神戸映画資料館

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2022年9月23日(金・祝)

連続講座:20世紀傑作映画 再(発)見 第14回

ウクライナの大地の輝き──アレクサンドル・ドヴジェンコ『大地』を見る

このシリーズ講座では、映画史の節目を刻んできた傑作を毎回一本ずつ上映し、検証してゆく。時代の中から生まれながら、時代を超えて生き残る。古典とはそういうものだ。それは、つねに〈来るべき〉作品であり、映画館のような場所でそのつど〈発見〉される。このような観点から、作品を映画史の中にきっちりと位置づけ、それがいかにして生まれ、どのように受容され、それ以後の映画にどんな影響を与えたのかを検証する一方で、あたかも新作を見るように、その映画を純粋に味わい、どこにその〈映画的〉魅力があるのかを探ってゆく。

 

13:30〜 上映
「大地」Земля
(ソ連/1930/87分[16fps]/16mm)
監督・脚本:アレクサンドル・ドヴジェンコ
撮影:ダニール・デムツキー 美術:ワシーリー・クリチェフスキー
出演:ステパン・シュクラト、セミョーン・スワシェンコ、ユーリヤ・ソンツェワ、エレーナ・マクシーモワ

伴奏:鳥飼りょう

 

15:20〜 講座(終了予定16:50)
講師:井上正昭(翻訳・映画研究)
エイゼンシュテインらと並ぶソビエト映画の巨匠と言われながら、ドヴジェンコの作家としてのイメージはいまだに曖昧なままである。そのことは、彼がスターリン体制下のソビエトに忠実であろうと努める一方で、故郷ウクライナにこだわり続けたことと無縁ではないだろう。エイゼンシュテインの『戦艦ポチョムキン』、プドフキンの『母』と並んでソビエト映画の3大名作の一つに数えられる『大地』は、ドヴジェンコの代名詞のような作品であるが、本当にちゃんと理解されているだろうか。プロットだけたどれば、これは単純なプロパガンダ映画に思えるかもしれない。しかし実際にそこに描かれているのは、ウクライナの圧倒的自然であり、そしてその中で静かに繰り返される生と死のサイクルである。モンタージュ派という言葉でひと括りにされてはいるが、ドヴジェンコのスタイルは、同時代のソ連の映画作家たちのそれとは全く異なる独自のものだった。今回の講座では、この映画が作られた当時の時代背景や、そこに描かれる様々な象徴的イメージなどを読み解きながら、タルコフスキーが賛辞を惜しまず、ソクーロフにもリスペクトされたこの映画作家の映画美学を浮き彫りにしてゆく。

 

井上正昭
1964年生まれ。Planet Studyo + 1 で映画の自主上映にたずさわる。訳書に『映画監督に著作権はない』(フリッツ・ラング、ピーター・ボグダノヴィッチ/筑摩書房 リュミエール叢書)、『恐怖の詩学 ジョン・カーペンター』(ジル・ブーランジェ/フィルムアート社)、共著に『映画を撮った35の言葉たち』(フィルムアート社)がある。
ブログ「明るい部屋:映画についての覚書」

《参加費》 生伴奏付き上映+講座
一般:2000円 ユース(25歳以下):1500円 会員:1700円
予約受付
メールと電話によるご予約を承ります。鑑賞を希望される日時と作品名、お名前、電話番号をお知らせください。予約で満席でなければ、当日に予約無しでもご入場いただけます。
info@kobe-eiga.net 078-754-8039

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