイ・カムやロッカーズのように
この映画は新しい扉をあけるだろう

 

→公式サイト

協力:アスタ新長田スティールパン振興会、安里圭一郎
 

《料金》
一般:1400円 学生・シニア:1100円 高校生以下:800円 会員:1000円


ルドルフ・トーメ 赤(紅)の映画特集
Rudolf Thome :  Die <rote> Trilogie

9月22日(土)・23日(日)

戦後ドイツでもっともシネフィル的な映画監督を問われたら、迷わずルドルフ・トーメの名を挙げたい。だがそのシネフィル的特性ゆえに、トーメはニュージャーマンシネマでもっとも知られざる監督の一人となった。社会批判や政治的文脈から距離を取ったトーメは、ゴダールやホークスの戯れる映画のユートピアに直接参入した。彼が描く時代や人間はリアリティと神話が混じり合い結晶化した物語的風景に変貌する。美女あり、アクションあり、死の誘惑ありの映画のユートピアだ。一方彼の作品の底流にはメランコリーが横たわっている。なぜなら映画とは現実を生きる私たちには決して叶わぬ夢だからだ。トーメ監督の描く日常的な場面の数々が奇跡の如く甘美にスクリーンに息づく。だがそれは儚い現実の影だ。そこに戦後ドイツ世代ならではのトーメの批判性があるのではなかろうか。(渋谷哲也)

ゲスト:渋谷哲也(ドイツ映画研究)
22日(土)17:00〜 レクチャー 23日(日)17:20〜 解説とQ&A
*参加無料(要当日の映画チケット半券)

 

「紅い太陽」Die rote Sonne

(西ドイツ/1970/87分/ドイツ語[日本語字幕]/ブルーレイ上映)
監督:ルドルフ・トーメ
脚本:マックス・ツィールマン
出演:マーカート・ボーム、ウシ・オバーマイヤー、シルビア・ケクレ、ガビー・ゴー、ディアナ・ケルナー

ヒッチハイクでミュンヘンを訪れたトーマスは、かつての恋人ペギーに再会し、彼女が女友達らとシェアするアパートに転がり込む。しかし彼女たちにはある誓いがあり、それはトーマスにとって致命的な展開を予測させるものだった…。68年世代の自由とアナーキーを体現した、男と女の永遠の闘争映画。

 

「赤と青」Rot und Blau

(ドイツ/2002/109分/ドイツ語[日本語字幕]/DVD上映)*日本初上映
監督・脚本:ルドルフ・トーメ
出演:ハンネローレ・エルスナー、セルピル・トゥルハン、ハンス・ツィシュラー

バーバラはベルリン郊外のかつての住居に赴き、過去を灰にしようとする。一方父を亡くしたイルゼはベルリンに赴き、20年以上前に別れた彼女の母を探す。母と娘の再会、そして新たな家族関係の構築。そのささやかなドラマが一切の感傷を排して繊細に描き出される。トーメ監督の円熟を感じさせる作品。

 

「紅い部屋」Das Rote Zimmer

(ドイツ/2010/101分/ドイツ語[日本語字幕]/ブルーレイ上映)
監督・脚本:ルドルフ・トーメ
出演:カタリーナ・ロレンツ、セイネブ・サレー、ペーター・クナーク

ベルリンの生化学研究所のキス研究家フレッドは、研究に没頭するあまり人々との付き合いから離れていた。ある日彼は魅力的な女性ルジーとその恋人ジビルと知り合う。3人は愛という不確定なものをめぐって考察し、それを手に入れようと実験的な関係を始める。ミニマルな作劇の真骨頂を見せるトーメ近年の佳作。

 

ルドルフ・トーメ Rudolf Thome
1939年11月14日生れ。ドイツの映画監督。1960年代より批評家として新聞雑誌に寄稿。また64年より自主的に映画を撮り始める。ストローブ=ユイレやクラウス・レムケらとの交流の中でいわゆる「ミュンヘン派」を形成して映像主体の感性的な映画を目指し、アレクサンダー・クルーゲを代表とする「オーバーハウゼン派」の社会批判的態度から距離を取った。直線的でシンプルな語り口を特徴とするトーメの作風は一貫し、60年代末から2011年までコンスタントに映画を発表し続けている。代表作は『ベルリン・シャミッソー広場』(1980)、『フィロソファー』(1989)など。

