神戸映画資料館

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2022年6月18日(土)・19日(日)

連続講座:20世紀傑作映画 再(発)見 第13回

ゾンビ映画と言う勿れ──『私はゾンビと歩いた!』とジャック・ターナーの作品世界

このシリーズ講座では、映画史の節目を刻んできた傑作を毎回一本ずつ上映し、検証してゆく。時代の中から生まれながら、時代を超えて生き残る。古典とはそういうものだ。それは、つねに〈来るべき〉作品であり、映画館のような場所でそのつど〈発見〉される。このような観点から、作品を映画史の中にきっちりと位置づけ、それがいかにして生まれ、どのように受容され、それ以後の映画にどんな影響を与えたのかを検証する一方で、あたかも新作を見るように、その映画を純粋に味わい、どこにその〈映画的〉魅力があるのかを探ってゆく。

13:30〜 上映
「私はゾンビと歩いた!」I Walked with a Zombie
(アメリカ/1943/63分/16mm)
製作:ヴァル・リュートン
監督:ジャック・ターナー
脚本:カート・シオドマーク
出演:トム・コンウェイ、フランシス・ディー、ジェームズ・エリソン

 

14:50〜 講座
(終了予定16:20) *19日(日)は前日の講座の録画
講師:井上正昭(翻訳・映画研究)
今回の講座では、ユニヴァーサル・ホラーとは全く異なる新たなスタイルの恐怖映画を築きあげたヴァル・リュートン製作の一連の作品の中でも最も名高い作品の一つ、ジャック・ターナーの『私はゾンビと歩いた!』を取り上げる。キワモノ的な内容を予想させるタイトルからは想像もつかない、不気味で美しい悪夢のような作品である。前作『キャット・ピープル』で試みられた曖昧さの次元を、ある意味、さらに一段階推し進め、見る者を絶えず不確かな状態に置き続けるこの作品の語りのユニークさの秘密はどのあたりにあるのか。ターナーの精緻極まりない演出を分析しつつ、この謎めいた作品の本質に迫る。また、ヴァル・リュートンという独創的なプロデューサーの功績についても、この機会に考えてみる予定である。ところで、「ゾンビ」といっても、ここに描かれるゾンビは、最近流行りのそれとはまるで別物であり、人を貪り食ったりはしない。この時代のゾンビ映画におけるゾンビとは一体何であり、何を象徴していたのか。同時代の他作品も参照しつつ、背景にある植民地主義の問題などと絡めて、初期ゾンビ映画における〈生ける屍〉のイメージについてもついでに考察する。

 

井上正昭
1964年生まれ。Planet Studyo + 1 で映画の自主上映にたずさわる。訳書に『映画監督に著作権はない』(フリッツ・ラング、ピーター・ボグダノヴィッチ/筑摩書房 リュミエール叢書)、『恐怖の詩学 ジョン・カーペンター』(ジル・ブーランジェ/フィルムアート社)、共著に『映画を撮った35の言葉たち』(フィルムアート社)がある。
ブログ「明るい部屋:映画についての覚書」

《参加費》 上映付き
一般:1800円 ユース(25歳以下):1200円 会員:1500円
予約受付
メールと電話によるご予約を承ります。鑑賞を希望される日時と作品名、お名前、電話番号をお知らせください。予約で満席でなければ、当日に予約無しでもご入場いただけます。
info@kobe-eiga.net 078-754-8039

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