神戸映画資料館

PROGRAM プログラム

2026年5月9日(土)

丹生谷貴志 映画講座──黒沢清の『大いなる幻影』

 

14:30〜16:05
『大いなる幻影』
(日本/1999/95分/35mm)

製作:ユーロスペース、映画美学校 共同製作:日本スカイウェイ プロデューサー:堀越謙三、松田広子
監督・脚本:黒沢清  撮影・照明:柴主高秀 照明協力:渡部嘉 録音:菊池信之 美術:松本知恵
出演:武田真治、唯野未歩子、安井豊

ねェ、このまま終わっちゃうの?
時は2005年。不安定な世界の中で、恋人たちは永遠を見つけだす。

世紀末の喧騒も、新世紀を迎えた高揚も過ぎ去った2005年。国内には様々な国籍を持つ人々が暮らし、空には外出もままならないほどの花粉が舞っている。
ハルは音楽関係の仕事についてはいるが、すべてを持て余している。今となっては、自分が消えてなくなりそうな不安を追い払うことで精一杯だ。
ミチは郵便局の受付をしながら、ときどき海外小包を失敬している。小包の中身は彼女のコレクションとなり、彼女のここではないどこかへ馳せる想いは強くなってゆく。
ハルとミチという恋人たち。次第にすれ違っていくふたりの日常を描写しながら、黒沢清監督は次第に観るものの視線をスクリーンの外へと誘ってゆく。ひとつひとつの楽器が奏でるメロディは極めてシンプルなのに、それが次第に重なり合うことで壮大なイメージを抱かせる音楽のように。

『大いなる幻影』によせて 黒沢清
二人が愛し合うという物語は、結局いつもセクシャルな欲求の成就か、あるいは家庭という制度への順応といった結末しかもたらさない。愛の果てには本当にそれしかないのだろうか? そうでもないだろう。というのが私の生きている実感であり、この映画の発想の原点となった。
私にはどうしても、二人の愛は永遠であるように思える。だが、世界はその永遠性を保証するのに、生殖や結婚といったシステムしか用意しない。
このシステムを拒絶した二人にとっては、おそらく愛はひとつの不幸だ。やがて自分自身をも見失う。愛こそが二人を翻弄する。それでも二人は永遠の愛の中で生きていこうとする。たとえそれが大いなる幻影であったとしても。

*公開当時のチラシより

 

16:15〜17:45
講演 丹生谷貴志(批評家/思想家)

 

《料金》 *入替制
鑑賞料 一般:1700円 会員:1300円
講演 一般:1000円 会員:700円
予約受付
メールと電話によるご予約を承ります。鑑賞を希望される日時と作品名、お名前、電話番号をお知らせください。予約で満席でなければ、当日に予約無しでもご入場いただけます。
info@kobe-eiga.net 078-754-8039

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