協力:東京ドイツ文化センター、大阪ドイツ文化センター、同志社大学今出川校地学生支援課
企画協力・解説:渋谷哲也

 

《料金》入れ替え制1本あたり
一般:1400円 学生:1000円 会員:1200円
*当日2本目からは200円引き


連続講座:20世紀傑作映画 再(発)見
第5回 涙とワルツ──マックス・オフュルスと『忘れじの面影』

2018年10月6日(土)
講師:井上正昭(翻訳・映画研究)

このシリーズ講座では、映画史の節目を刻んできた傑作を毎回一本ずつ上映し、検証してゆく。時代の中から生まれながら、時代を超えて生き残る。古典とはそういうものだ。それは、つねに〈来るべき〉作品であり、映画館のような場所でそのつど〈発見〉される。このような観点から、作品を映画史の中にきっちりと位置づけ、それがいかにして生まれ、どのように受容され、それ以後の映画にどんな影響を与えたのかを検証する一方で、あたかも新作を見るように、その映画を純粋に味わい、どこにその〈映画的〉魅力があるのかを探ってゆく。

13:30〜 参考上映
「忘れじの面影」
Letter from an Unknown Woman
(アメリカ/1948/87分/16mm)
監督:マックス・オフュルス
脚本:ハワード・コッホ
撮影:フランク・プラナー
出演:ジョーン・フォンテーン、ルイ・ジュールダン

15:10〜(終了予定16:40) 講座
トリュフォー、キューブリック、P・T・アンダーソンなど、様々な作家たちにリスペクトされてきた監督マックス・オフュルス。今回は、アメリカ亡命時代の最高傑作であり、彼の最も美しい作品の一つである『忘れじの面影』を取り上げる。ドイツ時代の『恋愛三昧』やフランス帰国後の『たそがれの女心』など各時代の代表作とも比較しつつ、この作品を様々な角度から仔細に見てゆきながら、絶えず移動し続けたこの映画作家の作家性の在り処を探っていくと同時に、「女性映画」や「メロドラマ」といった問題についても少し考えてみたい。

井上正昭
1964年生まれ。Planet Studyo + 1 で映画の自主上映にたずさわる。訳書に『映画監督に著作権はない』(フリッツ・ラング、ピーター・ボグダノヴィッチ/筑摩書房 リュミエール叢書)、『恐怖の詩学 ジョン・カーペンター』(ジル・ブーランジェ/フィルムアート社)、共著に『映画を撮った35の言葉たち』(フィルムアート社)がある。
ブログ「明るい部屋:映画についての覚書」

《参加費》 参考上映付き 1500円 学生1000円


大阪大学総合学術博物館「記憶の劇場III」
活動⑥「TELESOPHIAと芸術・文化・生活」
[貸館]『廻り神楽』『海の産屋 雄勝法印神楽』上映会
2018年10月7日(日)・8日(月・祝)

東日本大震災による甚大な被害のあった地域で、いかに芸能が人々を勇気づける力となったかを描くドキュメンタリー2作品を神戸で上映します。
また、10月7日(日)15:00には、受講生が進行役を務め、遠藤協監督とのトークイベントを行います。

「廻り神楽」
(2017年/日本/94分)
監督:遠藤協・大澤未来
製作:ヴィジュアルフォークロア

神楽が来れば、春はもうすぐなのす。
—海辺の死者と生者の通い路を今日も神楽衆は廻ります。

岩手県宮古市に根拠地をもつ黒森神楽は、江戸の初期から340年以上、三陸海岸の久慈・釜石間150㎞を巡り続けて来た。
正月になると神楽衆は、黒森山の神霊を宿した権現様と旅に出る。民家を一夜の宿として、神楽を演じ、亡き人には神楽念仏を唱える。繰り返し繰り返し津波が襲って来たこの地で、神楽衆は何百年ものあいだ、自然と人間を取り結ぶ役目を果たしてきた。
ザシキワラシやオシラサマ、神々や精霊が今も息づく豊かな三陸の海辺を巡る神楽衆。その通い路に「海の遠野物語」が紡がれる。被災から6年後の人々の願いを描くドキュメンタリー。遠藤協と大澤未来の共同監督による劇場初公開作品。
→公式サイト

