プログラムPROGRAM

年別アーカイブ: 2013

新作ドキュメンタリー「二つの祖国で 日系陸軍情報部」
第25回東京国際映画祭 公式出品
2012年12月29日(土)〜2013年1月22日(火)
*12月31日・1月1日は休映。
*水・木休館(ただし1月2日(水)・3日(木)は特別開館)
初日29日(土)13:00の回上映前
すずきじゅんいち監督舞台挨拶

 
日米両国で差別された日系二世。
太平洋戦争に翻弄され、
そして…
兄弟が敵味方に分かれて戦った──

 
「二つの祖国で 日系陸軍情報部」
MIS ─ Human Secret Weapon
(2012/日米合作/100分/HD[ブルーレイ上映])
製作:MISフィルムパートナーズ(ワック、UTB、NTTラーニングシステム、かねふくアメリカ、米国日本ハム)
制作:UTB、ワック 配給:フィルムヴォイス
企画・脚本・監督:すずきじゅんいち
音楽:喜多郎 撮影監督:小渕将史
編集:水原徹 録音:宮武亜伊
 
日系陸軍情報部は、日系人二世で構成された米国の秘密情報機関=MIS(ミリタリーインテリジェンスサービス)で、国家の最高機密として極秘にされた歴史を持つ。本作は元MIS日系兵士たちが活動した戦前から戦後を通して、今まで隠されていた歴史を解き明かす重要な証言集である。
米国国籍を持ちながら、人種差別を乗り越えて、父母の国・日本と戦う運命を受け入れた日系二世。長い沈黙を破り、二つの祖国への想いを語り始める…。
すずきじゅんいち監督、渾身の日系史ドキュメンタリー三部作がいよいよ完結!
 
[公式サイト]
 

《料金》
【当日券】
一般1800円 学生1500円 高校生以下・シニア1000円
会員1000円 学生会員・シニア会員900円

 
【特別割引価格】
「東洋宮武が覗いた時代」あるいは「442 日系部隊 アメリカ史上最強の陸軍」の半券提示
一般1500円 学生1200円


[貸館]第5回”ずっと・こころ・つなぐ基金” 上映会&トークサロン
2013年1月21日(月)18:30〜
詳細→しみん基金・KOBE 事務局ブログ
 
プログラム(予定)
18:00 開場・受付開始
18:30 開会・ご挨拶
18:40 映画「禁じられた大地・フクシマ」(栗本一紀監督作品)
(休憩)
19:50 トーク:栗本一紀監督「フクシマ」の最新事情(仮称)
20:40 ふりかえり       
21:00 閉会開場:17:30
 

主催・お問い合せ:特定非営利活動法人しみん基金・KOBE
お申込み方法
2013年1月18日(金)までに、申込書に必要事項を記入の上、FAX又はE-mail にてご連絡ください。
定員:30名(申し込み先着順。定員になり次第締め切ります。)
  申込書→PDF版
  FAX:078-230-9786 E-mail:kikin@stylebuilt.co.jp

《参加費》 1,500円(ワンドリンク付き)
※当日受付時精算
※参加費のうち、1,000円は寄附金として、「ずっと・こころ・つなぐ基金」を通じて、被災者支援のボランティア活動への助成金として活用させて頂きます。
※ワイン・ビール・おつまみなどの持ちこみ大歓迎!


サイレント映画鑑賞会 マック・セネットのキーストン喜劇①
2013年2月2日(土)・3日(日)

 
 
サイレント喜劇の大プロデューサー、マック・セネットが作った「キーストン社」で製作した4本を上映。
 
いいをじゅんこさんの第2講コメディ学入門「喜劇王は俺だ!マック・セネットvsハル・ローチ」とあわせてお楽しみください。
 
 
 
「バーニー・オールドフィールドの人生競争」*Barney Oldfield’s Race for a Life
(アメリカ/1913/16mm/無声/16分[16コマ])
製作・監督:マック・セネット
出演:メーベル・ノーマンド、マック・セネット、フォード・スターリング
「女房様々」☆Wife and Auto Trouble
(アメリカ/1916/16mm/無声/18分[16コマ])
製作:マック・セネット 監督:デル・ヘンダーソン、マック・セネット
出演:ウィリアム・コリアー、ブランシュ・ペイソン、ジョセフ・ベルモント
「珍飛行」☆Dizzy Heights and Daring Hearts
(アメリカ/1916/16mm/無声/30分[16コマ])
製作:マック・セネット 監督:ウォルター・ライト
出演:チェスター・コンクリン、クレア・アンダーソン、ニック・コグレイ
「雨中の逃亡」Teddy at the Throttle
(アメリカ/1917/16mm/無声/30分[16コマ])
製作:マック・セネット 監督:クラレンス・G・バジャー
出演:グロリア・スワンソン、ボビー・ヴァーノン、ウォーレス・ビアリー
 
*過去にシネマテーク上映された時の邦題
☆神戸映画資料館の2・3月の総合チラシでは仮の日本語題を表記しましたが、公開題が判明しましたので、訂正いたします。
 

《料金》
一般1000円 学生・シニア900円
会員900円 会員学生・シニア700円

《割引》[第2講コメディ学入門] 参加者は200円引き


西日本初公開「糸の切れた凧 渡辺護が語る渡辺護」
2013年2月8日(金)〜12日(火)
ピンクリンク編集部 企画
ピンク映画50周年 特別上映会 〜映画監督・渡辺 護の時代〜

→特集上映

渡辺 護監督・井川耕一郎監督、来場トークショー
2月9日(土)17:20〜 2月10日(日)13:00〜 *要 映画鑑賞チケットの半券


 
「糸の切れた凧 渡辺護が語る渡辺護」
(2011/122分/DVCAM)
構成:井川耕一郎
出演・語り:渡辺 護
撮影:松本岳大、井川耕一郎
録音:光地拓郎 編集:北岡稔美
構成補:矢部真弓、高橋 淳 
製作:渡辺 護、北岡稔美 
協力:渡辺典子、太田耕耘キ、淡島小鞠、荒木太郎、広瀬寛巳、向井淳子、映画美学校
 
監督生活50年にならんとする巨匠・渡辺護にカメラは密着する。本作は渡辺護の映画演出を具体的に探るドキュメンタリーでありつつ、また渡辺護が自分の人生を題材にして作った新作映画でもある。
 

ピンク映画というのは1時間前後の尺の中に、セックスシーンが4回、5回ないといけないとか、何分間に1回ないといけないとかいう条件のもとで作られますよね。その条件は、監督にとってふつう「制約」として受け止められるじゃないかと思うんです。できたら無理矢理セックスシーンなんて入れたくはないけど、そうしないといけない決まりだから仕方なく撮る、というふうに。しかし、ある一群の監督や脚本家たちにとってはそれが制約ではなく、いや始めは制約であったにもかかわらず、すぐにセックスそのものがドラマの中心テーマに据えられるようになるという奇妙な逆転が起りますよね。渡辺さんもそうだったのか。でなければ、2百本以上のピンク映画は撮れないのか。しかしこのドキュメンタリーを見ていると(聞いていると)、渡辺さんにとっての関心はピンクそのものではなく、ピンクだろうとなんだろうと如何に面白く撮るか(如何に面白く語るか)、ただそれだけなんだということがわかってきました。つまり渡辺さんにとってピンクは、驚くべきことに今もなお「たまたまそうだった」であり続けているのではないかということです。渡辺さんには「映画」という糸が、ずっと切れないままつながっているんではないでしょうか。
    ───万田邦敏(映画監督)
 
