プログラムPROGRAM

渡辺 護 はじまりから、最後のおくりもの。
12月5日(金)〜9日(火)

12月6日(土)・7日(日) 15:40〜
トーク:井川耕一郎監督、北岡稔美さん

表面  [更新済み]ピンク映画五十周年記念作品
「色道四十八手 たからぶね」
(2014/71分/カラー/ビスタ/35mm)
企画・原案:渡辺護
監督・脚本:井川耕一郎
撮影・照明:清水正二
特殊造形:新谷尚之
編集:酒井正次
プロデューサー:太田耕耘キ(ぴんくりんく)、林田義行(PG)
出演:愛田奈々、岡田智宏、佐々木麻由子、なかみつせいじ、ほたる、野村貴浩

公式サイト

一夫(岡田智宏)は千春(愛田奈々)と結婚し、幸せの絶頂にいた。ところが千春には別の顔があった。彼女は数年前から叔父の健次(なかみつせいじ)と不倫していたのだ。「復讐しよう!」と一夫に訴える叔母の敏子(佐々木麻由子)。でもどうやって……?

takarabunek225年に渡りピンク映画専門誌の発刊、ピンク映画のアカデミー賞といわれる〈ピンク大賞〉を主宰する「PG」と、関西を拠点に月刊でフリーペーパーの発行やイベントを企画する「ぴんくりんく」が、2012年に〈ピンク映画五十周年〉記念映画として企画し、翌13年に巨匠・渡辺護に監督を依頼。渡辺は四十八手と春画という日本独特のエロティシズムを題材にした脚本で、新たなピンク映画のスタンダードを作ることを宣言した。
だが、渡辺監督は製作中にガンであることが判明。12月24日に他界する。「井川が撮れ。映画を完成させろ」という渡辺監督の遺志を受け、脚本の井川耕一郎が初めて商業映画のメガフォンを取った。

ヒロイン・千春役は、2012年〈ピンク大賞〉で女優賞&艶技賞のダブル受賞という快挙を成し遂げ、いまピンク映画界で最も期待される女優・愛田奈々。そして、35ミリフィルム撮影という映画づくりにこだわり、業界が誇るベテランスタッフ・キャストが結集し、ピンク映画への熱き思いにあふれた、五十周年というアニバーサリーに相応しい本格エロス作をつくりあげた。

 

abazure07渡辺護監督の幻のデビュー作を新発掘
「あばずれ」
(1965/60分・短縮版/モノクロ/スコープ/16mm)
製作:扇映画
監督:渡辺護 脚本:吉田貴彰
撮影:生田洋 音楽:小谷松実
照明:村井徹二 録音:杉崎喬
編集:宮田二三夫 美術:豊島六郎
出演:左京未知子、黒木純一郎、飛鳥公子、天野良一、千田啓介、喜多ひろみ、宇佐美健

abazure061965年、渡辺護は『あばずれ』を撮って監督デビューする。16才の立子(飛鳥公子)は、父・剛造を死に追いやり、全財産を奪った後妻・文枝(左京未知子)に復讐を誓って家を出る……。少女の復讐譚は、少年時代に見て感動した監督・衣笠貞之助、脚本・伊藤大輔『雪之丞変化』(35)に触発されたものだった。渡辺のデビュー作は自身の映画体験の原点に遡るものであったのだ。

abazure02その後、渡辺は『あばずれ』を二度リメイクしている。『少女縄化粧』(79)と『変態SEX 私とろける』(80)。年に12本以上撮っていた売れっ子監督時代に、なぜリメイクを考えたのだろうか。忙しさの中で何かを見失いそうになっている自分に危機を感じてのことだろうか。

『糸の切れた凧 渡辺護が語る渡辺護』(11)の撮影中に探りたかったのは、渡辺さんの中で『あばずれ』が持つ意味だった。渡辺さんは「下手くそな演出だから、見直したくない」と言う一方で、こうも言っていた。「一生懸命、一カットずつ真剣にこだわって撮ってる。逆にそれ、今やったらできないってことがあったりするんだよ」。渡辺さんの言葉は矛盾している。だが、矛盾しているということは、渡辺さんの中で『あばずれ』が遠い過去ではなく、常に生々しい現在であったということだ。2013年に渡辺さんは亡くなった。だが、2014年、『あばずれ』の16mmプリントが発見された。渡辺さんの現在が甦ったのだ。私はその奇跡を何としても見てみたい。

 

hitode02-1「(秘)湯の町 夜のひとで」
(1970/73分/パートカラー/スコープ/16mm)
製作:わたなべプロ
監督:渡辺 護 脚本:日野洸(大和屋竺)
撮影:池田清二
出演:大月麗子、吉田純、二階堂浩、港雄一
さすらいのエロ事師を描く系列の代表作。温泉街に流れ着いた久生と雀。監督の久生はブルーフィルムの傑作を撮ろうとするが……。愛する久生と離れ離れになった女優の雀がぼろぼろになって早朝の川原にたたずむラストには、悲哀を突き抜けた崇高さが感じられる。

 

《料金》入れ替え制
[たからぶね]前売 1200円
*神戸映画資料館・第七藝術劇場・京都みなみ会館 3館共通
*劇場窓口でご購入1枚につき『色道四十八手 たからぶね』官能ショット生写真(5種) を1枚プレゼント!!(絵柄はお選びいただけません。限定数のため、なくなり次第終了となります)
 
[たからぶね・あばずれ・夜のひとで]
一般1300円 学生・シニア1200円
会員1000円 会員学生・シニア900円

*1作品ご鑑賞につき、『色道四十八手 たからぶね』のポストカード(2種)と35mmカットフィルムを1セットプレゼント!(なくなり次第終了)
*当日2本目は200円引き
*招待券のご利用不可

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※内容は予告無く変更する場合があります。

※作品によっては、経年退化で色褪せしている場合がございます。予めご理解ご了承の上、ご鑑賞くださいますようお願い申し上げます。