 

「海の産屋 雄勝法印神楽」
(2017年/日本/75分)
監督:北村皆雄・戸谷健吾
製作:ヴィジュアルフォークロア、ネオンテトラ

海は豊穣の産屋
—この三陸の海辺、新しい命を生む母なる産屋の庭に
祈りと歓びの神楽が舞い遊ぶ。

宮城県雄勝半島、石巻市の漁村立浜(たちはま)は、東日本大震災の大津波で46軒中1戸だけを残し被災した。
その絶望の淵から立ち上がったのは、村に残ることを決めた12人の漁師たち。
「いっさい、いっさい、海を恨んでいねぇ」と、男たちは生活の再建とともに祭りの復興に乗り出した。流出した一切の神楽面と祭具を作り直し、何もない海辺の居住地跡に柱を立て、舞台を作る。
神楽に憑かれ“好き神”を自称する漁師が祈りの神楽を舞い、二人の太鼓打ちが息を合わせ600 年前と変わらぬリズムを刻む。産屋の庭に神楽が舞い遊び、笛・太鼓の音が、命の誕生を告げる産声のように響く。海辺に立てられた舞台、それは新しい命を再生し、力強く鼓動させてくれる産屋となったのだ。津波から1年後、人々を勇気づけ絆を取り結ぶ芸能の底力を描いたドキュメンタリー。『ほかいびと 伊那の井月』の北村皆雄と戸谷健吾による劇場公開作品。

《参加費》 無料

主催:大阪大学総合学術博物館
→公式サイト


第27回 くにづか月イチ上映会
2018年10月13日(土) 13:30〜

ナチスドイツ軍に占領されたユーゴスラビア人の抵抗を描く。(98分)
 

《料金》 無料
アスタくにづか3番館1階の「コミュニティハウス」で整理券を進呈

主催:くにづかリボーンプロジェクト、アスタくにづか神戸市保留床テナント会


青丘文庫研究会 NDUからNDSへ
2018年10月14日(日)14:00〜
 
布川徹郎らNDU(日本ドキュメンタリスト・ユニオン)のスタッフが竹中労の企画により1971年に韓国ロケした映画『倭奴(イエノム)へ 在韓被爆者・無告の二十六年』と、NDS(中崎町ドキュメンタリースペース)の金稔万が釜ヶ崎に密着して描いた『釜の住民票を返せ!2011』を上映する。
また、晩年の布川徹郎とともに活動した金稔万が、その後の状況を含めて報告し、参考上映も予定している。

「青丘文庫」は神戸長田のケミカル産業に従事していた韓皙曦(ハン・ソッキ)が朝鮮史関係文献を集め1969年に開設したもので、1997年に神戸市立中央図書館内に再オープン。今回の上映会は、そこで定期的に行われている「青丘文庫研究会」例会を神戸映画資料館で開催するものである。

 

『倭奴(イエノム)へ 在韓被爆者・無告の二十六年』(1971/52分/16mm)
スタッフ:井出情児、井上修、斉藤憐、布川徹郎
企画:竹中労 製作:「倭奴へ」製作推進委員会
 
1971年、佐藤栄作首相が朴正煕(パク・チョンヒ)大統領の祝賀パーティ列席のために訪韓した時を得て、在韓被爆者8名は直訴状を持って日本大使館に向かった。在韓被爆者は韓国官憲によって佐藤首相の韓国滞在中拘束される。カメラはその8人の生活を追う。この1971年は、被爆者・孫振斗(ソン・ジンドゥ)さんが、日本への密航により収監された大村収容所から、在留と医療を求める“原爆手帳裁判”を闘い始めた年である。山形国際ドキュメンタリー映画祭2005の在日映画の特集「日本に生きるということ」で上映するため新たに作成したプリントを上映。
 