もしオリヴェイラが渡辺護を見たら、ええ! サイレント時代から映画を撮ってた人が俺以外にもいたの!とビックリするのではないだろうか。もちろん渡辺護は100歳ではない。ピンク映画の黄金期を支え、200本以上の映画を撮り続けた彼のデビューは1965年。彼の映画にずいぶんと遅れて出会った私たちは、その画面に、彼が語る言葉に、肉体に、マキノ、伊藤、衣笠ら活動大写真の興奮が息づいている不思議に呆然とした。井川耕一郎がドキュメンタリーの製作に踏み切ったのも、何としてもこの不思議を記録せねばならないと思ったからに違いない。渡辺護が語るのは体験談ではない。“体験”なのだ。クラシカルな嗜好とは無縁の、現在であり続ける“体験”。彼の映画がオリヴェイラ同様刺激的なのはそれ故だ。我々はスクリーンを通じて、スクリーンを見ている時だけ、この“体験”を共有できる。渡辺護の演出を捉えたメイキング映像は抱腹絶倒の面白さ!
    ───高橋洋(映画監督)

 

渡辺 護(わたなべ まもる)
1931年、東京生まれ。1965年 、成人映画『あばずれ』で監督デビュー。映画監督本数:約230作品。谷ナオミ、東てる美、美保純、日野繭子、可愛かずみ…数々のスター女優を発掘しヒロインに育て上げてきたピンク映画界の第一人者であり、現役映画監督。

井川 耕一郎(いかわ こういちろう)
1962年生まれ。脚本家・映画監督、映画美学校 講師。ピンク映画の脚本は、1994年『女課長の生下着 あなたを絞りたい』(監督:鎮西尚一)、1996年『黒い下着の女教師』(監督:常本琢招)など。最近作は2008年『喪服の未亡人 ほしいの…』(監督:渡辺護)。2000年『寝耳に水』(出演:長曾我部蓉子)監督。

 

《料金》
一般1300円 学生・シニア1000円
会員1000円 学生会員・シニア会員900円


ピンクリンク編集部 企画
ピンク映画50周年 特別上映会 〜映画監督・渡辺 護の時代〜
2月8日(金)〜11日(月・祝)
「紅壺」
(1965/85分/モノクロ/シネマスコープ/16mm)
監督:渡辺 護 脚本:吉田貴彰、池田 央
撮影:生田 洋 音楽:小谷松実 照明:村井徹二
録音:杉崎 喬 編集:宮田二三夫
助監督:大島 功
出演:真山ひとみ、原あけみ、黒木純一郎、上野山功一、千田啓介、岩城力也、四志譲二、今井孝行
渡辺護・第2回監督作品で、現存する最古の渡辺護監督作品。2001年にプラネット映画資料図書館とピンクリンク編集部の共同調査により奇跡的にフィルムが見つかった。「マノン・レスコー」の翻案で、ある少女がスターになるまでの物語。嫉妬、ゴシップ、陰謀…、芸能界のどす黒い人間模様。後に日活に移り活躍した真山ひとみのデビュー作である。60年代の銀座・高級クラブ街でのロケシーンは、当時の映像の記録としても貴重。
 
「婦女暴行事件 不起訴」
(1979/61分/カラー/シネマスコープ/35mm)
監督:渡辺 護 脚本:小水一男 撮影:久我 剛
照明:近藤兼太郎 音楽:飛べないアヒル
編集:酒井正次 録音:東音スタジオ
助監督:鈴木敬晴
出演:日野繭子、青野梨麻、風間舞子、港まゆみ、斉藤由次、白鳥邦彦、上野 淳、大杉 漣、豊島六郎、藤村 俊
80年前後は第2次ピンク映画ブームの時代であり、最後のピンク映画黄金時代。渡辺 護はその頃アイドル人気を誇った日野繭子をヒロインに、緊縛モノの傑作『少女縄化粧』(1979/脚本:高橋伴明)など数々の傑作を生みだす。本作は横須賀を舞台に、当時の若者たちの“いま”が描かれ、雨に煙る港町ヨコスカが素晴らしい。出演者にクレジットされている豊島六郎とは渡辺護のこと。
  
「三日三晩裏表」
(1969/63分・短縮版/パートカラー/シネマスコープ/16mm)
監督:東元 薫
脚本:原 良輔 撮影:鈴木志郎 照明:大廣 海
音楽:東 楽 編集:井原花子
録音:東音スタジオ 助監督:長石多可男
出演:野上正義、一星ケミ、王 春蘭、司 乱子、石田 覚、田口和也、千曲守夫、神原明彦、築地 博、山田春夫、桜井のり子、関 孝、河辺和子、津崎公平
監督の東元 薫=梅沢 薫(1934〜1998)は、若松孝二監督『壁の中の秘事』(1965)の助監督を務めた後、向井寛監督に師事。1965年『十代の呻吟<うめき>』で監督デビュー。勝新太郎のそっくりさんが登場する『好色座頭市 四十八手斬り』(1969)、非情なタッチで描いた『濡れ牡丹 五悪人暴行篇』(1970)などが当時大ヒットした。
60年代フォルクスワーゲンのワンボックス・バンが颯爽と登場するオープニングが、めちゃくちゃオシャレでカッコイイ! なりゆきで強盗犯人になってしまった青年(野上)が、執拗に刑事(津崎)に追いかけられるアクション・ムービー。
 
   
「おんな地獄唄 尺八弁天」
(1970/75分/パートカラー/シネマスコープ/16mm)
監督:渡辺 護 脚本:日野 洸(=大和屋竺)
撮影:池田清二 照明:栗本一雄 音楽:林伊久馬
編集:宮田二三夫 録音:目黒スタジオ
助監督:西村智之
出演:香取 環、国分二郎、辰巳典子、青山リマ、日野新二、野上正義、武藤周作、吉田純
脚本の大和屋 竺(1937〜1993)は、早世の天才脚本家であり映画監督。日活・助監督部を経て、若松プロへ。1966年『裏切りの季節』で監督デビュー。監督作『荒野のダッチワイフ』(1967)は今も伝説の名作である。ピンク映画、ロマンポルノ、TVドラマ、TVアニメなど多方面に脚本を執筆したが、特にアニメ「ルパン三世」の脚本家として有名。
そんな大和屋とがっぷり組んだ本作は、渡辺護の初期監督作品の中でも屈指の傑作。女侠客・弁天のお加代が主人公の『男ごろし極悪弁天』(1970)の続編となる任侠時代劇である。お尋ね者の女極道・弁天の刺青を入れたお加代(香取)と、吉祥天の刺青のセイガク(国分)、運命の愛の物語。
 
