神戸映画資料館

PROGRAM プログラム

2023年7月8日(土)・9日(日)

アウトサイダーのまなざし in 神戸 第4回

~国映/新東宝ピンク映画60周年記念特別上映会~

「新東宝ピンク映画 ラスト・フィルム・ショー」の後続企画「アウトサイダーのまなざし2」から2作品を上映。
 

9日(日)来館 新里猛作 監督(『痴漢タクシー エクスタシードライバー』)

 

「ブルーフィルムの女」 英語字幕付

(1969/78分/35mm)国映
監督:向井寛 脚本:宗豊 撮影:浜野誠之 助監督:瓜生忍
出演:橋本実紀、藤井貢、河東啓介、水森レオ、小柳リカ、川口音、三重街竜、小野保

若松孝二や渡辺護とともにピンク映画を黎明期から支えた向井寛初期の傑作。借金苦で自ら命を絶った株師とその娘の復讐譚。戦前に松竹のスターであった藤井貢が父役で出演している。新東宝配給となる以前の国映作品で、朝倉大介プロデュースの初期の代表作の一本。

 

「痴漢タクシー エクスタシードライバー」

プリントタイトル『性欲タクシー走る車内で』
(1999/62分/35mm)新東宝映画
監督:新里猛作 脚本:大河原ちさと 撮影:中尾正人 助監督:石川二郎
出演:田中要次、奈賀毬子、佐倉萌、風間今日子、けーすけ、隆西凌

リストラされ恋人からも見捨てられタクシードライバーに転身した男がひょんなことからヤクザの抗争に巻き込まれ……。“BoBA”の愛称で知られる田中要次がふとしたきっかけで狂気を噴出させる主人公を好演。デビュー間もない新里猛作が娯楽性のある人間ドラマに仕上げた。

 

ピンク映画は性を商品として扱う性質からのみでなく、成り立ちもまたどこか「アウトサイダー」的でした。それは戦後しばらくのあいだ娯楽の王者として経済界の第一線にいた映画産業がテレビの普及にともなって急速に凋落したとき、まるでそれに乗ずるような形で、あたかもある不可視の意図によって設置されでもしたように、高度経済成長の背後でうごめく欲望を回収する装置として稼働を始めたのでした。
しかしそういったピンク映画の作り手たちの多くは、他の独立系の製作者と同様あるいはそれ以上に、たとえパワフルであってもアウトロー(反社会的存在)ではありませんし、コリン・ウィルソンが述べたほどに深く預言者的・神秘主義的なアウトサイダーでなかったとしても、社会の周縁に寄り添いながらもその外部に存在し、常識や社会通念を越えて、配給会社や劇場への多少の忖度は容れつつも強力なスポンサーや様々な権力に従う理由も必要もない立場で、たとえささやかであってもこの世界に何らかの光をもたらそうと努め続けたのです。
今回上映する作品の多くが主人公たちが事件や犯罪、あるいは日常の様々な出来事を通じて社会通念や一般常識から逸脱し、葛藤し、あるいはそれらと闘う姿を描いているのは決して偶然ではありません。そんな登場人物たちを見つめる監督=アウトサイダーたちのまなざしは、意識的・無意識的を問わず、あらゆる真摯な創作に共通のあの基底的なメッセージを体現しているかのようです。「共同体(=社会一般通念)の外に出よ、孤独を恐れるなかれ、そして一人の人間たれ」——と。
福原彰(新東宝映画)

 

協力:ぴんくりんく
R18+ 18歳未満の方はご鑑賞いただけません。

《料金》1本あたり
一般:1200円 ユース(25歳以下):1000円 会員:900円
《割引》当日2本目は200円引き
予約受付
メールと電話によるご予約を承ります。鑑賞を希望される日時と作品名、お名前、電話番号をお知らせください。予約で満席でなければ、当日に予約無しでもご入場いただけます。
info@kobe-eiga.net 078-754-8039

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