『釜の住民票を返せ! 2011』 (2011/50分/DVD上映)
監督・編集:NDS 金稔万(キム・イムマン)
撮影:金稔万、布川徹郎、佐藤零郎、中村葉子、梶井洋志、小田切瑞穂、川瀬俊治
製作:NDS(中崎町ドキュメンタリースペース)
 
大阪市西成区、日本最大のドヤ街であり寄せ場である、日雇い労働者が多く暮らす通称釜ヶ崎。ここにある5階建の小さなビルに、労働者や野宿者など約3,300人の住民票が登録されていた。市当局は、居住実態がないことを理由に、彼らの住民票を削除することを決定。そのことにより住民票と選挙権を剥奪されることに怒った彼らとその支援者たちが立ち上がり、カメラを通じて闘う熱気があふれだす!
 

レポート:金稔万
その他、参考上映を予定

《参加費》1500円
* どなたでもご参加いただけます

共催:青丘文庫研究会


続・新東宝ピンク映画 ラスト・フィルム・ショー in 神戸 vol.4
“A History of Pink~昭和から平成へ~”

2018年11月10日(土)・11日(日)

“A History of Pink~昭和から平成へ~”と題し、昭和40年代から平成にかけて製作された作品群、とくに今年のベルリン映画祭で特集が組まれた国映の朝倉大介プロデュース作品を軸にシリーズでお届けする。

今回は若松孝二監督の異色作『暴虐女拷問』のニュープリント上映と、片岡修二監督のケッサクSMアクション『緊縛・SM・18才』。ピンク映画の懐の深さと醍醐味を味わえる2作品。

 

「暴虐女拷問」ニュープリント

(1978/62分/35mm)新東宝映画
監督:若松孝二 脚本:出口出 撮影:伊東英男
照明:礒貝一 助監督:磯村一路
出演:今泉洋、野上正義、高鳥亜美、中野リエ、港雄一、杉佳代子、野口美沙、桜マミ、龍駿介

明治時代、村の成金の権之助は警察権力を抱き込んで女中たちに暴虐のかぎりを尽くす。異端の映画作家若松孝二が社会批判と怒りがラストで爆発する娯楽映画のスタイルそしてピンク映画のお約束事のバランスを見事にとって仕上げた力強い異色作。「犯し屋」港雄一の怪演と野上正義の熱演!

 

「緊縛・SM・18才」(プリントタイトル『SMクレーン宙吊り』)

(1986/60分/35mm)国映
監督・脚本:片岡修二 企画:朝倉大介 撮影:志村敏雄
照明:斉藤正明 編集:酒井正次 助監督:橋口卓明
出演:下元史朗、早乙女宏美、池島ゆたか、清川鮎、最上美枝、更衣詩子

『地獄のローパー』シリーズ第2弾として製作された片岡修二監督らしいユーモアと遊び心に満ちた傑作SMアクション。下元史朗が高橋伴明監督の作品等とは一味違った異形のヒーローを演じる。タランティーノが所有するLAの劇場では観客の大喝采を浴び本作も米国でDVD発売された。

 

協力:ぴんくりんく

《料金》入れ替え制1本あたり
一般1200円 学生1000円 会員900円
《割引》当日2本目は200円引き
《プレゼント》1日2作品ご鑑賞者に、ピンクリンク編集部による冊子「ピンク全新作 2002-2003」をプレゼント。無くなり次第終了。[提供:ぴんくりんく]


第28回 くにづか月イチ上映会
2018年11月18日(日) 13:30〜
 
才能を見出された不良少年を描く。(104分)
 

《料金》 無料
アスタくにづか3番館1階の「コミュニティハウス」で整理券を進呈

主催:くにづかリボーンプロジェクト、アスタくにづか神戸市保留床テナント会


ロシア・ソヴィエト映画 連続上映
第24回 グリゴーリィ・チュフライ特集 前編

2018年11月23日(金・祝)・24日(土)