「男と女の肉時計」
(1968/58分・短縮版/パートカラー/シネマスコープ/16mm)
監督:向井 寛 脚本:宗 豊 撮影:東原三郎
照明:土井士郎 音楽:芥川 隆 編集:香園 稔
録音:東音スタジオ 助監督:小津寛一郎
出演:柴田美恵、泉 ユリ、島 ルミ、桧みどり、相原香織、小野 保、城 浩、寺田 司、大平宣容、田口一矢、大原譲二
監督の向井 寛(1937.10.16〜2008.6.9)は、1962年『二人の少年』で監督デビュー。1965年、向井プロダクションを設立し成人映画に進出、ピンク第一回監督作品『肉』(出演:内田高子)を撮る。向井プロからは数多くの監督が輩出され、滝田洋二郎や瀬々敬久らも向井プロの出身である。本作は美人局(つつもたせ)をしながら暮らす男と女のお話。組長の情婦に手をつけてしまった男は、落とし前をつけるために、交通事故を装った殺しの依頼を受けるのだが…。
 
「素肌が濡れるとき」
(1971/70分/カラー/シネマスコープ/16mm)
監督:梅沢 薫
脚本:池田正一 撮影:久我 剛 照明:秋山和夫
編集:エディ編集社 音楽:金子新一
録音:日本録音センター 助監督:吉岡宣孝
出演:真湖道代、野上正義、港 雄一、泉 ユリ、瀬川ルミ、青山美沙、宝井京子、相原香織、真理野恵美、神原明彦、名和三平、城 浩、香の浦恵、浅野悦子、椿 ユカ、滝沢明広、出口泰児、大浜ゆう子、田代愛子、中津ともえ
出演の野上正義(1940.3.2〜2010.12.22)は北海道出身。1964年『鉛の墓標』(監督:若松孝二)でピンク映画初主演。成人映画のみならず、一般映画、TVドラマ、舞台、CM…と幅広く活躍し、1,000本以上の映画に出演した。ピンク映画50年の歴史の中で最も活躍した人を唯一人選ぶとしたら、女優でも監督でもなく、俳優・野上正義の名前を挙げる人も多いだろう。ピンク映画、ゲイポルノなど監督作も約20作品ある。
本作ではそんな野上さんが実にかっこよく、まるで野上さんのプロモーション映画のよう! ほぼ全篇、主演・野上正義の映画となっていて、ピンクなのにホモセクシャルなシーンまである自由さ。
 
*プリント状態が悪く映写機にかからない場合は上映作品が急遽変更になる場合があります。
 
企画:ピンクリンク編集部
 
[関連企画]
西日本初公開「糸の切れた凧 渡辺護が語る渡辺護」

《料金》入れ替え制
1本あたり
一般1200円 学生・シニア1000円
会員1000円 会員学生・シニア900円

《割引》
2本目は200円引き


『あるいは佐々木ユキ』公開記念
福間健二監督作品集
2013年2月15日(金)〜19日(火)
 
「急にたどりついてしまう」
Suddenly Arriving
(1995/90分/35mm)英語字幕版
製作・配給:タフ・ママ
製作:本多昇、禰屋順一、福間健二
監督・脚本:福間健二
撮影:小西泰正 照明:櫻井雅章
同期同時録音:浅沼幸一
編集:金子尚樹 記録:田中小鈴
制作:サトウトシキ、瀬々敬久
音楽:THE WAR BABYS、dè-ga-show
出演:伊藤猛、松井友子、北風太陽、今泉浩一、小林節彦、田中要次、伊藤清美
 
『急にたどりついてしまう』は詩人福間健二による初の長編劇映画である。
舞台は東京郊外の町。ソーセージ屋で働く青年信次。彼の出会った女の子リサ。二人をとりかこむさまざまな人物たち。《いつのまにか大事な場面に立ち会っている》それぞれの春。
『急にたどりついてしまう』は、この地上に生きる者たちの息づかいをしっかりとつかまえたリアルライフ・ムーヴィーだ。
 
福間健二は『結婚入門』『行儀のわるいミス・ブラウン』『きみたちは美人だ』『旧世界』といった詩集で、現在の生活風景の隅々にまで言葉を届かせながら、新鮮な映画的イメージを紡いできた。同時にその一方で、1960年代からの映画体験にこだわりつづける独自な視点をもった映画批評を書き、さらに映画を撮りたいという夢を育んできた。
その夢は、彼がこのところ交流をもってきた瀬々敬久、サトウトシキ、上野俊哉、松岡邦彦といったピンク映画の俊鋭監督たちの全面的な協力によって、一気に実現されることになった。
『急にたどりついてしまう』というタイトルは、福間健二の詩集のひとつの題をそのまま持ってきたものだが、作品の内容ばかりでなく、この映画が作られるにいたった過程をも語っているように思えてくる。
 
「岡山の娘」
My Dear Daughter of Okayama
(2008/92分/HD[ブルーレイ上映])
製作:tough mama、岡山映画祭実行委員会、幻野映画事務所
製作:福間恵子
脚本・監督:福間健二
撮影・照明:大西一光 音楽:吉田孝之
録音:進巧一、折元亮 記録・編集:福間雄三
 
出演:西脇裕美、家ノ上美春、石原ユキオ、季羽和喜、入海洋一、東井浩太郎、岡本文子
 
『岡山の娘』は、詩人福間健二の、『急にたどりついてしまう』以来13年ぶりの監督作品である。
日本の地方都市岡山の、ひとりの娘の夢と現実、ひと夏の経験。彼女と彼女をとりまく人々の物語。だれもが立つ地面に詩をひきよせる、いままでになかった語り方の映画である。
私たちはいま、ここで、何に抗議し、何を許すべきなのか。
近年、詩集『侵入し、通過してゆく』と評論集『詩は生きている』で話題をあつめた福間健二が、根底に人間へのあたたかい肯定のまなざしをもって、世界と映画への新しいヴィジョンをつむいでいる。
撮影は、『映画の記憶』『IZANAMI』『青空(映画の記憶2)』を撮影・監督した大西一光。
音楽は、朗読テープ『地下帝国の死刑室』を福間健二と作った吉田孝之。
主演の西脇裕美は、オーディションで選ばれた新人。そのほかのスタッフ・キャスト全員が、この映画への呼びかけに応えて参加した岡山在住の人たちである。
生きる。傷つく。誘惑する。
魅力あふれる岡山の娘たちが駆け抜けるリアルライフ+ファンタジーのなかに、「私たちがいま出会うべき大事なもの」が生まれ、未来への視界をさえぎられて疲労のなかにうずくまるように見えるこの世界へと、あざやかに発信される。
 
「わたしたちの夏」
Summer for the Living
(2011/89分/HD[ブルーレイ上映])
製作・配給 tough mama
製作:福間恵子
脚本・監督:福間健二
撮影:鈴木一博 編集:秦岳志
音響設計:小川武
 
