神戸映画資料館

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2023年9月2日(土)

連続講座:20世紀傑作映画 再(発)見 第17回

忘れられた土地、忘れられた人々──ルイス・ブニュエルの『糧なき土地』と『忘れられた人々』を読み解く

このシリーズ講座では、映画史の節目を刻んできた傑作を毎回一本ずつ上映し、検証してゆく。時代の中から生まれながら、時代を超えて生き残る。古典とはそういうものだ。それは、つねに〈来るべき〉作品であり、映画館のような場所でそのつど〈発見〉される。このような観点から、作品を映画史の中にきっちりと位置づけ、それがいかにして生まれ、どのように受容され、それ以後の映画にどんな影響を与えたのかを検証する一方で、あたかも新作を見るように、その映画を純粋に味わい、どこにその〈映画的〉魅力があるのかを探ってゆく。

 

14:40〜 上映
『糧なき土地』Las Hurdes
(スペイン/1932/20 28分/16mm)
監督・脚本:ルイス・ブニュエル
撮影:エリ・ロタール

『忘れられた人々』Los Olvidados
(メキシコ/1950/77分/16mm)
監督:ルイス・ブニュエル
脚本:ルイス・ブニュエル、ルイス・アルコリサ
撮影:ガブリエル・フィゲロア
音楽:ロドルフォ・ハルフター
出演:ロベルト・コボ、エステラ・インダ、アルフォンソ・メヒア

 

16:30〜 講座(終了予定18:00)
講師:井上正昭(翻訳・映画研究)
今回、ブニュエルを取り上げるに当たって、『糧なき土地』と『忘れられた人々』の2作品が選ばれたのは、半ば偶然に過ぎない。いずれもブニュエルを代表する作品であると同時に、映画史に残る傑作であるが、一方は、スペインで撮られた数少ないブニュエル作品の一つであり、唯一のドキュメンタリーでもある短編映画、他方は、長い長いメキシコ時代における最初の傑作といってよい長編劇映画。撮られた国もジャンルも違う作品ではあるが、この2作品には不思議と共通点が多い。両作品に現れる黒いユーモアや繰り返される様々なモチーフを読み解いていけば、ブニュエル映画のエッセンスのようなものがきっと浮かび上がってくるだろう。何よりも、この2作品を貫いている、現実を見つめる〈残酷な〉眼差しは、すべてのブニュエル作品に通じるものである。実は、ブニュエル自らが〈ドキュメンタリー〉として言及した作品は、この『糧なき土地』と『忘れられた人々』の2本だけだというのも興味深い。『糧なき土地』をフィクションとして、逆に、『忘れられた人々』をドキュメンタリーとして、読み直すことも可能だろう。『糧なき土地』を通して『忘れられた人々』を見ることで、浮かび上がってくるものもあるのではないだろうか。

 

井上正昭
1964年生まれ。Planet Studyo + 1 で映画の自主上映にたずさわる。訳書に『映画監督に著作権はない』(フリッツ・ラング、ピーター・ボグダノヴィッチ/筑摩書房 リュミエール叢書)、『恐怖の詩学 ジョン・カーペンター』(ジル・ブーランジェ/フィルムアート社)、共著に『映画を撮った35の言葉たち』(フィルムアート社)がある。
ブログ「明るい部屋:映画についての覚書」

《参加費》 上映+講座
一般:1800円 ユース(25歳以下):1200円 会員:1500円
予約受付
メールと電話によるご予約を承ります。鑑賞を希望される日時と作品名、お名前、電話番号をお知らせください。予約で満席でなければ、当日に予約無しでもご入場いただけます。
info@kobe-eiga.net 078-754-8039

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