2023年9月16日(土)
国立映画アーカイブ所蔵 外国無声映画傑作選 vol.3
関西では見る機会の少ない国立映画アーカイブが所蔵する外国映画を生伴奏付きで上映する。
鶴子と雪洲 知られざるアジアンスーパースター
初期ハリウッドで活躍した日本人スター、青木鶴子と早川雪洲。幼い頃に米国に渡った青木鶴子は1913年映画デビュー。名プロデューサーのトマス・インスに引き抜かれスターの地位を確立した。インスに雪洲を引き合わせたのが鶴子だったとも言われる。早川雪洲は『チート』の悪役が有名だが、その後自身の独立プロダクションを持ち主演作を多数製作したことはあまり知られていない。鶴子と雪洲が出演する貴重な短編・長編作品を国立映画アーカイブ所蔵フィルムで上映する。近年ハリウッドで多様性が叫ばれアジア系映画人が注目され始めているが、無声映画期にすでにアジア出身のスーパースターが存在した事実を確認しておくのも意義があるだろう。
(企画:いいをじゅんこ)
Aプログラム
『おミミさん』 O Mimi San
(アメリカ/1914/28分[18fps]/35mm)
国立映画アーカイブ所蔵
監督:チャールズ・ミラー
出演:青木鶴子、早川雪洲
青木鶴子扮する庭師の娘が、陰謀に巻き込まれ平民のふりをして身を隠す将軍の子息(雪洲)と身分違いの恋に落ちる。トマス・インス制作の「日本シリーズ」の1本目であり雪洲の映画デビュー作とも言われる幻の短編。
『末裔』 The Last of the Line
(アメリカ/1914/34分[16fps]/16mm)
国立映画アーカイブ所蔵
監督:ジェイ・ハント
出演:ウィリアム・イーグル・シャツ、早川雪洲、青木鶴子
先住民族の酋長の息子を雪洲が演じる。酋長は息子に西洋的教育を受けさせ2つの社会の架け橋になることを望むが、期待に反して息子は堕落する。酋長役は本物の北米インディアンが演じており、苦悩する父の内面描写が評判を呼んだ。
Bプログラム
『蛟龍を描く人』 The Dragon Painter
(アメリカ/1919/51分[18fps]/35mm)
国立映画アーカイブ所蔵
監督:ウィリアム・ワーシングトン
出演:早川雪洲、青木鶴子
天性の画才を持つ野生児タツと日本画家の娘・梅子とのロマンスを描くファンタジックな長編。雪洲がメアリー・フェノロサの小説を映画化した。天才画家タツを雪洲が時にコミカルに時に悲劇的に演じ、ヒロインの鶴子も魅力的。実生活でも雪洲は絵の才能があった。さらに鶴子の養父が狩野派の画家だったなど夫妻の自伝的要素も感じられる作品である。
伴奏:鳥飼りょう(ピアノ)
トーク
板倉史明(映画研究/神戸大学)+いいをじゅんこ(クラシック喜劇研究家)
《料金》 入替制
一般:1800円 ユース(25歳以下):1200円 会員:1500円
予約受付
メールと電話によるご予約を承ります。鑑賞を希望される日時と作品名、お名前、電話番号をお知らせください。予約で満席でなければ、当日に予約無しでもご入場いただけます。
info@kobe-eiga.net 078-754-8039
協力:国立映画アーカイブ