出演:吉野晶、小原早織、鈴木常吉、千石英世、松本雅恵、川野真樹子
『岡山の娘』から3年。
冒険的な映像構成に体温とやさしさを引きよせる福間健二の新作です。
詩と映画を結びつけるその果敢な挑戦が、日本が大きく揺れたいまこそ見てもらいたい作品として、そして何よりも女性たちへのオマージュとなる作品として、結実しました。
〈映画は、夢と現実をひとつにする。そして、ひとは、どんなに遠い夢に迷い込んでも、生きて、現実に帰ってくることができる〉。
二人の女性。アラフォー世代と20歳前後。戦争と死者を思い出す日本の夏。
〈つらいこと、苦しいことのなかにこそ、自分を救ってくれるものがある〉。
生きていること、その大切さ。夏の光と影、女性たち、植物の生命力。
この世界の隠された「蜜」を感じとる映像と言葉が、あなたを誘い、あなたに問いかけます。
ヒロイン千景には、瀬々敬久監督『汚れた女〈マリア〉』(98)以来の主演作となる吉野晶。その千景の元恋人・庄平を、一昨年TVドラマ『深夜食堂』のオープニング曲「思ひ出」が話題になった歌手の鈴木常吉、その娘・サキを新人の小原早織が演じます。
この三人をメインに、個性豊かな人物たちが、それぞれの言葉と存在感をもって登場します。
撮影は『ヴァイブレータ』『blue』『あしたの私のつくり方』などの鈴木一博、編集は『エドワード・サイード OUT OF PLACE』『チョコラ!』などの秦岳志、音響設計には『ぐるりのこと』『マイ・バック・ページ』などの小川武が参加しています。
 

《料金》
【各作品】1000円
*「あるいは佐々木ユキ」の半券提示で100円割引


福間健二監督最新作「あるいは佐々木ユキ」
2013年2月15日(金)〜19日(火)

もうすこし歩いて
もうすこしへんになってみる。

 
「あるいは佐々木ユキ」
A Fairy Tale(2013/79分/HD[ブルーレイ上映])
製作・配給:tough mama
製作:福間恵子
監督・脚本:福間健二
撮影:鈴木一博 編集:秦岳志
音響設計:小川武
出演:小原早織、吉野晶、千石英世、文月悠光、川野真樹子、籾木芳仁、萩原亮介、川島加奈代
 
2011年、詩集『青い家』で萩原朔太郎賞と藤村記念歴程賞をW受賞した詩人であり、1995年『急にたどりついてしまう』、2008年『岡山の娘』、2011年『わたしたちの夏』と、精力的に映画づくりに取り組んできた福間健二の新作。
 
20歳の女の子、佐々木ユキの夢と現実を、インタビュー、詩、ダンスをふくむ斬新な構成によってとらえる。ユキは、その分身的存在や彼女を見守る人物たちと出会い、別れ、次のステップへと向かう。アゴタ・クリストフ、アンデルセン、文月悠光、そして「青い家」をはじめとする福間健二の詩を盛り込んだ、アイドル・コミック・ポエトリーファンタジー。21世紀の妖精物語。
主役の佐々木ユキには、『わたしたちの夏』のサキ役で注目を浴びた小原早織。
吉野晶、千石英世、川野真樹子の、『わたしたちの夏』のメンバーに加えて、詩人文月悠光も出演。主要スタッフは、『わたしたちの夏』につづいて、撮影・鈴木一博、編集・秦岳志、音響設計・小川武。福間健二のあらたな冒険をささえている。
 

2月16日(土)18:30の回上映前 福間健二監督による詩の朗読

2月17日(日)16:15〜
トークイベント《詩から映画までを生きる》 福間健二 × 細見和之
 
 ぼくは、詩を書き、映画をつくっている。青春期を送った1960年代後半にこの二つの魅惑につかまり、そこから紆余曲折した人生の迷路の先にそういうことになった。
 長い物語であるが、ぼくはそれを自分だけの物語だとは考えていない。
 ふつうは、詩は自分ひとりで書き、映画はスタッフ・キャストとの共同作業でつくっているという違いがある。
 自分で写真を撮ることの延長のように映画をつくる、いわゆる個人映画という領域もあるが、ぼくの場合、規模は小さくても、スタッフ・キャストとつくるやり方にこだわっている。理由のひとつは、創作の過程で他者に出会っていたいということ。もうひとつは、たくさんの名作のならぶ映画史を意識した表現をつくりたいということだ。
 四本の長篇映画をつくったいま、詩と映画で、別のことをやっているという意識は次第に薄らいできたけれど、それは意識の上でそうだということであり、実際にやることはちがう。映画には、机の上で原稿を書いているのとはちがう体の使い方が必要だ。言葉も、そこでは、紙のページに印刷して読んでもらうのとはちがうものになる。
 詩から映画までを生きる。大きく言えば、どんなジャンルにおいても、そのことが必要なのだとぼくは思っている。そして、詩と映画のあいだにおこるフィードバックから、詩についても映画についても新しいヴィジョンが生まれる。そのことを語りたい。
                                     ――――福間健二
 
ゲスト:細見和之
大阪府立大学人間社会学部教授、詩人。主な著書に『アドルノ』(講談社)、『アドルノの場所』『ポップミュージックで社会科』(みすず葛房)、『「戦後」の思想――カントからハーバーマスへ』(白水社)、『永山則夫――ある表現者の使命』(河出書房新社)、『アイデンティティ/他者性』『言葉と記憶』『ベンヤミン「言語一般および人間の言語について」を読む』『ディアスポラを生きる詩人 金時鐘』(岩波書店)、『「戦後」の思想』(白水社)、『永山則夫』(河出書房新社)。主な詩集に『言葉の岸』(思潮社)『ホッチキス』(書肆山田)『家族の午後』(澪標)などがある。

福間健二 監督・脚本
1949年、新潟県生まれ。都立大学在学中に16ミリ作品『青春伝説序論』を高間賢治の撮影で監督する。同時に詩を書きはじめ、現代イギリス詩の研究者としての道を歩みながら、詩と映画への情熱を燃やしつづける。首都大学東京教授。
95年、劇場映画第一作『急にたどりついてしまう』を発表。08年には『岡山の娘』、11年に『わたしたちの夏』を発表し、若い世代の映画作家・批評家たちから熱い支持を受ける。詩論集に『詩は生きている』(05/五柳書院)。詩集に『きみたちは美人だ』(92/ワイズ出版)、『旧世界』(94)、現代詩文庫版『福間健二詩集』(99)、『秋の理由』(00)、『侵入し、通過してゆく』(05/以上、思潮社)など。2011年7月に出した新詩集『青い家』(思潮社)で第19回萩原朔太郎賞と第49回藤村記念歴程賞をW受賞。映画関係の本として、『石井輝男映画魂』(92/ワイズ出版)、『大ヤクザ映画読本』(93、山﨑幹夫との共編著/洋泉社)、『ピンク・ヌーヴェルヴァーグ』(96/ワイズ出版)などがある。

[公式ブログ]
[公式ツイッター]
[フェイスブック あるいは佐々木ユキページ]
 

《料金》
一般1500円 学生・シニア1000円
会員1000円 学生会員・シニア会員900円
トークイベント1000円

*ポエトリー割引:詩集ご提示で映画鑑賞一般料金を200円引き


新作ロードショー「空の境界(くうのきょうかい)
2013年2月22日(金)〜26日(火)

