神戸映画資料館

PROGRAM プログラム

2023年4月22日(土)・23日(日)

アウトサイダーのまなざし in 神戸 第3回

~国映/新東宝ピンク映画60周年記念特別上映会~

「新東宝ピンク映画 ラスト・フィルム・ショー」の後続企画「アウトサイダーのまなざし2」から2作品を上映。
*当初予定していた『あぶない情事 獣のしたたり』は諸事情により中止いたします。何卒ご了承ください。

 

「痴漢バス バックもオーライ」
プリントタイトル「痴漢バス バックが大好き」
(1987/60分/35mm)新東宝映画
監督:石川欣 脚本:アーサー・シモン(石川欣) 撮影:富田伸二 助監督:岩永敏明
出演:長谷川かおり、浅川れい子、菊次朗、石部金吉(清水大敬)

中村幻児門下で当時廣木隆一らとともに活躍した石川欣が昭和末期の歌舞伎町を舞台に風俗の世界に生きる男女や刑事そして殺人鬼など本音むき出しの人間群像をコミカルに時にシリアスに描く。字幕スーパーを用いた心情表現やスタイリッシュな映像など洒落たセンスが冴える一篇。

 

「いくつになってもやりたい不倫」
(2009/64分/35mm)国映、新東宝映画
監督:坂本礼 脚本:中野太 撮影:橋本彩子 助監督:大西裕
出演:吉岡睦雄、春矢つばさ、三木藤乃、飯島大介、佐々木ユメカ、北川輝、石川裕一

中年不倫カップルの重雄と八重子は自動車事故を起こし、重雄は他界する。八重子の息子大助は、ひょんなことから重雄の娘千尋と知り合い……。「七福神」の最若手坂本礼が父母の不倫という現実を知った若者たちが自らも禁断の関係に溺れていく姿をリアリスティックに描いた。

 

ピンク映画は性を商品として扱う性質からのみでなく、成り立ちもまたどこか「アウトサイダー」的でした。それは戦後しばらくのあいだ娯楽の王者として経済界の第一線にいた映画産業がテレビの普及にともなって急速に凋落したとき、まるでそれに乗ずるような形で、あたかもある不可視の意図によって設置されでもしたように、高度経済成長の背後でうごめく欲望を回収する装置として稼働を始めたのでした。
しかしそういったピンク映画の作り手たちの多くは、他の独立系の製作者と同様あるいはそれ以上に、たとえパワフルであってもアウトロー(反社会的存在)ではありませんし、コリン・ウィルソンが述べたほどに深く預言者的・神秘主義的なアウトサイダーでなかったとしても、社会の周縁に寄り添いながらもその外部に存在し、常識や社会通念を越えて、配給会社や劇場への多少の忖度は容れつつも強力なスポンサーや様々な権力に従う理由も必要もない立場で、たとえささやかであってもこの世界に何らかの光をもたらそうと努め続けたのです。
今回上映する作品の多くが主人公たちが事件や犯罪、あるいは日常の様々な出来事を通じて社会通念や一般常識から逸脱し、葛藤し、あるいはそれらと闘う姿を描いているのは決して偶然ではありません。そんな登場人物たちを見つめる監督=アウトサイダーたちのまなざしは、意識的・無意識的を問わず、あらゆる真摯な創作に共通のあの基底的なメッセージを体現しているかのようです。「共同体(=社会一般通念)の外に出よ、孤独を恐れるなかれ、そして一人の人間たれ」——と。
福原彰(新東宝映画)

 

協力:ぴんくりんく
R18+ 18歳未満の方はご鑑賞いただけません。

《料金》1本あたり
一般:1200円 ユース(25歳以下):1000円 会員:900円
《割引》当日2本目は200円引き
予約受付
メールと電話によるご予約を承ります。鑑賞を希望される日時と作品名、お名前、電話番号をお知らせください。予約で満席でなければ、当日に予約無しでもご入場いただけます。
info@kobe-eiga.net 078-754-8039

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