メディア芸術アーカイブ推進支援事業
事業主体:NPO法人 プラネット映画保存ネットワーク
神戸映画資料館がプラネット映画資料図書館から引継ぎ所蔵する日本アニメーションの揺籃期に作られた漫画映画のコレクションは他のアーカイブが所蔵していない貴重なフィルムを有しており、これまで、日本の映画保存の中核を担う東京国立近代美術館フィルムセンター(現 国立映画アーカイブ)などに複製を作るための原版として提供してきました。
その一部は、2017年にフィルムセンターが開設したウェブサイト「日本アニメーション映画クラシックス」公開されています(11作品提供)。
しかしながら、長期保存のための複製化やデジタル化ができていないフィルム、さらには題名等が欠落し詳細が不明の作品が未だ多数あります。そこで、2020年度から所蔵アニメーションフィルムのデジタルアーカイブ事業をスタートさせました。
2021年度
成果として3作品の動画(一部抜粋)を公開します。
* 本事業は令和3年度文化庁メディア芸術アーカイブ推進支援事業の助成を受け実施した
* 4Kデジタル化協力:神戸芸術工科大学
「鈎を失くした山彦」一部抜粋
神戸映画資料館所蔵ID:34156
製作年:1936年 監督:竹村猛児
1936年の第三回全日本パテーシネ協会各支部連合(九ミリ半)大競技会三等二席に入選した影絵アニメーション。古事記や日本昔話で知られる「海彦と山彦」の物語。
「ガランドウの太鼓」一部抜粋
神戸映画資料館所蔵ID:34154+34228
製作年:1934年 監督:坂本為之
1934年の第一回全日本パテーシネ協会関西支部主催コンテスト二等三席に入選した影絵アニメ。この時の一等は森紅による『私の子供』だった。トルストイ童話『がらんどうの太鼓』に着想を得た作品。
「千鳥の曲」
神戸映画資料館所蔵ID:31459
製作年:1930年代 監督:森紅
1924年に発足した大阪ベビー・キネマ・クラブの頃から活躍した森紅による実験的な図形アニメーション。ハンス・リヒターの『リズム21』(1921)などを想起させる。
2020年度
成果として4作品の動画(一部抜粋)と古典フィルムアニメーション(1960年代初頭まで)の所蔵フィルムリストを公開します。
* 本事業は令和2年度文化庁メディア芸術アーカイブ推進支援事業の助成を受け実施した
* 4Kデジタル化協力:神戸芸術工科大学
神戸映画資料館 古典フィルムアニメーション
(1960年代初頭まで)のフィルムリスト(PDF)
* 2021年3月30日更新
* 調査は継続中であり、本リストは暫定版です
「のろまな爺」一部抜粋
神戸映画資料館所蔵ID:50349
製作年:1924年 監督:大藤信郎
大藤信郎の試作第一作。幸内純一のスミカズ映画創作社で制作。
「カテイ石鹸」一部抜粋
神戸映画資料館所蔵ID:50370
製作年:1922年頃
中山太陽堂(現・クラブコスメチックス)の宣伝広告映画。北山清太郎作の可能性あり。
「チャップリンとクーガン[仮題]」一部抜粋
神戸映画資料館所蔵ID:19302
製作年:1920年代
大人向けアニメだが製作会社もアニメ作家も不詳。映画会社が登場するが、出演俳優や監督などのキャラクターは多分、当時の著名スター、監督のカリカチュアと思われる。字幕で『母校の為に』(日活、阿部豊、1925年)のことや、ジャッキー・クーガン風の子供を案内する年配の俳優が山本嘉一に似ていること、『母校の為に』の主演俳優・浅岡信夫に似ているキャラクターも出ていることから(共演者は岡田嘉子でそれらしく見えるキャラクターもいる)、日活で作られたアニメかも知れない。『チャップリンとクーガン』は東京国立近代美術館フィルムセンターの「発掘された映画たち2010」上映時に付された仮題である。
「火災予防[仮題]」一部抜粋
神戸映画資料館所蔵ID:50091
製作年:不明
防火の教育映画と思われるがアニメの製作者は不詳。このプリントを複製した国立映画アーカイブは『火災予防(火の用心)』として登録。
美術館・歴史博物館重点分野推進支援事業
事業主体:一般社団法人 神戸映画保存ネットワーク
その調査成果の一部をここで公開していきます。タイトル部分が欠落したようなフィルムの同定作業や一般の人が個人の楽しみで撮影した小型映画の内容調査は困難を極めます。調査の元となる材料(フィルムの静止画像や動画の一部)を公開して様々な観点から広くご覧いただければと思います。
*公開する動画は調査研究用にデジタル化したもので、デジタル修復等は行っていません。
*4Kデジタル化協力:神戸芸術工科大学