愛を知る為に真実を受け入れる。
誰しもが“境界”を超えて強くなる。

 
「空の境界」
(2013/92分/HD[ブルーレイ上映])
監督:堀江慶 監修:松本明 原案・心理学監修:藏本天外
脚本:堀江慶、井土紀州 音楽:三枝伸太郎
撮影:ふじもと光明
製作:[空の境界]製作委員会
配給:横田佳代子事務所、セントラルメディアプロモート
 
出演:河北麻友子、藏本天外、井上正大、伊藤かずえ、あめくみちこ、永澤敏矢、工藤綾乃、牧田哲也
 
県立水泳競技場の事務職員として働いている澤村悠子(河北麻友子)は、ジュニア時代、有望な飛び込み選手であったが、8年前から飛び込みが出来なくなる。ある日、悠子は恋人の笹原聡(牧田哲也)からプロポーズされるが踏み切れない。そんな中、悠子はメンタリストである「響翔(藏本天外)」の講演会に足を運び、カウンセリングを受ける事に。飛び込みが出来なくなった事、そして結婚に踏み切れない事は8年前に悠子に起こった事件がトラウマとなっての事だった……。
 
急増する精神的トラブル(うつ、虐待、いじめ、自殺、トラウマ、アダルトチルドレン等)に答えを見出せない現代社会──。
現役メンタリスト(心理カウンセラー)の実体験をドラマ化した野心作。
 
[公式サイト]
 

《料金》
一般1500円 学生1300円 シニア1000円
会員一般1000円 学生会員・シニア会員900円


春の時代劇まつり
2013年3月2日(土)・3日(日)
Aプログラム
「続水戸黄門」(楠公篇)
(1928/部分12分[16コマ]/無声/16mm)
総指揮:池永浩久 監督・脚本:池田富保
助監督:渡辺邦男、坂本信
撮影:井隼英一、中西与之助
出演:山本嘉一、三桝豊、磯川金之助、桜木梅子、久米譲
荒果てた楠木正成の墓を目にした徳川光圀は、墓前で菊水の旗のもと湊川で足利軍と戦い敗れ自害した正成を偲び、「嗚呼忠臣楠子之墓」の碑を建立し、盛大に法要を営むのだった。神戸が舞台の珍しい無声映画。
 
「さむらひ鴉」
(1935/53分[不完全]/16mm)
監督:池田富保  脚色:滝川紅葉
原作:子母沢寛  撮影:町井春美
音楽:白木義信  
出演:黒川弥太郎、鳥羽陽之助、山本礼三郎、光岡龍三郎、上田吉二郎、花井蘭子、衣笠淳子、五月潤子
国定忠治の子分、友五郎の母が危篤で許嫁のお久が赤城山まで知らせに来た。故郷に帰るとすでに母は亡くなり、お久の父らに金を騙し取られて実家は傾いていた。友五郎はお久の父を斬るが、恨んだお久を連れ落ち延びてゆく。利根川のシーンは滋賀県の近江八幡水郷で撮影されたと思われ、堅田船が行き交う。
 
Bプログラム  
「清水次郎長伝」
(1929/部分17分[16コマ]/無声/16mm)
監督:沖博文 脚本:大国狂助 撮影:永井政次
出演:阪東妻三郎、中村政太郎、中村吉松、志賀靖郎、小松峰子
次郎長は病む妻のお蝶と子分の森の石松を連れ尾張瀬戸まで落ち延びた時、小川の勝五郎に助けられる。次郎長のお陰で尾張一の大親分となった保下田の九六に勝五郎と次郎長は援助を求めるが、恩知らずの九六は凶状持ちの次郎長に御用の捕手で迫る。上映の機会が少ない阪妻映画。
 
「主従無上」
(1940/45分[不完全]/16mm)
監督・脚色:田崎浩一 原作:土師清二
撮影:近藤憲照 音楽:高橋半
出演:月形龍之介、原健作、河部五郎、深水藤子、月宮乙女
鳥類の捕獲を禁じた御鷹場で雀部善馬は従者の萬助から銃を受け取り鴨を撃ち落とした。銃声を聞いて駆けつけた御鷹見役は銃を取り上げようとして善馬に斬られたが、それは萬助の父であった。萬助にとって親切な主人が仇となり苦悩する。萬助役の原建作、その妹役の深水藤子が初々しい。
 
Cプログラム
「野狐三次」
(1930/部分22分[16コマ]/無声/16mm)
監督:小石栄一 脚本:赤木一平 撮影:円谷英一
出演:林長二郎、千早晶子、浦浪須磨子、日下部竜馬、関操
悪旗本の長谷川に頼まれた火消しの庄吉が秋田屋の娘・お糸を連れ去ろうとした時、「に組」の火消し三次が助ける。三次は長谷川とお糸の結婚式を妨げ旗本屋敷で大乱闘。その時、半鐘の響きを聞いた三次は火事場に駆けつけ庄吉と対決、纏を揚げ「に組」の面目を取り戻したのだった。傾向映画の小石栄一、特撮監督・円谷英二(本名・英一)の若き日の仕事が見どころ。
 
「大江戸七変化」
(1949/39分[不完全]/16mm)
企画:辻久一 監督:木村恵吾
脚本:柳川真一 撮影:牧田行正
音楽:佐藤顕雄 美術:川村鬼世志
録音:中村敏夫 照明:森下喜一
出演:市川右太衛門、坂東好太郎、大友柳太郎、杉狂児、香川良介、相馬千恵子、橘公子、大美輝子、佐川悦子、上田吉二郎、葛木香一、原聖四郎
金山を発見した加賀屋半次郎は、旗本の硲主水正らに横領と放火の罪をきせられ島送りになる寸前に脱獄。旗本一味の金山横領に気づいた大岡越前守は半次郎の無実を証し、旗本らの悪行を暴く。欠落が多いが珍しい右太衛門映画。
 

《料金》入れ替え制
1プログラムあたり
一般1200円 学生・シニア1000円
会員1000円 会員学生・シニア900円

《割引》
2プログラム目は200円引き


ドキュメンタリー映画
「津波のあとの時間割~石巻・門脇小・1年の記録」
2013年3月8日(金)〜12日(火)

3月11日(月)・12日(火)11:00の回上映後 青池憲司監督、来館挨拶

3月11日(月)・12日(火)13:45〜 ─お茶会─青池監督を囲んで
場所:シネマカフェ・チェリー(神戸映画資料館内)
参加費:500円(コーヒーか紅茶+東北のお菓子付き)

