神戸映画資料館

PROGRAM プログラム

タグ:

2024年1月13日(土)

連続講座:20世紀傑作映画 再(発)見 第18回

始まりのドキュメンタリーを問う──ロバート・フラハティ『極北のナヌーク』

このシリーズ講座では、映画史の節目を刻んできた傑作を毎回一本ずつ上映し、検証してゆく。時代の中から生まれながら、時代を超えて生き残る。古典とはそういうものだ。それは、つねに〈来るべき〉作品であり、映画館のような場所でそのつど〈発見〉される。このような観点から、作品を映画史の中にきっちりと位置づけ、それがいかにして生まれ、どのように受容され、それ以後の映画にどんな影響を与えたのかを検証する一方で、あたかも新作を見るように、その映画を純粋に味わい、どこにその〈映画的〉魅力があるのかを探ってゆく。

 

13:30〜 上映
『極北のナヌーク』Nanook of the North
(アメリカ/1922/65分/サウンド版/16mm)
監督:ロバート・フラハティ

 

14:50〜 講座(終了予定16:20)
講師:井上正昭(翻訳・映画研究)
ドキュメンタリー映画は『極北のナヌーク』とともに始まる。そして、その監督であるロバート・フラハティこそは、ドキュメンタリー映画の父である。しばしばこのように言われるのだが、それは一体どういう意味においてなのであろうか。カナダ北部の極寒の地に暮らすイヌイット(エスキモー)の姿を描いたこの映画を、フラハテイは現地に移り住んで撮り上げたのであるが、実はそこには多くの演出が含まれていたことはよく知られている。今回の講座では、この映画の鍵となるいくつかのシーンの分析を通して、この「始まりのドキュメンタリー」がすでに孕んでいたフィクションとの関係を問い直し、原点に立ち返って改めてドキュメンタリー映画について考えてみる。さらには、一般にはあまり知られていない映画初期のトラヴェローグ(旅行記映画)や、同時代の民俗学の動向、あるいは、その後のジャン・ルーシュの作品などとも関連付けながら、この傑作を、幅広い視点から捉え直してみたいと思う。

 

井上正昭
1964年生まれ。Planet Studyo + 1 で映画の自主上映にたずさわる。訳書に『映画監督に著作権はない』(フリッツ・ラング、ピーター・ボグダノヴィッチ/筑摩書房 リュミエール叢書)、『恐怖の詩学 ジョン・カーペンター』(ジル・ブーランジェ/フィルムアート社)、共著に『映画を撮った35の言葉たち』(フィルムアート社)がある。
ブログ「明るい部屋:映画についての覚書」

《参加費》 上映+講座
一般:1800円 ユース(25歳以下):1200円 会員:1500円
予約受付
メールと電話によるご予約を承ります。鑑賞を希望される日時と作品名、お名前、電話番号をお知らせください。予約で満席でなければ、当日に予約無しでもご入場いただけます。
info@kobe-eiga.net 078-754-8039

PageTop