プログラムPROGRAM
2021 11

フレデリック・ワイズマンのすべて vol.12
2021年11月6日(土)・7日(日)

神戸映画資料館は、2019年秋の「フレデリック・ワイズマンのすべて in 関西」で3作品を上映しました。この続きとして、月1回程度のペースでシリーズで上映していきます。

1967年の『チチカット・フォーリーズ』以来、“現代社会の観察者”として独自の映像表現を展開し続けているドキュメンタリー作家フレデリック・ワイズマン。
50年以上にわたり、学校、病院、警察、軍隊、裁判所、図書館、議会など、アメリカの様々な施設・組織を撮り続けてきました。ワイズマン自身が “〈われわれの生活様式の博物誌〉を紹介するドキュメンタリー・シリーズ” という作品群には、悲劇的であると同時に喜劇的、深刻でありながら滑稽でもあり、複雑であると同時に素朴(ナイーブ)、絶望の中にもユーモアが光る、矛盾に満ちた魅力的なアメリカの姿が映し出されています。

 

「パナマ運河地帯」 Canal Zone

(1977/174分/ブルーレイ上映)撮影:ウィリアム・ブレイン
永年、事実上アメリカの植民地だったパナマ運河地帯。1977年にカーター大統領は、将来的に運河地帯を返還すること、新運河条約を締結し、運河を米パ両国で共同管理することを決めた。政府関係者、軍人、ビジネスマンなど、この地帯で暮らす様々な“アメリカ人”の生活が描かれる。同地帯は1999年12月31日にパナマに完全返還された。

 

「軍事演習」 Manœuvre

(1979/115分/16mm)撮影:ジョン・デイヴィー
東西対立時代に毎年行われていたNATOの秋季大演習に密着取材し、記録した作品。1978年の演習は北極海から地中海までの加盟国全域に渡る大規模なもので、特に旧東ドイツとの国境近くで集中的に行われ、第三次世界大戦を想定したデモンストレーションと見なされ、国際的に大きな波紋を呼んだ。この作品からジョン・デイヴィーが撮影を担当している。

 

《料金》
一般:1500円 ユース(25歳以下):1000円 会員:1200円
予約受付
メールと電話によるご予約を承ります。鑑賞を希望される日時と作品名、お名前、電話番号をお知らせください。予約で満席でなければ、当日に予約無しでもご入場いただけます。
info@kobe-eiga.net 078-754-8039

→公式サイト(コミュニティシネマセンター)

共催:コミュニティシネマセンター
協力:アテネ・フランセ文化センター、山形国際ドキュメンタリー映画祭
文化庁「ARTS for the future!」補助対象事業


第61回 くにづか月イチ上映会 映像で見る昭和の生活文化
2021年11月13日(土) 13:30〜  

神戸映画資料館が所蔵するフィルムの中から、昭和の暮らしを写し出す映像を、毎回3〜4本(計約60分)上映していきます。

《料金》 無料
アスタくにづか3番館1階の「コミュニティハウス」で整理券を進呈

主催:くにづかリボーンプロジェクト、アスタくにづか神戸市保留床テナント会


青丘文庫研究会 映像を通して視る! 『まだ視ぬアーカイブを可視化する!』
2021年11月14日(日)13:00〜
会場:在日韓国基督教会館(KCC会館5階ホール)

『家なき天使』

青丘文庫研究会の上映会! 第5弾!
約1年ぶりの上映会はかつての猪飼野、大阪市生野区の在日韓国基督教会館(KCC会館)にて開催することとなった。題して、―映像を通して視る―『まだ視ぬアーカイブを可視化する!』!!! 貴重な3本のアーカイブ映像を上映する。
1本目はかつての猪飼野在住の亡き高仁鳳さんが製作した「幻のフィルムでつづる建国の60年」。2本目は朴壽南監督の復元プロジェクト『日韓100人が語る歴史の証言映像』の中から復元されたアーカイブ映像の一部をダイジェスト版で。3本目は韓国映像資料院の協力により1941年製作『家なき天使』(崔寅奎監督)を上映し、水野直樹氏に解説をしていただく。
「青丘文庫」は神戸長田のケミカル産業に従事していた韓皙曦(ハン・ソッキ)が朝鮮史関係文献を集め1969年に開設したもので、1997年に神戸市立中央図書館内に再オープン。今回の上映会は、そこで定期的に行われている「青丘文庫研究会」の例会として位置づけられている。
 