「津波のあとの時間割~石巻・門脇小・1年の記録」(2012/125分/HD[ブルーレイ上映])
編集:村本勝 撮影:一之瀬正史 録音:滝澤修 音楽:森拓治 語り:三國裕子
監督助手:尾崎日出夫 監督:青池憲司
 あの日、東日本太平洋沿岸の多くの学校が津波に襲われ、石巻市立門脇小学校も壊滅的な打撃を受けた。児童300名のうち7名が犠牲になり、校舎は津波と火災で使用不能、地域(校区)もそのほとんどが荒野と化した。
 4月、門脇小学校は、高台にある門脇中学校の一画に間借りして新学期を迎えた。そこには、震災と向き合うこどもたちの姿があった。
 3年生の授業「よみがえれ石巻」では、自分たちが住んでいた町をどんなふうに創りかえるか? 新たな災害に備えるにはどうすればいいか? こどもたちの奔放なアイディアあふれる授業は3学期まで続いた。
 地域では、生活とコミュニティの復興をめざして、住民と行政の意見交換会が始まり、いまも続いている。
 そして、・・・震災後の6月から門脇小学校にキャメラを据えて1年、この映画は、教室と地域、こどもとおとなの再生の日々を、石巻の四季とともに織り上げた作品である。
【映画「宮城からの報告」映画製作委員会より】
 東日本大震災直後すさまじい被害報道が流れる中で、わたし達は未来に向かって生きていかなければならない被災地の人びと、とりわけ子どもたちの〈現在・未来〉に焦点を当て、記録映画を製作しようと考えました。2012年5月、宮城県石巻市で映画製作委員会を発足させ、阪神淡路大震災を記録した青池憲司監督に映像記録づくりを依頼し、6月末から撮影を開始しました。そして、東日本大震災による災害の実態と人びとがそれに対しどう立ち向かっているのかという経緯を、子ども達・学校・地域の姿を通して約1年間200時間以上の撮影を行ってきました。
 これまで「予告編特報・わたしはここにいます~石巻・門脇小・夏~」(2011年10月完成・27分)と「学校証言篇・3月11日を生きて~石巻・門脇小・人びと・ことば~」(2012年2月完成・97分)を製作し、現在「学校証言篇」は、全国各地で公開中です。
 この度、約1年間の記録をまとめた作品である「津波のあとの時間割~石巻・門脇小・1年の記録」が完成しました。当製作委員会は、県内はもとより全国からの製作支援金で映画製作しておりますので、皆様からの尚一層のご支援をお願いします。

青池憲司監督の主な作品
『日本幻野祭三里塚』、『合戦』東京都教育映画祭金賞、『ベンポスタ・子ども共和国』日本カトリック映画賞、『琵琶法師 山鹿良之』毎日映画コンクール・記録文化映画賞・文化庁優秀映画作品賞
【阪神大震災関連作品】
記憶のための連作『野田北部・鷹取の人びと』全14部(14時間38分)  
『阪神大震災 再生の日々を生きる』(2時間36分)

【東日本大震災関連作品】
『3月11日を生きて〜石巻・門脇小・人びと・ことば〜』
『津波のあとの時間割~石巻・門脇小・1年の記録』

青池組@宮城応援ページ

《料金》
一般1300円 学生・シニア1000円 高校生以下500円
会員1000円 学生会員・シニア会員900円


転形期のインディペンデント映画
第2回 マイナー映画の方へ
3月23日(土)〜26日(火)
映画制作と上映のデジタルへの移行、そして見る環境の多様化により、いよいよ“映画”の転形期を実感する今日。とりわけインディペンデント映画の状況はダイナミックに変化していくことでしょう。
自由な環境で作られるインディペンデント映画であるからこそ、作り手はそれぞれに映画の在り方を模索しています。このシリーズでは、この転形期に誕生した作品から映画の未来を見ていきます。
今回は、「マイナー映画の方へ」と題し、三人の映画作家の作品を取り上げます。いわゆる「個人映画」に分類される作品ですが、突き詰めた個人の表現がもたらす過激さとユーモアに触れてください。
Aプログラム
「時」
(2012/サイレント/60分/DVD)
監督:木村卓司
一瞬一瞬、見えないはずの時が猛々しく発露し姿を現す。それは霧の様に実体のない幻想で意識下の深遠に降りて行く。日だまりの様にこの上なく心地のよいものだ。──木村卓司
『シネマトグラフ オブ エンパイア』(2009)、元町映画館が出来るまでを描いた『街に・映画館を・造る』(2011)で知られる木村卓司。今回が初公開となる最新作『時』は、闇と光を往還する独自の世界である。
 

触手のようなキャメラが平面像の女体をまさぐる。すると静止していたはずの被写体が一瞬息を吹き返したように動き出す。この瞬間に戦慄を覚える。この個人映画作家が自宅の納屋から発見されたという戦前のポルノグラフィーに眼差しを向けると、そこに津山三十三人殺しが実験映画と交差する時空が出現する。そして我々は思い出す。映画は3D技術など使わなくとも初めから立体映像だったのだと。
    ───葛生賢(映画批評家、映画作家)

Bプログラム2本立て
「おしゃれ29/29」
(2003/25分/8mm)
「べっぷ、たまがわ」
(2005/31分/8mm)
監督:内村茂太
8mmフィルムによる日記形式の作風で知られる内村茂太。とぼけた語り口につい気を許してしまいそうになるが、実はかなりの技巧派である。
今回上映する『べっぷ、たまがわ』は、イメージフォーラム・フェスティバル2006寺山修司賞、『おしゃれ29/29』は、調布映画祭第9回ショートフィルム・コンペティション・グランプリ、コダック8ミリフィルムワークス in ジャパン奨励賞受賞。

内村茂太氏の8ミリ日記は、日曜洋画劇場で観た『ポリスアカデミー』を明日学校でどうネタにしようかとワクワクする、そんな中坊時代の日曜・晩の気分に満ちている。コマ落し気味のスピードで展開する妻と愛猫チャコとの多摩川住宅生活、地方への旅。終わらない休日として「問わず語り」のフィルムは回り続ける。
そんな内村氏の肩書きの1つは、自主的に務める『オールナイトニッポン』のパーソナリティ。『天才バカボン』の目玉のお巡りさんが如くである。500円で販売している収録テープがどれだけ売れたのかは謎だ。カセットテープが聴けない人も多いこのご時勢、内村氏は真顔で「聴く」かどうかではなく、「買う」という行為が重要なのだと淡々と言い切るのである。
    ───デューイ松田(ライター)

 
Cプログラム
「Blessed ―祝福―」
(2001/78分/DV)
監督:崟利子
テキスト・ナレーター:高橋章代
穏やかに慎ましく、時には衝撃的なほど直裁に、愛、恐れ、親密さ、渇望、性愛のもっとも深い感情を探っていく私的ドキュメンタリー。詩的で喚起的なテキストが、即時性を感じさせる触覚的な映像と見事なバランスを成す。
本作は、山形国際ドキュメンタリー映画祭2001「アジア千波万波」で上映され、ニヨン国際映画祭にて特別賞を受賞。その他、ソウル女性映画祭、台湾ドキュメンタリー映画祭、マレンマ(イタリア)国際ドキュメンタリー映画祭に招待上映。
崟利子は関西での自主上映活動や福田克彦監督の助監督を経て、1998年から映像制作を開始。2005年より東京茅場町にあるギャラリーマキにて定期新作発表上映会「季刊タカシ」をスタートし、2009年秋から神戸映画資料館で「タカシ時間」を不定期で開催している。