名作『誓いの休暇』を含むグリゴーリィ・チュフライ監督作4本を、2回に分けて上映します。

「誓いの休暇」Баллада о солдате
(1959/87分/35mm)モスフィルム

監督:グリゴーリィ・チュフライ
脚本:ヴァレンチン・エジョーフ、グリゴーリィ・チュフライ
撮影:ウラジーミル・ニコラーエフ、エラ・サヴェーリエヴァ
音楽:ミハイル・ジーフ
出演:ウラジーミル・イヴァショーフ、ジャンナ・プロホレンコ、アントニーナ・マクシーモヴァ
 
戦功で特別休暇を得た少年兵が、母に会うために故郷へ向かうが、道中で出会った人々を助けるうちに時間が失われていく。戦争中の平凡な兵士を主人公にすえた監督の代表作。

 

「君たちのことは忘れない」Трясина / нетипичная история
(1977/128分/35mm)モスフィルム

監督:グリゴーリィ・チュフライ
脚本:グリゴーリィ・チュフライ、ヴィクトル・メレーシコ
撮影:ユーリィ・ソーコル、ミハイル・デムーロフ
音楽:ミハイル・ジーフ
出演:ノンナ・モルジュコーヴァ、ヴァジーム・スピリドーノフ、アンドレイ・ニコラーエフ、ヴァレンチーナ・テリーチキナ、ヴァレーリィ・ノーシク

戦争で夫に死なれ長男も行方不明となった農婦が、前線へ送られる次男を死んだことにしてかくまう。第2次世界大戦中の実話を基に戦争があらわにする人間のエゴイズムを描く。

 

[予告]
第25回 グリゴーリィ・チュフライ特集 後編
2018年12月 「女狙撃兵マリュートカ」「人生は素晴らしい」

主催:神戸映画資料館、アテネ・フランセ文化センター
協力:ロシア映画社、東海晃久

《料金》入れ替え制
1本あたり
一般1200円 学生1000円
神戸プラネットシネマ倶楽部会員1000円
アテネ・フランセ文化センター会員1000円
《割引》
当日2本目は200円引き


芦屋小雁芸歴70年記念
秘蔵コレクション・フィルム蔵出し上映

TV・怪奇・SF・ジャズ・ミュージカル
2018年12月1日(土)・2日(日)

神戸映画資料館名誉館長で怪奇・SF映画のフィルム・コレクターとしても知られる芦屋小雁氏が今年芸歴70年を迎えた。それを記念して氏の秘蔵フィルムを上映し、その業績を振り返る。
60年代の初期テレビ番組として、藤本義一が脚本を担当し雁之助と小雁が主演するシリアスな現代劇と、出演作ではないが「まぼろし城」の組田彰造監督による時代劇。怪奇映画の古典であるフランケンシュタインと狼男の名場面集。カウント・ベイシー、デューク・エリントンなど著名なジャズメンが演奏する日本未公開の「ニューポート・ジャズ・フェスティバル1962」。そして懐かしのミュージカル映画名場面集。氏自身のトークもお楽しみに。

12月1日(土) TV・怪奇・SF
13:30〜 60年代TV上映 その1(60分/16mm)
14:40~ トーク1 テレビについて
15:25~ 60年代TV上映 その2(30分/16mm)
15:55~ 怪奇映画上映 フランケンシュタインと狼男のダイジェスト(30分/16mm)
16:25~ トーク2 怪奇SF映画について
終了予定17:00

12月2日(日) ジャズ・ミュージカル
13:30〜 未公開ジャズ映画上映「ニューポート・ジャズ・フェスティバル1962」(41分/16mm)
14:20~ トーク1 ジャズとミュージカル映画について
14:50~ ミュージカル映画上映(132分/16mm)
17:05~ トーク2 今後の抱負
終了予定17:25

* 外国映画の日本語字幕はございませんが、字幕無しでも楽しめる作品です。

《参加費》
1日券 一般:1800円 会員:1300円
2日通し券 一般:3000円 会員:2500円
*予約受付 info@kobe-eiga.net まで、参加希望日、お名前、ご連絡先(メールアドレスまたはお電話番号)をお知らせください。


これまでのプログラム|神戸映画資料館

※内容は予告無く変更する場合があります。

※作品によっては、経年退化で色褪せしている場合がございます。予めご理解ご了承の上、ご鑑賞くださいますようお願い申し上げます。