第1部 「幻のフィルムでつづる建国の60年」
2005年9月、白頭学院建国学校(建国)校友会の事務所の古い段ボール箱から、学校の草創期を記録した貴重な16ミリフィルム7本(1946年~1957年撮影)が発見された。フィルムには解放後の建国生の希望に満ちた表情が生き生きと映し出されていた。故高仁鳳さんは建国創立60周年(2006年)事業の一環として、この貴重なフィルムを後世に伝えていこうと、ドキュメント映画『幻のフィルムでつづる建国の60年』(30分)を製作する。
高仁鳳さんは1941年、大阪で生まれ、1947年に全羅北道裡里に帰国。1957年、日本に戻り、白頭学院建国中学校、高校卒業。プラスチック関連業界紙の仕事をしながら大阪経済大学経営学部を卒業。1968年、印刷会社僑文社を継承。1989年、ケイビーエス株式会社に改組し代表取締役、その後会長。白頭学院建国学校理事、校友会副会長を務めた。常にカメラを持ち、様々な行事・日常の出来事などを撮影し、膨大なビデオテープの記録を遺す。2012年12月12日12時、永眠。
トーク:林芳子(故高仁鳳夫人)  聞き手:石川亮太(立命館大学教授)
 

第2部 復元されたアーカイブ 朴壽南監督のまなざし
「語る言葉のない沈黙の表情は映像でしか描けないんです。」文筆の人から映画の人になった朴壽南監督が30年前からフィルムに刻んだ日韓の証言者は約100名、50時間におよぶという。一昨年6月、神戸映画資料館でその一端を垣間視た。映写機が廻ると唐突に軍艦島が現れた。別撮りのために音声は無く、フィルムを回す音だけが響いた。1985年に撮られた軍艦島がスクリーンに朦朧と漂い、玄海灘に揺れていた。小船に乗り込み軍艦島に向かうのは朴壽南監督と徐正雨さん。徐正雨さんは14歳で軍艦島の海底炭鉱へ連行され長崎の三菱造船所で被爆され、強制労働や被爆による病苦に苦しみながら、2001年に急逝され鬼籍に入られた。残念ながら証言されたほとんどの人々が鬼籍に入られてしまった。
今回、特別に「軍艦島」「徴用工」「被爆者」などをテーマに復元されたアーカイブ映像の一部をダイジェスト版として上映する。
ビデオメッセージ:朴壽南監督 朴麻衣(プロデューサー)
 

第3部 発掘された植民地期朝鮮映画「家なき天使」
韓国映像資料院は、2004年と2005年に、日本統治時代に作られた劇映画「家なき天使」など4本のフィルムを中国のフィルム・アーカイブで発掘した。「家なき天使」は当時社会問題となった浮浪児教化事業である「香隣園」の実話をもとにした作品で、京城(現:ソウル)の街に溢れる浮浪児を救おうと、ひとり牧師が孤児院で苦闘しながら子どもたちを育てる物語である。「内鮮一体」を掲げた植民地政策が進められていた当時、朝鮮映画への関心が日本「内地」で高まり、「家なき天使」も上映された(のちに事実上の上映禁止となる)。
水野直樹氏のトークでは、「家なき天使」の映画史的意味を考えるとともに、モデルとなった牧師方洙源が1930年代には京都や東京の在日基督教会で活動していたことなどの新しい事実を明らかにする。
『家なき天使』 提供:韓国映像資料院
朝鮮/1941/朝鮮語、日本語/モノクロ/35mm(DVD上映)/73分/日本語字幕版
監督:崔寅奎 撮影:金井成一(金学成) 音楽:伊藤宣二 金駿泳
出演:金一海、文芸峰、洪銀順、金信哉
製作:高麗映画南大門撮影所
トーク:水野直樹(京都大学名誉教授)
 