《料金》
一般1200円 学生・シニア1000円
会員1000円 学生会員・シニア会員900円

《割引》2プロ目は200円引き


ドキュメンタリー「モバイルハウスのつくりかた」
2013年4月5日(金)〜9日(火)
建てない建築家・坂口恭平
初のドキュメンタリー

 
「モバイルハウスのつくりかた」
(2011/98分/HD[ブルーレイ上映])
製作:戸山創作所
配給:戸山創作所、スリーピン
監督・撮影・編集:本田孝義
整音:米山靖
音楽:あらかじめ決められた恋人たちへ「calling」
 
出演:坂口恭平、鈴木正三、船越ロビンソン、隈研吾、磯部涼
 
「建てない」建築家がいる。———名前は坂口恭平。
「0円ハウス」「ゼロから始める都市型狩猟採集生活」といった著作で現代のライフスタイルに問いを投げかけ、故郷の熊本につくった“ゼロセンター”で新しい生き方を模索する。
坂口さんは早稲田大学建築学科在学中に路上生活者の家と出会い、家について、都市について、生活について根本的に考えることを始めた。
なぜ、建築家は巨大な建築物を建てるのだろう? なぜ、私たちは身の丈に合った巣のような家を建てることが出来ないのだろう?
数々の著作で路上生活者の生活をレポートしてきた坂口さんは、2010年11月、ついに初の建築作品“モバイルハウス”の製作にとりかかる。
 
僕の先生は多摩川のロビンソンクルーソー
 
坂口さんを手ほどきする「師匠」は多摩川の河川敷に長年暮らす“多摩川のロビンソンクルーソー”。材料はホームセンターで購入。しめて制作費26,000円。二畳の家に移動用のかわいい車輪付き。師匠の叱咤激励を受けてようやく完成、設置場所は吉祥寺の駐車場。多摩川から設置場所の吉祥寺に移動という前日、東日本大震災が起こった……。
住むとは? 暮らすとは? 生きるとは? ここには私たちが生きていくためのヒントがいっぱい詰まっています。
 
[公式サイト]
 

《料金》
一般1300円 学生・シニア1000円
会員一般1000円 学生会員・シニア会員900円


サイレント映画鑑賞会 『喜劇の王様たち』
2013年4月7日(日)15:00〜
「喜劇の王様たち」When Comedy was King
(アメリカ/1960/16mm/80分)
製作・監督・脚本: ロバート・ヤングソン
出演:チャールズ・チャップリン、バスター・キートン、チェスター・コンクリン、ロスコー・アーバックル、メイベル・ノーマンド、グロリア・スワンソン、ハリー・ラングドン、ベン・ターピン、ローレル&ハーディ
 
サイレント・コメディ黄金時代の名場面集。
(日本語字幕無し/解説を配布)
 
いいをじゅんこさんの第3講コメディ学入門「スラップスティックの極北、3ばか大将」とあわせてお楽しみください。
 

《料金》
一般1000円 学生・シニア900円
会員900円 会員学生・シニア700円

《割引》[第3講コメディ学入門] 参加者は200円引き


宝プロ・チャンバラ映画特集
2013年4月26日(金)〜29日(月・祝)
宝プロダクションは、東亜キネマの撮影所長だった高村将嗣(正次)が1950年に設立した独立プロダクションで、当初は立石電機(現在のオムロン)の敷地内にあった戦前からの双ヶ丘撮影所を使用して時代劇を専門に製作した。1953年に天神川沿いに新たな撮影所をオープンしたものの、1958年に倒産。その後は永らく「日本京映撮影所」という貸しスタジオだったが、今は面影もなくなっている。
大映京都で助監督をしていた加藤泰が監督に抜擢され手がけた劇映画デビュー作『剣難女難』前後篇を含む5作品を上映する。
加藤泰は宝プロについて「日本最低のプロダクションと云われていた」と繰り返し発言しているが、映画はとても最低とは思えない豪華版である。
 
「剣難女難 第一部・女心流転の巻」
(1951/70分/16mm)
製作:高村将嗣 監督:加藤泰 脚本:木下藤吉
原作:吉川英治 撮影:藤井春美 音楽:高橋半
出演:黒川弥太郎、市川春代、堀正夫、加賀邦男、阿部九州男、澤村國太郎、東龍子
加藤泰監督の記念すべき劇映画第一作。吉川英治原作の痛快娯楽時代劇。主人公、福知山藩の春日新九郎は剣が全くダメな武士。兄の重蔵が宮津藩との剣道試合で自斉に破れため、兄共々藩を追われた。許嫁・千浪に横恋慕する玄蕃に命を狙われ、それを助けた女に惚れられるなど紆余曲折。江戸の道場に入門し剣に励むが、ある日、宿敵の自斉が現れ試合するも惨敗。その後、将軍家綱の側室の姉・お光の方に見初められ愛欲に溺れる。
 
「剣難女難 第二部・剣光流星の巻」
(1951/71分/16mm)
スタッフは第一部に同じ
出演:黒川弥太郎、市川春代、堀正夫、加賀邦男、阿部九州男、徳川夢声、澤村國太郎、東龍子
玄蕃に父を殺された千浪が、兄の重蔵とともに江戸に出てきた。新九郎は、お光の方から離れ賭場を転々とし、巷では「御曹子の新九郎」と呼ばれていた。千浪と重蔵に出会えた新九郎は心機一転、信州の山奥で剣の修行に励む。お光の方の取り計らいで宿敵・自斉との御前試合が実現。千浪と病に伏した重蔵は剣の達人となった新九郎の勝利を祈った。
加藤泰は「チャンバラ映画への初心とウンチクを、この前後篇一万三千呎のチャンバラにつぐチャンバラへ、唯一筋に、何の衒いもなく傾けて、脇目もふらず撮りあげたと言えるのを、今でも嬉しく思っている」と回想している。総集版も存在するが、今回は一、二部別々の最長版を上映。
 
 
「神変美女峠 解決篇 又四郎笠」
(1951/70分[一部欠落]/16mm)
製作:高村将嗣 監督:萩原章 脚本:豊田栄、萩原章
原作:山手樹一郎 撮影:藤井春美
出演:黒川弥太郎、市川春代、花井蘭子、大友柳太郎、高山廣子
 
山手樹一郎原作「又四郎行状記」の映画化。萩原章監督のデビュー作『神変美女峠』の続篇で、松平家の三男・源三郎と多恵姫との縁組みを妨害し、お家乗っ取りを企てようとする陰謀を、黒川弥太郎が演じる主人公・笹井又四郎が阻止する勧善懲悪の物語。なお、萩原章は萩原遼監督の弟。プリント状態は不良で約13分欠落している。
 
 
「天草秘聞 南蛮頭巾」
(1952/76分/16mm)
製作:高村将嗣 監督:丸根賛太郎
脚本:木下藤吉、丸根賛太郎
撮影:喜多村幸三郎、近藤憲昭
音楽:高橋半 美術:鈴木正治
出演:黒川弥太郎、川喜多小六、大友柳太朗、宮城千賀子、御園裕子、菅井一郎、市川男女之助、鳳衣子、植村謙二郎、飯田覚三、加賀邦男、堀正夫、吉田義夫
 