《資料代》1500円  * どなたでもご参加いただけます
会場:在日韓国基督教会館(KCC会館5階ホール)
〒544-0032 大阪府大阪市生野区中川西2丁目6-10 
■地下鉄千日前線・今里筋線「今里駅」②番出口から南へ徒歩15分 ■市バス:中川西公園前

【新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大防止に伴う対応について】
・間隔をあけてご着席ください。
・マスクの着用、咳エチケットへのご協力をお願いします。
・発熱など体調不良のある方はご来場をお控えください。
・ご入場前、ご退出後に会場の消毒、換気を行います。

お問合せ
078-754-8039 info@kobe-eiga.net(神戸映画資料館)
hida@ksyc.jp(青丘文庫研究会)

主催:青丘文庫研究会、神戸映画資料館
協力:韓国映像資料院


連続講座:20世紀傑作映画 再(発)見
第12回 小津安二郎と『東京物語』

2021年11月27日(土)・28日(日) *28日は前日の講座の録画

このシリーズ講座では、映画史の節目を刻んできた傑作を毎回一本ずつ上映し、検証してゆく。時代の中から生まれながら、時代を超えて生き残る。古典とはそういうものだ。それは、つねに〈来るべき〉作品であり、映画館のような場所でそのつど〈発見〉される。このような観点から、作品を映画史の中にきっちりと位置づけ、それがいかにして生まれ、どのように受容され、それ以後の映画にどんな影響を与えたのかを検証する一方で、あたかも新作を見るように、その映画を純粋に味わい、どこにその〈映画的〉魅力があるのかを探ってゆく。

13:30〜 上映
「東京物語」
(1953/135分/35mm)松竹大船
監督:小津安二郎 脚本:野田高梧、小津安二郎 撮影:厚田雄春
出演:笠智衆、東山千栄子、原節子、杉村春子

 

16:00〜 講座
(終了予定17:30) *28日は前日の講座の録画
講師:井上正昭(翻訳・映画研究)
『東京物語』が小津安二郎の最高傑作であるかどうかはともかく、この映画が多くの人から小津の代表作と考えられていることは間違いないだろう。日本のみならず、海外でもファンの多いこの映画は、小津作品の中でもとりわけ広く観客に受け入れられる内容を持つと同時に、〈小津的なるもの〉が満遍なく散りばめられている作品でもある。その意味では、小津安二郎の映画を知るための絶好の入口となる作品かもしれない。今回の講座では、複数の脚本や小津の日記、関係者の証言など、残された様々な資料も参考にしつつ、小津映画の東京、垣間見える戦争の影、独特の音楽などなど、様々な角度から、いつものように細部に拘ってこの作品を分析してゆきながら、〈小津的なるもの〉とは何かについて改めて考えてみる。時間の余裕があれば、紀子3部作の残り2作『晩春』『麦秋』や、『秋日和』『小早川家の秋』などの原節子のイメージについても触れたい。

 

井上正昭
1964年生まれ。Planet Studyo + 1 で映画の自主上映にたずさわる。訳書に『映画監督に著作権はない』(フリッツ・ラング、ピーター・ボグダノヴィッチ/筑摩書房 リュミエール叢書)、『恐怖の詩学 ジョン・カーペンター』(ジル・ブーランジェ/フィルムアート社)、共著に『映画を撮った35の言葉たち』(フィルムアート社)がある。
ブログ「明るい部屋:映画についての覚書」

《参加費》 上映付き  一般1800円 ユース(25歳以下)1200円 会員1500円
予約受付
メールと電話によるご予約を承ります。鑑賞を希望される日時と作品名、お名前、電話番号をお知らせください。予約で満席でなければ、当日に予約無しでもご入場いただけます。
info@kobe-eiga.net 078-754-8039

文化庁「ARTS for the future!」補助対象事業


これまでのプログラム|神戸映画資料館

※内容は予告無く変更する場合があります。

※作品によっては、経年退化で色褪せしている場合がございます。予めご理解ご了承の上、ご鑑賞くださいますようお願い申し上げます。