寛永十四年(1637年)徳川三代将軍家光の治世、鎖国を断行して他国との交渉を断った徳川幕府はキリスト教を弾圧。それまでキリスト教徒の安住の地だった天草は迫害の地に変わった。領主の圧制に喘ぐ農漁村を舞台に、領主に叛逆する浪人たちと救世主のように現れた天草四郎の活躍を描く。『春秋一刀流』の丸根賛太郎監督が見せるサイレント時代劇風の画づくりは見事。
 
 
「ひよどり草紙」
(1952/73分[一部欠落]/16mm)
製作:高村将嗣 監督:加藤泰 原作:吉川英治 脚本:野島信吉
撮影:松井鴻 音楽:高橋半
出演:重光彬、星美千子、江見渉、沢村マサヒコ、沢村国太郎、朝雲照代、河野秋武、鳳衣子、故里ひびき、坊屋三郎、益田喜頓、山茶花究
 
徳川家康が一朝有事の際にと人知れず埋蔵した莫大な軍用金の在処を示す地図を秘めた紅ひよどりを求めて美剣士、美女が入り乱れる。坊屋三郎ら喜劇人の歌や踊りを盛り込んだ宝プロならではの娯楽大作で、子役の津川雅彦(沢村マサヒコ)が活躍するほか、配役には阿部九州男、綾小路絃三郎、河部五郎、市川男女之助など往年の大スターを起用し、活動写真ファンだった加藤泰が喜々として取り組んだ様子が読みとれる。加藤は「再びチャンバラにつぐチャンバラを、初心に帰り、丁寧に撮った映画である。撮影は昭和廿七年の夏の終りから秋にかけての、酷しい残暑の頃。その時かけずり廻った、京都近郊のロケ地の多くは、開発の嵐にのみこまれて、その頃の面影を失おうとしている」と回想。残念ながら約15分欠落したプリント。
 

《料金》入れ替え制
1本あたり
一般1000円 学生・シニア900円
会員900円 会員学生・シニア800円

《割引》
2本目は200円引き


新収蔵ポーランド映画特集1
2013年5月3日(金・祝)〜6日(月・祝)
ポーランド映画の輸入配給、演劇研究家として知られるYAKOの山田正明氏が遺したフィルムや映画文献、オリジナル・ポスター、ビデオテープなどが神戸映画資料館に寄贈された。その新たに収蔵された日本語字幕付き35mmフィルム6本を上映。同時にポーランド映画オリジナル・ポスター展も開催。
 
「アウシュビッツの女囚」Ostatni etap
(1948/109分/35mm)
監督:ワンダ・ヤクボフスカ
脚本:ワンダ・ヤクボフスカ、ゲルダ・シュナイデル
撮影:ベンツィオン・モナスティルスキー
音楽:ロマン・パレステル
出演:バルバラ・ドラピンスカ、ワンダ・バルトヴナ、タチアナ・グレッカ、アントニーナ・ゴルドン・グレッカ、アレクサンドラ・シュロンスカ
戦前より記録映画などを手がけていた女性監督ワンダ・ヤクボフスカが、自身の収容所体験をもとにアウシュビッツにおけるエゴと暴力、そしてそれに立ち向かう地下活動を描く。死に直面するなか、歌で励まし合う収容者たちの不屈の姿が印象的。戦後ポーランドで作られた劇映画の3作目にあたる。
 
 
「ロトナ」Lotna
(1959/89分/35mm)
監督:アンジェイ・ワイダ 
脚本:アンジェイ・ワイダ、 ヴォイチェフ・ジュクロフスキ
出演:イェジー・ピケルスキ、アダム・パウリコフスキー、イェジー・モエス、タデウシュ・カリノウスキー、ボジェナ・クロウスカ
1939年9月1日ドイツ軍のポーランドへの侵攻作戦が開始された。ポーランド騎兵中隊は砲弾の炸裂する戦場を疾走する美しい白馬・ロトナを贈られるが、その馬に乗る者が次々に死んでいきついに部隊は全滅する。ワイダにとって最初のカラー作品。
 
 
「死の教室」The Dead Class
(1976/79分/35mm)
監督:アンジェイ・ワイダ 脚本:タデウシュ・カントール 撮影:エドヴァルト・クウォシンスキ
出演:マリア・グレツカ、ボフダン・グリボヴィッチ、ミーラ・リフリツカ、ズビグニエフ・ベトナルチック、ロマン・シヴラック
フランスの不条理演劇の作家ウジェーヌ・イヨネスコの「授業」を、タデウシュ・カントールが演出した舞台の模様をワイダ監督が映像化した異色作。テレビ放映用として製作されたが、ポーランド国内では放映、公開ともにされなかった。日本では1988年に公開。
 
 
「トップドッグ」Wodzirej
(1978/106分/35mm)
監督・脚本:フェリクス・ファルク
撮影:エドワード・クロシンスキー
出演:イエジー・ストゥール、スワバ・クワシニエフスカ、ヴィクトル・サデツキ、ミハウ・タルコフスキ
芸能団に所属する司会者ダニエルは、大役を得るためにあらゆる手段を使い始める……。アンジェイ・ワイダが代表をつとめるプロダクション・イスクによる製作。“この作品は現実の生活を良く伝えています。活動的な動きと変化、そしてアイロニーがあり、同時にコミカルでもあるといった特徴はポーランド映画には珍しいものです”(ワイダ)
 
 
「麻酔なし」Bez Znieczulenia
(1978/131分/35mm)
監督:アンジェイ・ワイダ
脚本:アグニェシュカ・ホランド、アンジェイ・ワイダ
撮影:エドウルト・ワイダ
出演:ズビグニエフ・サパシェヴィッチ、エヴァ・ダルコウスカ、クリスティナ・ヤンダ
著名なジャーナリストが権力の目に見えぬ力によって死へ追い込まれて行く姿を描く。「手荒な扱い」を受ける主人公の姿に、ポーランドの現実に対するワイダ監督の政治的メッセージが込められている。カンヌ国際映画祭カトリック事務局映画賞受賞。
 
 
「悪夢」Zmory
(1979/100分/35mm)
監督:ボイチェフ・マルチェフスキ
脚本:パヴェル・ハイニ
撮影:ヴィエスワフ・ジドルト
音楽:ジグムント・コニエチニ
出演:ピョトル・ウィサク、トマシ・フジエッツ、ブロニスワフ・パブリック、テレサ・マルチェフスカ
第一次大戦前のガリツィア地方。少年ミコワイは性に目覚め、社会主義思想に触れ、精神的な彷徨を繰り返していく。1935年に発表されたエミル・ゼガドヴォヴィチの小説を下敷きにしたボイチェフ・マルチェフスキ監督の劇映画デビュー作で、国内新人賞、ムンク賞、文化芸術賞、サンサバスチャン国際映画祭で受賞している。
 

プラネット・シネマテーク
《会費》収蔵協力費として
入れ替え制1本あたり
会員900円 会員学生・シニア800円
《割引》2本目は200円引き
*非会員のかたは、1日会員(登録料100円)のご登録をお願いします。


これまでのプログラム|神戸映画資料館

※内容は予告無く変更する場合があります。

※作品によっては、経年退化で色褪せしている場合がございます。予めご理解ご了承の上、ご鑑賞くださいますようお願い申し上げます。